写真にして見ると、単に、青い空と流れる白い雲の絵柄である。しかし、・・
雲は、関東平野 西北辺の風物 からっ風に飛ばされて来たのである。
この地帯は、南西から北東にかけて、高い山なみに囲まれている。日本海で発生した雪雲は、この山なみを超えることが出来ない。雲は、雪をしっかりと、国境沿いの山やまの向う側に、降り下ろす。その後、冷たい強い風だけとなって、さえぎるものが無い平野を吹き荒れ,抜けてゆく。千切れた雲が、時おり流れ出して来るが、やがて、青空に吸収されるて消え去ってしまう。
晴れ・気温4℃・湿度10%・北西の風強し
白菜の生産農家にとって、この天候は、恵みである。まだ畑にある出荷前の白菜にとっては、この気象状況が、理想的な【 保冷庫 】の役割をする。農家は、大面積の保冷施設持ったに等しく、出荷調整ができる。▼ しかし、最近、この辺りでは、白菜の出荷は、殆んど見られなくなってしまった。ホウレン草などに比べると、出荷に手間がかかる。箱ずめ作業は、力仕事で、キツイということである。 農家の主力は 確実に、高齢化の方向に進んでいる。60才前後だと、【若いね。】と言われる。【後継者はいない。】 ▼ この町の人口は、増えている。かって、広く開けた田んぼ、桑畑、クヌギなどの落葉樹の自然林だった所は、工業団地になり、住宅団地となった。人口増加は、此の流入の結果である。相変わらず、農家からは、【人口流失】 が続いている。
西隣の畠に、耕作主の得能さんが、秋植え 辛味大根の 成長ぐあいを見に来ていた。彼は、20~30町歩の米、麦をこなす、専業農家である。ホレンソウといった季節の野菜も、それなりに出荷する。しかし、息子は、近隣に誘致された大手電気関係の工場に勤めていて、農業を継がない。、宅地の転用可になった畑の一画に、家を新築し、独立して生計を立ている。
空風は、激しく、どおっと 吹きつける。、ホウレン草畑の奥を、砂塵が舞う。千切れた雲が、幾つも、欅の梢の上空を、飛び去る。西の端に、日が沈むまで、強風は、吹き続ける。今日で、三日ほど吹き荒れた。
吹き出す雲の圧力は、無くなった。ここ関東平野の北隅は、およそ、三寒四温である。明日からは、静かになるだろう。
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