選ぶとは 如何(いか)なることか 人の踏(ふ)む
道の割(わ)れめに 咲く ほとけのざ
-夢蔡ー
公園のタイル舗装のわずかに空いたスキマがあります。
そこに、ホトケノザが、スキマに添って、列をなし咲いておりました。
如何なる運命のいたずらか・・? なんて考えない。!
偶然、種が、転がって行ってそこで芽生え、花を咲かせる。
偶然も、またチャンスでもある。
1mmの種にとって、1㎝の空間の土、水・光があれば、
充分に生き残ることができるのである。
三月上旬、耕作前の畑地を占拠した、ホトケノザ群落である。
ごく春浅き日、小さく盛り上がった南面の小隅で、早くも
小ホトケノザは、花を付ける。それから、日が伸びはじめて、
1000㎡ほどの畑には、いち早く群落が作られる。
他の草々が、寒くて様子をうかがっているうちに、
いち早く、”生き残り戦略”を始めているのである。
*注 自ら動けないが、この一面の広がりーー!
広く繁るための種を攪拌は、ホトケノザ自身である。
前年の秋口には、充分成長して、種を持ったホトケノザは、
畑の地面に伏して、眠っていた。
それを、人間が、運転する耕運機で、すき込んでくれた。
群生は、生き残るチャンスの拡大である。
ホトケノザ群落から、代表の1本選び、3段階に拡大した。
美しい花である。可憐である。しかし・・・。
人間は、高みから見るから、写真の様な美しさは、感じない。
実は、ホトケノザにとっては、人間は、どうでもいいのである。
この美しさは、羽虫や、小ハナアブの気を引けばいいのである。
「 虫の目線では、
拡大写真のどれかに見えるのかなナ~。」
花の形は、唇のようで、【唇形花】 という。
下唇は、模様がついていて、虫の目標となっている。
しかも、「おいで、おいで」をしているようである。
さしずめ、着地点を示す”ランドマーク”である。
花の魅惑に誘われた羽虫は、花の奥へ奥へと入り込む。
ホトケノザは、受粉する。そうして、子孫を残す。
結構な仕掛けである。
自然は、すべての生物に、英知を与えている。
------<了>-------