諸葛菜草叢記

 "窓前の草を除かず“ 草深き(草叢)中で過ごす日々の記

ホトケノザ 賛 歌~♫

2020-04-30 16:12:57 | 日記・エッセイ・コラム

    

   選ぶとは 如何(いか)なることか 人の踏(ふ)む

           道の割(わ)れめに  咲く ほとけのざ

                                   -夢蔡ー

 

  公園のタイル舗装のわずかに空いたスキマがあります。

  そこに、ホトケノザが、スキマに添って、列をなし咲いておりました。

  如何なる運命のいたずらか・・? なんて考えない。!

  偶然、種が、転がって行ってそこで芽生え、花を咲かせる。

  偶然も、またチャンスでもある。

  1mmの種にとって、1㎝の空間の土、水・光があれば、

  充分に生き残ることができるのである。

  

    三月上旬、耕作前の畑地を占拠した、ホトケノザ群落である。

    ごく春浅き日、小さく盛り上がった南面の小隅で、早くも

    小ホトケノザは、花を付ける。それから、日が伸びはじめて、

    1000㎡ほどの畑には、いち早く群落が作られる。

    他の草々が、寒くて様子をうかがっているうちに、

    いち早く、”生き残り戦略”を始めているのである。

    

    *注  自ら動けないが、この一面の広がりーー!

    広く繁るための種を攪拌は、ホトケノザ自身である。

    前年の秋口には、充分成長して、種を持ったホトケノザは、

    畑の地面に伏して、眠っていた。

    それを、人間が、運転する耕運機で、すき込んでくれた。

    群生は、生き残るチャンスの拡大である。 

 

    

 

  ホトケノザ群落から、代表の1本選び、3段階に拡大した。

   美しい花である。可憐である。しかし・・・。

   人間は、高みから見るから、写真の様な美しさは、感じない。

   実は、ホトケノザにとっては、人間は、どうでもいいのである。

   この美しさは、羽虫や、小ハナアブの気を引けばいいのである。

   

   「 虫の目線では、

        拡大写真のどれかに見えるのかなナ~。」

   

   花の形は、唇のようで、【唇形花】 という。

   下唇は、模様がついていて、虫の目標となっている。

   しかも、「おいで、おいで」をしているようである。

   さしずめ、着地点を示す”ランドマーク”である。

   花の魅惑に誘われた羽虫は、花の奥へ奥へと入り込む。

   ホトケノザは、受粉する。そうして、子孫を残す。

   

   結構な仕掛けである。

   自然は、すべての生物に、英知を与えている。

 

           

         ------<了>-------

   

 

   

   

   

   


鯉の恋

2020-04-20 15:33:53 | 日記・エッセイ・コラム

  

  沼の面(おも) 波立て⋆乗(の)つ込(こ)む 鯉の恋  夢蔡

   ⋆蚊柱(かばしら)立ちて  川の夜の恋         糖邨

 

  気温が20度をこえました。沼の水もゆるみました。

   4~5匹のオス鯉が、メスをはさみ圧し掛かるようにして、

   ”枯れ蓮の根元”に、産卵を促(うなが)しております。

       写真の中央の右、茶褐色の部分が雌の尾ひれ。

   左の雄が上から乗りかかている。

    この波立てて、荒々しい行為を、【乗つ込み】といいます。

 

   *注 【乗っ込み】(のっこみ)」

    魚が産卵期に深いところから浅い所へ移動する現象。

    おもに、フナ・タイが、有名です。「デジタル大辞泉」 参 

 

 アカミミガメは、様子をうかがっております。

 産卵が終われば、鯉達は戻って来ないことを知っています。

 「早速、潜って行って・・」と、口からよだれです。

 普段は、草ばかり食べているもんで~!たまには、たんぱく質をー。

 そろそろ、巣づくり・産卵・子育ての時期であります。

 コガモ夫婦も、潜りは、得意です。狙いは,亀と一緒です。

 少し離れた所から、事の収まるのを静かに見ております。

 

 この騒ぎを近くで見ていたアオサギは、取り合えず何もできません。

 フナが、孵(かえ)って少し成長するの待つばかりです。

 或いは、砂地の卵から産まれた、亀の子供を狙う一手もあります。

 

 これは、自然界の摂理です。生物界のバランスの問題です。

 

 イクラ、タラコ、カズノコ,キャビヤetc

 子持ちシシャモ、鯉のあらい・・・・。

 人間界の方が、何でも食べすぎ~!

 自然界・生物界のバランスを崩し過ぎではないでしょうか。

  

 

          --------<了>------


むらさき花菜 そよげども・・#

2020-04-19 13:39:24 | 日記・エッセイ・コラム

   

    草を引く 媼(おうな)の背(せな)に 蝶とまる

          派手な野良着(のらぎ)を 花と見まがひ

                                   -夢蔡ー

 

    *注 近頃では、孫のお下がりのユニ●などのアウターを、

     少し派手であても、作業用にと、年齢に関係なく着たりします。

     遠目に見れば、若いのか、年寄なのか、わかりません。ー

 

  田舎の風景として・・

  春から夏にかけて、モンシロチョウ、スジグロチョウ(photo)が、

  畑地・野原を乱舞するものと、決まっておりました。

  しかしながら、昆虫類が、とみに少なくなっております。

 

  前ブログ(ネギについて)で、触れましたが、

  F1交配品種は、また、多肥料を前提として、改良されております。

  畑の地中に、眠ってた雑草の種も、多肥の恩恵にあずかります。

  故に、除草剤が、多用されます。

  当然のこと、昆虫類も住めなくなってしまいます。

 

  我が窓前の草叢(くさむら)は、除草剤を使いません。

  諸葛菜には、蝶が集まって来ます。

 

  花の色に 染まることなく 揚羽蝶(アゲハチョウ)

      濃き蕊(しべ)抱(いだ)き 翅をふるはす

                          -夢蔡ー

  家の壁ぎわの狭い空間に、鵯でも運んだか、

  サンショウの木が生えております。

  丈は、120cm程ですが、枝もそれなりに繁茂しております。

  そこを、アゲハは産卵場所にしているようです。

  この程度の住処では、大繁殖とはいきません。

  ある年など、何組かが産卵したために、何匹もの幼虫が、

  サンショウの葉を喰い尽くしてしまいました。

  一匹もその命を全うすることが出来ませんでした。

 

  「とかくこの世は住みにくい」ー漱石は,言ってますー

    しかし、今日では、人間ばかりではありません。

    虫たちもです。

 

         ------<了>-------


 春 扇 (はるおおぎ)~#

2020-04-14 14:57:02 | 日記・エッセイ・コラム

  

  愛称(あいしょう)を 春扇(はるおおぎ)なる 根深ねぎ

        不妊症(ふにんしょう)にて 胤(たね)は無かりし

                                   -夢蔡ー

 「春扇」という根深ネギです。 写真は3月の上旬の出荷前のもの。

 見事に、同じ太さで生えそろっております。

  出荷時期の始まり頃に、親切な農家さんから頂きます。

 まだ、寒い日もありますので、すき焼き・鍋物に致しますと抜群ー!

 

  5月連休ころまで、放っておくと、写真のごとくなります。

 

    ねぎ坊主 連れ立ち歩き 出しそうな

            空にとけゆく 遠き峰まで 

                        ー夢蔡ー

  見事な「開花」ではありませんか。

  誰しもが、来年もこのねぎと同じものが作りたい、

  故に、このねぎの”種”が欲しいーと思うのは人情です。

  写真では,良くわかりませんが、ネギは、小さい花の集まりです。

  黄色い部分が雄しべで、雄しべ6個と、雌しべひとつで、

  一個の花です。(「牧野植物図鑑」参)

  一個いっこが受粉すれば、相当な種が出来ます。

 蝶々も花蜜を吸って、受粉を助けております。

 葱坊主が、枯れるのを待って、 【種】を取り出し、

 試しにやってみましたが、、発芽しませんでした。

 

 以下ググってみました。

 今年に撒いた種は、雑種第一代(First filal generation)

 F1品種とかいうものであります。別々の特徴を持ったネギを

 人為的にかけ合わせて作り上げた【種 たね】です。

 その第一世代に限り、安定した収量が得られるのです。

 しかも、そのためには、多肥料を前提に作られております。

 加えて、「自分の花粉では、タネができないように、

 工夫されております。」

 現代の農業は、F1品種、化学肥料、農薬が、3点セットです。

 

 こうした【種たね】の生産は、その植物の「原産国」が、最適とか。

 日本の特に消費が多く主要な野菜、トマト、ナス、キュウリetcの

 主要14品目は、原産国は全部、海外です。

 交配の9割がたは、海外で行われているということです。

 

 世界が、平穏無事な時であれば、それはそれでいいでしょう。

 しかしながら・・・

 コロナ・パンデミックが、世界の国々を襲ている今日ー!

 【種 たね】だって、安全に流通出来るかどうか・・です。

 

 さらに、食料自給率の低い「にっぽん」・・・

 本日の週刊誌の新聞広告に、「食料危機・・」の文字が、

 踊っておりました。

 

 

         -------<了>--------

 

 

 


菜花の道を行けど

2020-04-11 15:23:59 | 日記・エッセイ・コラム

    

   雉鳴くや 我関せずと 婆(ばば)ふたり  -夢蔡ー

          鷺立つ野辺の 春の夕暮れ  -東行-

 

   いまやー! 世は”コロナ禍”で騒然としております。

   買い物は、出来るだけ出ない。宅配に頼る。

   散歩の途中に、人とのすれ違いは、2メタ―以上離れる。

   関東平野北隅の旧村は、人口密度は低く、高齢化率も高い。

   しかし・・!

   新興の市街化地域には、それなりに密度は高い。

   現に、地区名を聞くだけで、およその距離が分かる所で、

   ”コロナ禍”が発生した。

   いつ、ここの生活空間に到達してもおかしくない。

 

  菜花の向こう側で、白鷺は、平然と生きている。

  生態系が貧困で、食料は満足ではないが、

  さしあたっては、”コロナ禍”のような状況はない。

 

 *注( 「領有宣言」のために、羽を広げ鳴かんとしている。

        雌キジは、雑草群落の奥にかくれている。)

 

  古る社(やしろ) 雉子(きぎす)詣でる 朝(あした)哉

                         -夢蔡ー

  ー 早朝に、甲高い声がが聞こえます。いい目覚ましです。

  今のところ、農作物の被害はない。農家が、邪魔にしない。

  雉にとっての外敵はいないようだし、繁殖率は高くないようだ。

  故に、まだ、共存の領域に居る。

 

   蝙蝠も 出でよ浮世の 華に鳥   芭蕉

   (こうもりも いでようきよの はなにとり)

   「暗いところで、くすぶっていないで、

     出ておいで、こうもりさんよ・・・・」

 

  蝙蝠の「蝠」は、福に通ずるとか言って、珍重されたとか。

  コロナ・ウイルスの諸元のごと言われておりましたが、

  真偽はわかりません・・・。 しかし・・・

  生物界での無制限の「共存」というのは、注意深くー!

  とも言えるのではありませんか。

  人間中心の自然界に対する付き合い方は、注意深く

  あらねばならない。

  過度の「改良・改革」は、 やがて改悪につながる。

 

         

         ------<了>-------