諸葛菜草叢記

 "窓前の草を除かず“ 草深き(草叢)中で過ごす日々の記

真夏の夜のー白き妖精ー

2012-07-20 22:12:27 | 日記・エッセイ・コラム

 ー人々の生活圏の中では、垣根などにからみ付く“雑草”として、処理されている“カラスウリ【烏瓜】の花”が開き始めるのは午後7時。そして、八方に糸を延し完全な形に花を維持するのは、午後の8時を回ってからである。

白糸を 闇に向かいて 放ち咲く 花からすうり 真夜のしじまに ー夢蔡ー

20110712_027 ▲ 【カ ラ ス ウ リ】 秋になると,樹上に永く果実が赤く残るのをカラスが残したのだろうと言う見立てか 本州から九州および中国の暖帯の林縁、藪などにはえる多年草(「牧野植物図鑑」)カラスウリは、雌雄異株です。(←写真は雄花ですー

白き綾(あや)花からすうり 闇に織る ー夢蔡

汝れは織女か  夕鶴なりや    ー安絵

20110714ol_002 ▲ 妖艶にして、幻想的な花は、ほのかな甘い香りをあたりに漂わせます。早速、センチコガネがやってきました。花茎は長いので、本来のポリネーター(花粉の送粉者)は、長い口で蜜を吸うスズメガなどと言われております。しかし、センチコガネも花粉を食べながら移動して雌花にいたります。ただ食いではありません。ー

20110714_007_2 ▲【 雌 花 】 カラスウリの学名ーTrichosanthos ( トリコサントス) “トリコ”=「毛」+“サントス”=「花」の造語。ー花言葉→よき便り・誠実・男ぎらい。(←何故?花言葉の由来わかりませんが、お好きなものどうぞ!) *花の下部に“子房”のふくらみが見える。(=秋に赤い実となる。)

 しがみつく生き方ーー

20110714_013 ▲ クロカナブンは、花を抱きかかえ、しがみ付いて、一心腐乱に食べております。*これが彼の生き方であります。

 カラスウリの根は、「塊根」と言い、中位のサツマイモくらいの大きさである。昔々、飢饉の時に根の澱粉を利用しようと、人の生活圏に移動させたようである。ー汗疹予防の天花粉(てんかふ)の材料でもあります。

 ー祭りに旗を掲げる。そこに神が宿ると信じられている。旗の変形を「ひれ」という。漢字で、「肩衣」を当てる。肩や襟元に着ける長いきれである。もとより「呪布」である。 (白川 静「文字逍遥」より)

 真夏の夜に、白い「ひれ」を振るように咲く“カラスウリの花”は、神秘そのもである。

          ---- 了ーーーー


雨降れば銀河は見えず

2012-07-08 10:22:52 | 日記・エッセイ・コラム

 小暑 (新暦7月7日 1時41分“七夕”は、もともと中国ではの中の一行事。日本にあった棚機津女  (たなばたつめ)の行事と重なり、“たなばた”。ー中国の七夕伝説ー天の川をはさんだ織女星・牽牛星物語は、奈良時代には伝わっており、恋多き万葉人に格好の材料を提供したようです。万葉巻-10」には秋雑歌・七夕(しちせき)、97首の“特集”が組まれております。(注*中国伝説風ではなく、歌の殆んどが、牽牛が、天の川を渡って、逢う瀬を楽しむ設定、この我田引水なところがいかにも{万葉人}らしい。)

 例) 赤らひく色ぐはし子をしば見れば人妻ゆえに我れ恋ひぬべし (巻-10-1999)ー(訳 ほんのりと紅い頬をした目にも霊妙な女(ひと)、その人を見ていると、人妻だというのに私は恋してしまいそうですョ~) 一応、「人妻=織姫」のことを歌にしているのですが、神話にかこつけて、現実の自分の体験だったりして~

  ー噺が、いっこうに“紫陽花”(←掲載写真)にたどり着きませんが・・・ー 

 要は、新暦梅雨の時期に (←見えないに決まってる!)7月7日・天の川の物語 に無理があるわけで・・、それではと、雨模様で見えない“天の川”に見立てて、“紫陽花”の登場といたしました。(←旧暦だと8月24日、初秋で、【天の川】はよく見える確率大。

 ー♪ ささの葉 さらさら 軒端にゆれる お星さまきらきら 金銀砂子~#(←かくなるイメージの紫陽花の写真である

Dscf1808_2 ▲ あじさい 【紫陽花】 ガクアジサイは、日本の山野に自生する。観賞用のアジサイは、ガクアジサイを改良。学名 Hydorangea   (ハイドロランジア=水の容器の意)。シーボルト先生 は愛した日本女性「おたかさん」にちなみ、“Otaksan” と種名としたと伝えられるが、図鑑いは残らなかった。(←蛇足ですが、男女のからみは、話題性あり・・閑話休題)

 「彦星は 織女と 天地の別れし時ゆ・・・かくのみや 恋いつつあらむ さ丹塗りの 小舟もがも・・・  玉手さし交え あまた夜も 寐ねてしかも 秋にあらずとも 」 (巻-8-1520) (意訳・恋する二人は、遠く天の川をへだてて、心のうちは苦しい・・、赤く塗った小舟でもあればナア~・・、川を渡って、腕を交わして、幾夜も寝ていたい・・ものだ。秋を待たなくても・・)  

 風雲は二つの岸に通えども我が愛し妻の言(こと)ぞ通わぬ(巻・8-1521)(訳・・風や雲は、川の両岸を自由に行き来するけども、我が愛する妻の便りは何一つ通ってこないョ~)

 上記は、山上憶良の「長歌」および「返歌」であります。 憶良はこの時、大宰府に単身赴任中であります。天の川伝説を素材に、自己のなげきを詠じてみせる・・、憶良ならでは、であります。 

  ーー噺がまとまらず、万葉人お得意のそれぞれの恋歌がらみと言うことで・・天の川、了ーーー