ソライロ支店はカプセルホテルを大きくしたような個室が共用部をぐるっと囲んで配置され、
中央にはミーティングテーブルがあった。
個室は全部で4つあるが、全員失踪したはずなので、今は私一人しか滞在していないはずである。
私はまるで映画のセットのように無機質な部屋のベッドに横たわった。
「とりあえず初日の今日はもう遅いし寝るしかないな
SF映画だと昔別れた妻や子供が出現したりするけど
あれはフィクションだし映画の中での空想話だ」
部屋の照明を消すと、月が出ているのか窓からの光だけでも充分な明るさだった。
潮騒の一定したリズムがすぐに八田四郎を眠りへと導いた。
ローカル列車の揺れで疲れた四郎の脳みそは過去の思い出を夢として蘇らせていた。
蒸し暑い夏の日だった。
おばあちゃんの家の裏庭でトノサマバッタを捕まえた僕は
右手で逃げぬようバッタの腹をつかみ、左手にガリガリ君ソーダ味を持っていた。
夏の太陽で溶けたアイスの雫はポタリポタリ、まるでヘンゼルとグレーテルが道しるべに落とすパンくずのように
僕の歩いた軌跡を乾いたアスファルトの上に点々と記録していった。
「おーい四郎君」向かい側の竹やぶの前で同級生の押麦孝太郎が呼んでいた。
「俺、カマキリ捕まえたぜ、おまえのトノサマバッタとケンカさせようや」
「いいけど、カマキリのほうが強いだろ」僕はしかたなく同意した。
道路に置かれたカマキリとバッタは見合ったままどちらも固まったように動かなかった。
アイスの水がカマキリに落ちたその瞬間だった。
カマキリの身体からものすごい勢いで黒い糸のようなものが出てきて僕らに向かってきた。
「うわーーーーー」僕と押麦孝太郎は二人とも半分腰を抜かしながら後すざりした。
カマキリから出た黒い生物は僕らをグルグル巻きにして、ついにはおばあちゃんの家も巻き込み、
村ごと真っ黒に包み込んでしまった。
「うわーーーーーーーーーーー」
「はあ、はあ、はあ、はあ」
汗をびっしょりかきながら私は目が覚めた。
「ゆ、夢だったのか、えらくリアルな夢だった
疲れて脱水症状になってるのかな」
私は水を飲むためにバスルームに向かった。
その時だった。
「とんとんとん」
外からドアをノックする音がしたのだ。
・・・続く・・・
中央にはミーティングテーブルがあった。
個室は全部で4つあるが、全員失踪したはずなので、今は私一人しか滞在していないはずである。
私はまるで映画のセットのように無機質な部屋のベッドに横たわった。
「とりあえず初日の今日はもう遅いし寝るしかないな
SF映画だと昔別れた妻や子供が出現したりするけど
あれはフィクションだし映画の中での空想話だ」
部屋の照明を消すと、月が出ているのか窓からの光だけでも充分な明るさだった。
潮騒の一定したリズムがすぐに八田四郎を眠りへと導いた。
ローカル列車の揺れで疲れた四郎の脳みそは過去の思い出を夢として蘇らせていた。
蒸し暑い夏の日だった。
おばあちゃんの家の裏庭でトノサマバッタを捕まえた僕は
右手で逃げぬようバッタの腹をつかみ、左手にガリガリ君ソーダ味を持っていた。
夏の太陽で溶けたアイスの雫はポタリポタリ、まるでヘンゼルとグレーテルが道しるべに落とすパンくずのように
僕の歩いた軌跡を乾いたアスファルトの上に点々と記録していった。
「おーい四郎君」向かい側の竹やぶの前で同級生の押麦孝太郎が呼んでいた。
「俺、カマキリ捕まえたぜ、おまえのトノサマバッタとケンカさせようや」
「いいけど、カマキリのほうが強いだろ」僕はしかたなく同意した。
道路に置かれたカマキリとバッタは見合ったままどちらも固まったように動かなかった。
アイスの水がカマキリに落ちたその瞬間だった。
カマキリの身体からものすごい勢いで黒い糸のようなものが出てきて僕らに向かってきた。
「うわーーーーー」僕と押麦孝太郎は二人とも半分腰を抜かしながら後すざりした。
カマキリから出た黒い生物は僕らをグルグル巻きにして、ついにはおばあちゃんの家も巻き込み、
村ごと真っ黒に包み込んでしまった。
「うわーーーーーーーーーーー」
「はあ、はあ、はあ、はあ」
汗をびっしょりかきながら私は目が覚めた。
「ゆ、夢だったのか、えらくリアルな夢だった
疲れて脱水症状になってるのかな」
私は水を飲むためにバスルームに向かった。
その時だった。
「とんとんとん」
外からドアをノックする音がしたのだ。
・・・続く・・・
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