河童アオミドロの断捨離世界図鑑

河童アオミドロの格安貧困魂救済ブログ。

世界の裏側で天使と会話する

2010年06月09日 | イギリス・アイルランド
「部長、僕は昨日、世界の裏側を見てしまったんです!」

「君はまた、目黒川まで行ったのかね」

「会社の裏側じゃありませんよ、世界です、この世界です」

「なんだ、ブラジルか、あそこは去年出張で行ったよ」


土手で、天使と二人で花火大会を見ていたんだ

「ひゅー、どかんって、花火って一瞬なんだねえ」

って僕が言ったら、天使は

「あれは一瞬じゃない、打ちあがって開いて消えるまで80年はかかっているよ
朝顔の花が咲くのをビデオで撮ったとしよう
早送りで見れば5秒で花が開いてしぼむだろう
それと同じさ」

と答えた

「なるほど、僕らには一瞬でも、花火自身は80年の時間が経過しているんだね
一瞬でもきれいだねえ
でもなんとなく切ないのはなんでかなあ」

「そりゃ、あの花火一つ一つが実はあんたら人間の一生だからだよ
花火大会ってのはね
年に1回、みんなの人生を早送りで再生してんだよ」

「そうだったのか!それで、みんな空を見上げて
一瞬だけ、きれいで、なつかしくて、切なくなるのか」

「そうさ、今年も天国から1000人分の人生を見せてやるよ
また、夏にここの土手に見に来いよな」

横を見たら、もう天使は消えていた

僕は天使と何秒間話していたのだろう

気がつくと目黒川はすっかり闇に溶け

鼻の奥に感じる煙のにおいに

僕はかすかなデジャヴを感じていた

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