宇宙からの帰還

「八田さん、そろそろ地球に戻られたらどうですか
宇宙の果てとか、世界の果てとか、そんなものは無いですよ
あんたが見てきたもの、聞いてきたものが、あんたの世界のすべてなんだから
その外側も内側も無いんだよ」

「地球に帰るとすれば、また300年、ロケットに乗るんですよね
通路側の席は空いてますか
３人席の真ん中だけはいやなんですよ
パニック障害の傾向があるもんで」

「じゃ、精神安定剤、300年分出しときますから
朝夕２回、水で飲んでください
飲んだ時は、車の運転はだめですよ」

「くれぐれも言っときますけど
世の中、需要と供給ですから
いくら、価値があるアート作品を生み出したとしても
必要とされなければ、社会的な価値は無いんですよ
ちょっとは中国の外交を見習いなさいよ」