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文京区春日にある伝通院の近くに『澤蔵司稲荷』がある。伝通院は徳川家康の生母於大の方の追善のために、1620年に建立された徳川家の菩提寺である。その伝通院の極大和尚の夢枕に現れた僧侶が現れることを予言、夢のとおりに修行僧が浄土教を学びたいと現実に現れ、寺で学ぶことを許したが、彼こそが澤蔵司(たくぞうす)である。
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(伝通院)
澤蔵司は優秀で3年余りで浄土教の奥義を全て習得、その立ち振る舞いからも周囲に尊ばれていた。1620年5月に再び伝通院住職の廓山上人と極大和尚の夢枕に立ち、『余は太田道灌が江戸城に勧進した稲荷大明神であり、皆により浄土教を習得することができた。余は再び稲荷大明神になり戻るが、今後は当山を護る。ここに1社を建立し、稲荷大明神を祀るべし』と言い、暁の雲に隠れた、という縁起が残されている。
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作られたのが澤蔵司(たくぞうす)稲荷なのだが、別の由来では寝ている時に狐の尻尾が出ていたのをみつかり、姿を消したとも言われている。
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このお寺、そもそも変わっていて正面から入ると石柱が2本、これを金属製の棒で繋いだ形になっていてまるで鳥居のように見える。さらに入っていくと本堂にも朱色の鳥居、神仏習合の跡が見受けられる。
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秘仏として澤蔵司尊像、十一面観世音菩薩像が祀られており、前者は4月の例大祭で、後者も開創400年祭で開帳された。
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また、境内には霊狐が棲む霊窟『おあな』さまがある。霊場らしい雰囲気を醸し出している。
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伝通院から澤蔵司稲荷の途中、道の真ん中に生えているムクノキは御神木として信仰を今も集めている。この木を避けるように道が造られたのである。
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もう一つ忘れてならないのが、澤蔵司尊者は門前にある蕎麦屋の蕎麦を好み、よく食べに通ったという言い伝えがある。狐だったらしく支払うお金に葉っぱが混じっていたとも。その蕎麦屋が今も伝通院前交差点のところで蕎麦を商っており、今でも初釜でお供えする朱塗りの箱に入った箱そばを普段から我々も食べることができるのである。もちろん、私もその蕎麦を食べに行くのである。(因みに寺のHPから『稲荷蕎麦萬盛』のHPにリンクが貼ってあるのも珍しい)
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大して広くない境内を歩き、のんびりしていると境内の前に黒猫が1匹。人が来ても我関せず、寝たり、起き上がったり。この猫もこの寺は自分の土地と思っている模様、まさに都会の一等地に残されたオアシスである。
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