『東京の坂・江戸の坂』その83。今回は渋谷周辺の坂を巡る。渋谷駅周辺は周りから見て高度が低く、谷のようになっており、坂の多い地区である。
まずはその代表格である道玄坂を目指す。道玄坂は渋谷駅ハチ公口を出て、109に向かう。この辺りが坂の下にあたり、そのまま真っ直ぐに行くと旧大山街道となるが、この坂を指す。道玄坂の由来は道玄庵という庵があったことに由来する。(和田義盛の末裔大和田太郎道玄がこの坂に出没して山賊野党の如く振る舞ったという伝説ではないようである。)
大山街道は流行った大山詣で賑わったものだが、現在の松見坂あたりまでを当時は道玄坂と呼んでいた。江戸中期からは現在の坂を指すようになったようだ。
道玄坂には両側に街路樹が植えられ、雰囲気がある。坂の途中から右に百軒店(ひゃっけんだな)入口があり、昔から繁華街であった。
坂の途中には道玄坂の碑として与謝野晶子の歌碑や樋口清之の『渋谷道玄坂』など3つが並んでいる。
一旦、109まで戻り、センター街を横切り、その先の井の頭通りから公園通りに向かうLoftの前の坂道が間坂(まさか)である。
これは1989年に一般公募により付けられた名前で『ビルとビルの間』『渋谷駅と公園通りの間』『まさかという語呂のよさ』などがその理由らしい。ただ、近くの桜丘に字が同じで『あいださか』という坂があるからややこしい。因みにLoftの1階には間坂スタジオがある。
少し戻り、井の頭通りを行くと右にスペイン通りとなるが、この坂が『スペイン坂』である。この坂の名前も1975年と新しく、地元の喫茶店店主内田裕夫氏がスペインにあこがれて付けたもの。
その後、周辺の店もこれに合わせたため、スペイン通りと呼ばれている。
坂は途中で階段となり、2016年8月までは坂の上にあったパルコpart1の中にFM東京のスペイン坂スタジオがあったが、パルコpart1の建て替えに伴い閉鎖されてしまった。(以下、次回)