23日はもう彼岸の中日、あれだけ暑かったのにちゃんと涼しくなるのが日本らしくて素晴らしい。
そんな秋の彼岸にはいつも鮮やかなそして少し怪しい美しさが溢れるのは彼岸花、別名曼珠沙華。かなり古い歌で長崎物語というのがあるが、その歌い出しで『赤い花なら曼珠沙華~』というのをなぜか思い出す。家の近所でも数日前から花が咲き出している。
この花は特に球根にアルカロイド系の強い毒性があることでも知られるが、その姿も変わっていて枝も葉も節もなく茎が地上に50センチくらい伸びてその先に花序が一つつき、5~7つの花が放射状に咲く。花も稀に白もあるが、血のような赤い色をしている。
では葉は、というと線のような細い葉が晩秋には出てくるが、これには気付く人も少ない。そのため春に球根を野蒜などと間違えて食べることもあったようである。その毒性に注目して墓地や田の畦などに植えて害獣がこないようにしたため、墓の周りに多いという印象があるのかもしれない。
別名の曼珠沙華は仏典に由来し、『天上の花』の意があるが、仏教のいう曼珠沙華は白くて柔らかな花であり、実態とはかなり異なる。彼岸花には死人花や地獄花といった別名もあり、この花が不吉なのか、めでたいのかかなりその評価は分かれるようだ。
しかし、ちょうど彼岸の時期に咲く此の花を見ると季節の変わり目を感じて少し寂しく、また美しさに魅せられるのは小生だけではないはずである。