釣り忍(つりしのぶ)
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仕事に疲れた心をふたつ
持ち寄って
民宿の縁側で夜空を眺めた
忍草の葉影から
月の光が降りてくる
戦士たちの
傷や痛みを 癒すように
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忍草は
シダ植物で 樹木や岩に生えます
葉の付いた忍草の根茎を
井桁や舟形の枠にからませ
軒下や出窓、庭木の枝に
吊って涼を呼んだのが
「釣り忍」です
「軒忍」「吊り忍」などとも言います
道を通る人まで涼味を感じさせてくれる
粋な飾りですね
水をかけると
忍草の繊細な葉がみずみずしく映え
いっそう涼しさを感じます
下に風鈴をつけたものが最近は多く
目からも耳からも
上手に涼を感じ取っていた
昔の人の消夏法には感心するばかりです
これからの夏の暑さにはますます涼しさを感じさせてくれそうです
風鈴と共に夏の風物詩・・・
日本のよさですね
長屋があった頃は・・このつり忍もよく見かけたけれど・
今は・・花屋さんか雑貨屋さんに~
飾られていることのほうがよく見かけます(笑)・
風情があると思う人も少なくなったし・・
外国の人のほうが喜びますね
これもやがて・・消えてゆくかもね。