異常気象の所為なのかどうか、雷に打たれて亡くなった方がいらっしゃるそうだ。とても残念なことである。
僕もかなり昔、浦臼山から隈根尻の縦走路の途中で、青空が瞬く間に雲に覆われ、雷に遭遇したことがある。低山帯であるものの、真冬の気象条件の厳しさから高木はほとんどなかったし、幅の狭い登山道から藪のなかに降りて、雷が去っていくのを身体を伏せながら待っているほかなかったことを思い出す。
今でこそ、木の下は特に危なく、その高さの3倍の距離は離れないと安全ではない、と知ったのは後々のことである。
本州の高山帯も雷が驚くべきスピードで近づき、人は危険に晒されると聴いている。山の事故のなかでも、落雷による感電死も少なくはないようだ。
事故といえば、僕と同じ志をもっていた先輩が、あの美しき日高のヌビナイの沢で亡くなっている。渡渉している仲間の女性が足を滑らせ、そのまま滝に落ちていくのをザイルで止めようとしたのだが、対岸の仲間とともに滝に落ち亡くなっている。
近くは、忘れはしないカミホロの雪崩により、仲間の山岳会4人が埋まり、そのまま亡くなっている。
ヌビナイの沢の現場、そしてカミホロ・・・慰霊のときを持ちたいと思う。自分が今こうして生きていること、そこには何らかのミッションがあるとすれば、それを果たす義務があるだろう。