城郭 長谷川博美 基本記録

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越中上百山砦の幾何学縄張の考察

2021-10-06 02:49:59 | 規矩術、ビイスタ工法、城郭平面幾何学、
◆越中 上百山砦の幾何学縄張の考察
城郭ビイスタ論 上文字クリック

◆長谷川
 城郭ビイスタ論として安土城の大手方面から
トリプルビイスタ「三重放射状測量点」が存在
すると述べても社会の人々は一笑に付され相手
にされない事が多い。でも城郭ビイスタ論動画
は地味ながら堅調に動画視聴者数が増えている
ようで改めて慎み深く感謝を申し上げます。



そもそも当時の戦国城郭には四角形グリッド碁盤目測量
よりも近代測量方法と同じ測量器具による放射状測量法
が用いられていたと私は思います。
▼図版佐伯哲也先生 赤青緑 測量推定腺 長谷川挿入


◆越中 上百山砦の幾何学縄張の考察
▼参考文献 佐伯哲也先生  中世城郭図面集Ⅱより
◆質問者
越中上百山砦の縄張は優れいるのでしょうか?

◆長谷川
佐伯哲也先生の図面は私も一枚を一時間費やして
見て、十二分に唸らせる非常に優れた計測図面と
思います。中世城郭遺跡対し真摯に真面目に取組
んでおられるその姿勢は尊敬すべき城郭研究家で
あると私は常々思っております。では今回の投稿
は尊敬する佐伯先生の図面をお借りしまして砦の
縄張を考察してみたいと思います。佐伯先生の図
から多くの貴重な事案を学ぶ事が可能ですが今回
は城郭の形状、城郭の構図を決定する、中世測量
起点を如何に読み取れるのか、佐伯先生の図版か
ら学ぶ事に致しましょう。

◆対談者
砦を見学に行くには様々な傾向があると思います。

① 石垣の部分だけ撮影される人
② 土塁部分だけを注目される人
③ 堀切横堀丁寧な見学を好む人
⑤ 切岸や段築を好み見学する人
⑥ 土塁の横矢を丁寧確認する人
⑦ 櫓台や建物基壇を見学する人
⑧ 犬走を着実に歩き見学する人
⑨ 城址の表面土器遺物採集の人
⑩ 虎口導入経路を丁寧に見る人

◆長谷川
はっきり言って城郭見学視点は10人十色と言えます。
10人いらっしゃつたら10人の観察視点や観点は異な
ると思います。ある城を10人の研究家に解説文を書
かせたら10人十色の観点があるので城郭遺跡評価と
は一概に統一不可能な多様性と観点の個人差があり
ます。私が当該ブログで述べさせていただいている
城郭ビイスタ論、城郭幾何学論は御覧の様に①~⑩
には全く含まれていません。と言う事は城郭研究家
が100年、この方、城郭研究視点、城郭研究視点の
立脚していなかった事にもなります。さて佐伯先生
の秀逸な越中上百山砦図面が非常に優れていて城郭
を放射状に縄張した様子が、手に取る様に解る事は
一重に佐伯先生の実直な調査姿勢にある私は尊敬を
しております。
▼先ずA曲輪はAポイントからの見事な放射測量線
が読み取れて圧倒されます。A曲輪の中軸が櫓台で
ある事も読み取れます。と同時にこの砦の縄張施工
した城郭普請職人「黒鍬」や城郭守備武将の武人と
しての優れた資質が偲ばれます。
▼上百山砦、北と南からの放射線幾何学線の観察

◆長谷川
次に羽柴秀吉の鳥取城攻めの時の陣城でもある
太閤ケ平城でも述べましてが放射線測量は一箇
所単独ではなく複数から測量していると言う事。
今後城郭を見学し勉強して行きたい人は先程の
対談人さんの①~⑩のみに捉われる事なく柔軟
な視点と思考を持ち城郭遺跡を見学しましよう。
▼二方向から測量された城郭ビイスタ論概念図


◆長谷川
更に上百山砦の放射線幾何学を検討致します。
Bポイントにも放射状測量起点があるようです。驚くべき
事にDの雛壇状小曲輪群縄張りもBポイントからされてB
曲輪も含めて縄張しているようです。Cポイントから縄張
されていると思います。その他様々測量起点が読み取れる。

◆質問者
長谷川先生の城郭ビイスタ論、放射状測量方法
は長谷川さんの特異な性格による偏向したモノ
では有りませんか?

◆長谷川
いいえ日本に元来存在した伝統的なトラデショナル
な築城技巧が長く平和が江戸期に続き放射線測量や
幾何学に相当する「規矩術」を応用した築城手法が
忘れ去れてしまった為と私は考えています。幕末の
長州の学者、吉田松陰は「規矩術」について以下の
如く言及しております。




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