皆さんは、音楽のアルバムと言えば、CDが当たり前でしょうが、
1983年ごろまでは、LP版というレコードと
それを再生するレコードプレイヤーでした。
■回転させる仕組み:
私の初期のオーディオの音源は、当然、レコードでした。
オープンリールのテープも、カセット・テープも無い時代です。
レコードプレイヤーは、モーターを回転させて、ターンテーブルを回します。
当初は、モーターとレコードを回すところを、ベルトを使って回す方式が一般的でした。
ところが、ベルトは、経年劣化で、伸びてしますので、回転数が一定でなくなってくる欠陥がありました。
それを改善する目的で、1970年代と思いますが、DDドライブモーターで回転するものがでました。
DDとは、ダイレクト・ドライブで、ターンテーブルに直接モーターがあり、正確な回転を実現させるものです。
ベルトのような伸びる心配がなくなったのです。
それでも、当時は、回転盤の外側にモザイク模様があり、交流電気の特性(光がオンオフする原理)を活かし、回転模様が止まって見えれば、正確に回転していることが分かる仕組みまで、取り込んでおりました。
■レコードを傷つけないための仕組み:
当初は、手で、レコード盤に針を下ろしてレコードをかける作業をするのですが、
必ず、誰でも経験する、失敗がありました。
それは、どう言う訳か、一番好きな、お気に入りのアルバムに限って、レコード盤に針で傷を付けてしまうことです。
レコード針と言えば、その先端は、ダイヤモンドが使われていました。
レコードの溝に傷が付いた場合、その傷が付いたところで、ブツ、ブツと、馴染みの雑音がでてしまいます。
ある時から、そんな事故を起こさないため(傷を付けないため)、レコード針を機械で下ろす装置までできました。
写真は、その部分を写したものです。
手前に、湾曲した黒いものがその装置です。
下げる操作をすると、自然にゆっくり針を下ろし、
上げる操作をすると、機械がゆっくりと針を上げます。
上がりきったら、その後は、手でアームの定位置まで戻したり、、または、自動で定位置まで戻ったりします。
間違って落としても、レコード盤には、傷が付かない仕組みでした。
■レコードの溝を削り過ぎないように:
レコードには、溝があり、それをレコード針がなぞると、音がでる仕組みです。
学研で、この原理を体験できる模型があります。
→ http://otonanokagaku.net/products/invent/berliner/detail.html
何度も聞く(「針を落とす」と言っていました)と、針がついているヘッド部分の重みでも溝が擦れてへってきます。
そのため、ヘッドの重みの負担を軽減させるため、バランスをとる装置がありました。
写真では、後ろの方の丸いところの数字が、そのバランスをとる「おもり」の重さを表示する数字です。
アームをフリーな状態にして、バランス状態を把握しておりました。
どうしてそんなことをするかと言うと、ヘッド部分は、交換できるようになっており、そのヘッドの構造で重さも違っているからです。
■レコードの溝に負担を掛けない仕組み
アンチ・スケーティングという装置です。針がレコード盤上を滑らないように、アームにすこし力をかける装置です。
一寸の振動で、レコードの溝から針が飛び出し、レコード盤の上をスケートするようになりことがあります。そのため、内側に行く力を少なくするための装置です。
懐かしいなぁ。
どの装置も、レコードの音源を守り(傷をつけない)、忠実に音(レコーディングしたスタジオと同じ環境)を再現したいための技術でした。
しかし、レコードというアナログから、CDというデジタルに変わって、
この世界は、一変しました。
■音:
CDが出た時の衝撃は、次のような感じでした。
今までのレコード(ステレオ)では、この楽器は、だいたい、左側の一寸手前あたりで弾いている感じかなぁ。
から
CDでは、左手のその場所で弾いている感じに変わりました。
アンプとスピーカーも変えないで、CDプレイヤーに変えた時に聴いた時の音の印象です。
凄いカルチャー・ショックを感じました。
でも、それは、今からわずか20年位前の出来事です。
でも、十年一昔(ひとむかし)、と言うから、二昔(ふたむかし)の話か・・・・・・