◎今日の一枚 236◎
Kenny Wheeler
Gnu High
転退職の3月である。このところ、週に1~2度の頻度で諸々のセクションの送別会があり、身体がかなり疲れているのがわかる。休肝日をもうければよいと多くの人はいうけれど、それがなかなか難しい。煙草をやめるのは意外とスムーズにいったのだが、酒はそんなに簡単ではないようだ。煙草は以前一日に60本も吸う自称ヘビースモーカーたったのだが、十数年前に子どもが生まれたことをきっかけにきっばり(?)やめた。酒は、「休肝日をもうける」ということがなかなか難しい。いっそ、きっぱりやめればやめれるのかも知れないと思うのだが、酒は人生なり、みたいな変な自意識、酒を飲んでいる自分自身を見ていたいというある意味ナルシステックな自意識がじゃまをして、どうもうまくいかない。できないのは、私自身の《弱さ》なのだろう。そう考えながらも、その《弱さ》が人間的で好きだ、などというメタレベルの自意識がまたそれらを邪魔してしまう。まったく、自意識とはやっかいなものである。滑稽かな我が人生、である。
さわやかな朝のためにECMサウンドを、 と思い取り出してみた1枚である。 カナダ生まれだがイギリスを拠点に活動するトランペッター、ケニー・ホイーラーの1975年録音作品『ヌー・ハイ』だ。キース・ジャレット(p)、デイプ・ホランド(b)、ジャック・ディジョネット(ds)という強力なバックに支えられた、ケニー・ホイーラーの伸びやかで澄み切ったフリューゲルホーンの美しい響きが心地よい。音色は美しいが、演奏はインプロビゼーション主体のイマジネイティブなものである。本当はいやいや参加したともいわれるキース・ジャレットだが、緊張感のある創造的なアドリブ演奏を展開している。ピアノの響き/音色も大変美しく、瑞々しい音の粒たちが指先から滴り落ちるようだ。キースファンの私などは、正直いってフリューゲルホーンなどそっちのけで、ただひたすらピアノの旋律を追っている始末である。② Smatter におけるキースは本当に素晴らしい。
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