ひのっき

あったかくてぐっすりでごはんがおいしくてよかったねうれしいねなんて小さなしあわせ探し雑記

篠田節子「天窓のある家」

2004年10月12日 | どくしょ。
篠田節子先生の短編集「天窓のある家」を読みました。
面白かったです。重く暗く鬱々と、情念と嫉妬、裏返った優越感と行き違った憤りが、ぶつかり混ざり合い反発しつつ轟々と竜巻のようにぶん回っており、まさに篠田節全開といった感じです。
特に「友と豆腐とベーゼンドルファー」「パラサイト」「天窓のある家」の3作は、パラノイヤ的につめつめにつめた女の怨念が最後に俯瞰しながらひっくり返る節子うっちゃりがさくりと決まり、心の中を紫色の座布団が飛び交います。
他の作品は実験的な要素も強く、?って人もいるかも。
個人的には「友と豆腐とベーゼンドルファー」が、優秀で良心的だが甲斐性のない男と、処理能力が高く現実的な自立志向の女の組み合わせの末路という、篠田節子先生の定番十八番を忠実に踏襲しており、好きですね。