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肥宝館 -貧すれば丼する-

【徳島 阿波加茂】 阿麺房「徳島ラーメン(800円)」

徳島県西部では貴重なオールラウンダー系

徳島県西部は祖谷そばや半田そうめん、うどんといった麺文化が根付く半面、いわゆる「徳島ラーメン」を提供する店は非常に少ない。尤も、徳島ラーメンが県東部の海沿いの町を中心に進化してきた事を考えれば、それも頷ける。今回は、そんな県西部、東みよし町にあるラーメン店「阿麺房(あめんぼう)」を訪問した。

店舗はJR徳島線・阿波加茂駅から北東方面に歩いて6分ほど。国道192号沿い、三加茂郵便局の斜向かいで1992年から営業している。ご主人の加藤公吉氏は北海道をバイクで一周しラーメンを食べ歩いた経験を活かし、店のキャッチコピー「あなたの"好き"がきっとある」を体現すべく、多様なメニューを提供している。

店内はテーブル席を中心に30席ほど。メニューには「必ず注文をとりに行きますので"ちょっとすいません"と言わずに静かにお待ちください」との注意書きが。壁にはご主人の趣味であるバイクの写真がズラリ。クセの強さを主張する。バイク文脈でツーリング途中に寄る客はいるだろうが、基本的には地元民向けの店という感じ。

麺メニューは中華そばを筆頭に、醤油、味噌、塩の3種のラーメン、徳島ラーメン、博多とんこつ、熊本とんこつ、担々麺、海老味噌ラーメン、牛もつ味噌らーめん、つけ麺、夏季限定の「ざるらーめん」、オリジナルの「徳島チャンポン」など多彩な品揃え。麺類にプラス350円でライス、サラダ、小鉢、お新香が付く定食セットもある。

また、カレーライス、チャーシュー丼、牛丼、鶏丼といった飯モノや、唐揚げ、餃子、焼売、おでんなども用意している。おでんは1本130円で、鍋からセルフで取って、会計時に串の本数を自己申告するという、徳島ではお馴染みのスタイルだ。今回は「徳島ラーメン(800円)」を注文し、大根と玉子のおでんも頂くことに。

ニンニク香る茶濁スープは豚骨ベースで、円みのある醤油のカエシを重ねている。甘すぎず、塩味も強すぎず。ちゃんと言っておくと、王道の徳島ラーメンとは違うので、観光の方はこれがスタンダードだと思わないよう。店の近所に住む知人が「あそこはラーメンもウドンも出汁がおんなじ」と笑っていたが、わかる気がする。

それほどにサラサラでスッキリした飲み口となっている。合わせる麺はしなやかな中細ストレート。柔らかい茹で上がりだが、ダレた感じが無いのが救い。肉類は徳島ラーメン王道の甘辛豚バラ肉と、ロース肉のチャーシューが1枚ずつ。どちらも、少々長く煮込み過ぎているようで、肉の旨味が抜けてしまっているのが残念だ。

ほか、黄身がトロリとした味玉、もやし、海苔、ネギ、メンマが乗る。一方の「おでん」は、薄めの出汁ながら玉子も大根もよく染みている。鍋横にある味噌は蜂蜜入りなのか相当甘く、これがクセになる味わい。ラーメン店はおろか、飲食店自体が多くない土地柄、こういう店があるのは楽しいだろうなぁ。

<店舗データ>

【店名】 阿麺房(あめんぼう)
【住所】 徳島県三好郡東みよし町加茂1789-3
【最寄】 JR徳島線「阿波加茂駅」徒歩6分

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