Memorandums

知覚・認知心理学の研究と教育をめぐる凡庸な日々の覚書

結果の記述 その方針と順序

2009-09-05 | Education for 院生以上
雑誌に投稿する論文をまとめる際、結果の部分には、「発見」と同時に査読者にわかりやすいstoryが必要(Salovey, 2000, p.125)である。Salovey (2000)や入戸野(2004)を参考に、結果の記述のポイントをまとめてみた。

(1) 結果の記述順序を、論文の他の部分と一致させる。
 たとえば、Introduction の仮説の部分や,MethodのDesignであげた要因の順序などと対応させると、わかりやすくなる。
(2) statistics-based(統計結果の羅列)ではなく、"tell a story"を心がける。
 検定の結果を羅列しては、その処理の目的は読み手に理解しづらい。読み手に仮説を想起させ(remind)ながら読ませる工夫が必要。処理の目的や仮説に言及してから、結果を記述する。
(3) 文章、記述統計、検定結果という順序が原則。
 ANOVAのような検定の前に、平均値などの記述統計が簡潔に述べられるべきである。さらにその前に、文章で結果の傾向が要約されるほうがわかりやすい。
(4) 検定結果などは表にまとめることも考慮する。
 ANOVAが複雑な場合などは、表にまとめることがAPA manualでも勧められている(Ver. 5, 訳書pp.138-141)。
(5) p値は無駄に小さな値まで書かない。
 p値が小さい方が効果量が大きいと誤解しているという印象を与える。

cf.
Salovey, P. (2000). Results that get results: Telling a good story. In R. J. Sternberg (Ed.), Guide to publishing in psychology journals. Cambridge, UK: Cambridge University Press. Pp. 121-132.
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