日記

日記

お盆四日目

2010年08月15日 | 徒然日記・日々の記録
今日もとなり、暑いとなりました。

終日ご本堂にてお盆施餓鬼法要のお勤め。

お盆四日目。日曜日。お参り、法要共に多くなりました。未知の領域に突入であり、疲れは既に限界値を遙かに上回り、いまだかつてないところへと向かおうとしております・・あと一日、何とか乗り切りたいと存じます・・

仏旗


夕方から万灯供養。


平成二十二年度・お盆に関する重要なお知らせ
~お盆施餓鬼法要・期間延長・混雑緩和のお願い~
http://oujyouin.com/segaki.htm

今年のお盆施餓鬼法要の法話は、ツォンカパ論師「縁起賛」についての邦訳全文を基にして、「縁起」について少し解説させて頂こうと存じております。短い時間内のため、あまり詳しいことまで述べることはできませんが、とにかく概要だけでもお伝えさせて頂くことができましたらと考えております。

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教理の考察「蟻の瓶と象の瓶」(齋藤保高氏)・感想3

「あらゆるモノ・コトは、有るというわけではない。かといって、無いというわけでもない。」・・この「中道」という絶妙のバランスをいかにして理解し、保てるかどうかが、非常に難解なるところとなります。

普通の世間一般・世俗世界で暮らしていく中においては、この「中道」を理解するのは、全く容易なことではありません。とにかく私たちはモノ・コトを実体視し、常にモノ・コトにおける「有る」と「無い」についてとらわれてしまっているからであります。

私たちは、生来、いや、遙か遠い昔の過去世より、モノ・コトにおいては、「実体がある、自性がある、自相がある」としてのバイアスがかなりきつくかかってしまっています。

このバイアスのきつい度合いが、執着の度合いであり、また、煩悩の度合いとも言えるものであります。

この迷い苦しみを輪廻する原因であるバイアスを解き放つためには、やはり「深遠なる縁起の理法」の理解が誠に重要となります。

それは簡単に述べますと、あらゆる一切のモノ・コトにおいては、「実体がない、自性がない、自相がない」ということの理解となりますが、常日頃に私たちがとらわれて執着して頼りにし、求めているものにおいて、それらは何らとしてとらえて執着することもできず、頼りにもならず、求められないと、少しでも知ってしまった時、まず人は、相当の不安と恐怖、悲観、虚無感に覆われてしまい、絶望に近い感情を抱いてしまうことでしょう。これは人間ならば誰しもが思うことではないかと思います。

問題は、そこで嫌悪感、不快感を持ち、それ以上先に理解が進まなくなってしまうことであります。あまりに強いバイアスがかかってしまっているとなおさらに難しくなってしまいます。

あらゆる一切のモノ・コトにおいては、「実体がない、自性がない、自相がない」ということは、決して悲観・虚無・絶望的なものではなく、むしろ逆に、そのことによってこそ、私たちの世俗世界の一切全てが成り立っているものであるとして「深遠なる縁起の理法」を理解していくことが大切なこととなります。

もちろん、この難しさについて、教理の考察「蟻の瓶と象の瓶」(齋藤保高氏)におきまして、齋藤氏は、「世俗の自相の否定と縁起の第三層を本当に理解するのは、非常に難しいこと」と述べておられるわけであります。

『中観帰謬論証派の見解では、世俗の次元でも自相を否定して、常辺を完全に排除します。その一方、世間極成を一応の拠りどころとして縁起の第三層を認め、断辺を完全に排除します。常辺の壁と断辺の崖のはざまに、微妙なバランスで「中道」が確保され、まさにそこだけに「世俗有」という現実の存在感を設定し得るのです。慈悲の対象である一切衆生も、帰依の対象である三宝も、私たちの大切なものは全て、中道の均衡状態に於て世俗有として成立しています。』

「私たちの大切なものは全て、中道の均衡状態に於て世俗有として成立しています。」・・誠に非常に重要なるところでございます。

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教理の考察「蟻の瓶と象の瓶」(齋藤保高氏)・感想2

さて、「蟻の瓶と象の瓶」の論説の中で、三種の縁起についての説明がございます。

簡単に氏の論説を参照させて頂きますと、

第一層の縁起が、「原因と結果の依存関係」という縁起として、
第二層の縁起が、「部分と全体の依存関係」という縁起として、
第三層の縁起が、「分別によって仮説する」という縁起として、

扱われて説明なされておられます。

この三種の縁起を私の拙い未熟ながらの施本「仏教・縁起の理解から学ぶ」と僭越ながらも照らし合わさせて頂きますと、

第一層の縁起については、「第三章 時間的縁起・空間的縁起について」における「時間的先後の因果関係」の縁起として、

第二層の縁起については、「第三章 時間的縁起・空間的縁起について」における「空間的成立の因果関係」の縁起として、

そして、第三層の縁起については、「第四章 論理的縁起について」における「論理的、相互依存・相互限定・相互相関・相資相依の関係」の縁起として、

もちろん、厳密には、もう少し補足補完が今は必要であるかと反省しておりますが、一応説明させて頂くことができるのではないかと存じております。

三種の縁起の理解は、誠に仏教を学ぶ者にとっては、重大事であり、しっかりと進めていかなければならないと考えております。

何とか補足補完が必要なところをしっかりとまとめて、早期に施本第六弾目に取り組んで参りたいと思っております。

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教理の考察「蟻の瓶と象の瓶」(齋藤保高氏)・感想1

齋藤保高氏の教理の考察「蟻の瓶と象の瓶」をご紹介させて頂きましたが、誠に中観自立論証派と中観帰謬論証派の見解の重要な相違点を扱っておられまして、改めまして氏の見識の高さにご敬服申し上げる次第でございます。非常に解りやすくしかも簡潔にご解説して下さっておりまして、本当に参考となります。

龍樹論師以降の中観思想学派の展開において、最も懸念されることとなった大きな課題の一つが、「虚無論」への落ち入りをどのようにして防ぐかということであります。「世俗の次元でも自相を否定する」ということの理解と合わせて「深遠なる縁起の理法」を理解するということは、誠に難解至極なる絶妙なバランス(中道)の上においてこそ成り立つというものとなります。この点において教理の考察「蟻の瓶と象の瓶」の内容は、重要な視座をお示しになられており、是非共にご参考頂ければと存じております。

また、更に中観自立論証派と中観帰謬論証派の見解の重要な相違点の理解を補完していく上で考察していかなければならないのが、仏教認識論理学でありまして、特に仏教認識論理学最高峰であるダルマキールティ論師の思想になるかと考えております。とにかく一つ一つでございます。

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さて、少し仏教・中観思想の考究はペースダウンしてしまってはおりますが、以前に中観自立論証派と中観帰謬論証派の見解の相違点について解説されている齋藤保高氏のコラム・教理の考察「誰も知らない火事」をご紹介させて頂きました。引き続きまして、齋藤氏が、教理の考察「蟻の瓶と象の瓶」をご発表なされましたので、ご紹介させて頂きます。非常に中観帰謬論証派の見解を学ぶ上で重要な内容が扱われておりますので、是非、皆様もご参照下さいましたらと存じております。

チベット仏教ゲルク派 宗学研究所
http://rdor-sems.jp/
ポタラ・カレッジ 齋藤保高氏の個人サイト

「蟻の瓶と象の瓶」齋藤保高氏
http://rdor-sems.jp/index.php?%E8%9F%BB%E3%81%AE%E7%93%B6%E3%81%A8%E8%B1%A1%E3%81%AE%E7%93%B6

ツォンカパ論師「縁起賛」について
http://blog.livedoor.jp/hidetoshi1/archives/51729905.html

「苦楽中道説について」
http://blog.livedoor.jp/hidetoshi1/archives/51739221.html

「苦楽中道説について」補足
http://blog.livedoor.jp/hidetoshi1/archives/51746333.html

中観帰謬論証派の学びのススメ
http://blog.livedoor.jp/hidetoshi1/archives/51597159.html

mixiコミュニティ「仏教・中観思想・空思想を学ぶ」
http://mixi.jp/view_community.pl?id=4629752

仏教・学びの進捗状況全般参照
http://blog.livedoor.jp/hidetoshi1/

集中的に再読していく論著集

「悟りへの階梯―チベット仏教の原典『菩提道次第論』」を読み進め中。

「チベット仏教哲学」松本史朗著・大蔵出版
「チャンドラキールティの中観思想」岸根敏幸著・大東出版社
「ツォンカパの中観思想―ことばによることばの否定」四津谷孝道著・大蔵出版
「ツォンカパ 中観哲学の研究1」
「ツォンカパ 中観哲学の研究2」
「ツォンカパ 中観哲学の研究3」
「ツォンカパ 中観哲学の研究4」
「ツォンカパ 中観哲学の研究5」
「般若経釈 現観荘厳論の研究」兵藤一夫著 文栄堂
「ダライ・ラマ 般若心経入門」ダライ・ラマ14世著、宮坂宥洪翻訳・春秋社
「ダライ・ラマの仏教哲学講義―苦しみから菩提へ」
 テンジンギャツォ著・TenzinGyatso原著・福田洋一翻訳・大東出版社
「チベット仏教成就者たちの聖典『道次第・解脱荘厳』解脱の宝飾」
 ガムポパ著・ツルティム・ケサン、藤仲 孝司共訳 UNIO
「心の迷妄を断つ智慧―チベット密教の真髄」
 チュギャム トゥルンパ著・宮坂宥洪訳
「チベット密教 修行の設計図」
 斎藤保高著・春秋社
「チベット密教 心の修行」
 ゲシェー・ソナム・ギャルツェン ゴンタ著、藤田省吾著 法蔵館
「チベット仏教 文殊菩薩(マンジュシュリ)の秘訣」
 ソナム・ギャルツェン・ゴンタ著 法蔵館
『ダライ・ラマの「中論」講義―第18・24・26章 』
 ダライラマ14世テンジンギャツォ著・マリアリンチェン翻訳 大蔵出版

施本シリーズ

施本「仏教・縁起の理解から学ぶ」
http://oujyouin.com/enginorikai.html
施本・「仏教・空の理解から学ぶ」
http://oujyouin.com/topengi.htm
施本「仏教・空の理解」
http://oujyouin.com/sunyatop.htm
施本「仏教 ~ 一枚の紙から考える ~」
http://oujyouin.com/buddhism1p.html
施本「佛の道」
http://oujyouin.com/hotokenomichi.html

これから更に仏教の学びを進めるための文献・第三弾

これから更に仏教の学びを進めるための文献・第二弾

これから更に仏教の学びを進めるための文献・第一弾