野菜に関する怪情報を探る

テレビや書籍、ホームページなどから、野菜に関する記載について疑問に感じたことを綴るつもりです。

ビタミンCは熱に弱いの迷信

2008-03-23 13:21:41 | Weblog
 表題は「活性酸素と野菜の力」前田浩著の章題をそのまま借用しました。この本の表紙があまりにかわいらしいので、いわゆるトンデモ本ではないかと購入したのですが、予想に反して、極めて科学的な良書です。ある野菜を食べるとガンにならないなど、売れている本にしばしば書かれてるような読者の心をつかむ表現は一切書かれておらず、(表題から期待された一般読者の期待は裏切りますが、)最前線で研究された方が本を書けばこういった調子になるのでしょう。
 ネットでも栄養学の本でも、「野菜は加熱するとビタミンCが分解するから生でたべましょう」としばしば書かれています。これに対して、著者は「加熱することではじめて細胞が破壊され、内容物が溶け出し利用しやくすくなる」とし、生体利用能(バイオアベイラビリティー)の重要性を述べています。確かに、食品成分表には、栄養素の量は書かれていますが、それがどの程度利用されやすい形なのかは書かれていません。植物に含まれる鉄よりも、肉中のヘム鉄の方が利用されやすいとはいわれますが、成分表には鉄の分析値が並んでいるだけです。生体利用能を考えた食べ方を唱える点では著者の述べられる通りだと思います。
 ビタミンCについては水溶性の高い成分ですので、加熱して細胞を破壊することで生体利用能が劇的に上がることはないように考えますが、フラボノイドやカロテノイドなど水溶性が低いものについては、加熱による細胞破壊により利用能が向上する可能性は高いのではないかと推測します。(あいにく文献等は持ち合わせておりません。)
 ビタミンCについては、添加食品があふれていると著者も述べておられます。確かにコップ一杯飲めば、一日の所要量とれてしまう飲料も市販されていますし、その他様々な加工食品に添加されています。例えば、お茶など500mlのペットボトル1本で、1日の所要量は摂れます。
 このように考えれば、ビタミンC云々というのは過去の話であって、調理に際してビタミンCの損失だけで判断せず、味や食感が最適になるように調理し、おいしく食べることが、ビタミンC以外の有用成分の摂取を促進し健康維持につながるのではないかと考えます。
 今回のタイトルと離れましたので、話題を元にもどしますが、例えばお茶は熱い湯でいれます。にもかかわらず、お茶の液の中のビタミンCは比較的安定に存在します。その要因について茶業研究報告56号(1982年)には、ポリフェノールなどが関与することが調べられています。著者の述べるように、ビタミンCは単独では熱に安定ではないのですが、食品中にはビタミンCを安定化するような成分も含まれているようです。  


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