野菜に関する怪情報を探る

テレビや書籍、ホームページなどから、野菜に関する記載について疑問に感じたことを綴るつもりです。

キュウリの栄養

2008-06-01 13:21:47 | Weblog
 相変わらずテレビ番組関係者から、キュウリのネタ探しの問いあわせが続いています。食品成分表を見ても、特段多い栄養成分はみられません。また、ネットや**事典のたぐいの本には、このブログで紹介しているように根拠のない話ばかりです。(例:イソクエルシトリン、ピラジン、ククルアスコルビン酸など)
 イソクエルシトリンなどを期待した「栄養は?」という問いには、「特にない」とお答えせざるをえません。先に書きましたように、「アスコルビナーゼ」についても、視聴者の益になる情報ではありません。
 やおら、「キュウリは食感が重要な野菜で・・・、皮の部分、肉の部分、種の部分、3種類の食感の異なる部位があり、しかも噛めば口の中でキュウリらしいニオイを発する、こんな野菜や料理・お菓子などありますか?」とまくしたてると、いつも聞く耳持たずと電話を切られています。
 ネットで検索していただければ「卑弥呼の歯がいいぜ」という言葉で代表されるように、咀嚼の重要性が強調されています。よく噛んで食べることの重要性は、多くの方が認識していると思います。特にキュウリやレタスなどの生野菜は食感が命であり、噛むことを楽しむために食べているはずです。キュウリは噛んで細胞が破壊されることによって、初めて独特の香り(スミレ葉アルデヒド)が発生し、この香りが鼻にぬけて、キュウリらしいおいしさ(フレーバー)を感じるわけです。噛むことの報酬としての「味」と「匂い」、まさにキュウリの醍醐味が感じられるものと思います。チューインガムを噛んでも「咀嚼」はできますが、あらかじめ添加された香料以外のニオイの発見はありません。キュウリは微妙な食感の変化と香りの発揚も楽しめ、飽きがこない、まさに噛むための野菜です。牛肉にしても、ネギにしても軟らかいのがおいしいとされますが、キュウリだけは「硬さ」にこだわった品種開発がなされています。
 マスコミでは、食品を扱う場合には「有効成分」中心に語られます。成分だけならジュースや錠剤でも摂取可能です。野菜を食べましょうという背景には、ジュースにして飲むのではなく、自分の歯を使ってよく噛みましょうという意味合いもあるはずです。わけのわからない化学物質名よりも、素直に食べる楽しみ、噛む喜びを、マスコミの方にはお伝えいただければと願うものです。