平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

何のための対独戦勝60周年記念式典?

2005年05月08日 | Weblog
5月9日にモスクワで「対独戦勝60周年記念式典」なる行事が開かれます。

いまアメリカのブッシュ大統領、中国の胡錦濤国家主席など、世界約50カ国の首脳が集まりつつあります。

この式典は何のための式典なのでしょう? ソ連がドイツに勝ったことを記念し、誇るための行事なのでしょうが、自分は勝ったぞ、強いんだぞ、と自慢し、国威を発揚するためであるのなら、何とも幼い20世紀的な発想です。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050508-00000321-jij-int
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「戦勝国」を内外にアピール=中国主席、ロシアに出発
 【北京8日時事】新華社電によると、中国の胡錦濤国家主席は8日、ロシアの対独戦勝60周年記念式典に出席するため、モスクワに向かった。
 中国共産党は7日、抗日戦争・反ファシスト戦争勝利60周年記念活動を積極的に進めるよう関係部局に通知。内外の記念活動を通じ、「戦勝国」の立場をアピールし、国際社会に「大国」としての地位を示す方針だ。 (時事通信) - 5月8日15時0分更新
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中国も幼いですね。真の「大国」として認めてもらいたければ、まず他国の外交施設や商業施設を破壊したことを、素直に謝罪することです。そういう礼節をわきまえれば、おのずと尊敬される国になります。「礼節」という言葉はたしか中国から来たはずですが。

現在の大国の政治指導者はみな、「ドラえもん」のジャイアンにも及ばない精神年齢のようです。

正しかったから勝ったわけではないし、間違っていたから負けたわけでもない。軍事力が強かったから勝ち、弱かったから負けただけです。勝敗と正邪は別問題です。しかし、戦争は「勝てば官軍」という論理によって、勝者が正当化されてしまいます。

ソ連はナチス・ドイツと同盟を結び、東欧を侵略しました。カチンの森ではポーランド人軍人を大量虐殺しました。戦後は東欧諸国を属国にしてしまいました。共産主義の重圧のもとで、どれほど多くの人々が呻吟したことか。スターリンの粛正はナチスのホロコーストと同じです。

ソ連は、日ソ中立条約を一方的に破り、昨日の投稿にもあるように、多くの民間人を虐殺し、日本人捕虜をシベリアへ拉致し殺しました。日本の固有の領土を奪って、返えそうともしない。そういう国が戦勝を誇るということは、自分の恥をさらし、宣伝していることである、ということに気がつかないおかしさ、愚かしさ。

世界各国に戦勝記念日は山ほどありますが、戦敗記念日というものは一つもありません。

戦勝国があれば、戦敗国がある。いつまでも戦勝を誇るということは、戦敗国を侮辱しているということになります。

その中にあって、わが日本だけは、敗戦の日である8月15日を「終戦記念日」としました。これを「敗戦記念日」としないのは、日本特有の言葉によるごまかしだ、という意見もありますが、私はそうは思いません。

敗戦は屈辱であり、恨みが残ります。その恨みは、いつかは仕返しし、今度は戦勝国になろうという思いにつながります。しかし、終戦とは、戦争が終わったことであり、そこには、自国を打ち破った敵を憎む思いは出てきません。そして、戦争全体を悲劇としてとらえ、二度と戦争を起こさないようにしよう、という発想につながります。

戦後日本は8月15日を終戦の日とし、戦死者を追悼し、世界平和を祈る日としました。これは、戦勝を誇る幼い国々にはとうてい理解のできない偉大な行ないなのです。

国民の精神的レベルが向上すれば、世界各国はいずれ戦勝を誇ることを恥じるようになるでしょう。