平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

ヤルタの過ち

2005年05月09日 | Weblog
ブッシュ大統領が、ヤルタ会談の合意は過ちだった、と述べました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050508-00000491-reu-int
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[リガ 7日 ロイター] ラトビアを訪問中のブッシュ米大統領は7日、リガ市内で講演し、ソ連が中東欧諸国を支配したことは「史上最大の過ちの一つ」との認識を示した。
 大統領は、第二次世界大戦末期の1945年、米英ソの3カ国首脳が欧州の戦後処理を決めたヤルタ合意で欧州が分割されたことに言及し、米国にも責任があると述べた。
 また、終戦から1991年までソ連に併合されていたバルト諸国への同情を表明。
 大統領は、ヤルタ合意当時、「小国の自由は犠牲となった」と振り返ったうえで、「安定のため自由を犠牲にしたこの試みは、欧州大陸を分断し、不安定にした。何百万人もの中東欧諸国の人々が捕らわれの身となったことは、史上最大の過ちの一つとして記憶されるだろう」と批判した。(ロイター) - 5月8日16時2分更新
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ヤルタ会談というのは、1945年2月にクリミヤ半島のヤルタで開かれた、ルーズベルト、スターリン、チャーチルの会談です。この会談で戦後の国際社会の大枠が決められたので、戦後の国際社会がヤルタ体制と呼ばれることがあります。

ただし戦後体制は、ヤルタだけですべてが決まったわけではなく、その後のサンフランシスコ会議(4月)、ポツダム会議(7月)によって決められました。その主な内容は――

(1)ドイツの分割統治
(2)戦勝国による国連の創設(the United Nationsとは「連合国」の意味)
(3)国連における大国の拒否権
(4)東欧をソ連の勢力圏と認める
(5)ソ連の対日参戦、北方領土のソ連への編入
(6)フランスなど旧植民宗主国の権益の承認

などです。

ブッシュ大統領がヤルタ合意を部分的にでも「過ち」だったと認めたのは、バルト3国の歓心を買い、「自由を広める」という戦略の一環なのでしょうが、画期的なことです。せっかく対独戦勝を記念しようと思っていたロシアにとっては、面白くない発言でしょう。

戦後60年が経過し、ヤルタ合意は善だった、という認識を根本から変えなければならない時期にさしかかっていることはたしかです。

60年というのは、東洋では還暦の年、物事をリセットしてやり直す年です。色々な面でリセットが起こりつつあるようです。