菜の花でひとつ忘れていました。昭和の初期に唱歌として歌われた高野辰之作詞、岡野貞一 作曲による「朧月夜」です。この他にも花、早春賦、茶摘み、夏は来ぬ、夏の想い出、我は海の子、里の秋、紅葉、赤とんぼ、冬景色、たき火など120曲が歌われていたとのこと。情感あふれるこれらの唱歌はきっと当時の子供の心を育みその成長に大きな影響をもたらしたでしょう。
今日でもNHKなどで時折聞くことができますが(由紀さおり&安田祥子)、そのたびにこんな唱歌こそ今の子供達に必要なのではと思ったりします。不釣り合いな大人言葉をしゃべるのではなく、イジメが蔓延する学校ではなく、豊かな情感を身につけ真っすぐ育っていく、そうなってこそ将来この国を正しく支える大きな力となっていくと考えます。それでは、朧月夜の歌詞を紹介します。思い出しながら歌ってみてください。知らない方は歌詞を読みながら心なごむ日本の原風景をイメージしてみてください。こんな時代があったのですよ。
朧月夜 作詞:高野辰之 岡野貞一:作曲
- 菜の花畠に、入日薄れ、
見わたす山の端(は)、霞ふかし。
春風そよふく、空を見れば、
夕月かかりて、にほひ淡し。- 里わの火影(ほかげ)も、森の色も、
田中の小路をたどる人も、
蛙(かはづ)のなくねも、かねの音も、
さながら霞める朧月夜。