Kanaheiのデンマーク生活

糖尿病の勉強をしたくてきたデンマークでの紆余曲折な生活を日記として残しています。

Mikael Simpson

2006年11月24日 | おもしろい人・おもしろいもの
 猫好きの方にはちょっとたまらない(かもしれない)、デンマーク人歌手のMikael Simpsonのビデオです。

Mikael Simpson video

 トップページから画面上の「MEDIA」をクリック、その次の画面で「Du dr?mmer om et andet sted 」をクリックしてください。

 彼のやる気のなさと、大人しくされるがままの猫がたまりません。

*まきちゃんへ
クリスチャニアのレストランで隣のテーブルにいた人は、実はこのMikael Simpsonです。

シラミパニック

2006年11月24日 | デンマーク暮らしの知識
 学校の昼休み、クラスメイトがそれぞれの子供について話していたのですが、それが昼食時にも関わらず「シラミ」について(この辺の無頓着さがナース)。

 今日の新聞にも載っていたのですが、なんとデンマークの子供の2人に1人は頭にシラミを持っていると(もしくは持っていた)。ひーーー!そういえばヘレさん家のクリストファーも前に、どっかからもらって来たようで、ローズマリーのシャンプー&シラミ取りコームで駆除していましたが…まさかそんなに多いとは。

 薬局などに行くと、このシラミ取りシャンプーというのがたくさんあり、イギリスの昆虫学(というのがあるのすら知らなかった)センターは「デンマークでは他のヨーロッパの国よりもこのシラミ駆除シャンプーが売れている」と。しかも「このシャンプーでは濯いだりして薄められることから、シラミを根絶させることは難しく、成分の化学物質によってアレルギー反応を引き起こしやすい」のだそうです。シラミを殺すためには最低30~40分は水に髪を浸しておかねばならないとのことですが、子供にそんなの無理ですね…。

 私もよくヤコブとじゃれあって遊んでおり、この前まで頭がかゆかったので、「うつったか?!」と心配だったのですが、トリートメントをちゃんとしたものに変えたら治ったので、どうやらシラミではなさそうです。ほ。

 しかしお子さんをお持ちの方は、子供が保育園や学校などの施設でシラミを貰って来るといことなので、どうか気をつけて!試しにチェックしてみると出てくるかもですよ~~~???

法律と倫理

2006年11月24日 | デンナースへの道
 先日の「医療に関する法律と倫理」の授業で、とても興味深い話があったのでちょっと。

 それは患者の自己決定に関してだったのですが、「自殺を決意した患者に対し、医療者はどうするべきか」ということです。

事例1:
入院患者Aさん、痴呆や精神障害などなし。夜勤で勤務中の看護師Bさんに対し、自殺を企てていることを密かに打ち明ける。

事例2:
入院患者Cさん、高齢でやや鬱傾向、痴呆等はなくクリア。ADL(日常生活動作レベル)は要介助で、食事は介助が必要。自殺を決意し、一切の飲食を拒否。家族が毎日面会に訪れ彼の好物など、手作りの料理を説得しつつ介助して食べさせている。

 まず事例1ですが、これに関し先生は「この国で自殺は違法ではありません。でもそれを妨害することは違法です。」と。自殺、自ら命を絶つということであっても、それが病院であろうがどこであろうが、その人の「決断」「選択」のひとつなので、患者を守ることを生業とする医者や看護師であっても、その人の決断は守らなければいけないのだそうです(ある意味で患者を守ると解釈されている?)。というと冷酷に見えますが、それは別に見捨てる、諦めるとはまた別の話で、患者の自己決定を守るためには様々な条件もあります(詳しくはまた以下で)。

 そして事例2ですが、これは私も前にちょっと働いた老人ホームでかなり似たような話を聞いたことがあるので、先生に聞いてみたら「実は老人が自殺を決意し、飲食を拒否するというケースは少なくない」とのことでした。
 日本の場合、お年寄りが食事を摂らなくなったら、どろどろのまずそうな食事を無理矢理口に突っ込んだり、ハイカロリー栄養ドリンクやら点滴、それでもダメならIVH(中心静脈栄養)までしちゃったり、ことごとくその人の自己決定とは裏腹のことをしていきます。そして「食べれない=治療意欲無し」で転院→転院先で身体機能が落ちる→脱水とかでまた入院→また望んでもない治療を施される→また転院、もしくはその場で亡くなる、という末路。
 決して自殺がいいとかそんなことではないのですが、自分の選択、決めたことが尊重されない、自分ではなく家族や誰かの意思の方が通るというのは、どうなんだろうなあ、と少し思ったり。日本は日本の文化があるし、individualなことでもあるので簡単に言い片付けられない問題ですが。

 話は戻ってこの事例の患者Cさんの家族についてですが、日本ではこれが「美しい家族愛」以外の何ものでもない、みたいに映りそうなところですが、デンマークではこれはともすれば「自己決定をした患者に対し、圧をかけている」とも取れない行動だとのこと。とは言え、さすがに医療者側としても家族側の気持ちを考えるとわからなくもないし、患者さんには自殺なんて考え直してほしいという気持ちもある、その辺での医療者の介入がとても難しいけど、しかし重要である、とも。
 結論、先生のアドヴァイスは「患者のとった自己決定に関する法律を説明するためにも、両者の気持ちを考えつつ、とにかく話し合い(ディスカッション)を持つべきだ」とのこと。患者のとった選択、決断が法律によって保護されているかどうか知ることは、その家族にとっても大切なのだそうです。

 しかしこの「患者の自己決定」がなされる上で最も大切なの要素とし、(自殺とかを問わず、治療の受け入れ、移植や死後や予後のことなどにおいて)いくつか法律で決められている柱がしっかり立っている上でのことかどうかです。

1、Competence(能力、力量)
 年齢(自己決定の法律が適用されるのは条件付きで15才から、18才で完全適用)、意識障害・痴呆・精神疾患がないか、体力
2、選択の自由
 これは親や家族、育った環境、宗教などによっても左右されるので、それらの”影響”以上の”圧”によらず自己決定がなされているか
3、Information
 適切で十分な情報を受けた上での主張であるか(必要とあらばセカンドオピニオンなども)
4、証明
 書面、口頭両方において得られるべき
5、Informed consent(説明と同意)
 処置や治療に先立って、それらを選択するのに必要な情報を受ける権利が守られているか

だそうです。

 なんだか日本に比べて、この辺湿っぽくないデンマーク。でも個人主義の彼らの文化が生み出したもの”らしい”な~と、そしてそういう社会の中で生活している私にとっては、だんだんそいういうことも「まあ、わかる気がする」と思える今日この頃。賛否両論、討論は果てしなく続きそうな深いテーマなので、また実態報告などなど、今後医療現場で見聞きしたことをお伝えして行きたいと思います。
 

断髪

2006年11月22日 | わたくしごと
 今日は2回目の医療に関する法律の授業だったのですが、昨日お伝えしたとおりの忙しさで、頭がぼーっとしてしまってうまく集中できませんでした…。しかも例のボスニア人とイラン人の一人(本当にこの二人には参る…)が、話の腰を折りまくってくれるので、早口の先生&法律専門用語の授業で大変なのに、さらに大変。いや、もう、本当にイライラ。それでもまあ、今回も面白い話が聞けたので、また後日時間が出来た時にお伝えしたいと思いますが。

 そんなこんなで学校でイライラ、せっかく早く授業が終わって一瞬睡眠がとれるかと思って雨風の中帰って来たら、教室に携帯忘れたことに気付いてムカ!小雨降る中バスに乗って学校へ戻ろうとしたら、乗り換えバス停を間違えて引き返しガックリ!教室に辿り着いて入ろうとしたら鍵がかかっててムキー!先生に頼んで開けてもらい無事携帯をとって、さあヘレさん家へとバスに乗ったら、そのバスがパンク!で、次ぎに来たバスへ向かって乗客みんなダッシュ!電車に乗り換えるため駅で降りると、普段乗り継ぎのいい電車なのになぜか次の電車まで20分待ちでオーイ!

 そして21時半、ようやくヘレさん家が終わって帰ってきました。あまりに疲れてイライラしたし、最近過食傾向で顔が丸くなって来て、鏡を見るたびにまた「ムカー!」っと来るし(そして食べたいのに我慢することでまたストレス)、おまけにパリで切った髪は早くも収拾つかない状態だしで(雨で膨張する)、どうにもこうにもやってらんねーよ!

 ということで前々から切りたくてうずうずしていた、前髪を切ってみました。キッチンハサミでばつーんと!衝動的に寝室で切り、リビングにいるヨナスに断髪した毛をもって「じゃじゃーん!」と見せると、ヨナスかなり驚いて絶句していました。ほほ。前髪を作ったのは2年半ぶりです。本当は日本へ行って切るまで我慢と思ってたけど、耐えられなかった…。今はさっぱり壮快です。

 さあ、多少すっきりした今、これから明日から始まる薬理学の授業のため、予習をするかどうか悩んでいます(たぶんやらない。ていうか飲んでるじゃん!)。



馬車馬のごとく

2006年11月21日 | わたくしごと
 いくら日本に行くからって、帰りの飛行機チケットも買わなきゃいけないからって、学校もあるのに、忘年会も毎週末目白押しなのに、無理して色々ヘレさん家の仕事や知人の手伝いなんかの約束を入れてしまい、一番壮絶なスケジュールの今週、まだ月曜だというのに、今、肩には10人ぐらいのおじいさんが載っている感じです(普段あまり肩こりってないのに)。

 朝9時から14時までの学校のあと、間髪いれずにすぐ仕事やらなんやらへ向かい、その後23時ごろまで働き詰めです。立ちっぱなしです。トイレへいく暇すら無いほどです(膀胱炎になりそう)。朝、4度目のアラーム(スヌーズ)でようやく起き、それでもさぼっちゃいたい衝動と闘い、なんとかお茶をポットにつめ、弁当をこさえて出掛けています。
 今年の冬が例年に比べてとても温かいことと、学校が9時からなので、若干明るくなった頃に外へ出るので、まだ気持ちは滅入りませんが、それもこれも「日本へ行ける!」と街中がクリスマスモードなことがあるからで。

 あと今週を乗り切れば!(ってまだ月曜だ!)土曜日には仲良しアメリカ人のキャロラとだんなクラウスの、Thanksgiving dinnerです!!伝統のアメリカ感謝祭料理を食べて、飲んで飲んで飲みまくりです。

 そんな目標もあるので売れっ子アイドル並みに忙しく、馬車馬のようにがんばって働きます。

写真:先日、ヨナスも連れて子守りに行きました。ヤコブはヨナスが大好きなので、わざわざドラムセットを(こんなところに来てまで)新聞読んでるヨナスの元に持って来て、腕前披露。

クリスマスを振り返る

2006年11月19日 | わたくしごと
 とある方のブログで「今年は久しぶりにシングル(というか一人)のクリスマスだ」とコメントしたのがきっかけで、そういえば今までクリスマスをどうやって過ごして来てたっけ?とちょっと振り返ってみました。

2005年、ヨナス家族と2度目のクリスマス
2004年、ヨナス家族と初めてのクリスマス
2003年、その時の彼と六本木カフェデイジー(デンマーク料理のレストラン)
2002年、病院の看護師寮でその時の彼+同期とパーティ
2001年、働いていた(確か深夜勤)
2000年、その時の彼とその家族の家で過ごす
1999年、MIU MIUにはまっており、MIU MIU好きな男とどこかのレストランで牛タンシチューを食べた
1998年、記憶無し…
1997年、バイト先の歯医者でバイト仲間とケーキ(大)2つを食い尽くす
1996年、その彼と2度目のクリスマス
1995年、初めて付き合う人と初めてのクリスマス
1994年、9年後付き合うことになる人と四谷の聖イグナチオ教会へいく
これら以前は確か、家族と適当に不二家のケーキを食べて過ごしていた。

 こう見るとなんだか歴代の彼氏を振り返っていく感じですね(彼氏じゃない人もいるけど)。クリスチャンか、小さい子供のいる家庭でなければ、やっぱり日本でクリスマスはカップルのイベントという感じだし。
 ちなみに今までで一番楽しかったクリスマスは、2004年のデンマークで初めてのクリスマスです。これはクリスマス前のホイスコーレで過ごした期間も含めて、本当に素敵だったので生涯忘れられないものでしょう。田舎のホイスコーレで、のんびりまったり、友達と一緒にデンマーク伝統のクリスマス飾りやお菓子を作ったりして過ごし、大好きなデンマークのクリスマスソングを習い、ホイスコーレが終わってからは待ちに待ったヨナスとの生活とクリスマス家族ツアー。すべてが新鮮で楽しかった~。

 さて、今年は久々に一人のクリスマスなわけで(日本に帰省するので)、なにして過ごそうかな~とあれこれ考えています。幸いにも、日本にはシングルでクレイジーな友達がまだたくさん生き残っているので(た、たぶん、そうだよね?リコ?!)、そういう人と飲み明かすもよし、あ、その前にちゃんと教会のミサにも行きます行きます。

 みなさんの一番思い出深いクリスマスは?そして今年の予定は?

実習近づく

2006年11月17日 | デンナースへの道
 学校がこの前始まったと思ったら、なんともうあと2週間で終わります。早!!といっても教室での看護論などの座学が終わるだけで、12月1日から私とオーストラリア人のクラスメイト以外のクラスメイトは病院実習をスタートさせますが、実習が始まってからも毎週金曜日は学校やどこか病院の会議室のようなところを利用して、デン語の授業は続けられます(来年の8月くらいまで)。

 今クラスメイトはそれぞれ、自分の得意科の病棟に振り分けられ、ぼちぼち実習病棟への挨拶や準備を始めていますが(私は年明けなのでまだのんびり)、そんな中昨日、白衣に付ける名札が配られました。
 私のように、母国でデンマークの基準に満たされた教育を受けている人は「実習中看護師」という肩書き、母国での教育がデンマークのそれに満たず、実習期間も私たちより長いクラスメイトは「看護実習生」、普通の看護学生では「看護学生」となります。私の肩書きには「看護師」というのが付くので、ちょっとドキドキ。気持ち的には「看護学生」くらいにしといて、という感じですが…。

 この私が1月15日には白衣を来て病院にいるのかと思うと、なんだかとっても信じられません。何語を話すの?一体。日本語じゃあないのよ?相手も日本人じゃあないのよ?薬だっていちいちデン語なのよ?看護記録もデン語だし…。考えただけで恐ろしいです。
 しかも病院のある場所はAmager、ヘレさん家のあたりとは対極をなすエリアです。私が実習する予定の内科病棟の案内を見ても、「取り扱う主な疾患」のところに糖尿病とかと一緒にアルコールおよび薬物中毒と載っているようなところですよ…。どうなるの、私…。

 まあでも新しいこと、変化に富んだ生活が好きな私としては、それでも楽しみワクワクドキドキの方が強いですが。なんとかなるでしょ。ふふ。

医療での義務と権利

2006年11月15日 | デンナースへの道
 昨日の激つまらない授業とは打って変わって、今日の「医療に関する法律」の授業は期待通りとっても面白かったです。この授業は今週来週にかけて計3回しかないのですが、そのうち最後の回では「デンマークでの医療倫理」についてなので、これまた面白そう!と今からわくわくです。

 この授業の先生は、難しい法律用語をわかりやすく事例を用いて説明してくれるのですが、その事例がすごい。

事例1:医療従事者の禁止事項について
「Aナースは外科のベテランナース。シングルマザーで2才の息子と二人暮らし。最近はとても疲れた表情で出勤しており、ぼーっとしていることが多い。ある夜勤の日、BナースはAナースと共に薬品庫で患者の内服薬を調剤していました。するとAナースはBナースが見ていないと思って、患者用のモルヒネをくすねて服用し、その後すぐ休憩へ。
朝の日勤スタッフへの申し送り中、Aナースは休憩以降、ある患者の状態などまるで覚えていないようで、他のスタッフが大丈夫かと聞くと”大丈夫です。息子が風邪をひいてて、最近よく眠れないし疲れてるんです”と」

 さて、ここでBナースはどうするべきか、ということでディスカッションをしたわけですが、まあもちろん職場長などに報告すべきでしょう、とみんなの意見はまとまったわけですが、しかしここで気になるのが、モルヒネのような麻薬をそんなに簡単にくすねられる状況って?!
 日本で麻薬は鍵をかけた金庫に厳重に保存し、注射用麻薬も、たとえば1アンプル10mgのものを8mgだけ使ったとしても、残った2mgはドクターの指示書、麻薬管理書類などと共に薬局へ返還しなければならず、もしも誤って残量を破棄してしまったり、アンプルを無くしたりした日にゃー、大騒ぎ、始末書ものです。
 しかし先生に聞いたところ、デンマークでは病棟にもよるけど、だいたいの病棟において麻薬の管理というのはかなり甘いのだそうです。なので、この事例のようなことというのは(ドクターやナースが麻薬中毒者)けっこうよくある話だそうで…。おそろしー!!

事例2(実話):守秘義務と告知義務、そして…
「あるポーランド人の女性。1年のうちに何度も中絶を繰り返しており、不審に思った婦人科医が調べたところ、彼女のCPRカード(身分証兼保険証、写真はついていない)を使って、複数のポーランド女性がポーランド(カトリック国なので中絶は違法)から中絶をしに来ていたと。婦人科医はデンマーク厚生省、そして新聞社に告発。」

 この医師の行動に関し、法律学的観点からみてみなさんはどう思いますか?とのことでまたディスカッション。クラスメイトのボスニア人、イラン人は「彼のやったことは正しいわ!こんなの道徳的に許されない!警察に突き出すべきよ!」と、法律学無視で感情的に爆発(気持ちはわかるが…)。
 それはともかく、なぜこの医師が法律的にも正しいかという根拠にびっくり。まず医師や看護師、医療従事者には業務上知り得た情報に関し守秘義務というものがあるので、警察などにこのポーランド女性のことを通報することは守秘義務違反になります。
 が、医師として複数の他人がそのポーランド人女性になりすまして医療を受けるというのは、医療安全上問題あり(血液型とか、病歴とか)ということで告知義務として「厚生省」に報告する、これはo.k.。
 じゃあ新聞社に通報したことに関しては?というと、これはなんと「個人の表現の自由」という権利なのでo.k.なのだそうです。なるほど~~~。とうなってしまいました。

 この他にも次回への宿題として、この守秘義務、告知義務、表現の自由、どれが適用されるべきか、など様々な例題が出されましたが、日本人として、この「個人の表現の自由」というのが今イチつかみづらいところもあって難しいですが(表現の自由と言えば例のムハンマド風刺画問題にしろ、理屈はわかるが受け入れにくい)、どうやら他のクラスメイトも難しいと悩んでいるので、もしかしてこれは「デンマークの特色」なのかもしれないです。

無念

2006年11月15日 | デンマークっぽいもの
 私の後にオペアとしてヘレさん家で働く予定だったSちゃん、はじめに申請したビザが「あなたはホイスコーレで十分デン語とデンマークの文化を学んだので、もうオペアをする必要もありません」と拒否され、その異議申し立てをしていたのですが、それも今日却下されたという知らせを受けました。こんなことってない。

 私にとって家族であり、親友であり、なヘレさん達。そんな彼らだから信用できる人をと思って、私の中で「この人なら大丈夫」と太鼓判でヘレさん達にも紹介し、ヘレさんはもとより子供たちも彼女の明るさ、どこまでも優しくて温かい人柄にすぐになついて、彼女が家に来てくれるのをずっとずっと待っていたのに。ヘレさんも「私はもう、いくら言葉が通じて同じ文化を持っていても、デンマーク人のベビーシッターはいらないわ」というくらい、彼女のことを気に入っていて、トーマスが事故に遭って大変だった時にも、Sちゃんの異議申し立てのために手紙を何通も書いたり、色んな人にどうしたらいいのか聞いて回っていたほどだったのに。

 Sちゃんなら、この先オペアをしつつ超スパルタな語学学校での勉強もやりこなし、きっと、デンマークの教育機関で、今後の日本にとっても価値あることを学び、それを机上だけでなく現場で実践していってくれる、と思ってました。なのに、なんでそんな志ある人の未来まで奪ってしまうのか、デンマーク政府。こんなバカなことってない。

 だいたいホイスコーレは私立の学校なわけで、全て自費でそこで勉強してるのに、なにをデンマーク政府に迷惑かけるようなことをしたか?しかもホイスコーレで「デンマークの言語と文化を十分学んだので」って、最長1年しかいられず、ホイスコーレ自らも「ここは思想などを培う場で、何かを特別に習うための場ではない」と言っててまともな語学の授業もないのに、合格するまでにだいたい1年半~2年はかかるPD3(最低限のデン語検定)にどうやって到達するというのか。
 オペアはその国での教育機関に入りたいような人が、住み込みで現地家族と生活しその国の言語(と文化)を学ぶというもの。なのでインテグレーションミニスターが言うところの、「ホイスコーレでデンマークの言語と文化を十分学んだのでビザを却下」というのはまったく理に適ってない。

 今日の新聞で、40才の身体障害者であるトルコ人女性とその4人の子供たちがビザ申請を却下され、母国へ強制送還されたという記事を見ました。その女性は脳内出血で大きな手術を受けたばかりで、まだドレーン(術後の体内排液や老廃物を体外へ出すための管)や尿道カテーテルを付けたままの状態で、ご丁寧に患者搬送用ジェット機で母国へ送還されたそうです。
 こんなのって、見せしめでしょ。その強制送還された女性、一体トルコでどうなるのでしょう?4人の子供たちは?捕まえた亡命者を北朝鮮に送り返す中国政府と、同じくらい人道的にひどい措置なんじゃないの?なんでせめて、その女性の回復を待ってから返すということができないのでしょう?
 前にもやはりデン人と結婚した外国人女性が、そのダンナに暴力を振るわれ続け、それが理由で離婚し、彼女はデン語もしっかり学び、フルタイムでの仕事も得て、デンマーク政府が要求する条件を全てクリアしたにも関わらず理由無く強制送還された、という記事がありました。こういった容赦無し問答無用なニュースが最近後を絶ちません。

 そんな中ちょっと前のニュースでは、インテグレーションミニスターが「家族ビザ(結婚および家族の呼び寄せにより、デンマークへ来た配偶者や家族が受けるビザ)の発給率が、昨年の60%代から30%代に食い止めることができました(jeg synes det er flot!って)」となんとも誇らしげに言っていましたが、アホかって。純粋に数だけ減ればいいの?その数の中にはSちゃんみたいな人だって紛れているかもしれないというのに。

 もちろん、デンマークが抱える移民の問題も、移民系のうまく国に馴染めず色々事件を起こしていく人達のことは知ってるし(最も移民の多いノアブロ在住だしね)、これだけ高い税金を払ってるのに、チートすることが「仕事」みたいな人や、ちゃんと育てないのに子供たくさん作って(児童福祉手当目的か)その子供もストリートチルドレンみたいにしちゃう人達、偽装留学の人達とか、そういう人達がいるのもわかる、わかるけど…。

 「じゃあこうすればいい」という解決案も意見も実はないんだけど、でも何かが間違ってる、という気持ちがおさまらないです。

  

激つまらない授業

2006年11月14日 | デンナースへの道
 今ちょっとだけ家に帰って来て、レインコートをとってまたすぐヘレさん家へ行かねばならないのですが…。

 今日の授業つーまーらーなーすぎ!!!!この前の電子カルテ、IT化する医療情報の授業と同じ先生だったのですが(ノルウェー人)、ひたすら眠かった…(でも少人数なので寝るに寝れない)。最後の方はつまらな過ぎて腹が立って来たほどです。

 Evidensとか、メディカルスタンダード、ナーシングスタンダードなんて、日本で習ってる私には耳にタコです!(むしろ新人時代に「この看護の、治療のエヴィデンスは?!」と先輩から百万回詰問されていたので、トラウマと言ってもいいほど)
 それらをまた論理的に勉強していくはいいとしても、いかにもアカデミックな言葉や表現を使って”かっこよく”説明することとか、大学院卒デンナースな先生の下心が見え見えです。そんなことやってるから、この国の看護学校では学生にしてすでに燃え尽きていく人が多いんだ!!
 
 帰りにレバノン人のクラスメイトが、「君の授業中の顔…、わかるわかる、言いたいことはわかるよ。少なくともあの先生、外国人に授業してるってこと忘れないでほしいよね」って。昔からすぐに表情に出てしまうのが私の悪い癖なのですが…。ばれたか。

 はー、これから一働きしてきまーす。