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Kanaheiのデンマーク生活

糖尿病の勉強をしたくてきたデンマークでの紆余曲折な生活を日記として残しています。

死ぬかと思いました。

2016年11月02日 | 妊娠関係
 いやはや、大変な目に遭いました…。まさかの事態です。

 ホルモン補充療法を始めて、卵もすくすくと順調に育っていました。採卵の6日前には右側卵巣に7つ、左側に2つだったのが、採卵2日前にはなんと右側9つ、左側3つとさらに増え、採卵日には12個中、卵子が含まれていたのが11個と、なかなかの収穫高でした。

 採卵の日には、過去、モルヒネでめまいと吐き気でひどい目にあった経験から、看護師さんに最初は控えめなモルヒネ量でとお願いしていたのですが、それがいけなかったのかなんなのか、最初のひと突きがかなり痛く、「すいません、やっぱり痛み止め追加で…」と。処置をしてくれたドクターも私が痛がるものだから、急いで終わらせてくれて、無事にその時はおわりました。

 その後、診療台のような簡易ベッドに寝かされて休んでいたのですが、お腹の痛みが止まらないのです。処置後は生理痛のような鈍痛がある、と言われており、過去2度の時もそうだったし、でも普通の痛み止めで十分な程度でしたが、今回は明らかにもっと痛い。
 痛みで眠ることもじっとしていることもできず、唸っていると、看護師さんがボルタレン座薬を持ってきてくれたのですが、これも一瞬効いて5分ほど眠りに落ちたものの、また痛み復活。しかも今度は胃の締め付けられる痛みです。
 朝ごはんはしっかり食べたものの、この時点でもうお昼近く。緊張もあって胃酸がたくさん出ているところにボルタレンだったので、きっと胃を刺激したのでしょう。しかもお腹の痛みも痛みのスケール10のうち7か8くらいまで下がったものの、相変わらずです。でもとにかく寝心地の悪い診療台にいるよりも、家に帰って休みたい気持ちがあり、ドクターに確認のスキャンをしてもらったあと、帰宅しました。このときは、「通常採卵で起こる程度の出血はあるけど、問題はない」ということだったのですが…。

 帰宅してすぐにベッドで休んだものの、やっぱり痛い。うとうととしながら悶えつつ、頭に浮かんだのが「卵巣過敏刺激症候群」。いわゆるホルモン剤による合併症です。症状としては、お腹の痛み、そして腹水による膨満感。見れば私のお腹もみるみる膨らんでいき、腹痛も治るどころか、どんどん増していくばかりです。
 通常、卵巣過敏刺激症候群は妊娠確率時、もしくは受精卵を戻したあとに起こることが多いそうですが、最後にスキャンをしてくれたドクターは、「卵巣過敏刺激症候群リスクのボーダーラインね。慎重に経過を見ましょう」と言っていました。でもすでに症状的には似ているし、知り合いで2人、これになって(しかも重症の)しまった人がいるので、やっぱり受診することにしました。

 私は看護師で、普段から超健康体です。なので、救急(クリニックは公立病院なので夜は閉まる)に電話をするというのはかなり勇気がいります。というのも、「こんなの実は私が大げさに騒いでるだけなんじゃ…」とか、「たいしたことないのに救急かかって迷惑かけてしまうかも…」とか、他人事だったら「何言ってるの!すぐに電話しなさい!」と言えることが、自分ではなかなかできないのです…。でもさすがに、このまま夜を過ごす、しかも翌日仕事に行くとなると、「無理だな…」と判断し、首都リージョン(州)の緊急電話へかけることに。
 電話対応してくれたナースはイマイチ不妊治療や卵巣過敏刺激症候群についてわかっていないようでしたが、王立病院の婦人科に連絡をとって緊急受け入れの体制を整えてくれました。

 しかし、この緊急電話は、患者の待ち時間を減らすため、各地にある病院の中でもっとも順番の少ないところを選んで予約制にするシステムです。私がもらった予約時間は20時。この苦しんでいる時点から2時間半後です。H氏は膨らんでいく私のお腹と、苦しみようを見て、その王立病院の婦人科に電話し、「こんな状態ではとても家で待っていられない!」と説得し、すぐに王立病院へ。

 救急の婦人科では、一通りの手続きの後、ドクターの診察を待っていたのですが、あまりに苦しそうにしている私をみた看護師さんに、廊下にあったストレッチャーに横になるよう言われ、そのようにすると、途端に信じられない激痛が!!ちょうど横隔膜あたりに刺すような痛みが走り、びっくりして起き上がったものの、それはもう痛くて痛くて呼吸ができず、涙がボロボロ出て来るだけです。横になることで腹水が移動するのか、起き上がりしばらくするとやっと呼吸ができるようになる始末です。

 そこから椅子に座って、まるでお産をする妊婦さんのように口で浅い呼吸をしながら痛みをしのぎ、待つこと1時間ほど、やっとドクターがきて診察です。クールな女医さんがまずスキャンをしていくのですが、とにかくそれも痛い。最後にお腹を外からエコーで診るとき、診察台を倒さねばならず、また仰向けになったとき、例の激痛が!!!とにかく息ができないのです。悲鳴にもならない、嗚咽のような声で、痛みでパニックになって起き上がろうと必死になるのですが、痛くて痛くて起き上がれないし、地獄です…
 それまで何も言わずにエコーをみていた女医さんは、やっと起き上がってまだパニックの私に「お腹の中で出血しているみたいだから、手術をしなければいけない。今すぐに準備をするから」と冷静に説明すると、すぐに内線でオペ室と連絡を取り始めました。
 私はもう痛みのショックで血圧がどーんと下がったようで、意識朦朧(看護師さんの説明とかまったく耳に入らない)、全身冷や汗でぐっしょり、さらに気持ち悪くなって吐きまくる始末。

 その後あれよあれよという間に手術の準備がされ、オペ室へ入ったのが21時ごろでしょうか。ここでもまた、座っていれば大丈夫なのに、手術台に仰向けになった際、例の発作が起こり、何も知らない麻酔科医、麻酔科ナース、オペナースがびっくりして「落ち着いて!横になって!深呼吸して!」と4人がかりで押さえつける(手術台から転げ落ちる勢いだったので)のですが、痛みで息ができない私は説明することもできず、麻酔医が慌てて鎮静剤を投与するまで、たぶん5分くらいだったとは思うのですが、私には永遠と思える拷問のような仕打ちでした…。手術後2日経った今でも、首の周りが筋肉痛で痛むのは、押さえつけられて必死に起き上がろうと抵抗したからかと思われます…。

 手術が無事おわり、目が覚めたのは、麻酔科ナースが「起きて!しっかり目を開けて!」と荒手な感じでバシバシ顔を叩いたり体をぐわんぐわん揺すりつつリカバリー室へ向かう途中でした。相当鎮静剤を投与されたようで(術前の発作のため)、また出血のせいで血圧が下がっていたため、H氏曰く、移動中、眠りに落ちるとすぐに脈拍が下がってナースがヒヤヒヤしていたそうです。

 執刀してくれたのは、診察をしてくれた女医さんで、術後の説明では、約500mlの血液を腹腔内から吸引し、出血源である右側卵巣の穴には止血の処置がされたとのことでした。仰向けになったときの痛みは、横隔膜に血液が流れ込むことで染みるような痛みが発生していたのだとのこと。
 なんと恐ろしいことに、腹腔鏡オペでも経過がよければ即日退院もある、とのことでしたが、さすがに病棟に戻ったのが24時を過ぎていたこともあり、その日は休んでいくことに。ていうかさすがデンマーク…。

 初めての入院は、2人部屋に一人だったこともあり、また、この日の急患がほとんどいなかったこともあって、とても静かでした。術直後、全身が恐ろしく浮腫んだためでしょうか、体のあちこちが痒くて、それだけが睡眠を妨げていましたが、かなり快眠でした。

 翌日は血液検査(ヘモグロビン値はやはり低かった)と回診の後、じゃああとは適当に帰っていいから、とさっくり言われ、貧血マックス(ヘモグロビン5って…なんで輸血してくれなかったんだろう…)でグロッキーな中、歩いて病院出口まで行き、車で迎えに来てくれたH氏の運転で帰宅したものの、しばらくは会話するのにも苦しいし、めまいはひどいし、20時間くらいぶっ続けで眠りに眠りました。
 
 本当ならこのまま眠り続けて回復を待ちたいところですが、執刀してくれた女医さんは「子宮にはなにも影響はないし、不妊治療を続行できるわよ」と太鼓判を押してくれたので、今日は重い体を起こして、無理やり何か栄養になるものを食べ、がんばって水を飲み、少しでもお腹の空気(腹腔鏡で見通しをよくするため腹腔内に空気を入れるので、術後膨満感が残る)を排出するため、短時間ですがライカの散歩にも出かけました。

 クリニックの卵ラボに電話すると、11個もとれた卵子なのに、受精後分裂をしたのは6つのみ。それでも十分ではありますが、やはりあんな苦労(オペ)までしたのに感はぬぐえません…。まあしょうがないけど。
 採卵後に起こったことを軽くラボに説明し、正直まだ全然体調よくないっすと伝えると、とりあえず受精卵たちはあと3日は成長を見守らなきゃいけないし、金曜日にもう一度連絡して、どうするか決めましょうとのことでした。

 本来ならここまでストレスを受けたわけだし、受精卵を全部凍結して、私の回復を待ってもいいのでしょうが、私はなんてったってナースなので、そのへんタフにできてるし、ある意味卵を戻すという目標があることで、リハビリにも気合が入ります。女医さんの「子宮は大丈夫」というお墨付きでもあるし、これまた女医さんから「卵も戻すんだから、ゆっくり2週間は休みなさい」と、病欠の書類も書いてもらいました。
 それに卵は鮮度が命。凍結後解凍した卵は、やはり着床率ががくんと落ちるのだそうです。なので、金曜日には出来る限りのベストコンディションへもっていけるようにがんばります。

 これまで、いろんな現地在住日本人の方から、いかにデンマーク医療はひどいか、ということを聞かされていましたが、今回、自分が初めてデンマーク救急医療の患者になるという体験をして、まあ、もちろん後遺症も残ってないし、ある意味軽傷の類だったこともありますが、私個人の印象では「そんなに言うほど悪くない」という感じです。
 自分が医療者の一端だから言い訳をするわけではありませんが、医療は100%じゃありません。私が出血したことも(そしてそのまま帰宅させられたことも)、きっと日本人の目から見ればそれってどうなのよ?と見えることかもしれません。それでもこの限られたリソースの中で、デンマークの医療者、とくにドクターたちは本当にがんばって、その時にできることをしています。まあでも、王立病院の近所に住んでいるというのは、やはりデンマークで救急医療を受ける際の運を分けるところではありますが…。

 と、まあそんなわけで、死ぬかと思った出血騒ぎでしたが、あとはデンマーク流の「貧血にはステーキと赤ワイン」という食事療法も取り入れつつ、リハビリに励みたいと思います!
 

最後の妊活

2016年10月03日 | 妊娠関係
 また最後の更新から、ずいぶんと時が経ってしまいました…。

 昨年の8月に王立病院の不妊治療クリニックへ面談にいき、その後やれH氏側の精密検査だの(結果異常なし)、私の方の代謝機能に問題があるだので、時間がかかったものの、やっと治療に踏み切れるとこまで来た12月、さて!と申し込んだら「今月分の患者さんはもう定員です」と…。
 でも実は過去2度の体外受精の、まあいわゆる後遺症的なものでしょうか。毎月、排卵日あたりに卵巣がめちゃくちゃ腫れるため(ある意味生理痛よりひどい)、「こんなしんどい後遺症までできて、またもう一回、しかも今度は長期ホルモン補充療法だなんて、やっていけるんだろうか、私…」と、かなり怖気付いておりました。
 
 子供はもちろん欲しいけど、だんだんと自分が妊娠するというイメージも薄れ、今の生活でも別に悪くないしとか、もしまた妊娠失敗して、さらにはまた後遺症がひどくなったりしたら、この先この体を抱えて毎月の痛みとともに生きていくのかとか、どんどんどんどん決意がくずれ…。
 でもせっかくあるチャンス、最後までやり遂げなかったら絶対後で後悔する!と、覚悟をきめ、今回最後の治療を受けることにしました。

 で、先週末、治療を受けるにあたって異常がないかどうかスキャンで確認後、以前の面談で相談した通り、今回はロングタームのホルモン治療でいくことに。
 これがいわゆる女性にとっても、パートナーや周りにとっても「しんどい」治療なのですが、その訳は、女性ホルモンを抑制する=更年期と同じ状態になる、からです。これまで私の中で順調に分泌されていた女性ホルモンが、ある日突然ゼロになるわけですから、そらー体も頭もびっくりするわけで。普通の更年期のようにじわじわくるものではないので、人によってはかーなーり荒れるそうです。
 普段から生理周期だけでもアップダウンの激しい私。末恐ろしいことこの上なく、H氏にいたっては「寝袋とテントを用意して、いつでも避難できるようにしなければ…」と半分ジョークのような、本気のようなことを言っています。

 そんな女性ホルモンゼロ期間突入から4日経ちましたが、今のところ、自覚症状としては、
・「眠い(いくらでも眠れる)」
・「ややむくむ」
・「生理痛のような下腹部に鈍痛がある」
・「ごくたまに偏頭痛がある(たまたま今日ヨガでブリッヂをしてたからか?)」
という程度で、まったく問題なしです。今のところ。これらの症状もカレンダー上もうすぐ生理なのでそのせいかもしれないし。
この調子で、最悪な時期をあっさり乗り切れたらいいな…と願うばかりです。

 まあ、ホルモン治療のことは専門家に任せるとして、私は私で、葉酸をしっかり摂り、適度に運動して(毎朝、午後とライカの散歩だけでもいい運動量です)、なるべくバランスよく食べるようにして、夜はしっかり眠る、ということを気をつけておりますが、ずばり、今回は今までと違う決意?がございます。

 それは、「どうしてもいろんなことでつらくなったりして、飲みたくなってしまったら、1日1杯はお酒を飲んでもいいことにする」というものです。

 わかってます、わかってます。妊娠したけりゃお酒くらい我慢しろ、という意見はわかってます。無事妊娠したあかつきには、もちろん胎児のために禁酒するわけですが、今、三度目の体外受精に当たって、私の中でいろんな考えをまとめた結果のことです。
 これは、不妊治療を(失敗)してきた人にしかわからないことですが、いくらがんばってもそれが結果に結びつくという確証もギャランティもなく、それでもと信じながら治療を受けていくことは、本当に体も心もしんどいことです。途中でいろんなことを見失って、パートナーとの関係そのものが壊れかけてしまうこともあります。
 不安も痛みも、全部自分で引き受けて続けていく治療の中で、自分の中で何か折り合いというか、フェアさを見出す代わりに、私は1杯のワインを許すことにします。たぶん、どこかで子供を授かることをあきらめているのもあるからかもしれない。たぶん、すべてが神のみぞ知る、運まかせな、ノーコントロールな中で、どこかひとつでも自分でコントロールしたいという願望の形なのかもしれない。とにかく、そんな感じです。
 
 前回、前々回は、飲みたいけど飲んじゃいけない、という制約のなかで、本当につらかった…。なにがストレスってそれが良好な結果をもたらすとはわからないのに、すっぱり断酒をしなければいけなかったことでした。
 しかし不思議なことに、こう決意してしてしまうと、飲みたいという気持ちもそこまで湧いてこず、「本当につらかったら飲んでもいい」という逃げ道があるとわかっていることで、精神的に以前のような追い込まれるようなストレスはまったく感じません。結局、なにが一番自分をつらくしてたかって、自分自身の追い込みだったんですね。

 最後の治療を始める、と、いきつけの足つぼ師?であるBettinaに話したところ、彼女も気合を入れて各ホルモン補充期に合わせて治療プログラムを組んでくれたので、もう、気楽に楽しんでいこうと思います。

ベイベープロジェクト10~2度目の体外受精!双子妊娠なるか?!~

2013年11月28日 | 妊娠関係
 またしても放置してましたブログ!Facebookとかで日々の細々としたことをつぶやいていると、まとまった記事をブログで書くのがどうしてもおっくうになってしまいます…。

 さて、9月初旬にダメだった初の体外受精、その後月経1周期分の休憩をとった後、冷凍庫で待機していた卵で2度目のトライ。
 この卵を戻すだけの場合は、戻す前にエストラジオールというエストロゲンホルモンの錠剤を飲み、戻した後はエストラジオールに加え、またプロゲステロンの経膣ジェルを血液検査で妊娠判定するまで(2週間)続けます。

 さて、この2個目の卵を戻す日、ラボの方が残念そうに「解凍した卵にその後分裂がみられず、残念ながらこの卵を戻すことはできません。分裂がみられないのを確認した直後に3つ目(最後)の卵をすぐに解凍したんですが、この卵はまだ解凍したてなので、分裂するかどうか見届けられていませんが、あなたの身体の準備は整っているし、今日しかもうタイミングがないので、一か八か戻してみましょう。」と。

 スウェーデン人のおっちゃんドクターは「まあ、出来の悪かった卵を取り除いたわけで、最後の1個はきっといい卵だ、と希望を持ちましょう」とさっくり。ま、そう前向きに考えるしかないよね。
 前回戻す時にも、その前に通っていたクリニックでも、私の子宮口探しはドクター泣かせだったらしく、ちくちくちくちくと時間がかかり、さらにその後、処置でつつき回すせいか、じわじわ出血が止まらず、トホホだったのですが、このスウェーデンおっちゃんドクター、はじめにスキャンで子宮口への道を確かめ、すいすいとあっさり見つけ、1分ほどで卵戻し完了。その後出血も痛みも一切ありませんでした。やるな。


 そんなわけで、期待の微妙に薄い2度目の体外受精だったわけですが、そのせいか結果を待っている間もほとんど自分が卵を持っているということを忘れて生活し、「気にし過ぎるのもかえって良くないから、これくらいの方がむしろいいかも」とのほほんとおりました。

 が、やっぱりというか、人生甘くはないものです。血液検査の4日前くらいからお馴染みのアゴニキビ。生理前にどかんと出る男性ホルモンの影響?らしいのですが、毎月生理前の悪しき予告として、巨大なニキビ(吹き出物)がアゴにできるのです。あー今回もやっぱりー。血液検査でもばっちり陰性が出て、正真正銘の非妊娠です。まあ、期待も最初から少なかったので、ショックも最小で済みましたが。

 さて、今後どうしますか?すぐに次の体外受精に行きますか?(ホルモン注射+採卵)と病院で聞かれ、どうしようかなとも思ったのですが、12月はクリスマスなどみんなが取りたがらないシフトを取ったために、意外に休日が多く、実はまた治療をするにはいいかも、ということで、11月、またしてもホルモン治療スタート。前回と全く同じ薬とプランです。

 仕事上、企業戦略なんかを専門としているH氏は「うまくいかなかった前回とまったく同じ薬で、同じプランなの?そのやり方で前回うまくいかなかったのに?前回なにが原因でうまくいかなかったのかとか、調べたりしないの?仕事だったらもし部下が、前回失敗したのと同じプランのものをまた持ってきたら、間違いなくやり直しさせるか、それ以上のアイデアがないならクビにするところだ!」と、不満そうでしたが、いやいや、言いたいこともわかるけど、妊娠は仕事と違ってほとんど運任せ(とりあえず今のデンマークで無料で受けられる治療の範囲では)なので、仕方ないと思うのだけど…。H氏、なかなか納得いかず。

 まあ、そんな尻に火の点いた男は放っておいて、2度目の採卵のためのホルモン注射も、これまたまっっっっったく副作用とかなく、快適に滞りなく済み、採卵も例のスウェーデンおっちゃんドクターのゴッドハンドのおかげで、今回は卵巣痛も2日間のみ、出血もほっとんど無し、そして施術中のモルヒネ投与量を少なくしてもらったお陰で、ふらふらになることなく、「前回のあれはなんだったんだ?」というくらい、超快調楽勝で帰宅しました。
 2日前のスキャンでは1~2個を除いてみんな発育が遅い、ということだったのですが、なんと採卵できたのは計11個。うちの雌鳥マダム達もびっくりな収穫量です。

 で、本日、卵リターン日。朝ラボに電話し、試験管受精した卵達の発育具合を聞くと、11個中受精に適したものは5個、さらにその中で受精し細胞分裂が見られたものが1個、もう一個は受精したものの細胞分裂まではまだ見られないので様子見中とのこと。とりあえず1個は確実に育ってるからと、戻すことを決定し、病院へ。

 H氏は仕事でオールボーへと飛んでいたので、病院へは私一人でいったのですが、卵リターンの前に電話で話したラボの方が来て「電話でお話したように今回確実に細胞分裂が確認できたのは1個だけで、様子を見ようといったもう一つですが、まだ分裂が見られません。で、提案なのですが、一か八かの可能性にかけて、両方戻すということもできますが、どうしますか?その場合、もしも両方とも順調に育って妊娠した場合、双子ということになりますし、まあこの卵はもともとポテンシャルが高くないので、賭けみたいなものですが…。」と、また”一か八か”かい!と突っ込みたいところを落ち着け、「私はもちろん双子でも構いませんが、夫がなんと言うか…もし細胞分裂の確認できた卵だけ戻すとしたら、その卵(一か八かちゃん)はどうなるんですか?」と聞くと、「まあこれは冷凍できないので、捨てることになりますね」と。

 H氏は「双子が生まれたら困る!ワゴンみたいなファミリーカーに替えなきゃいけなくなるし(ここ重要)、君は双子育児でやつれ果てて離婚の危機になるかもしれないし、Far til fire(デンマークの人気子供映画。やんちゃな4人の子供の頼りないお父さんの話)だなんて、僕には無理だ!」と前々から言っており、「でもそんなのは不妊治療をするに当たって戯言だわ。治療するなら覚悟しときなさい」と、双子を持つ義姉にぴしゃりと言われて納得したものの、それでも子供は欲しいけど双子は困る、というのがH氏の本音でした。

 H氏には申し訳ないですが、私はどうしてもその一か八かちゃんを捨てることができず、ほとんどゼロのその可能性に賭けてみることにしました。だってもしかしたら確実と言われた卵がだめで、一か八かちゃんが生き残る可能性だってあるわけで。メークミラクル(長嶋節で)ですよ。

 そんなわけで、2つの希望という名の卵ちゃん達を、無事おなかに戻してきました。ひひひー。

 帰宅後H氏に電話で上記のことを報告すると、想像以上の狼狽っぷり…。まだ妊娠したとも、ましてや双子が生まれるとも決まったわけではないのに、きっと彼の頭にはBilbasen(中古車売買サイト)に載せられた、愛車のメルセデスが浮かんだのでしょう…。まっ、そうなったら仕方ないよねっ(るんるん)。

 あー、もう今回は2度目だし冷凍庫に卵のストックもできなかったし、本当に上手くいって欲しいです…。双子が授かったらこの上なく幸せだけど(H氏には言えないけど)、一人でも十分。無事に育ってくださいー。

Kanahei的人生テク

2013年09月11日 | 妊娠関係
 教育という名のいじめだったり、リストラだったり、けっこう身体も心もしんどい不妊治療で、葛藤やらなんやら、苦境を乗り越えるための心のトレーニングが続いた、この2年弱。私なりに学んだことがあったので、ここでメモメモ。


 ーつらいことがあった時、心が砕けそうなことがあったとき、どうしたらそこから立ち直れるか?

 1、自分に誇りをもつこと。
 よく言うように、乗り越えられない苦難は来ない。そんなんいらないよーとも思いたくなるけど、苦難は人を選んで、その人の魂が強くなるために、やってくる。その場しのぎでもいい、その場でできる限りのことはしているか?それが大事。
 不可抗力や納得できないアンフェアなことなんて世の中たくさんあるわけで、「でもあの時は~だったから…」みたいな言い訳をしているうちは、自分を誇ることなんてできっこない。「しょうがない」は使ってもいい。自分ができる限りのことをしたと言い切れるんなら。
 自分が誇れないと、次の「感謝をする」につながれないから、まずはできたことをみつけて、「よくやった、自分。これでいいんだ」と、どんなことでもいいから誇りに思うこと。

 2、感謝する。
 色んなことが失われたり、損なわれたりしたように感じたり、落ち込んでしまうときは、なにはともあれ色んなことに感謝してみる。角度を変えて見てみる。誰か話を聞いてくれる人をみつけて、まずはその人に自分がなにに恵まれているか話してみる。そしてその話を聞いてくれる人に、そんな人がいることに感謝してみる。本当に心からありがたい、私ラッキーだな、と思ってみる。
 だいたいのことは感謝することで受け入れられたり、許せたりできるけど、それでもたまにどうしても許せないこともある。なかなか怒りのループから抜け出せないこともある。けど、感謝をし続けていく、感謝していることの認識を増やしていく、そうすると許すことはできなくても、前に進まないわけにはいかなくなる。

 
 たしか3度目の人工授精がだめだったとき、H氏に話を聞いてもらっていたら、今まで考えたことなかった考えが、するすると自然に口から出てきて、うん、そうなんだ、と自分で納得。
「世の中にはたぶん、妊娠する才能と子供を愛する才能がある。ほとんどの女性は両方を兼ね備えているか、妊娠すると自然と後者の方も育っていくんだと思う。私はもしかしたら妊娠する才能はないのかもしれない。
でも私には間違いなく、子供を愛する才能がある。じゃないとこんなに息子達のことも、人の子も愛しいとは思わないもの。」
 これを口にした瞬間から(大げさでなく、ほんとに)、私の中で不妊治療のつらさとか、自分の子供を一生持てないかもしれないとか、そういう悩んでいたことがふーっと消えて、その影響もあるのでしょうか、新しい職場は小児科を選んでいました。

 あと、先週末、デンマーク最北端の町、スケーエンにH氏と二人で旅行し、これまた最北端の砂浜に座って二人で話していたときのこと。
 障害者の兄と一緒に育った私と違って、健康で、頭も良く、(ティーンエイジャーで怠け者という以外)文句のつけようのない息子達を持つH氏にとって、もし今おなかの中で育っている(と思われた)私達の子供がなにか重い障害を持っていたら、どうするか。
 H氏にとっては考えたことのなかったことだったそうだけど、十分あり得ることです。そして、話し合って、お互い納得したことは、
「卵ちゃんはミリオネアーや、もっと恵まれた両親のところにいくことだってできたはず。でもあえて私達のところに来たからには、なにかしらの希望なりが見えたか、その力がある、と判断したからで、私達は選ばれた親なんだよ。その子の判断には、なにか意味があるはず」

 そして昨日、ずーっと楽しみにしていて、毎日おなかに話しかけていたH氏は、今回もだめだった結果に相当落ち込んでいたのですが、
「卵ちゃんはベストのタイミングで来たかったんだよ。なにかが彼女(彼)の中で準備が整ってなかった。私達はできることをしたし、彼女もした。でもきっと彼女は私達のためにこうすることを選んだのかもしれない。今生まれてきても、お父さんお母さんにつらい思いをさせるかもしれないって。やさしい子だったんだよ」と、私も自分で話しているうちに、どんどん強くなっていくように感じました。どんどん前向きになっていきました。

 受精卵を子宮に戻す日の朝、「もうこれで引き返せない。ここから一生、心配し続ける人生に突入だわ」と実感したのを覚えています。
 ちゃんと着床するか、ちゃんと育つか、ちゃんと生まれてこれるか、障害はないか、病気はしないか、怪我はしないか、この子が大人になったって、鬱になったり、離婚したり、人に裏切られたり、死にそうになることもあるかもしれない。目の前からある日突然いなくなってしまうこともあるかもしれない。心配し続けです。一緒にいる時間が長くなればなるほど、もっとずっと心配が大きくなって、恐怖心は深まるばかりです。

 人生なにが起こるかわからないし、だからこそ、今できることをして、つらいことが起こったときのために、心を鍛えておかなきゃいけません。子供がいたりしたら、尚のこと、卑屈になったり、落ち込んでる暇なんてないので、次に進む訓練をしておかなければなりません。とりあえず、自分に誇りを持つこと、そして常に感謝をしていくこと。34年間のうちのとくにこの2年で覚えた、私の生き方テクです。

 って、基本的だな!”テク”とかいって、サプライズとかなしっすよ!うーん、40代の目標は、もっとすごいこと(?)言えるようになる、です。

ベイベープロジェクト9~初の体外受精!~

2013年09月11日 | 妊娠関係
 仕事がなくなり、まだ次の就職先も決まっていなかった7月。リストラの直前に予約を入れていた公立病院の不妊治療クリニックから連絡があり、「やることないし、仕事でのストレスもなくなったし、ちょうどいいね」と、受診してきました。
 普通だったら仕事もないし、次の仕事もいつ始まるかわからないのに…って躊躇されるとこかもしれませんが、ここはなんて言ったってデンマーク。その後今の職場の面接でも、妊娠計画のことなど一切触れられることもなく(法律で雇用に関して妊娠が理由になってはいけないと決まっているので、面接などでも絶対に聞かれない)、デンマーク人のだれに聞いても「看護師の働く場なんて、生み頃(?)の女性ばかりなんだから、そんなの気にしちゃだめよ」と。

 まずはH氏も一緒に、公立病院のクリニックで医師と看護師との面談。ここでこれまでの不妊治療の経過や、病歴などの聴取が行われ、私は各種ホルモン系の血液検査へ。すでに前に通っていたクリニックからの紹介状に、色々と経過やデータは書かれているようですが、改めて血液検査をし、結果が出るまで1週間~10日ほど待機。その後夏休みにも入ってしまったので、1ヶ月くらいクリニックには遠ざかっていましたが、8月中旬からいよいよ治療スタートです。

 私は必要なホルモン分泌も正常、自然排卵もあるので、スキャン&診察後、短期コースのホルモン治療を生理後3日目からスタート。(以下表を参照)
Herlev hospital fertilitetklinik skema4

 以前の人工授精でも卵胞の成長を促すホルモン剤(Gonal-F)を使用していましたが、今回はその投与量にびっくり。人工授精の時よりも5倍量くらいです。しかも生理5日目からはさらにもう一種類のホルモン剤(排卵を食い止める)もスタート。
 ホルモン治療でなにが一番恐ろしかったって、副作用なわけで、特に精神的に荒れたという人の話をよく聞いていたので、その辺がとても心配でした。でもこの短期コースのホルモン治療では、もっとも身体に副作用の影響が出にくい量に設定してあるようで、私も今回、まっっっったくと言っていいほど、なんの症状もありませんでした。普段PMSで精神的にも荒れる私なのに、ホルモン治療に耐えられたというのは、かなりラッキーというか、本当にホッとしました。

 そして卵達の育ち具合をみるために、1週間後にもう一度スキャン。若干取り出すまでには小さいとのことで、さらにホルモン剤を継続し、3日後再受診。そこでは順調に14個もの卵が育っていることが確認できたので、そこからさらに2日後、いよいよ採卵のため、その晩に排卵誘発剤を投与。

 採卵は局所麻酔で行われますが、まあ、内診みないな感じで進みます。採卵針が付属されたプローベで、腹部エコーと内診のエコー画面を見つつ、膣の最上部、左右の壁を針で卵巣まで貫通させ、そこから卵胞も貫通し、卵子を内容液ごと吸い取っていきます。
 痛みという痛みはほとんどなく、処置自体も10分足らずくらいでしょうか。「歯医者と一緒で、局部麻酔するときが一番痛いだけ」とあらかじめナースに言われていましたが、まさにその通り。ただ、あんなにお酒に強い私が、麻酔で気持ち悪くなり、施行後休憩室で横になるものの、30分経っても立ち上がれず…。結局普通の人の倍以上時間をかけてやっと回復し、H氏に支えてもらいつつ帰りました…。

 その日は一日安静にしていましたが、麻酔が切れる夕方頃から左右の卵巣が痛みだし、その後も卵巣痛は続き、3日くらい鎮痛剤を飲んでも、身体を伸ばしたり、飛び跳ねたりの衝撃で痛みがあったり。

 で、私が前屈みでソロリソロリと歩いて卵巣痛と闘い、その姿勢のせいでぎっくり腰を再びやってしまったりした間にも、卵達(計9個採卵)はすくすくと育ったようで、卵リターンの日には9個中4個が無事に4分裂ほどまで自然に育ちました。
(このクリニックによると、初回採卵で卵子と精子が試験管内で自然受精、その後分裂が見られる確率は25%。私の場合9個中3個が自然に受精したので、約33%という好成績だったそう。よしよしいい子達だ)

 卵リターンは人工授精と同じ要領で、細長いカテーテルにを挿入し、子宮内に戻します。そして後は毎日プロゲステロンという子宮内膜の成長を促すホルモン剤(経膣ジェル)を毎日投与し、普通に生活。毎日腹巻きを一日中つけ、寝るときも靴下、絶対冷えないように色々工夫をして過ごしてきました。
 
 が…。先週末頃から、例のPMS症状で生理痛のような下腹部痛、気分の沈みなどが現れ、でもそれも週末を過ぎると治まったり。そして昨日一昨日は昼間ちょっと胸焼けやめまいもあったので、「妊娠初期症状?!」と完全に舞い上がって、H氏に「今日フライングチェックする!」と浮かれ過ぎてSMSしたり…。
 でもその直後に出血。いつもの生理と違って薄い鮮血だったので、またしても「もしや着床出血!?」と希望を捨てきれず、家に帰って妊娠チェック。結果は陰性。

 今日は生理28日目で、着床出血なんてかわいいもんじゃーなく、いよいよ本格出血スタートな感じです。一応金曜日の血液検査まではプロゲステロンも続けますが、残念極まりないです。
 毎日私のお腹に向って「タマゴチャン」と話しかけていたH氏は、そりゃーもう落ち込んでおります。尻に火がつき、行動派な彼は「解決できない、何も手出しできない問題というのが、一番つらい」と。男の人は確かに見守るだけしかできないので、つらいのかも。

 人工授精失敗4回、その前からも毎月のがっくりで、かなり割り切れている私は、あまり悲しまない、落ち込まないテクもだいぶ身についています。公立病院では無料で体外受精をできるチャンスは3回。この前採卵し、無事に成長した卵は3つ。そのうち1つは今回だめになってしまったけど、まだ冷凍庫には2つ残っています。
 不妊治療を始める前に、H氏とは「いつ不妊治療を打ち切るか」ということを話し合っていました。というのも、なかなか諦めきれず、あちこち病院を変えては、身体も心もボロボロになるまで治療を続け、最終的には夫婦関係までおかしくなってしまったカップルというのも少なからずいて、H氏の周りにもそういう女性がいたので、私達は「公立病院でできるところまでやって、だめだったら、それはそれとして受け入れよう」ということで同意していました。

 1つめのチャンスはだめだったけど、なんだか私の周りには、1度目は流産してしまったり、体外受精も2度目のチャンスで授かったという「2度目さん」が多いので、なんとなく私の中でも1度目への期待が薄かったこともあり、今は「さ。次よ次」な気分です。とはいえ、すべてを諦めるまでのカウントダウンでもあり、そのための準備期間でもあるのは事実で、深く考え出したらキリが無いんですけどね。

 とりあえず、次回が本命の卵ちゃんだとすると、今から準備もしなければなりません。前回以上に保温、そして前回は採卵後の痛みだったりのせいでうまく運動できずにいましたが、代謝をあげて妊娠力アップ!のために、今日から毎日ウォーキングなど欠かさずしていきます!

ベイベープロジェクト8~当ってくだける人工授精~

2013年04月11日 | 妊娠関係
 さて、だいぶまた放ったらかしのブログです。

 昨年の秋に3回目の人工授精に失敗し、メトフォルミン治療を開始したり、石器時代食にしてケトン体が出たりと、色々あって、しばらくクリニック通いもお休みしていました。
 熱しやすく冷めやすい牡羊座の私と、尻に火の点いた男(が持久力は今ひとつ)のH氏となので、炭水化物制限食のことも、すっかり忘れたことにして普通にパスタを食べ、米を食らい、クリスマスのパリ旅行では、うっとりするようなおいしいケーキや、毎日しこたまワインを楽しみ、その余韻が消えたはずの頃にも、「まーどうにかなるでしょ…今どうせ治療お休み中だし…」と、ぐだぐだとしておりました。

 しかしです。妊活、そんなに甘くはありません。

 2月からまたぼちぼちとクリニックに通いだし、「本当にこのクリニックのこの治療法でいいんじゃろうか」という気持ちの迷いなんかも生じたりして、4回目(最終)の人工授精を渋っておりましたが、待合室にあった女性誌の星座占い「今月の牡羊座の言葉。信じるのみ」に、すこーんと打ち抜かれ、えーい!そんならまたやるかい!という気に(単純)。
 結局3月は排卵日が週末に当ってしまい、週末に人工授精施行となると実費になるので、ひと月まって今月行ってきました。てか、今日。

 先月トライしかけたときと、今月と、人工授精に備えて投与したのはゴナドトロピンというホルモン剤。インシュリン注射のように、使い捨てのデバイスを使って自己注射を生理4~5日目から5日間、低用量37.5単位を5日間投与しました。
 副作用は吐き気や眠気など、妊娠初期にあるようなもので、先月の時はまさに吐き気、今月は眠気といった副作用がやってきました。どちらも堪え難いほどのものではなかったですが、でも吐き気はちょいつらかったので家にあった吐き気止めを飲みました。
 で、6日目にもう一度卵巣の大きさをスキャンしてみると「卵胞のひとつが左側で予定よりも急速に育ってる。しかも右側の卵巣に卵胞がたくさん出来過ぎてて、これはまさしくPCOの卵巣に酷似」という恐るべき診断が…。
 メトフォルミンもちゃんと服用してるのにー。他に臨床所見とかないはずなのにー。なんでー?食餌療法をまじめにやらなかった罰でしょうか…。大変ショックでございます。

 それでも左側の卵胞が無事に排卵してくれそうだから大丈夫、とのことで、あまりこれまでと違って「準備万端、ばっちこーい!」な雰囲気ではなく、「本当に大丈夫?やっちゃうの?」な見切り発車ですが、またしても待合室女性誌の占いの今月の言葉(また読んでる)、「今月は人の意見を聞かずに自分の思うように突っ走っても失敗しない」というのを鵜呑みにして、挑みましたよ。

 が!私の体調今イチ。もう今年すでに3回目の風邪っぴき(昔は1年に1回ひけば良い方だったのに)。咳がごほごほと出て眠れず。さらにはH氏側の子達(しっぽ長い人達)も突如激減し、助産師さんにも「彼になにかあったの?」と言われる始末。恐らく今週2度目の夜中の低血糖のせいだと本人は言っていますが、お互いやると決めたわりに、全然コンディションがよくなかったので、助産師さんも「まあ、あんまり最適な状態とはいえないけど、せっかくホルモン剤も打って準備したわけだし、今回の施行は4回目としてカウントせず、おまけとしてやってみましょう」と。しょうがないっす。おまけでできたのならめっけもんですし。

 しかしまあ、いよいよPCOというなれば、こちらもまた食事を締めてかからねばです。さらばパスタ!君は単品料理になってしまうから、炭水化物摂取過多になってしまうのだ。でも食べ盛りティーンエイジャーのいる家庭には、お手軽簡単経済的なんだよね…。

写真:夢のようにお美しく、死ぬほど甘い、成金ロシアンケーキ。パリのギャラリーラファイエットにて。

葛藤いろいろ 前編

2012年12月11日 | 妊娠関係
 さっくり前向きにガツガツと取り組んでいる不妊治療ではありますが、なんとなくまとめづらかった心の変化とかを、準夜勤でちょっと時間のある(そして走りにいったりする気力がない)ときにちょっと残しておこうと思います。


「家族の中の私の立ち位置って?家族になりたい」
 2011年春頃、H氏宅へと引っ越し3ヶ月が経ち、隔週でやってくる息子達との関係にも少しずつ慣れてきた頃。普通の家族と違って、同じ家に住む義姉家族や近所に住む義母など、完全にH氏家族に囲まれての生活で、みんな本当に温かく優しくしてくれるんだけど、完全にアウェーな気分は高まる一方。
 共通の思い出がない、家族の歴史を知らない、私以外はほぼみんな血のつながりのある家族、もしくは子供達がまだ赤ちゃんの頃から知っている人達。彼らは私の家族は背景を知らない、興味がないわけではないんだろうけど、きっと遠い外国のことだし、漠然とし過ぎててイメージもつかないんだろうけど。とにかく、周りにもよく言われるし、自分でも思うけど、まあよくそんな完全アウェーな家族の中に飛び込んでいったな、と感心します。
 でもこの頃はとにかく「家族」というのがつらかった。息子達のこともすごくがんばってたけど、がんばればがんばるほど、「それでも家族ではない、私のものではない、私は彼らの一部にはなれない」という気持ちもありました。
 で、子供が欲しくなった、と。もちろん、大好きなH氏との子供が欲しかったわけですが、家族の中でどうしても時々痛感してしまう孤立感を子供をつくることで、どうにかしたかった。H氏家族と自分をつなぐためにも子供が欲しかった。
 なので、まだ同居して間もないのに、子供ほしくて、という私に一部の友人達は「まだ早いんじゃない?そんなに焦らなくても大丈夫だよ~」となぐさめてくれたものですが、新しい環境と家族とに慣れるのに必死だった私は、今思うとけっこうヒステリックな反応をしていたと思います…。H氏とも「結局はあなたは子供達を、私ではなく家族を絶対選ぶ」と、絶望的な喧嘩をしたものです。
 とにかく自分の立ち位置が不確かで、それで子供が欲しいとかって、自分勝手な動機だったなーと。しかもあるとき日本人のお友達で、ご近所に義両親が住んでいる人と結婚し、子供が生まれた方にそんな話をしたら、「でも子供生んでもその感覚って変わらないよ。むしろ孤立感はもっと強くなるかも。だって自分の子供ですらむこうの家族と血がつながってるんだもの」と。彼女はある日仕事が遅くなって家に帰ったら、子供を含む自分以外の家族が一家団欒をしているのをみて、ふと切なくなったそうです。それを聞いて、ふーむ、なるほど…と妙に納得したものです。

「私が望むものは、彼にとってはエクストラ」
 息子達との夏休み3週間南イタリアのバカンスを終え、旅の中で喧嘩したり泣いたり仲直りしたりして、ぐっと距離が縮まった息子達との関係。ようやく「家族になりたい呪縛」から少し解放され、H氏も「よっしゃ、じゃー作るか!」といよいよベイベープロジェクトも本格始動。
 しかし超ありがちなことに、妊娠なんて本気になればすぐできるものと信じ込んでいた(というか自分が難しいタイプとは想像もしていなかった)ので、毎月生理が来るたびに「なんで?!」と、がっかり&そして悔し泣き(?)。そんな妊娠を望んでいた女性なら誰でも理解できるつらい中、H氏に言われた言葉が「でもたとえできなかったとしても、僕たちにはTとA(息子達)がいるんだし、それで幸せだと思うことにしよう?もちろん、君は彼らの本当の母親ではないわけだけど…」と。それはもう、私の脳みそがWi-fiでネットにつながってたら、瞬時にSASの日本行きフライトをオンラインブッキングしていたであろうほどのショック、そして怒りでした…。
 バツイチ子持ちとの再婚は、自分が彼との子供を望むとき、たとえ彼が子供を作る事を賛成して喜んでくれていたとしても、それはエクストラの子供、前向きな表現をするなら「ボーナスチャイルド」でしかないのだと悟った、悲しい時期でした。
 またH氏にとっては、元奥さんと離婚して、T3歳、A1歳半の幼児を隔週ごとに一人で9年間育て、やっと子供達もそこまで手がかからなくなり、新しい彼女もできて、さあこれから恋人との時間を楽しむぞ!という時なのです。そこに終ったばかりの「ヒステリーな妊婦の対応」、「赤子の泣き声で寝れない日々」、「山のような洗濯物とおむつ替え」を新しい彼女と繰り返すわけです。気楽に街へ週末繰り出すのも、年に数回のローマやパリなど都会への旅行もまたしばらくおあずけだし、かっこいい車を買うのもおあずけ。子供はかわいいに違いないんだろうし、彼女のために欲しいとも思う、けどまた最初からやり直すのか…という、ちょっとしたトホホ感があるのでしょう。
 私もその彼の気持ちがわからなくもなかったし、でもまだ「家族になりたい」期間からの過渡期だったこともあり、この事実は受け入れるのにだいぶ時間もかかりました。

「子供は欲しいけど、君とはずっと恋人同士の気分でいたい」
 これもまた前述したH氏の「これから第二の青春!」的期待から派生した発言ですが、特に繰り返し言われるようになったのは、いよいよ不妊治療を始めたころからです。
 母親になった、もしくはなると自覚した瞬間から「女」ではなくなり、パートナーも「異性、男」ではなく、子供を作るための人材、父となる人、となってしまうことへの危機感がなぜかH氏は強く、不妊治療に入れ込み過ぎてしまうのも、この恋人同士という二人の関係がもっと機械的、実務的なものに変化してしまうので恐いのだそうです。なんというか西洋的といいますか…。
 さらに「君に限ってはそんなことはないだろうけど、子供が出来て激太りする女の人とか、正直その彼氏やだんなさんが気の毒でしょうがない」とか!「なんで子供を生むとみんなショートヘアにするんだろう。母親になったからってセクシーさを捨てる必要はないのに」とか!!「君みたいな人は子供が出来てもちゃんとメイクをしてワンピースやヒールの靴でおしゃれして出かけるんだろうな。僕はそんな君が誇りなんだ」とか!!!言いたい放題です!!女が身体をとことん犠牲にして子供を生み育ててるってことがわかってない、男の妄想め!首締めてやりたいです…。
 愛されているのはわかる。でも…プレッシャー半端ないっす…!(これを読んだ女性の大半をH氏は敵に回すはず…)

 そんなわけで、長くなりましたので、ここまで前編とし、次回「ま、いっかー」の後編へと続きます。


ある秋の日にHareskovといううちから30分くらいの森に焚き火をしにいってきました。
Æbleskiverという丸いパンケーキを焼いて、ココアを飲んで、秋のヒュゲ。アウトドア野郎のH氏はこういうの大好き。


ココさんは相変わらずいつでも食べ物を狙ってます。


ベイベープロジェクト7~メトフォルミン服用開始!~

2012年12月10日 | 妊娠関係
 前回の謎の水嚢胞発生から1ヶ月経ち、生理が来たので再びクリニックへ。今回は私担当の助産師のヘレの診察です。カルテを読んで、さて水嚢胞はどうなったかと探るべくスキャン。無事に水嚢胞は消失しているとのことで、やれやれ一安心です。

 本来ならここで第4回目(最後)の人工授精の打ち合わせとなる予定だったのですが、ちょっと私なりに調べてみて気になることを彼女に相談してみました。

「実は友達の奥さんが2度目の妊娠がなかなかできず、このクリニックに通ったことがあって、彼女は炭水化物を一切抜いた食生活に切り換えたら3ヶ月で自然妊娠したって聞いたんです。彼女は肥満ではないし、そこまで元々炭水化物過多の食生活だったわけではないんだけど、でもそれでも効果があったのなら、私もちょっと本気でやってみようかなと思って、今完全炭水化物抜きの食事を取ってるんです。
あと日本の産婦人科ジャーナルの論文をネットで見つけて、それによると非PCO患者に対してもメトフォルミンは妊娠の効果があるって書かれてるんですよね。私はPCOの診断はないけど、水嚢胞もできたし、あと母とその兄弟姉妹ほとんど全員2型糖尿病なので、私もなんらかの形でインシュリン抵抗性みたいな傾向があるのかなーって。なので、ものは試しでメトフォルミンを服用してみることはできませんか?」と、もちかけてみました。

 私の提案をじっくり聞いてくれたヘレは、大きく頷いて「そうね、いいかもしれない。やってみましょう」と!

 PCO(正式にはPCOS)とは、多嚢胞性卵巣症候群といって、卵子を包む卵胞が嚢胞性変化(殻が厚くなって排卵しにくい)してしまう、またそういった卵胞がブドウのようにたくさんできてしまう状態なんだそうです。原因は未だ謎だそうで、でもPCOSの人には特徴的な症状として肥満体型であることがあげられます(他にも月経不順やにきびなども)。(詳しくはこちら
 肥満体質では糖代謝異常や、インシュリンなどのホルモン分泌過多であったりするため、どうやら体内インシュリン濃度の影響を強く受けるPCOの治療薬として最も使われているのが、2型糖尿病治療薬である、メトフォルミンなのです。
 メトフォルミンは2型糖尿病治療の第一選択薬で、低コスト、ハイエフェクトな素晴らしい薬。筋細胞でのインシュリン感受性を高め、分泌されたインシュリンを効率よく取り込んで使ってくれるのです。
 2型糖尿病は遺伝性の疾患で、片方の親が2型糖尿病を持っている場合の、子供への遺伝率は40%強。しかもうちの母の出身である鹿児島県や奄美大島は日本の中でも2型罹患者が多い地域で、うちの母の家族は5人兄弟中2型罹患者は4人という、スーパー糖尿病家系です。しかも肥満ではないのに糖尿病ということは、糖代謝やインシュリン感受性が極度に悪いとかなのでしょう。

 そんな背景を説明したところ、ヘレは「通常メトフォルミンは肥満傾向であったり、PCOの診断があったら処方するものだけど、あなたのケースでは試してみる価値があると思う。今始めたっていう炭水化物抜き食と一緒に続けてみたら、自然妊娠も夢じゃないわね」とのことで、この日からメトフォルミン500mgを一日一回服用スタート。

 メトフォルミンの副作用は吐き気、腹痛、下痢、腹満感といった消化器系症状なのですが、私はそういった症状一切なく、楽勝!しかし、急激かつ極度の炭水化物抜き食のせいでケトン体という、糖を燃焼する代わりに脂肪をエネルギーとして燃焼する際にできる物質が発生し、1週間後に再度受診したときに、ヘレにそのことを伝えると「え?!ケトン体?!それはいくらなんでもやりすぎよ!少し炭水化物を食べなさい!」と怒られてしまいました…。やりすぎ…。
 しかもその日からメトフォルミンも一日二回、計1000mgに増量となり、まだ体内にケトン体が残っていたからでしょうか、そこから2日ほどは吐き気と疲労、さらにかつてない下痢に悩まされることに…。今は少し炭水化物も食べているので体調も戻り、好調です。

 結局、ヘレとも話し合い、メトフォルミンと食餌療法の効果が出てくるまで待ち、準備万端になるまで最後の人工授精は取っておくことに決めたので、年明けまで引き続き休憩です。
 なんだか、母が糖尿病だとはいえ、まったく成り行きで選んだ自分の仕事(糖尿病専門ナース)ですが、再婚したH氏は糖尿病(1型)だし、自分の身体にまでこうして関わってくるとは思ってもみませんでした。もうここまで来たら行くとこまで行こうじゃないか、糖尿病人生!(あ、でも自分が糖尿病になることは避けたい…)


トップ写真:
炭水化物ゼロ食のために焼いた「石器時代のパン」。ナッツ、ごま、種数種類、卵でできています。
デンマークでも炭水化物抜き食が流行っていて、まだ小麦や米などの農業が始まっていなかった石器時代の食事(肉食や木の実など中心)のレシピ本などまで出ているほど。

ベイベープロジェクト6~水嚢胞ってなんだ!?~

2012年11月12日 | 妊娠関係
 地獄の外来研修のゴタゴタが片付き、なんとか日常に落ち着きを取り戻して迎えた、第3回目の人工授精(抗エストロゲン薬のタモキシフェンの5日間投与と、排卵日2日前の排卵誘発剤注射を使用した上で)でしたが、今回もやはりだめでした。

 仕事上でのことは上司と話をつけて、ストレスフリーで過ごせるようにしたし、人工授精後直後からスウェーデンのサマーハウスへ行って、かなりリラックスの秋休みを過ごしたり、例の「陣痛中の妊婦に富士山の絵を描いてもらうと妊娠出来る」という変な迷信を、9月にめでたく次男を出産したお友達のふゆちゃんに描いてもらったり(36時間陣痛の壮絶さが伺えるダイナミックな富士山だった…)、尽くせる限りの努力と神頼みはしたつもりだったんですけどねえ…。

 今回人工授精の日が予定していたサマーハウスへ出発する日とかぶってしまい、いつもサマーハウスへ行くときは朝早くから出発するのに、なんで午後なの?なんでその日お父さんの家に行っちゃいけないの?と、息子達はなんでなんで?と元奥さんの方に詰め寄ったらしく、前から「ホルモン治療とかするようになったら、体調的にも精神的にも荒れたりするかもしれないし、息子達にちゃんと話そう」とH氏とも話し合っていたので、サマーハウスに着いた夜、二人の息子達にも話してみました。

 「実はお父さんとKanaheiはTとAの弟か妹を作ろうとしてるんだけど、これがなかなかすぐに来ないんだ。だから病院にいったり、特別な薬を飲んだりしてるわけで、もしかしたらこれからも今日みたいにちょっと予定が変更されるようなことがあるかもしれない。でもそれはそういう事情があるからなんだ。」と。

 すると次男は即効、「そんな気がしてたんだよー!!だってお父さん、Kanaheiがバスルームから呼ぶとすごい勢いで飛んでいったりするし、なんか変だと思ってた!」と…!すげー!子供ってよく見てる…!!そしてこれまた直球ダイレクトで「Kanahei、(妊娠)できないのか?!」とも。いや、がんばってるんだけどさ…。
 それからも次男は色々とあの小さな頭の中で考えているようで、ゲームに集中しているかと思いきや突然、「…10ヶ月ってことは夏休み頃が誕生日ってことか…」とか、とある素敵なカフェに行ったときもそこにあったパーティールームを見て私が「結婚式とかに使うのにいいね~」と言うと、「赤ちゃんの洗礼式にもね!」とか、嬉しそうに言うのです。くう~。家に赤ん坊が来たらうるさい&色々手伝わされるとか、そういうところにまでは考えが及んでない、この純粋さ…。
 
 長男はというと、元々静かなタイプですが、打ち明けた直後はノーコメント。次男が「僕は弟がいいな!」と言ったときにだけ、「…僕は妹がいい…」と言っていたので反対ではないようですが、やっぱり13歳(体格は十分に高校生)として、ちょっと恥ずかしいところがあるのでしょう。
 翌日、心配したH氏が長男と二人で話した際、長男には「別に反対じゃないよ。でも…お父さん(また子供を作るには)、ちょっと年過ぎない?大丈夫?」と聞かれたそうで、H氏ショーーーック!(そして私は心で爆笑)
 動揺しつつも「でででも、ヨナタン(長男の親友)のお父さんだってヨナタンが生まれた時は今のお父さんより年上だったんだぞ?トーマス(次男の親友)のお父さんだってそうだ。トーマスが生まれたころはちょうど僕くらいだったんだ…マーティン(息子達のいとこ)だって一番下の妹と14歳も離れてるし…けっこうそういう人はいるんだ」と、必死に自己弁護?
 長男はそれを聞いて納得したようですが、後ほど義姉のLにその話をすると、Lも爆笑しながら「子供にとっては親って”そういう若さではない”って感覚なのよ~。」と。確かに…。

 そんなわけで、息子達からのサポートもゲットし、本当~~に楽しみに結果を待っていたんですけどね~。なんていうか、リラックス&息子達のサポートでこれ以上ないくらい幸せな気持ちで、家族で楽しみにしていたのに、それでもダメって、もう「これ以上何をすればいいって言うの~?」な、お手上げな心境です。

 何がつらいって、もちろんホルモン剤での体調の変化(思っていたほどひどくはなかったけど)や、人工授精での機械的な処置も痛いし嫌だけど、私がいちば~~~んつらいと思うのは、常に妊娠のことが頭から離れない状態がずーーーっと続くことです。

 生理が来たらその日にクリニックに電話して診察の予約をし、生理日3日目にエコー&ホルモン剤開始、生理日10日目に再びエコーで人工授精の日程を決め、12日目に排卵誘発剤を注射、14日目ごろに人工授精、そこから2週間近くわき上がる期待と「もし妊娠してたら…」と色々プランニングしたくなっちゃうのを「だめだめ、まだわかんないんだから、がっかりしないように、考えないようにしないと…」と格闘し、月経前駆症状を「いやいや、色んな人が妊娠の兆候と生理の症状は似てるって言うし、まだ希望はある…」と、泣きたい思いでなんとか自分で自分をだましつつ、そして生理が来たら来たで、がっかり&私以上に悲しむH氏をなぐさめつつ、「さ、次いくわよ次!」とドライに振る舞って、またクリニックに電話して…と、このプロセスをまた振り出しに戻って繰り返すのです。
 尚かつ、人工授精を受けられるチャンスが4回ということもあり、振り出しに戻るたびに「あと~回…」とカウントダウンのプレッシャーも。

 3回目の失敗の今回は、ほとほとこの「妊娠のこと考え続け」の日々にうんざりしました。失敗で落ち込んでる暇もなく、4回目のことにすでに取りかからなければならないのもつらいです。またホルモン剤とか痛いことするのも、コーヒー大好きH氏に今月もまたコーヒー制限をしてもらわなければいけないのも、パスタやうどんなど大好きな炭水化物食を食べて罪悪感に苛まれるのにも、本当にうんざりです…。

 しかし、そんなうんざり感がどこかに通じたのでしょうか。生理3日目に再びエコーに行くと、なんと「右の卵巣に水嚢胞ができている。今回のサイクルでは排卵誘発ができないので見送り、次回のサイクルまで休憩しましょう」と。
 なに水嚢胞って?!とまったく助産師さん(この若い助産師は専門用語ばかりで説明下手)の説明聞いてもわけわかめ。家に帰ってネットで調べてみたところ、卵胞という卵子を包む殻のようなものだそうで、通常、この生理中の時期にはまだ成長していないはずなのに、それが大きく育ち過ぎていたと。しかも内包されているはずの卵子も無し。
 なんで水嚢胞なんてものができたのか、助産師さん曰く、ホルモン剤の副作用である可能性は低いそうですが、原因は不明だそうです。とにかく自然に消えるものらしいので、それを待ち、不妊治療も1ヶ月休憩です。
 来月無事に嚢胞が消えていたら再び人工授精をする予定ですが、きっとどこかで誰かが「ちょっとあんた、考え過ぎだから少し休みなさい!」と言っているのでしょう…。ナイスタイミングです。

 そんなわけで、まだまだ終わりの見えない不妊治療は続きます…。

Zoneterapi(足ツボ療法)にいってきました

2012年10月14日 | 妊娠関係
 先月は例の外来研修でのストレスからか、体調を壊しまくった月でもありました。中でも人生初のぎっくり腰と、風邪それに続く副鼻腔炎。なので不妊治療もあり、毎週どこかで病院通いをしていて、なんというか、気分的に不健康。

 そんなとき、仕事から戻ったH氏が、不妊症に効くというZoneterapi(足ツボ療法)をやってみないか、と。なんでも、H氏の職場では定期的にマッサージ師が来て、職員は無料でマッサージを受けられるの出そうで(うらやましい!)。その中でもBetinaというマッサージ師さんは、鍼治療、足ツボ療法、各種マッサージ(ホットストーンなど)を行っており、たまたまH氏が私の不妊治療のことを話した際、「あら、私それ系の専門よ。よかったら私のクリニックに連れていらっしゃい」と。

 昨年H氏がコペンハーゲンマラソンに初参加する直前に、トレーニングのしすぎでか膝を痛めてしまったのですが、その時に「痛みをズラす」という鍼を施してくれたのも、このBetinaさん。耳の内側にごくごく小さな純金のピンのようなものを刺し、小さな絆創膏で止めただけなのですが、なんと不思議なことに、H氏、膝の痛みがほぼ消失したと。
 根本治療ではないので、あくまで一時的に痛みをずらすという目的で、1~2週間で絆創膏とともに鍼が剥がれ落ちたらそれまで。普段こういったちょっとホリスティックものを「魔女ドクターの薬」と呼んで小馬鹿にしているH氏ですが、この鍼治療の効果には本人もびっくりしたようです。

 私も東洋医学とか風水だのマクロビオティックだのって、エッセンス程度に取り入れるのはいいのですが、あまりにもそれに傾倒してしまうのはちょっとあぶないなと思っていたのですが、病院通いで疲れていたのと、ホルモン療法とか人工授精とか、人工的なもので「コントロール」しているというのにちょっと違和感があったこともあり、Betinaさんの足ツボ療法を試してみることに。

 彼女はこれまでHerlevという町で他の療法士と共同でクリニックを持っていたのですが、最近Bagsværdという町に自身のクリニックをオープン。ごく普通のアパートの1室なのですが、入るとなんだかほっこりしていて落ち着く雰囲気です。
 
 治療台のある部屋に通されてまずは問診で、持病や常用している薬といった医療的なことから、どんな食生活を送っているか、睡眠、便通の状態、身体の不快症状などについて丁寧にゆっくり問診をとってくれます。この日、私の治療目的は不妊に関してと、ちょうど副鼻腔炎まっさかりだったので、その症状緩和、ということで治療スタート。

 マッサージ好きなH氏と付き合い始めて以来、何回かスパホテルやなんかでマッサージを受けたことがありますが、いや、なんといいましょうか、Betinaさんのマッサージは素晴らしかったです。足ツボ=痛い!なイメージだったけど、彼女の治療は全くそんなこともなく、「…もしかしたらここ、ちょっと押されると痛いかも。ダメだったら言ってね」とあらかじめ伝えてくれた上で、ゆっくり丁寧にすこーしずつその”痛いポイント(=身体の悪いところ)”をほぐしていってくれるのです。で、そのほぐし方が絶妙!!まさしくゴールデンフィンガーの持ち主です。

 足の裏だけを60分たっぷり治療を施してもらい、満足感もたっぷり。料金は360kr。60分みっちりでこれは満足な値段です。

 そして効果の方はというと、不妊の方はまだあと2週間ほどしないと結果はわかりませんが、副鼻腔炎の方は、ななんと、治療の前は頭痛&顔面痛でうっとおしかったのに、家に帰るとそれがすっかり消えているではないですか!!これには東洋医学系に懐疑的だった私も本当にびっくりです。
 その後も症状は抗生剤やなんかの薬を一切使わず、どんどん改善され、完治までもあと一歩です。

 Betinaさんの人柄もとてもなんというか癒し系で、あんまりそういうことを信じない私も「この人にはなんかオーラとかそういうのがありそう」と思っちゃうほど。身体のどこかでちょっとおかしなところ、気になるところがある方だけでなく、気分転換やリラックスのためだけでも十分におすすめですよ~!

Betinaさんのクリニックホームページ:http://www.zoneterapidanmark.dk/