Kanaheiのデンマーク生活

糖尿病の勉強をしたくてきたデンマークでの紆余曲折な生活を日記として残しています。

小学生のおこづかい 2

2013年02月12日 | 家族のこと
 まだ続いているどころか、ティーンエイジャー度が増すごとにハードルが高くなってくるこの問題。まったく最近の子は!とか、思わず言いたくなりますが、そんな私もつい数(十うん)年前まで母親に同じことを言われていたので、単純に私が年を取っただけなのかもですが…。

 長男Tはまるで江戸っ子のように、もらうお金を湯水のごとく使っていきます。しかも買うものというと、ゲーム(1~2ヶ月で飽きる)、洋服(最初の1~2週間はヘビーローテーションで着まくるが、その後回数は激減し、次の洋服探しを始める)、キャップなどファッション小物(洋服に同じ)。
 自分で稼いでないし、お金のありがたみがそこまでないからなんでしょうけど、なんというか「飽きたら次」という感覚でどんどん浪費していくし、しかもせっかく買ったものでも大切に扱わないので、むかつきます。

 これまで洋服や彼が欲しいものは、養育費、児童手当をすべて受け取っている元奥さんが買っており、うちでなにかおねだりをしても「大蔵省(お母さん)に言いなさい」と対応してたし、私達で買ってあげたいもの(これ似合うだろうな、とか。たまたまセールでみかけた、とか、あとうちで使うもの)しかうちでは基本的に買ってあげていないのですが、それでも彼の要求はうちでもどんどんと増すばかり。
 あれ買ってとかダイレクトな要求ではないのですが、頻繁に「だってさ…もうほらここがほつれちゃってるし。必要なんだよ」「全然履くズボンがないし、どうしたらいいのかわからない(?)」「これはすっごくレアで人気で、でも今こんなに値引きしててね…」と、じわじわと説得を試みてくるのです。
 私としては、大黒柱である父H氏ですら1年にズボン1着くらいしか買わないし、絶対セール以外で洋服を買うこともないのに、13歳の息子がブランドものの洋服を正規値で買っていて、しかも1~2週間で飽きているのは、いかがなものか?!と納得がいきません。(まあそれを買ってあげちゃうのは、色々子供に罪悪感のある元奥さんなんだけど)

 ちなみに昨年彼が買ってもらったものはというと(自分のお小遣いで払った分もあるけど)、新しいデスクトップコンピューター(ゲーム用)、おしゃれ自転車、靴6足、新しいスマートフォン(一昨年のクリスマスプレゼントに別のをもらったばかりなのに)、ジャケット3着、ゲーム、洋服多数。どんだけ羽振りいいんでしょう。

 そんなある日、TVでティーンエイジャーの生活力と金銭感覚を鍛える番組をみて、「よし!うちもこれからはお小遣い制にしよう!」とH氏と発起。
 元奥さんとも話し合い、各家庭から毎月250krずつ、合計500krをお小遣いとして渡し、今後はそのお小遣いの中だけで欲しいものを買わせるのです。例外として、親が必要と認める高い買い物(スノーブーツとか)に関しては、親がお金を出しますが、それ以外のこまごましたものや洋服、家族や友達の誕生日プレゼント、遊びにいくときに買うお菓子やジュースなどはお小遣いの中からやりくりします。

 元奥さんは当初、「そんな…500krでやりくりなんてできるわけないじゃない!ズボン1着買ったらもう手元に残らないわよ!」と反対だったのですが、小学生がブランドものを買う理由がどこにある?本当に欲しかったらその月我慢してお小遣いを貯めればいい、高校を卒業し、大学などに通いながらSU(国からの学資手当)だけで一人暮らしするにあたって、現実の厳しさにショックを受けないよう、今から鍛えておくことが大事なんだ、と説得すると渋々納得。ちなみに次男も月400krのお小遣い制をスタートです。

 さっそく長男Tにお小遣いについて話すと、定期収入があるのは嬉しいけど、お小遣いを自己管理しなければならない自己責任と、これからは高いものをホイホイと買ってもらえないのだと察したようで複雑な様子でしたが、「もう決めたから!」と話し合い強制終了。

 その後、彼らがどんな風にお小遣いを使っていくのか見守っているわけですが、コツコツ貯めて、本当に欲しいものをどーんと買うという次男と違い、長男は相変わらず収入があるたびに洋服だのを買っているようですが、以前よりはだいぶ考えて買っているようです。

 が!!!今年に入ってまたおねだり再発。確かに「親が必要と認める高い物は親が出す」とは言いましたが、「新しいパソコンが必要なんだよね。お父さん家のはデスクトップだし、学校の課題とかやるのにお母さんの家にも持っていけるノートパソコンが無いと不便なんだよ」と!
 去年彼がデスクトップPCを買うときに、彼が言うまさしくこの理由で私達は「ノートPCを買え!絶対後悔するぞ!」と猛反対をしたのですが、その反対を押し切って「課題をPCでやらなきゃいけなかったら、デスクトップのあるお父さんの家に来るさ」と買ったのは、何を隠そう長男Tです。
 たった数ヶ月前で記憶にも新しいこのTの言い分。もちろん父H氏が許すわけありません。「お父さん達はあんだけ反対したんだ。それでもノートPCが欲しいんだったらお小遣いを貯めて買いなさい」とピシャリ。無理だ!と文句をいう長男に「じゃあ新聞配達でもしてお小遣いを稼げばいい」と提案するも、「あんな仕事、労働量と時間の割に合わないよ!」と甘ったれた発言。
 小学生の頃から、子供ができる色んなバイトをし、コツコツお小遣いを貯めて、ずっと欲しかったプラモデルやドラムセットを買ったりしていたH氏(その辺次男は父に似たのでしょう)なので、「じゃあしょうがないな!諦めろ!お金ってのは湧いてくるもんじゃないんだ!わーっはっはっは!」と一笑。

 欲しいものは欲しい、でも働きたくないという、怠け者だけど気の長さは家族の中でナンバーワンの長男T。そんな彼がどうしたかというと、ボーナス積み立てプランニング。つまり、来る父側祖父母とのクリスマス(いつも彼らとのクリスマスは年明け)、イースター、自分の誕生日(6月)のプレゼントを金銭で要求し、それにお小遣いを少々足してノートPCを買おうという「捕らぬ狸の皮算用プラン」です。まあ、これは彼が経済力を学ぶためのトレーニングなので、「そう、じゃあ試してみれば?」と、とりあえず見守っています。

 しかし、鬼平ならぬの継母Kanahei、Tがうやむやにして闇に葬ろうとしていた過去の借金を見過ごしはしませんよ。

 去年PCを買った際、PC本体のみを買うギリギリの予算しかなく、買った後に「OSが入ってない…」と気づいた彼。OSを入れるとなると700krが余計にかかることになり、父がその場は助け舟を出し、長男Tは「Kanaheiのお手伝いバイトをして少しずつ返済します」と約束していたのです。
 家の掃除機がけと床磨き1回100krという契約で、彼を雇用したものの、しつこく言わないと取りかからない、やっと始めたと思ったらすごい不機嫌(「で、モップはどこ?どこを磨けっていうの?」)、やる気ゼロでダラダラ時間かかる、床の真ん中のみの超手抜き仕事、と余計にこちらのストレスが溜まることから、2回目にはクビになった彼。
 その後、なんとなくうやむやになっていたのですが、満足そうに「捕らぬ狸プラン」を披露している彼に、「残りの500krはどうするつもりかしら?」と、チクリ。一気にテンション急降下の長男Tでしたが、現実とはそういうものです。借金を完済して、ようやく積み立てもできるのです。

 とはいえ、トレーニング中の彼をしごくばかりでもかわいそうなので、新聞配達が「ださいし割に合わない」という長男Tに、新たなバイトのオファーを。ルールは以下の通りです。

・家族4人分の夕飯作り(買い物から片付けまでの全部)。
・予算150kr以内で食材を調達。冷蔵庫や戸棚にあるものはすべて自由に使用可。
・残ったお金は長男Tの収入。
・きちんと栄養を考えたまともな食事を作ること。

 家にある食材で食費を浮かせば、より彼の手元に残るお金が増えるというもの。Tは料理好きなので作るのは楽しいけど、1から材料を全部買っていては、限られた予算の中で自分の稼ぎは確保できません。家にあるもので工夫をして予算を抑えたりと、13歳が楽しんでできるお小遣い稼ぎです。
 最初は「じゃあみんなオートミールね!そしたら150kr全部稼ぎになる」とか言っていましたが、「きちんと栄養を考えたまともな食事を作ること」というルールを付け加えたので、それなりにちゃんとしたものを作っています。
 料理本を見ながら、「牛ひき肉って20krくらい?え?!そんなに高いの?うーん、じゃあ何かでセーブしなきゃ…」とか、全部をスーパーマーケットで買うのではなく、八百屋さんやアラブ系肉屋で買って節約したりと、ガシガシ生活力を学んでいっています。

 今のところ2回食事を作り、買い物から戻ると「はい、どうぞ」といって、きちんと100krずつ借金を返済してくれて、「ちゃんと約束を守って、なんていい子なんじゃー!!」と感激&彼のまじめさを誇りに思い、つい毎回うるうるとしてしまいます。

 今、Arne Nielsson著の「Din teenager skal coaches, ikke opdrages(ティーンエイジャーには躾でなく、コーチすべし)」という、ティーンエイジャーのコーチング本 を読んで、日々成長していく息子達のために勉強しているわけですが、「信じられない!あーっむかつく!」と、つい彼らの言動にキーッともなりますが、身体も脳も猛烈に変化している彼らとうまく付き合い、こちらの意図を伝えていくには、「これはこうあるべき!」という考え方に固まらず、かなりフレキシブルに対応していかなければいけない、ということです。
 親、しかも離婚して罪悪感にいつも苛まれている親ともなると、かなりその辺のところもまた難しいようですが、親ではない第三の保護者としての立場だからこそ、見える、できることがある、と最近うっすらとみえてきた感じで、まあ今後も色々あるでしょうが、このスタンスでやっていこうと思います。

写真:
昨年夏、父方祖父70歳の誕生日を記念して滞在した、Ebeltoftにて。息子達と階下に住む彼らの従兄弟達。男子ばっかです。