Kanaheiのデンマーク生活

糖尿病の勉強をしたくてきたデンマークでの紆余曲折な生活を日記として残しています。

生きてます

2014年09月24日 | ご報告
 お久しぶりでございます。前回更新したのが昨年の11月末。忘れかけた頃にまた復活するのが、近年のKanaheiブログです。


 現状ステータスから申し上げますと、

1、まだ妊娠していない

2、10月からまた転職

3、デンマークの家族は相変わらず

と、いう感じでいまだに進展があるようなないような人生です。


 まず1のプロジェクトですが、前回のブログによりますと2度目の体外受精で卵を2つ戻したところで終りましたが、双子の望みもはかなく、まんまと非妊娠確定。
 「もー、ちょっと疲れた。休憩!」ということで、3度目(公立病院で無料で受けられる最後のチャンス)に継続していく前に、タイムアウトをとったわけですが、まあこれは正解でした。というのも、この頃から冬本番、小児科が地獄の忙しさを迎える季節になったわけで、満床、重症、次々と襲うスタッフ病欠によるマンパワーの慢性的欠如、病棟からの度重なる緊急出勤要請、と、こんなときに不妊治療なんてしてる場合ではありません。
 他の妊婦さんスタッフのシフトをカバーするのまで安易に引き受けちゃったものだから、1月の夜勤回数が19回に上るなど、真冬だし、太陽を見ることもなく過ごした、もぐらの日々。精神が破綻しかけた頃にようやく「嫌ならノーと言えばいいのか!」と気付き(遅い)、事なきを得ましたが…。いやいや、きつかった。

 というわけで、冬が終るまで(なんだかんだで4月末まで激務は続いた)休憩の予定だった不妊治療ですが、夏は夏で、去年も私の不妊治療を理由にあきらめてもらった、H氏と息子達および義姉家族を連れた大家族日本ツアーを、今年こそは実現させてくれ!という義姉夫婦のアツい要望により、梅雨明けの蒸し暑い日本をツアコン、ガイド、通訳という3役をかってしまったため、不妊治療再開の目処はたたず。
 さあ、じゃあ夏も過ぎ、穏やかな秋に…と思ったら、今度は10月から転職で、生活がどう変わるかちょっと先行き不透明。「子供を持つのに、パーフェクトなタイミングなんてないんだ…」というのは、今や2人の子供を持つ友人S談。映画監督で常にプロジェクトを複数同時進行で抱えている彼に、「あなたにとってReadyな時を待ってたら、一生子供なんて作れない」という彼女からの、ある意味説得もあったようですが…。
 まあ、そんなわけで、確かに「なにが、いつが」パーフェクトかと言われますと、確かに難しい問題ですが、でも最後のチャンスと思うと、やっぱり万全を期して挑みたいもの。なので、新しい仕事が落ち着き、クリスマス休暇に入る直前、12月頃でしょうか。それまでに体調もばっちりに整えておく必要もあります。
 そして、過去2度の体外受精を行った、現在勤務中のHerlevではなく、次は王立病院の方にいってみようかと。治療に大きな違いがあるわけでもないのですが、まあなんとなく2度もだめだったし、3度目の正直ともうしますか、願掛けみたいな?新天地(大げさ)で気分リフレッシュみたいな?

 そうそう、初の体外受精で妊娠した同僚のおすすめで、春から夏にかけて、けっこう集中的に針治療に通ったりもしました。1回400kr(幸い民間保健に入っているものの)と、決してお安くはないですが、不妊治療に効果があるという、その業界?では有名な中国人の先生の治療院です。
 結論から言いますと、まあ治療を2ヶ月集中して受けてもミラクル自然妊娠なんてことはなかったのですが、はじめの2回ほどの治療と漢方薬の後、毎月くる(そして体外受精後なぜかひどくなった)PMS症状がその月はなかった、その後も生理痛もほとんどなく、Kanahei史上初、鎮痛剤ほぼ無しで過ごせたという、脅威の効果。
 すごい!きっともっと続ければ身体のバランスもよくなって、自然妊娠も夢じゃない!と喜んだものの、2度目3度目と効果は徐々にフェイドアウト。費用もだいぶかさむので、治療を止めた今は、すっかり元の状態に戻ったようです。
 治療には個人差がだいぶあるのであれですが、なんとなく私の経験だと、針治療は即効性はある、けど持続性はない、という感じです。なので次回最後の体外受精をする際には、タイミングを合わせて(生理後排卵期にいたるまでがベストらしい)、短期集中で挑戦してみたいと思います。そしてH氏と息子達曰く「Kanaheiだんだんヒッピーっぽくなっていってる…」だそうですが、Zoneterapi(足ツボ)、さらに足ツボのBettinaさんおすすめの、Healingという、なにやら確かにヒッピーぽい治療もすべてまとめてトライしてみようかと(カウンセリングでオーラ?をみて、それに合わせたハーブオイル?を調合してくれたりするらしい…魔女?)。
 職業一応ナースですし、こういったAltanativな治療を100%信じているというわけではありません。でもカップルのどちらにも医学的に妊娠するにあたって何の問題も無い、と診断されている場合、もうこれは「運」だな、と思っているので、じゃあ目に見えるもの(医学)ではない、目に見えないものの力を利用してみてもよかろう、というのが私の考えです。なんてたって、針も足ツボも気持ちいいし、言うことなしです。


 さて、2、の転職に関してです。
 ステノのリストラ以来、まさしく新天地で心機一転と始めた小児科ですが、転職の一番の動機は、やっぱり「糖尿病看護が恋しい」です。
 小児科でも糖尿病の子供に接する機会は決してゼロなわけでもなかったし、新規発症の子供を受け持ったこともありました。でも、小児糖尿病を専門に受け入れてるのは、10階にある「Social pediatrien(社会的家族的背景によって体調に影響があったり、入院による観察、治療が必要な小児を対象とする)」で、20階の通常の小児科の私は、なかなかチャンスがありませんでした。
 この1年の間に、10階の小児科と小児糖尿病外来とハーフ&ハーフの勤務ポジションと、10階の専属ナースのポジションと、2度面接を受けてみましたが、ワンマン婦長で知られる10階の婦長には、「糖尿病にフォーカスを当て過ぎている。精神看護の経験がない」という理由ではねられてきました。(インシュリンポンプも扱える私のキャリアを、糖尿病外来の医長はとても買ってくれていたんだけど)
 どうやらこの10階の婦長にとっては糖尿病とSocial pediatrienとの優先度は2:8くらいの割合。そして私に「Social pediatrienや精神科の経験がないから」と言っていたくせに、10階で実習(半年)をしただけの新卒ナースを雇った、というのが、何より決定打。こちらにもプライドというものがあります。

 で、新たに見つけたところは、王立病院の内分泌内科の外来、10ヶ月の産休代理です。
 デンマークでは日本と違い、外来ナースは独立してカウンセリングや看護を行うなど高い専門性が要求され、現場経験を積み、科によってはその専門教育を受けたナースが勤務しています。
 その中でも、王立病院は首都の大学病院ということもあり、オーフス大学病院、オーデンセ大学病院とともに、難病な複雑な症例を集めて治療する中枢的医療研究施設でもあるわけで、その内分泌科は国内最大の科となります。
 私が勤務する内分泌外来では、糖尿病チーム、内分泌系チーム(甲状腺ホルモン異常など)、NETチーム(神経系内分泌腫瘍)と、主に3つのチームに分かれており、まだそのどこに配属になるかはわかりませんが、面接での雰囲気ではどこに回されてもおかしくはなさそうな…。NETなんて、面接受けるまで病名聞いたこともなかったし、外来抗ガン剤治療も見たことないけど…。10ヶ月、みっちり集中してがんばります。きっとすごくいい経験になるはず。
 
 10階の婦長にプライドを傷つけられ、なんとなく「私って実は自分で思ってるより、かなりだめなのかも…」と、またしてもステノリストラのトラウマと自信喪失のループに陥りそうでしたが、王立病院の外来部長には「あなたの申し分ないキャリアと、目標に向って突き進む野心的なエネルギーをすごく気に入ったわ。面接後ほとんど満場一致で即決だった」と言われ、長い長いトラウマからようやく抜け出せそうです。
 一時はこのトラウマのせいでカウンセラーのところへ行ったりもしましたが、やはり失った自信はまた勝ち取ることでしか、本当の意味でトラウマ克服することはできないんだな、と。目には目を、歯には歯を、ですよ(?)。

 毎日ベビーやおもしろい子供達と戯れて、忙しいけど超ヒュゲリだった小児科を去るのは、自分で決めたこととは言え、かなり淋しいですが、まあ、王立病院も産休代理だし、10ヶ月後また小児科に舞い戻ってたりして。


 そんなわけで、ここまでの報告でだいぶ長くなってしまったので、3の家族は割愛させていただきますが、みんな元気です。H氏は相変わらず尻に火が点いており、長男はティーンエイジャーでのっそりしてるし、次男は相変わらずあちこちで問題をまき散らしてますが。ココは相変わらず太めで、階下のベラのおやつを盗んでばかりいます。年末は息子達抜きで、初H氏と二人でお正月帰省します。楽しみ!


京都の宿坊での(彼らにとって)想像を絶する過酷な修行から解放された直後、憔悴しきったデンマーク人と別の意味で憔悴した私。

 ではでは、また1年以内にブログを更新できたらいいなー(遠い目)。


*トップ写真は、Herlevの小児科。カラフルな70年代デザインの病院にマッチした、小児科の壁イラスト。