3月にココ嬢がやってきてから早半年が経過しました。
彼女の行いの数々からあだ名ばかり増え、「Snappe(パクッと盗み食いする様子から)」を筆頭に、「Snappesen(デンマーク人に多い~senという名字から)」、「Stinkedyr(激臭動物。雨の日に臭かったので私が命名)」、「Bandit hund(Banditはろくでなしとか不良とかそういう意味)」、「Flæske(豚肉の皮下脂肪。カリッとオーブンで焼いたflæskestegはデン人の好物)」と、みんな愛情を込めて呼ぶので、彼女も自分の本名がなんなのか、きっと忘れかけていることでしょう。
そんなココ嬢ですが、来た当初のおどおどさがすっかり失せたのはいいものの、呼んだら来るなどの基本コマンドーを守れないどころか、住人の帰宅時も吠える、小さな子供に威嚇する、飼い主の制止を振り切って逃亡するなど、暴れん坊ぶりがエスカレートし、H氏も1ヶ月に1度は「もうこんなアホ犬にはほとほと疲れた!」と、ブチ切れしながら散歩から帰ってきたりしていたため、「よし、いっちょガツンとやるか!」と、ココ嬢を犬トレーニングに連れて行くことにしました。
連れて行った先は、Rolf Andersenという犬の個人トレーナーの元。デンマーク軍隊に所属するRolf氏、いつもその恰好なのか、アーミーな出で立ちで登場し(しかもこれまたアーミーなジープで)、かなりいかつい感じです。
そこでまず、基本コマンドを理解し、逃亡せず、無駄吠えもせず、ついでにごはんもあちこち持ち出して食べるのではなくその場で行儀よく食べれるようにしたい、という私達の希望を話し、その後、犬トレーナーとして彼の理論と経験談を聞いた後、彼の犬でまず「正しい犬」の模範を見せてもらいました。
Rolf氏はラブラドールと雑種犬(ココ嬢と同じくDansk-Svensk gårdhundと何かのミックス)を所有しており、「このミックスはお宅の犬とほぼ同じ犬種だし、似てるだろう」ということで連れて来たそうですが、「いつまでも待ち続けます!指令が降りるまで!」な、すばらしい従順ラブラドールと違い、ミックスの方は模範演習の途中でおもちゃを持ち逃げ!!説得力全然なしです!しかもうちの犬と似てるとか言った手前、Rolf氏言い訳もできません。
Rolf軍曹の家の前にて訓練を受けるココ。湖の目の前のすてきなところです。
まあそんな気まずい場面もありましたが、Rolf軍曹に教わったことは以下のような事柄。
1、飼い主は指揮官長
犬にとってヒエラルキーは絶対なので、そのヒエラルキーのどこに位置しているのか(もちろん最下位)理解させることが大事。それを理解していないから、「止まれ」の指示も守らず、好き勝手をする。
そして犬は常になにかの指示を与えられ、その行動が正しいと認めてもらえる(褒められる)ことで、安心し、より従順になろうとするので、指令、褒める、指令、褒める、を繰り返しつつ、上下関係を理解させていく。
ちなみに叱るときや「だめ」の指令の時には、犬の名前を呼ばないこと。「ココ!」などと名前で叱られると、名前=怒られると認識してしまい、呼び寄せたい時に萎縮してしまったり逆効果なのだそう。
2、見張るのは飼い主でなく犬の方
アホ犬こそ「何か悪さをしないか、逃亡しないか」と目が離せないものですが、そうやって飼い主が常に犬の行動に目を配っていることで犬は安心し、もっと大胆な行動をとるようになるのだとか。なので逆に、犬が飼い主を見失わないよう、常に目を配っていなければならない状況でトレーニングをすることがいいのだそうです。
私達はココ嬢を犬を放してもいい森に連れて行き、ココが何かに注意を取られて飼い主から離れていったら木陰に隠れ、様子をうかがってみました。初めての場所で、自分が何かに夢中になっている間に飼い主を見失ったココはかなり焦ったようで、来た道を行ったり来たり、まさしく右往左往。そして名前を呼び、嬉しそうに駆け寄ってきたところで「よしよしよーーし!」とムツゴロウ褒め(ここが重要)。
この恐怖の「迷子パニック」の後に飼い主に呼ばれてみつけた時の感激は犬にとっては強烈にインプットされるようで、それを何度か森の中で繰り返したことで、すっかりココ嬢も飼い主の行動に常に注意を払うようになり、どっかに逃げ出したりとかすることもなくなりました。
主人の帰りを待つドッグ。
3、恥をかかせる
もしも犬が指令に従わず呼んでも来ない場合、最終手段として犬の首根っこをつかみ上げて、飼い主がいた場所(始めに呼んだ場所)まで連れて来ます(猫同様、犬も首根っこは痛い部分ではないので、よっぽどでかい犬でない限り、持ち上げても大丈夫)。
これは子犬がはぐれたりした時に母犬が自分のところに連れ戻すためにする行動で、犬にとっては他の兄弟子犬達の目の前で母犬にこうされることで「恥ずかしい、情けない」思いを味わうのだとか。(犬にそこまでの感情があるのかは謎ですが…)
こうしてつかみ上げて連れ戻し、犬をじいいいいいっと睨みつけ「怒ってるんだぞ、なんでちゃんと言うこと聞かないんだ」オーラで無言の圧力をしばらくかけた後に解放すると、うちのココ嬢にもさすがに反省の色が見られるようになります。
4、声のトーンを使い分ける
犬は人間の色んな指令を聞き分けますが、実際は言葉を理解しているのではなく、声のトーンで判断しているのだそうです。なので、指令を下すときは低めの声で、名前を呼ぶ時やおやつ、遊びのときは明るい声のトーンにすることで、犬は自然とそのトーンを聞いただけでそれが楽しいことなのか、いけないことなのかを聞き分け、すぐに反応するようになります。
5、とにかく褒めるときは褒める!
犬にとっても人間と同じようにメリハリは大事なようで、指令ばかりでは疲れてやる気をなくしてしまいます。なので、褒めるときは徹底的に褒めること。ご褒美のおやつがなくても、実はこの褒めることとその褒め方だけでも十分な効果がある。
と、そんなわけで、Rolf軍曹の犬トレーニング、たったの1時間(300kr)ではありましたが、効果てきめん。インポシブルなココ嬢も人(犬)並の犬になりました。以下は彼のHP。本も出版していますよ。
http://bricksite.com/rolfandersen/velkommen
階下に住む義姉の双子の誕生日会にて。大家族なので家族が勢揃いすると子供も犬もすごい数になる。
双子のおじにあたる赤い服の彼は、犬のしつけがとても上手い。
彼女の行いの数々からあだ名ばかり増え、「Snappe(パクッと盗み食いする様子から)」を筆頭に、「Snappesen(デンマーク人に多い~senという名字から)」、「Stinkedyr(激臭動物。雨の日に臭かったので私が命名)」、「Bandit hund(Banditはろくでなしとか不良とかそういう意味)」、「Flæske(豚肉の皮下脂肪。カリッとオーブンで焼いたflæskestegはデン人の好物)」と、みんな愛情を込めて呼ぶので、彼女も自分の本名がなんなのか、きっと忘れかけていることでしょう。
そんなココ嬢ですが、来た当初のおどおどさがすっかり失せたのはいいものの、呼んだら来るなどの基本コマンドーを守れないどころか、住人の帰宅時も吠える、小さな子供に威嚇する、飼い主の制止を振り切って逃亡するなど、暴れん坊ぶりがエスカレートし、H氏も1ヶ月に1度は「もうこんなアホ犬にはほとほと疲れた!」と、ブチ切れしながら散歩から帰ってきたりしていたため、「よし、いっちょガツンとやるか!」と、ココ嬢を犬トレーニングに連れて行くことにしました。
連れて行った先は、Rolf Andersenという犬の個人トレーナーの元。デンマーク軍隊に所属するRolf氏、いつもその恰好なのか、アーミーな出で立ちで登場し(しかもこれまたアーミーなジープで)、かなりいかつい感じです。
そこでまず、基本コマンドを理解し、逃亡せず、無駄吠えもせず、ついでにごはんもあちこち持ち出して食べるのではなくその場で行儀よく食べれるようにしたい、という私達の希望を話し、その後、犬トレーナーとして彼の理論と経験談を聞いた後、彼の犬でまず「正しい犬」の模範を見せてもらいました。
Rolf氏はラブラドールと雑種犬(ココ嬢と同じくDansk-Svensk gårdhundと何かのミックス)を所有しており、「このミックスはお宅の犬とほぼ同じ犬種だし、似てるだろう」ということで連れて来たそうですが、「いつまでも待ち続けます!指令が降りるまで!」な、すばらしい従順ラブラドールと違い、ミックスの方は模範演習の途中でおもちゃを持ち逃げ!!説得力全然なしです!しかもうちの犬と似てるとか言った手前、Rolf氏言い訳もできません。
Rolf軍曹の家の前にて訓練を受けるココ。湖の目の前のすてきなところです。
まあそんな気まずい場面もありましたが、Rolf軍曹に教わったことは以下のような事柄。
1、飼い主は指揮官長
犬にとってヒエラルキーは絶対なので、そのヒエラルキーのどこに位置しているのか(もちろん最下位)理解させることが大事。それを理解していないから、「止まれ」の指示も守らず、好き勝手をする。
そして犬は常になにかの指示を与えられ、その行動が正しいと認めてもらえる(褒められる)ことで、安心し、より従順になろうとするので、指令、褒める、指令、褒める、を繰り返しつつ、上下関係を理解させていく。
ちなみに叱るときや「だめ」の指令の時には、犬の名前を呼ばないこと。「ココ!」などと名前で叱られると、名前=怒られると認識してしまい、呼び寄せたい時に萎縮してしまったり逆効果なのだそう。
2、見張るのは飼い主でなく犬の方
アホ犬こそ「何か悪さをしないか、逃亡しないか」と目が離せないものですが、そうやって飼い主が常に犬の行動に目を配っていることで犬は安心し、もっと大胆な行動をとるようになるのだとか。なので逆に、犬が飼い主を見失わないよう、常に目を配っていなければならない状況でトレーニングをすることがいいのだそうです。
私達はココ嬢を犬を放してもいい森に連れて行き、ココが何かに注意を取られて飼い主から離れていったら木陰に隠れ、様子をうかがってみました。初めての場所で、自分が何かに夢中になっている間に飼い主を見失ったココはかなり焦ったようで、来た道を行ったり来たり、まさしく右往左往。そして名前を呼び、嬉しそうに駆け寄ってきたところで「よしよしよーーし!」とムツゴロウ褒め(ここが重要)。
この恐怖の「迷子パニック」の後に飼い主に呼ばれてみつけた時の感激は犬にとっては強烈にインプットされるようで、それを何度か森の中で繰り返したことで、すっかりココ嬢も飼い主の行動に常に注意を払うようになり、どっかに逃げ出したりとかすることもなくなりました。
主人の帰りを待つドッグ。
3、恥をかかせる
もしも犬が指令に従わず呼んでも来ない場合、最終手段として犬の首根っこをつかみ上げて、飼い主がいた場所(始めに呼んだ場所)まで連れて来ます(猫同様、犬も首根っこは痛い部分ではないので、よっぽどでかい犬でない限り、持ち上げても大丈夫)。
これは子犬がはぐれたりした時に母犬が自分のところに連れ戻すためにする行動で、犬にとっては他の兄弟子犬達の目の前で母犬にこうされることで「恥ずかしい、情けない」思いを味わうのだとか。(犬にそこまでの感情があるのかは謎ですが…)
こうしてつかみ上げて連れ戻し、犬をじいいいいいっと睨みつけ「怒ってるんだぞ、なんでちゃんと言うこと聞かないんだ」オーラで無言の圧力をしばらくかけた後に解放すると、うちのココ嬢にもさすがに反省の色が見られるようになります。
4、声のトーンを使い分ける
犬は人間の色んな指令を聞き分けますが、実際は言葉を理解しているのではなく、声のトーンで判断しているのだそうです。なので、指令を下すときは低めの声で、名前を呼ぶ時やおやつ、遊びのときは明るい声のトーンにすることで、犬は自然とそのトーンを聞いただけでそれが楽しいことなのか、いけないことなのかを聞き分け、すぐに反応するようになります。
5、とにかく褒めるときは褒める!
犬にとっても人間と同じようにメリハリは大事なようで、指令ばかりでは疲れてやる気をなくしてしまいます。なので、褒めるときは徹底的に褒めること。ご褒美のおやつがなくても、実はこの褒めることとその褒め方だけでも十分な効果がある。
と、そんなわけで、Rolf軍曹の犬トレーニング、たったの1時間(300kr)ではありましたが、効果てきめん。インポシブルなココ嬢も人(犬)並の犬になりました。以下は彼のHP。本も出版していますよ。
http://bricksite.com/rolfandersen/velkommen
階下に住む義姉の双子の誕生日会にて。大家族なので家族が勢揃いすると子供も犬もすごい数になる。
双子のおじにあたる赤い服の彼は、犬のしつけがとても上手い。