今日は夏至祭?かなんからしく、海岸や大きな公園では「魔女を燃やす」という意味で昔のドイツ流伝統のたき火(といってもけっこうでかい)が行われたようです。これを合図にデンマークは夏休みが本格的にスタートします。
高校生達もすべての試験が終わってこの日いよいよ卒業式。みんな伝統の卒業帽をかぶって、飾り付けたトラック荷台に乗り、ビールを飲みつつ「フォオオオオ!!」と奇声を上げたり通行人に手を振ったりして街中を回ります。すれ違う車もクラクションを鳴らして「おめでとう!」と盛り上げ、私の語学学校そばのコンゲンスニュートウという広場は大変な騒ぎでした(写真:広場中央の銅像によじ上ったり、その周りを歌いつつぐるぐる回る高校生)。私も自転車からそんな彼らに手を振りつつ眺めていると、近くにいた観光客のアメリカ人らしき人は「Amazing!!」とやや憤慨。まあ初めてみたデンマークがあれだったら気持ちも分かります。私も去年は電車を占拠して泥酔している高校生グループをみて「世紀末だ…(?)」と思ったもの。
デンマークの高校は、将来進みたい道によって取得すべき科目・試験が大まかに決まっているのですが、この伝統帽子もそのパスしたテストによって色分けされています。この卒業帽の伝統は1800年代から始まり、当時は黒一色だったそうです。そして真ん中には十字架の紋章が付けられているのですが、イスラム教徒やユダヤ教徒ではこれを他のマークに変えることもできるとか。ちなみに帽子の色分けは…
えんじ色(写真):デンマーク語をはじめとする語学、数学など一般高校教育修了
黒:ラテン語やギリシャ語など古典言語の試験に合格
コバルトブルー:経済などの科目が含まれる高等ビジネス試験?(hhx)に合格
コバルト&えんじ:えんじとコバルト両方を修了
紺色:ITや技術系科目を含む高等技術試験?(htx)に合格
水色:将来医学部や助産師を目指す人がとるべき理系科目メインの試験(hf)に合格
紫:基本的ビジネス試験(hg)に合格
帽子の帯の部分が様々な国旗:インターナショナルスクールでの卒業試験合格
といった感じです。このデンマークの制度は日本のように画一的にできていないので複雑そうにみえますが、自分の将来について高校のころからすでに見据えつつ勉強して行けるので、なかなかいいシステムだと私は思います。
この試験にパスした後は、すぐに大学や専門学校など他の教育機関へ進む人もいますが、半分くらいの人は親に出資してもらって海外で生活してみたり(ヨナスはロンドンで1年レストランで働いた)、フォルケホイスコーレという私がはじめ通っていた全寮制の国民高等学校で好きなことを勉強してみたり、1年くらい充電期間を得るそうです。中には2年も3年も充電期間をとる人もいたりで、このへんがすごくデンマークらしい感じです。
関係ないのですが、もうすぐオペアでのビザが切れるが、今後大学など行って勉強したいしデン人の彼とも一緒にいたい、で、彼にプロポーズしてほしいが彼は躊躇しているためイライラな日々、というクラスメイトのロシア人と学校の後話していた時、例の高校生集団のトラックが「ひょ~~~~!」と能天気に走り抜けて行くのを見て彼女、「何も悩みがなくていいわね…」とつぶやいており、ちょっとウケてしまいました。
ともあれ明日から世間は夏休みです。