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バイデン当選で得意の「反日」行き詰まる文在寅政権

2020-11-12 16:10:40 | 日記
 

バイデン当選で得意の「反日」行き詰まる文在寅政権

 
 
武藤 正敏
 
 
昨年11月4日、バンコクで開催されたASEAN+3首脳会談の際の安倍晋三首相(当時)と文在寅大統領(写真:YONHAP NEWS/アフロ)© JBpress 提供 昨年11月4日、バンコクで開催されたASEAN+3首脳会談の際の安倍晋三首相(当時)と文在寅大統領(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

武藤 正敏:元在韓国特命全権大使

 現時点では、まだトランプ大統領が米大統領選での敗北を認めていないが、バイデン氏が次の大統領になる可能性が高くなった。

大統領が替われば、米国の東アジア戦略も大きく転換するだろう。

「バイデン大統領」は日韓関係改善を求める可能性大

バイデン氏が米大統領となれば、北朝鮮の核・ミサイル開発や人権蹂躙、中国の海洋進出・技術覇権主義・人権問題などへの対応にあたり、日米韓の連携および日米豪印のクアッドに韓国も加えた協力を強化するため、その前提として史上最悪と言われる日韓関係の打開を求め、仲介に乗り出すことが予想される。

トランプ大統領は、国際政治でのリーダーシップを放棄したため、世界には「力の空白」ができた。

そこに入り込んできたのが中国だった。また、トランプ氏は金正恩氏の意図を読み切らずに首脳会談を行い、北朝鮮への非核化圧力を弱めてしまった。

バイデン氏はこのような状況が決して米国の利益にならないと考えている。

他の民主主義国とともに、中国・ロシア・北朝鮮などに対抗して国際政治秩序を回復しなければならず、そのためにも日米韓の協力は中核的な役割を担うべきと考えているはずである。

韓国は現在、「バイデン時代」の東アジア戦略を必死に探ろうとしている。

韓国主要メディアは、副大統領時代のバイデン氏の日韓への対応、大統領選挙運動中の言動、バイデン氏に近い外交アドバイザーと言われる人々の考え方について分析を進めているが、

そこで明らかになってきたのは、米国が日韓関係の改善を求めてくるということだ。

その場合には、韓国の対応ばかりでなく日本の対応にも少なからぬ影響を及ぼしかねない。

バイデン氏の出方、今後の展望、日本としてこれにいかに対応すべきか考えてみたい。

歴史問題でバイデンは韓国を支持するのか

野党「国民の力」の趙太庸(チョ・テヨン)議員は、バイデン氏が副大統領だった当時、現在バイデン陣営の外交・安保参謀で、次期国務長官との声が出ているトニー・ブリンケン氏のカウンターパートだった。

もともと外交部で米国通と言われ、外交部第一次官や国家安保室の第一次長を歴任した趙氏は、野党とはいえ今後の韓米外交での影響力を高める可能性がある。

その趙氏が、韓国メディアのインタビューに応じ、バイデン氏の外交路線についての分析を披露している。

それによれば、「米国の利益を最優先にするトランプ大統領とは違い、

バイデン氏の基本的な外交路線は『同盟の価値』と『多者外交』」であり、「それによって対中牽制を行うことであり、北東アジア安保では韓日米軍事同盟に重心を置く可能性が非常に高い」という。

 さらに趙氏は、「米国は韓国と日本の葛藤が韓日米軍事協力を弱体化させると見ている」、

特にGSOMIA問題を対日交渉のカードとするのは対米外交で悪手を打つものだ」、

「バイデン政権が韓日の葛藤の仲介者として本格的に出てくる可能性も排除できない」と指摘。

その際の米国の立ち位置については、

「バイデン氏と民主党は少なくとも、過去の問題と慰安婦問題では心情的に明確に韓国寄り」とし、

「日本よりも先に米国に我々(韓国)の立場を説明し、韓日関係の悪化を自制する必要がある」として、米国が韓国に味方するとの希望的観測を述べている。

バイデン氏の外交路線についての分析には頷ける部分が多いが、バイデン氏と民主党が「韓国寄り」という観測はどうだろう。

日韓外交に携わってきた筆者のこれまでの経験を踏まえて言わせてもらえば、

確かに米国は歴史問題において韓国の立場に理解を示したことが多かったが、

それは総理の靖国神社参拝の問題と慰安婦問題であり、前者については日本に「自制してほしい」との気持ちがあり、

慰安婦の問題についてはその境遇に同情があったためであろう。

しかし、現在の歴史問題における主要な争点となっているのは徴用工問題である。

この問題で国際法違反を放置している韓国にバイデン氏が理解を示すかどうかは別問題であろう。

米韓同盟「軽視」してきた韓国

しかも文在寅政権は北朝鮮や中国に過度に肩入れし、米韓同盟にも日米韓協力にも積極的でない。

7年前に副大統領として訪韓したバイデン氏は、

「安保は米国、経済は中国」とばかりに米中対立のはざまで中立的な姿勢をとる“同盟国”の朴槿恵(パク・クネ)大統領に対し、

「米国に対抗する側に賭けるな」と述べて、米韓同盟により忠実になるよう韓国に促している。

バイデン政権が誕生した後には、その圧力はより強まると見るべきだろう。

トランプ政権下の米国と韓国との関係は、トランプ氏の「米国優先主義」と文政権の「北朝鮮への執着」、「米中対立の中での中立姿勢」とが折り重なり、不協和音が絶えなかった

先日行われた米韓安保協議会でも、両国は米韓同盟の根幹である戦時作戦統制権や北朝鮮への核廃棄問題への認識で対立し、共同声明から「在韓米軍の現在の水準を維持する」という文言が外された。

そればかりか、米韓合同軍事演習もまともにできない状況が3年続いている。

そのような中で、北朝鮮の脅威を極小化し、

米中対立について中立的な姿勢を貫きながら、

それでも米国に支持してもらえると文在寅政権が考えているとしたら、あまりにも楽観的と言わざるを得ないだろう。

しかも日韓関係が最悪の状況になった背景には、日米との協力関係を軽視する文在寅政権の姿勢がある。

「バイデン政権誕生で日本より韓国が有利」は間違い

「バイデン氏と民主党は日本よりも韓国寄り」と分析した前出の趙太庸議員と同じ外交部出身で、朝鮮半島平和交渉本部長などを歴任した魏聖洛(ウィ・ソンラク)元駐ロシア大使は、バイデン氏の過去の発言から趙氏とは違う見方を韓国「中央日報」の識者座談会で披露している。

「韓国のほうが有利なように一部メディアが報道しているが、これは大きな間違いだ。今回の大統領選挙でバイデン氏がトランプ氏を攻撃するときも『韓日関係を放置した』と言って攻撃した。バイデン氏は今後は放置せずに介入すると考えられるが、おそらくわれわれ韓国を圧迫するだろう。われわれが先に徴用問題に対して解決法を出して先制的に解決していくことが技術的・戦略的によい」

 日米間の外交を見つめて来た人間にとっては、こちらのほうがしっくりくる見方ではないだろうか。

さらに非常に興味深いのは、文在寅大統領に近い「ハンギョレ新聞」までが、こうした見方を示し始めていることだ

「バイデン次期大統領が韓日の歴史問題や慰安婦問題などの人権をめぐる懸案について深く理解しているのは事実だが、現在進行中の“徴用工”(原文では「強制動員被害者」)に対する賠償問題について、韓国を支持するかどうかは明らかではない。

バイデン次期大統領にとって重要なのは、韓国と日本のどちらが正しいかではなく、結局は『米国の国益』だからだ」

韓国内でも、バイデン政権誕生により歴史問題でも外交・安保問題でも厳しい局面に立たされるという認識が広がりつつあるのかもしれない。

もちろん米国は、日韓を仲介するにあたって、日本や韓国との関係から総合的に判断するだろう。

しかし日本としても、米国が日韓の歴史問題について、必ずしも日本に好意的な見方ばかりしているわけではないと自覚してかかることが重要であろう。

安倍総理に「靖国参拝すべきでない」と言ったバイデン氏、それでも参拝した安倍総理

バイデン氏が歴史問題にいかに向き合ったかは、安倍総理と靖国参拝をめぐる2013年12月12日のやり取りがある。ハンギョレ新聞の報道から、その動きを追ってみたい。

当時の日韓関係は慰安婦を巡る対立で首脳会談も開かれない状態が続いていた。

当時、副大統領だったバイデン氏に「安倍総理が靖国に参拝する」との情報が伝わると、バイデン氏は即座に安倍総理に電話し、「靖国を参拝してはならない」と求めた。

これに安倍総理は「行くかどうかはわたくしが判断する」と答えた。

この電話の数日前、日中韓のアジア3カ国を歴訪したバイデン氏は、安倍総理との会談で、日韓の歴史問題に対する日本の前向きな立場を確認し、その後に会った朴槿恵大統領にも、「だから韓国も譲歩するように」と求めていた。だからこそ、この良い雰囲気を壊しかねない総理の靖国参拝を懸念したのだ。

しかし、バイデン氏との電話会談で安倍総理は「参拝しない」とは約束せず、「自分が判断する」と述べただけだった。

そしてバイデン氏が心配した通り、2週間後に安倍総理は靖国を参拝した。

すると在日米国大使館は30分後に「米国政府は失望している」との強い談話を発表した。

こうした流れがあったため、韓国側は「バイデン氏が韓国の肩を持った」と受け止めていた。

ところが2015年になると、中国の急激な勢力向上に直面し、米国の態度も変化する。

中国に対抗するには日米同盟を強化すべきとの戦略的決断を下したのだろう。

同年4月29日、訪米した安倍総理が米国の上下両院で行った演説では、過去の侵略や植民地支配に対して謝罪ととれるような言葉は使わなかったにも拘わらず、バイデン氏は「安倍総理の演説は非常に巧みで有意義なものであった。(過去の歴史に対する)責任が日本側にあるということを非常に明確にした」と評価してみせたのだった。

朴槿恵大統領との間で、この年の末、慰安婦合意が成し遂げられたのは、朴大統領が慰安婦問題を解決するには自分が安倍総理と話を付けなければならないと決断したためだが、こうした米国の姿勢の変化も影響を及ぼしたのかもしれない。

こうして見てみると、バイデン政権が成立すれば、米国は「日米韓連携強化のために日韓関係改善が不可欠」と考えるだろう。

そしてそれは、日本か韓国、どちらに味方するかという視点ではなく、米国にとってどのような日韓との関係が望ましいかとの視点から判断することになるだろう。

その視点は副大統領時代から一貫していると言える。

もちろん、韓国の現在のような姿勢は米国にとって決して好ましいものではない。

また徴用工問題では、韓国の国際法違反の状態は日本として受け入れられないことは十分根拠のあることであり、

そのことはバイデン氏も理解を示してくれる可能性は高い。

しかし、「中国の台頭に対処するためには韓国の存在も必要」と米国が考えるならば、韓国にも顔の立つ解決策を求めてくる可能性を排除することもできまい。

日本としては、文在寅政権には毅然と対応するというのが大原則である。

他方、中国の台頭、北朝鮮の暴走の危険性に対応するためには米国の協力が不可欠なのは間違いない。

米国を仲介役として、韓国が一方的に釣り上げたハードルをどこまで降ろせば、日本として受け入れられるのか米国と入念な意思の疎通が必要となってくるだろう。

徴用工問題に関わる日韓請求権協定には、

協定の解釈について疑義がある場合には第三国を交えた仲裁委員会に付託されることになっているが、韓国はこれに応じていない。

韓国をどのようにしたら正規の軌道に戻せるか検討すべきである。

その際一つのカギとなるのが、戦略物資に関する輸出規制の強化だろう。

韓国はこれを強く望んでいる。

今の韓国の現状からすると、戦略物資が北朝鮮に流れている可能性は否定できず、規制を緩和することには慎重にならざるを得ないのだが、米国と協力し監視網を強化することで何かできないか考えることが必要かもしれない。

朴智元国家情報委員長の電撃訪日、関係改善の最初の一歩となるか

日韓関係では、もう一つ注目すべき出来事があった。

朴智元(パク・チウォン)国家情報委員長が、11月8日に緊急来日したのだ。

来日した翌日、朴委員長がまず面会したのは、かねてから親交があり、日本政界のキーマンとなっている二階俊博自民党幹事長だった。

韓国側の報道によれば、朴氏は二階幹事長との会談で、小渕総理と金大中大統領(いずれも当時)が発表した「日韓共同宣言――21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ」に続く新たな首脳間宣言で日韓関係を解決していこうとの考えを提案した由である。

いうなれば「菅・文在寅宣言」で一気に日韓関係を改善したいということのようだ。これについて日本側はコメントしていない。

 

二階幹事長と面会した翌10日には、官邸で菅総理とも面会した。

朴氏の今回の訪日は、行き詰っている日韓関係の突破口を作ることが任務で、事実上の文在寅大統領の特使という扱いだ

ただ菅総理とも面会した際に朴氏は、一部で言われていた親書ではなく、口頭で文大統領の意見を伝達したようだ。

© JBpress 提供 『文在寅の謀略―すべて見抜いた』(武藤正敏著、悟空出版)

 菅総理は、「日本企業の資産を売却しないと約束しなければ訪韓できない」との考えを韓国側に伝えていた。

時事通信によれば、菅総理は朴氏との会談の中で、徴用工問題について、「非常に厳しい状況にある日韓関係を健全に戻していくきっかけを韓国側が作ってほしい」との立場を繰り返し伝えたようである。

韓国側によれば、このほかに朴氏が来日中に日本側と協議した事項は、今年韓国が議長国を務める日中韓首脳会談の年内開催、来年開催予定の東京オリンピックへ北朝鮮参加への協力、徴用工問題の打開策、という。

こうした韓国側のアプローチが徴用工問題を抜本的に解決する道筋につながるものになるのか、

日本企業の資産売却の流れを止めるには十分な効果は期待できるのか、今後の韓国側の出方を見守っていく必要がある。

ただここから言えることは、韓国側が自分たちで徴用工問題に火をつけてはみたものの、打開策が見えず、困惑しているということだ。

日本としては、当面バイデン氏側に「日韓関係の改善は韓国の出方次第だ、韓国の反日姿勢が改まれば日本として日米韓連携を再度強化することに異存はない、北朝鮮や中国に対する姿勢を3国で確認することに異存はない」との姿勢を明確に伝えていくことだろう。

この機会に、文政権の歴史問題への姿勢ばかりでなく、日韓関係全般や中国、北朝鮮への取り組みについても改善を求めていくことが賢明であろう。


国、「窮地」文在寅氏、米トランプ氏と同じ運命? 対日外交で超党派要請に「大きな壁」

2020-11-12 15:40:53 | 日記
勝又壽良のワールドビュー
@oGxbAl74XtEQ0Fw
好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

国韓、「窮地」文在寅氏、米トランプ氏と同じ運命? 対日外交で超党派要請に「大きな壁」

2020年11月12日

文大統領の政治手法は、敵と味方に二分して敵方を徹底的に叩く戦術である。

その最大の手口が「反日」だ。韓国の潜在的な反日感情に火を付けて、保守派=親日叩きで国内政治を操ってきたのである。

その点では、米国トランプ大統領の手法と似通っている。

民主党を敵視して、保守党支持者を結束させたのである。

今回の大統領選で明らかになったのは、保守党の結束を固めトランプ支持票を大きく押し上げたが、民主党と無党派の「反トランプ票=バイデン支持票」を増やすという思わぬ結果を生んだ。

この構図は、文大統領にも当てはまるという議論が起こっている。

最近の韓国の世論調査では、与党と最大野党の支持率が拮抗し始めている。文氏が、あまりにも支持者向けに偏った政策を行っていることの反動で、最大野党の支持率を押し上げているのである。

また、反日政策で保守派叩きをしてきたことが、日韓関係を底なしの泥沼へ追込んでいる。その解決策として、対日政策の超党派外交を要請されている。具体的には、「反日」を捨てろということだ。今さら、急転回もできない。窮地に立たされているのだ。

『中央日報』(11月12日付)は、「『敵味方の分裂政治』の審判を受けたトランプ氏、われわれも振り返らねば」と題する社説を掲載した。

ドナルド・トランプ米国大統領は現役だが再選に失敗した。現役の利点を生かすことができなかった。

1992年父ブッシュ大統領(ジョージ・H・W・ブッシュ)以降初めてだ。

再選に出た現役大統領(20人)が敗れたのは5人(1900年以降)に過ぎない。

トランプ氏の失敗の原因を考えると、一つや二つでない。だが、誰でも共通して指摘する原因がある。それは「敵味方」を分ける分裂政治だ。トランプ氏の分裂に疲れた米有権者は和解のジョー・バイデン氏を大統領に選んだ。
(1)「トランプ氏は在任期間の間移民者に対する嫌悪と人種間葛藤をあおってきた。執権するやいなや不法移民者の流入を防ぐとして南部の国境地帯に障壁を建てようとして野党と衝突した。

対立は最長期連邦政府のシャットダウン事態につながった。この前には警察の過剰鎮圧で黒人男性のジョージ・フロイドさんが死亡することで全国的なデモが起きたが、トランプ氏はデモの背後を実体のないテロ団体だと主張した。

また、2017年には白人優越主義者が起こした人種差別暴動をめぐり、両剣論を展開して大衆から怒りを買った。トランプ氏は葛藤をそそのかして白人支持層の拡大を試みた」

トランプ氏は、支持者を喜ばせ結束させる政治テーマを選んできた。中国問題も、心から怒ったきっかけは、中国外交部報道官が新型コロナの原因として、米兵の持込んだものというフェイクニュースを海外へ流したことである。それ以来、中国の人権弾圧に目覚め、筋金入りの「反中意識」に芽生えた。

(2)「トランプ氏の没落の過程を見せた今回の米国大統領選は韓国にも示唆するところが少なくない。

いつにもまして国論が両側に分裂している状況が米国と大きく変わらない。

文在寅(ムン・ジェイン)政府は発足以降から積弊清算で分裂の種を残した。

昨年、チョ・グク前法務部長官事態からは国論が光化門(クァンファムン)と瑞草洞(ソチョドン)に分かれて対立している。

日本関連懸案が浮上すると国民は土着倭寇と、そうでない人に分かれる。与党では執権以来対決構図を通した支持者の結集にこだわり、その過程でトランプスタイルがちらついた」

文氏の政治信条には反日がある。文氏は、この反日信条を生かして対日政策を行い、国内の支持率を高める手段に使ってきた。

バイデン米大統領の出現で、これが逆作用をもたらすことに気付いたのである。バイデン氏は、同盟の結束を求めて中国へ対抗する外交方針を高く上げている。

文氏の「反日」は、米国の同盟国結束主義に障害になるのは明らかだ。

(3)「文在寅大統領は就任の辞で「今日から国民皆の大統領になる」と約束した。国民にはあの記憶が鮮やかに残っている。

だが、果たしてそれが実現されたと信じる国民がどれほどいるだろうか。「国を分裂でない団結させる大統領になる。

米国が一つであることを見せたい」と言ったバイデン氏の勝利宣言演説を聞いて格別な期待感が芽生えるのはなぜだろうか。治癒の時間は米国だけでなくわれわれにも必要だ。

文大統領は遅れたと考えずに考えを少しでも変えてほしい。参謀らと味方の話だけに耳を傾けず、反対側と疎通して和解と統合のために努力してほしい。トランプ氏が投げかける教訓は決して軽くない」

バイデン氏の勝利宣言は、文氏にとって耳が痛かったであろう。就任の辞で、「今日から国民皆の大統領になる」と約束したからだ。結果は、真逆である。反日を軸にして保守派叩きに全力を挙げ、進歩派政権を20年間継続させる野望に向かって突進したのである。反日と南北統一が、二大政治目標であった。いずれも、バイデン氏の米大統領就任で不可能になる。文氏の政治目標は、あまりにも民族主義に凝り固まっていたのだ。


田中均が読む「バイデン米国」の行方、分断解消や対外政策はどうなる?

2020-11-12 14:54:12 | 日記

田中均が読む「バイデン米国」の行方、分断解消や対外政策はどうなる?田中 均:日本総合研究所国際戦略研究所理事長

 

     
バイデン
Photo:Spencer Platt/gettyimages

米国大統領選は民主党のジョー・バイデン候補が残っていたペンシルベニア州などの接戦州で勝ち、各州に割り当てられた選挙人の過半数を獲得、勝利を確定させた。

7日、デラウェア州で行った「勝利宣言」ではバイデン氏は米国社会の分断から団結を訴え、当面、新型コロナウイルス対策を徹底することを表明した。

一方でトランプ大統領は郵便投票の不正をあげて法廷闘争を続ける姿勢で、来年1月6日の連邦議会での新大統領確定には不透明な要素が残る。

どのようなプロセスを経て最終的に決着がつくのか、予断は許さないが、「バイデン大統領」のもとでの米国を展望すると、国内に深刻な分断を抱え、対外的には中国との対立の激化など、大きな課題を抱えての船出になる。

「50対50」のアメリカ
分断の深まりが大接戦を生んだ

投票結果は、当初の予想に反して大接戦になった。

選挙日当日は、投票所で行われた分の投票用紙が優先的に開票されトランプ大統領が圧倒的に優勢に見えたが、翌日から期日前投票(郵便投票)の開票が進むにつれて接戦州でバイデン氏が大きく躍進した。

 しかし今回の大統領選がこれほどの大接戦になるということは、少なくとも新型コロナウイルスの感染問題が起きる前までは予想する人は少なかった。

近年再選に打って出た10人の現職大統領のうち7人は再選を果たしていることを考えても、トランプ大統領に有利な選挙のはずだった。

ところが新型コロナ感染拡大に一向に歯止めがかからないことや、それまで好調だった経済が大きな打撃を受け、さらに白人警官による黒人に対する暴行などが相次ぎ、人種差別問題への抗議が広がるなかで、状況は一転した。

トランプ大統領のおよそ大統領とは思われない言動への批判が強まり、接戦州の世論調査でも軒並みバイデン候補にリードを許した。

また、一部の女性や中高年の白人層のトランプ離れ、コロナ禍での期日前投票や郵便投票の飛躍的増加、若者を中心とした史上最大レベルと言われる投票率の高まりは、民主党を利すると言われた。

それが、この大接戦である。

連邦議会議員の選挙でも、民主党が上下両院を制するという戦挙前の予測に反し、上院は共和党多数になる可能性がある。

下院では民主党多数は変わらないが、総じて共和党の躍進が目についたように思う。

こうした背景には、選挙直前に接戦州に何度も入ったトランプ大統領陣営の猛烈な巻き返しや、その一方でバイデン陣営には、バイデン氏自身の地味な個性もあって、トランプ陣営に比べて熱量が弱かったというような事があるのだろう。

しかしそれだけではなく、大接戦の背景には、アメリカ社会の根本に触れる要因が潜んでいることを見過ごしてはならない。

マジョリティーでなくなる白人の恐怖心
海岸地域・北東部と内陸部・南部で溝

投票結果が示す通り、アメリカのほぼ50対50ともいえる分断はすさまじい。

これはトランプ大統領が作り出した分断というより、既に存在していた分断をトランプ大統領の4年間の統治が加速させたということだろう。

第一には理性と良識を重視するアメリカ人と、飾らない言葉(時には誇張や虚構)と熱情をもって自己主張に走るアメリカ人(いわゆる「トランピスト」)の分断だ。

大統領選のテレビ討論会でバイデン氏の発言に強引に割って入り、虚構と言ってもよい不正確な事実を平気で言うなどの誇張した発言をいとわないことに象徴されたトランプ大統領の行動様式は、これまで社会で埋もれ、うつうつとした感情を持っていたアメリカ人を解き放った。

そして、人種的な分断もますますはっきりしてきた。

ヒスパニック系、黒人、アジア系などの人種的マイノリティーは民主党支持の傾向が強いのに対し、白人の中下流層はトランプ支持が多い。

その支持の背景には、現在「マジョリティー」である白人層が、近い将来、少数派への道を歩みつつあるという恐怖心の発露があると思われる(2045年には白人が米国社会の少数派となると推測される)。

特に65歳以上の白人のトランプ支持は顕著だ。

若い世代、特に「ミレニアル」世代(1981~96年生まれ)のリベラル的意識とは好対照だ。

そしてアメリカ社会の分断は、地理的にもほぼ固定化し始めている。

西海岸や東海岸、北東部などグローバルな世界に身を置く傾向の強いリベラルな地域と、より内向きになり、トランプ大統領の「アメリカ・ファースト」に鼓舞される内陸部や南部との分断だ。

立ち直りに力を試される「中道」
議会の勢力拮抗で妥協必然に

バイデン新政権は、この分断を癒やし米国社会を活性化していく事が最大の課題になる。

オバマ大統領が選出された時、オバマ氏は「アメリカを一つにする」と強調したが、実際には社会保障・医療保険政策や同性婚の合法化など極めてリベラル色の強い政策を導入し、その路線はその前のブッシュ政権の保守的路線からの反転だった。結果的には社会の分断は更に深まった。

それに対してトランプ大統領の主導した施策は、ことごとくオバマ大統領の政策の否定だった。

このように民主党と共和党の間の政権交代を通じ、米国の分断が深まってきたのが現実だ。

バイデン氏は「自分は大統領となれば自分に投票した人だけではなく、投票しなかった人にも大統領の務めを果たす」と繰り返していたが、

バイデン政権が分断を癒やす中道にかじを切り、そうした政策を実行できるのかどうかが、米国社会を分断から立ち直らせる最大のポイントだ。

今回の連邦議会議員選挙では、上院は共和党多数になり下院でも民主党と共和党が拮抗する展開となりつつあるので、予算を伴う国内政策については民主・共和両党が妥協せざるを得ない。

従ってバイデン氏が公約に掲げた企業や富裕層などへの増税や、その税収をもとに膨大なインフラ整備をするといった「大きな政府」を象徴する政策の実現は難しいのだろう。

大統領は民主党だが、議会は共和党・民主党が拮抗し、最高裁判事は6対3で保守的傾向が強いという今回の結果が、政治的傾向をバランスさせて、アメリカ社会の分断の深刻化にブレーキをかける可能性もなくはない。

社会を束ねる理念
活性化できるか

アメリカはもともと多様な国だし、南北戦争を乗り越え、経済発展を進め、第二次世界大戦を経て圧倒的な大国として世界に君臨してきた。

国内の分断は多様な要素があるが故に起きやすいが、過去大半の時期には、そうした分断を乗り越え、党派的対立を超えアメリカ社会を統合する求心力が存在してきた。

それは「機会の均等の下での競争」やその結果、人種、出自にかかわらず成功できる「アメリカン・ドリーム」といった理念だった。

バイデン政権が単に政策的中道を追求するだけではなく、アメリカ社会を統合してきたこうした理念を再活性化していけるかどうかも重要な課題になるだろう。

自国主義から多国間協調路線に
防衛費負担の要求は強まる

大統領がほぼ専権を持つ対外政策については、バイデン政権ではトランプ政権とは大きく変わる可能性が高い。

まず、大きく異なると思われるのは政策決定のプロセスだ。

トランプ大統領はツイートを多用し、衝動的ともいえるような形で対外政策も主導してきた。

気候変動問題に関するパリ協定やイラン核合意、TPP、INF(中距離核戦力全廃条約)などの多国間合意からの一方的撤退のほか、対中政策や対中東政策についてもほとんど同盟国や関係国と協議することはなかった。

バイデン政権になれば、トランプ以前の政権の体制に戻ると思われる。国務省・国防総省・通商代表部やホワイトハウスの閣僚などの高官が大きな役割を果たし、対外的にもいろいろなレベルで協議する機会は増えるだろう。

これは世界にとって好ましいことである。

そして対外政策も、多国間協力の路線に戻ると思われる。

パリ合意やイランとの核合意、INF、WHOなど、トランプ政権が離脱した多国間合意への復帰や機関への再加入となると思われ、すでにパリ合意については、選挙期間中からバイデン氏は政権が発足した場合には復帰する方針を発表している。

「アメリカ・ファースト」のような一国主義的方針については、バイデン政権はこれを高らかに宣言することはないだろうし、国際社会での指導的立場を取り戻すべく国際協調を重視するだろう。

ただ、防衛負担などでの同盟国との負担の公平化という問題については、これまでの民主党政権の厳しい姿勢を踏襲していくのだと思う。

NATO諸国の国防費負担をGDP比2%レベルまで引き上げることや、日本・韓国に駐留する米軍経費負担の増額を求める圧力は続くということだ。

対中政策は異なるアプローチ
人権問題ではより厳しく

個別の外交政策では、米中対立にどのようなアプローチを取っていくのかが、バイデン政権にとっても最大の対外政策課題だ。

対中強硬論については、米国内ではほぼ超党派的に総意となりつつある。

その背景には共産党独裁体制の国が米国を国力で追い越していく展望が現実になってきたことに、強い危機意識があるからだ。

ただ、バイデン政権では、トランプ政権がWTOのルールとの整合性も取れないまま高い関税を課したり、独自に一方的制裁を科したりといった方法を取ったのに対し、同盟国・友好国との協調の上で中国に圧力をかけていくという方法を取ると考えられる。

中国との戦略対話といったフォーラムも再開すると思われる。

その一方で、香港や新疆ウイグル地区での人権問題にはより大きな関心を持ち、厳しく対応していく事になるのではないか。

朝鮮半島についても、トランプ大統領とは異なる対応をしていくものと考えられる。

オバマ政権では基本的に北朝鮮が崩壊するまで待つという姿勢を取り続けたが、トランプ政権の「最大の圧力をかけたうえでの首脳会談」が一定の成果を上げた面はあるので、対話路線をとる可能性も排除されない。

日本についてはトランプ政権との首脳レベルの緊密な関係が日米関係を主導してきたが、今後は日本自身も、特に中国、朝鮮半島を含む東アジアについてのビジョンを持ったうえで、あらゆるレベルで協議を強化することが重要になる。

(日本総合研究所国際戦略研究所理事長 田中 均)

 

 


バイデン氏、尖閣の防衛義務明言 日米首脳が電話会談

2020-11-12 13:51:57 | 日記

バイデン氏、尖閣の防衛義務明言 日米首脳が電話会談

配信

 
産経新聞
 

米国のバイデン次期大統領との電話会談を終え記者団の取材に応じる菅義偉首相=12日午前、首相官邸(春名中撮影)

菅義偉首相は12日午前、米大統領選で当選を確実にしたバイデン前副大統領と電話会談した。

バイデン氏は尖閣諸島(沖縄県石垣市)について、米国の日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用範囲であるとの見解を示した。

会談後、首相は記者団に「バイデン次期大統領から日米安保条約5条の尖閣諸島への適用についてコミットメントする旨の表明があった」と説明した。

会談では首相が「日米同盟は厳しさを増すわが国周辺地域、国際社会の平和と安定にとって不可欠で、一層の強化が必要だ」と表明。

さらに「自由で開かれたインド太平洋実現に向け、日米で共に連携していきたい」と呼びかけた。

北朝鮮による拉致問題の解決に向けた協力も求めた。

これに対し、バイデン氏は「日米同盟の強化、インド太平洋地域の平和と安定に向けて協力していくことを楽しみにしている」と述べたという。

首相はバイデン氏に祝意を伝達。

新型コロナウイルス対策や、気候変動問題についても連携していく方針で一致した。できる限り早い時期に首相が訪米し、会談することでも一致した。