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日本人を国際機関のトップにする方法~これだけの危機感と覚悟が必要

2020-11-07 18:09:00 | 日記

日本人を国際機関のトップにする方法~これだけの危機感と覚悟が必要

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月11日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。自らの経験から、日本人を国際機関のトップにする方法について解説した。

 


ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

 

日本人を国際機関のトップにする方法を考える

自民党の甘利税制調査会長が会長を務める議員連盟は8月27日の会合のなかで、国際機関のトップに中国の出身者やその影響下にある人物が就任し、有利な意思決定を進めているとして、それに対抗するための提言をまとめた。

飯田)中国は、いろいろなポストを漁っているとも言われています。

宮家)この「ルール形成戦略議員連盟」を甘利さんがやっているのですが、非常にいい仕事をしていると思います。国会議員は法律をつくらなくてはいけないのです。役人が法律をつくるのではなく、法律は国会議員にしかつくれないのですから。こういう議連で議論をして、それが政策になって行くというのは、本来あるべき姿なのです。8月27日に、国際機関におけるガバナンス・選挙の実情などについての会合があって、実は私も呼ばれて出席しました。

 


ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

 

国際機関での外交~事務局長、議長を獲る。それがダメだったら主要国グループに入る

宮家)日本がどうするべきかという話ですが、国際機関での外交というのは、とにかく事務局長を獲る。それがダメなら議長を獲る。それがダメだったら、主要国グループに入る。そうやって多数化工作をするのです。これが私の経験から学んだ基本中の基本です。

 

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

 

世界に通用する人材を長期的、組織的に養成する~永遠にやり続ける危機感が必要

宮家)では、日本はどうしたらいいのか。これまでもいろいろな国際機関に立候補して勝っているケースもあるし、勝てなかったケースもあるのですが、いちばん大事なことは、世界に通用する人材、プレゼン能力のある人を育てるということです。これらの人材をきちんと国内で長期的に、組織的に養成する必要があります。すでに各国ではやっています。それに対抗するにはどうしたらいいのか、ということです。

飯田)なるほど。

宮家)この問題は新しい問題ではなく、何十年も議論されていることです。まず、日本人は国連の職員のなり手がない。あれだけお金を払っていて枠もあるのに、日本人がいない。昔、戦争直後は、日本にも世界に出て行かなくてはいけないという危機感がありました。奨学金もありましたが、緒方貞子さんをはじめ、どんどんアメリカやヨーロッパに出て行ったわけです。ところが、1980年代にはその危機感が弛緩してしまって、若い人でも外国ではなく日本でいいと。最近、また少し状況は変わっているのだけれども、当時は国内志向になって行ったのです。しかも、思いつきで「海外に通用する人を育てなくてはいけない」と議論をしても、3年経ったらもう忘れてしまう。これではダメなのです。日本がこれを「永久にやり続けなくてはいけない」という危機感を持たなくてはなりません。

 

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

 

送り込んだ人が選挙に負けても骨を拾う覚悟で支援する

宮家)もう1つ大事なことは、いろいろな人から聞いてわかったことなのですが、海外に人を送り込む場合、送り込む方はいいのですけれど、送り込まれる方のことも考えるべきです。送り込まれる人は、これまで日本国内である程度の仕事をして来て、国際的なことも知っている。しかし、これから選挙をやらなくてはいけない。世界中を回り、場合によっては、各国首脳と会って協力を求めるわけです。それで選挙に勝てばいいですよ。でも、負けたらどうするのか。負けて野垂れ死ぬようになってしまったら、誰も立候補なんてしませんよ。

飯田)怖くて手を挙げられませんよね。

宮家)ですから、そのためにはきちんと国全体が候補者を支援し、最後は骨を拾うというくらいの覚悟をしないと成立しません。各国はそれをやっているのです。日本は熱しやすいけれど冷めやすいのが問題なので、もっと長期的に考えてもらわなくてはなりません。

 

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

 

閣僚経験のある若い女性が適任

宮家)とても言い方が難しいのですが、候補者については同じレベルで同じ能力だとすれば、若い方がいいのです。そして、女性であることも大きなポイントになります。男か女かと言ったら女性の方が勝つ可能性が強いです。閣僚経験者かどうかということも、大きなポイントになると思います。でも日本ではこういう国際機関の事務局長の選挙に出るような人は閣僚になれないのですよ。大臣病の人が何十人もいるなかで、「なぜあの医者の変な奴が大臣になるのだ」と言う人が必ずいるのです。政治は嫉妬ですからね。

飯田)確かに組閣の段階で、すでに動いていますものね。

宮家)しかし、本当にその人を数年後に立候補させようと思うのなら、半年でもいいから大臣にしてしまえばいい、と言うくらいの覚悟が必要なのです。そうすれば勝利の可能性が1ランク上がるのですから。

飯田)それくらい違うのですか?

宮家)違います。

飯田)国連の事務総長くらいのレベルになると、いまのグテレスさんもポルトガルの首相までやったということです。そこまで上のレベルだと政治が絡むのもわかるのですが、それぞれの国際機関のトップもそうなのでしょうか?

宮家)国際機関のトップを獲ろうという競争が各国間で強くなれば、当然ハクを付けなくてはいけない。そうすると差別化するためにも、閣僚経験というのは今後、極めて大きな要素になると思います。


韓国「ホワイト国除外」決定の重い意味

2020-11-07 17:52:45 | 日記

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韓国「ホワイト国除外」決定の重い意味

2019.08.02

本日(8月2日)、政府は、韓国を安全保障上の「ホワイト国」から除外することを閣議決定した。

折しも名古屋で日本を侮辱する国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」が開幕し、親韓勢力によるプロパガンダ戦が始まったばかり。

さまざまな意味で日本にとって「歴史的な日」となった。その意味を考えてみたい。

本日の閣議決定によって韓国への輸出は軍事転用可能な1000品目以上の物資に対して「個別の許可」が必要になった。

アジアで唯一のホワイト国として優遇を受けていた韓国は、中国やフィリピン、タイ、ベトナム、インドネシアら、ほかの国と「同格」になった。

国民にとっては、「なぜ韓国を特別扱いしてきたの?」と逆に驚きだったとも言える。

核兵器の製造に使用される可能性もあるフッ化水素など3品目の輸出優遇見直しから約1か月。

次々と明らかになった韓国企業の脇の甘さは日本側を絶句させるものだった。

大量破壊兵器や生物化学兵器などの製造に転用可能な物資が、

シリアやイランといった北朝鮮の友好国に不正輸出がくり返されており、

その数は2016年1月から今年3月までの間に、142件も処分対象とされていた。

もちろん処分されただけでこの件数なので、水面下でどのくらいの不正輸出がされているかは想像もつかない。

政府はこの事実を把握し、安全保障のための国内の輸出管理体制の見直しをどのようにするか詳細な検討に入っていた。

経産省の幹部が言うように「これは氷山の一角と思われる」ということになるのだろう。

まずフッ化水素など三品目の韓国への輸出管理を強化することを決めて発表したのが7月初め。

それから1か月の時間的余裕を韓国に与え、韓国が厳格な輸出管理に向けて「姿勢転換」をするかどうかを待ったのである。

これらは、GATT(関税及び貿易に関する一般協定)21条で定められている「安全保障例外」の規定に基づいた措置であり、日本側には全く手続きに瑕疵(かし)はない。

韓国の反発を想定して慎重の上にも慎重を期したものだった。

しかし、韓国は予想通り、猛烈に反発した。

日本を激しく糾弾するばかりで反省もなく、韓国国内の反日感情を支持率アップの材料として利用し、同時に日本国内の“媚韓勢力”を総動員して政権攻撃を仕掛けてきた。

しかし、その甲斐なく逆に参院選でも政府与党への支持を固めさせる作用を及ぼし、消費増税への国民の反発まで“吸収”して安倍政権は国政選挙「5連勝」という最多記録を更新したのである。

だが一貫して韓国の利益を代弁してきた朝日新聞を筆頭とする新聞やテレビは

「なぜ対話ができないのか」「両国の信頼関係をもう一度構築しよう」という、うわべだけの偽善報道に終始し、自国の政府に圧力をかけ続けた。

「誰がここまで韓国の増長を許したのか」

「また日本側が譲歩して、今後の日韓関係がうまくいくのか」という根本的な疑問は、もちろん新聞だって持っている。

それが「うまくいかないこと」はもとより承知の上なのだ。

それでも韓国の肩を持ち、自国を貶める新聞人のメンタリティは拙著『新聞という病』をお読みいただきたいが、私はこの1か月、外国(今回の場合は「韓国」)の利益を代弁し、日本に打撃を与える“内なる敵”がこれほど「明確に姿を晒した」期間は日本の歴史上、かつてなかった、と考えている。

その意味でこの1か月は本当に貴重な日々だったと思う。そして、その“内なる敵”の圧力をものともせず、敢然と本日、韓国を「ホワイト国」から除外したことは素晴らしいと思う。

まさに令和の日本は理不尽なことには毅然と意思表示をしていくことが確認されたのである。実に喜ばしいことだ。

一方、韓国の“プロパガンダ戦”も負けてはいない。

8月1日、名古屋市などで始まった国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」では、少女を性奴隷にした“日本人の蛮行”という虚偽の歴史を喧伝するため世界中で建てられている少女像が展示された。

アートと称して、ほかにも昭和天皇を侮辱する展示も行われていて、鑑賞に来た人々を唖然とさせている。このイベントには文化庁もかかわっており、日本国民の税金も使われているだけに、今後物議を醸すだろう。

だが、私はこれも韓国のやり方を象徴的に表わすものとして興味深く見ている。

朝日新聞の記事をきっかけに戦時中に勤労奉仕に動員された女子挺身隊のことを「慰安婦だ」と誤解した韓国では、史実をそっちのけにして「日本軍の性奴隷にされた可哀想な少女たち」という概念を創り上げ、やがてその虚偽の歴史認識が猛烈な勢いで社会に広がっていった。

韓国のすごいところは、国内の勇気ある歴史学者が慰安婦に関して真実を語ったり、あるいは本を出版しても、自分たちの意見にとって都合の悪いものだったら、忽ち非難の大合唱の中で「叩きつぶす」ことだ。

まっとうな史実が韓国では根づかない理由がそこにある。

つまり、韓国ではプロパガンダ戦で勝った側が「史実」を握り、それに抗うことはできないのである。

その意味で今回の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」で少女像の展示がおこなわれた事実は重い。

真実の歴史より、「日本でも展示されたじゃないか」という事実の方が韓国人にとっては絶対なのだ。

貧困ゆえに望むと望まざるにかかわらず、お金のために春を鬻(ひさ)ぐ商売に就かざるを得なかった薄幸な女性たち。

私は彼女たちの境遇に思いを致し、女性の人権問題として大いに語り合うことを提唱する一人だ。

だが、日本軍や日本の官憲が嫌がる婦女子を強制連行(つまり「拉致」)し、慰安所に閉じ込めて性奴隷にした、などという虚偽が流布されることは許すことができない。

当時の上等兵の給料の「30倍」という月収を保証されて集まった女性たちが、なぜこんな「少女像」として日本で展示されているのか、また、国民の税金が投入された芸術祭でこんな韓国のプロパガンダが成されるのか、私には理解できない。

日本と韓国との間の「距離」をますます遠ざけようとする政治勢力の思惑を考えると、真の日韓関係構築のための「敵」が誰であるのか、自ずとわかるのではないだろうか。私たち日本人の見識と覚悟が問われる所以である。

カテゴリ: 国際政治


未だ「第1波の教訓」も生かせない日本

2020-11-07 17:28:45 | 日記

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未だ「第1波の教訓」も生かせない日本

2020.08.06

 

8月5日、日本政府の政策大転換が実行に移された。この日から、146の国と地域の外国人入国を拒否していた日本が、わが国で在留資格を持っているビジネスマンや留学生が出国前にPCR検査をし、さらに日本でも入国の際にPCR検査を受けることを条件に「入国が認められる」ようになったのだ。

あれほど一人の感染者の「実効再生産数」を重んじて警鐘を鳴らし、これが1・0以下ならどうだ、1・8以上ならどうだ、などと神経質に議論を交わしていたことを忘れたかのように「門戸を開放」したのである。

その問題点を『NEWSポストセブン』に詳しく書いたので読んでいただきたい。
https://www.news-postseven.com/archives/20200806_1584182.html?DETAIL

中国湖北省・武漢で新型コロナウイルスが感染爆発し、今年1月23日、人口1100万人を超える武漢は都市封鎖に追い込まれた。だが安倍政権はこれを甘く見て、1月のひと月で史上最高の92万人という中国人訪日客を迎え入れた。

インバウンド収入に目が眩んだ安倍政権は、感染国、すなわち“レッドゾーン”からの流入を「まずストップする」という基本に背を向け、易々と悪魔のウイルスの日本侵略を許したのだ。そして、東京五輪も足枷になり、欧州からの入国禁止という判断も決定的に遅れて、恐ろしいまでの経済的打撃を負ったのである。

いま懸念されるのは、中小企業が倒産を余儀なくされる秋以降の“小崩壊”と、来春以降は大企業も破綻していく“大崩壊”の二段階での悲劇と言われる。私は、第1波での失敗の結果、政府も少しは「何かを学んだ」はずだと思っていた。

警鐘を鳴らすため、私は6月末、コロナの謎と中国の隠蔽の実態、日本のお粗末な対策の有様を告発した『疫病2020』(産経新聞出版)を上梓した。発売1か月で8万部を突破し、多くの読者が情けない日本の有様に危機感と怒りを共有してくれている。

だが、8月5日、在留資格のある外国人に門戸を開く条件を見て、私は仰天した。出国前72時間以内のPCR検査と、入国時の同検査、そして14 日間の自宅か宿泊施設での待機、空港からの移動手段の確保などをそれぞれ謳っているものの、すべて「要請」であり、あくまで入国外国人の「良心」に期待するものなのである。

驚くべきことに入国する外国人は自ら2週間の滞在場所や、移動するための公共交通機関以外の交通手段も「独自に」確保しなければならない。買い物などで出歩くのも自由で、中にはお酒を飲みに外出する人たちも出てくるだろう。要請という名の「無責任」が日本方式なのだ。

では、7月末時点で「110日間感染者ゼロ」を続け、「累計感染者474人、死者7人」の防疫成功国・台湾はどうだろうか。台湾ではPCR検査をして入国後、政府指定の宿泊施設で14日間にわたって「居家検疫」が科せられる。

これは、外出は不可で検温など自らの健康状態を毎日報告し、それを怠ったり、携帯電話がオフになっていれば、ただちに警官がやってくるシステムだ。食事と掃除のサービスを宿泊施設が提供するため「外出はできない」のである。

そもそも空港からその宿泊施設に行く手段も、政府による「防疫タクシー」か「防疫バス」を利用しなければならない。つまり外国からの入国者は一般の台湾人との接触が2週間にわたって完全に禁止される方式なのだ。そしてこれらに違反すれば、日本円で最高360万円という罰金が科せられることもある。

ここまで徹底すれば、入国する外国人がいても安心できるだろう。しかし、隔離ではなく要請、かつ放任の日本方式では、今から「必ず新たな蔓延を生む」と指摘されているのも無理はない。

第1波の失敗を経ても、未だに国民の命を守る術を知らない日本。今後、なし崩し的に進む「入国緩和」のさきがけとなるだろう8月5日の「在留資格者たちの入国許可」を見て、私は暗澹となった。

同じ日、台湾はビジネス客受け入れ対象国から「日本を除外する」ことを決定した。連日1000人を超える新規感染者が出ている日本を新型コロナのレッドゾーンと見なしたのである。さすが台湾は「国民の命を守る」ための判断が厳しい。

“GO TO トラベル”でも、一貫した指針と方策がなく、右往左往する安倍政権。4月~6月のGDP四半期速報値が出たら、国民は驚愕するだろう。国民の命より中国のインバウンドが大事だった政府は、これからも手痛いシッペ返しを受け続ける。

 

カテゴリ: 中国政治

歴史に裁かれる「中国の人権弾圧」に加担する日本企業

2020.06.30

 

本日6月30日、全人代常務委員会が「香港国家安全維持法」を全会一致で可決し、即日施行となった。いよいよ香港民主派への弾圧が現実になる。

2015年に中国の国家安全法が可決・即日施行され、8日後には王全璋弁護士ら民主派が一斉逮捕された「709事件」の悪夢を思い出す。しかし、日本は「遺憾表明」だけで、なす術なし。日頃、人権、人権と訴える日本の人権派も「中国が相手」になると何も声がない。

危機に晒される香港の民主派は撤退を決断した。民主派の「香港デモシスト(香港衆志)」は主要メンバーが離脱し、団体自体を解散することを明らかにした。 黄之鋒氏、周庭氏らが離脱手続きをとり、運動から離れるという苦渋の決断をおこなったのである。

周庭氏は、「本日をもって、政治団体デモシストから脱退致します。これは重く、しかし、もう避けることができない決定です。 絶望の中にあっても、いつもお互いのことを想い、私たちはもっと強く生きなければなりません。 生きてさえいれば、希望があります」とツイートした。

本当にこれまでよく頑張ってくれたと思う。昨年の6・16「200万人デモ」をはじめ、アジアの自由と人権と民主主義を守ろうとする彼らの気概には、頭が下がった。香港民主派の踏ん張りは、「歴史に残るもの」だったと言える。心からありがとうと言いたい。

一方で、いくら警鐘を鳴らしても中国市場での儲けを狙って中国で嬉々として活動する日本企業にはどうしても言っておきたいことがある。

それは「あなたたちは、なぜ人権弾圧に加担するのか」ということであり、「やがてあなたたちは日本を滅ぼすだろう」ということだ。

チベット、ウイグル、香港……等々、これほどの人権弾圧を続け、さらには、南シナ海・東シナ海で「力による現状変更」をおこなう中国共産党。その発展のために寄与する日本企業は、結局、自社の利益のためには「どれほど人々が弾圧され、たとえ将来、母国がなくなっても構わない」と思っているのだろう。

私たちはコロナ禍の中で、中国のサプライチェーンが打撃を受けたら、日本の産業がどうなるのかを目の当たりにした。それは、衝撃以外のなにものでもなかった。わかってはいたものの、国民もさすがに「ここまで」中国に依存していたとは考えが及ばなかったのだ。

事態を重く見た安倍晋三首相は3月5日に「未来投資会議」を開催し、一国へのサプライチェーン依存度が高く、同時に付加価値が高いものについては、「国内への生産拠点回帰」を図り、そうでないものについても一国に依存せず、ASEAN諸国などへの「生産拠点の多元化」を図っていくことを宣言した。

いわば産業界への中国からの「撤退指示」である。そして2020年度補正予算に生産拠点の国内回帰を促す補助金として2200億円を組み込んだ。

しかし、この「中国から撤退せよ」という指令は、儲けに目が眩んだ経済界には通じない。ジェトロが4月におこなった中国進出企業への調査では、中国の華東地域日商倶楽部懇談会の会員企業の中で、回答を寄せた710社の約9割がサプライチェーンや拠点の変更を行う計画が「ない」と回答したのだ。

世界一の燃料電池技術を持つトヨタ自動車が、清華大学との共同研究を通じて中国に貢献しているのは知る人ぞ知る。中国は燃料電池の小型化と高性能化を図り、ドローンへの応用を目論んでいる。トヨタはその中国に技術供与を行おうとしているのである。

ドローンの航続距離を大幅に伸ばし、武器として、あるいは偵察用として、軍事的に大きな力を発揮させたい中国と、それに協力するトヨタ。当然、アメリカの議会に設置されている米中経済安全保障委員会は、この事実に注目している。

もし、トヨタがアメリカから制裁を受け、北米市場を失えば、日本の株式暴落は目もあてられないものになるだろう。

私は、香港国家安全維持法が可決、即日施行された今日「6月30日」は歴史の分岐点だと思う。香港民主派の若者たちが涙を呑んで運動から手を引かざるを得なかった日。

それでも中国市場に固執する日本の経営者は、「毒を食らわば皿まで」の精神で突き進めばいい。儲けのためには自由も人権も民主も要らないという精神を最後まで貫けばいいと思う。

やがて、「歴史」が恥を知らない彼ら企業人を裁くだろう。かつての気概ある日本人とはまるで異なる今の日本の企業人に伝えるべき言葉は、もはやない。

 

 

東京の韓国大使館とサムスン電子支社に対する差し押さえ案を報復措置  日本の対応 徴用工の報復措置

2020-11-07 17:08:56 | 日記

韓国紙が「自民党が韓国大使館、サムスン電子の差し押さえを計画」と報道 この荒唐無稽な話ホントなの?【日韓経済戦争】

   徴用工問題で、韓国の裁判所に差し押さえられた被告の日本企業の資産の現金化が迫っている。もし、現金化されたら日本と韓国の対立は致命的な段階に突入する。

   そんななか、韓国の有力紙が、自民党がトンデモない報復手段を考えているとスクープした。在日本韓国大使館と、サムスン電子日本支社への差し押さえを政府に強硬に訴えているというのだ。

   さすがに政府も「法的に無理だ」と反対しているというが、この報道、どこかおかしい。ネットの声も拾うと......。

  • 徴用工問題に手を打てない文在寅大統領
徴用工問題に手を打てない文在寅大統領

自民党外交部会の強硬派が暴走?

   この「トンデモ」(?)スクープを報じたのは、発行部数が約230万部と韓国最大を誇り、歴史も古い朝鮮日報だ。編集方針は保守的で、現在の文在寅(ムン・ジェイン)政権を激しく批判し続けている。

   2020年10月18日付で「【独自】在日韓国大使館・サムスン電子日本支社の差し押さえも検討」という見出しで報じている。「独自」とトップに掲げたのはスクープであることを表している。

「日本の政権与党、自民党が韓国大法院(最高裁)による徴用賠償判決で差し押さえられた日本企業の資産が現金化された場合の報復措置として、東京の在日韓国大使館、サムスン電子日本支社の差し押さえを日本政府に要求したことが10月18日までに明らかになった。これについて、日本政府は法的検討を行い、困難だとの立場を伝えたが、自民党は依然として強硬対応を求めている」

   菅義偉首相が就任以来、徴用企業の資産が売却された場合、訪韓できないとの立場を盛んに韓国政府に伝えた背景には、自民党のこうした強硬な立場があったというわけだ。朝鮮日報が続ける。

「複数の東京の外交筋は『自民党外交部会の強硬派は、差し押さえられた日本企業の資産が売却された場合、断交を辞さないほど強硬に対応すべきだとし、東京の韓国大使館とサムスン電子支社に対する差し押さえ案を報復措置として要求した』と述べた。韓国政府を代表する大使館と財界を象徴するサムスン電子に対する差し押さえを求めた格好だ」
日本が在日韓国大使館とサムスン電子支社の差し押さえを検討と報じる朝鮮日報(2020年10月19日付オンライン版)
日本が在日韓国大使館とサムスン電子支社の差し押さえを検討と報じる朝鮮日報(2020年10月19日付オンライン版)
 

   この荒っぽい要求に対し、日本政府は法務省、外務省などが法的検討を経て、日本の憲法や法律に反しており、そうした報復措置は難しいとの立場を自民党側に伝えた。在日韓国大使館は条約に基づく治外法権区域であり、サムスン電子は(戦後に創業されて)徴用問題とは無関係な民間企業だからだ。

「それでも自民党外交部会の一部は収まらなかった。もし資産が売却されたら、東京の韓国文化院(編集部注:韓国文化を体験できる文化施設)に対する制裁、韓国の駐在外交官の人数制限などの措置を取るべきだとする要求を続けている。別の外交筋は『在日韓国大使館とサムスン電子の差し押さえというのはとんでもない発想だが、自民党がそれを求め、日本政府が法的検討まで行ったという事実が重要だ』とした上で、『それほど日本の保守層が資産の売却問題に敏感であることを示している』と指摘した」

この「大事件」を日本メディアはなぜか完全無視

韓国の出方をうかがう菅義偉首相
韓国の出方をうかがう菅義偉首相
 

   ただ、この朝鮮日報の報道にはいくつか疑問点が浮かぶ。まず、韓国紙が日本の政界の動きを「独自取材」でスクープするということが非常に珍しいということ。ほとんどの場合、「日本の〇〇新聞によると」という引用の形で報道する。これは、日本メディアが米国の政界の動きをスクープすることが稀で、「米CNNによると」「ニューヨークタイムスによると」という引用の形で報道するケースが多いのと同じだ。

   次に不思議なのは、10月20日現在、この「荒唐無稽な」自民党の動きを後追いで報道する日本のメディアが見当たらないことだ。もし自民党の外交部会で「韓国大使館とサムスン電子支社に対する差し押さえ案」が論議されたとすれば、日本の記者たちのアンテナにキャッチされるはずだ。

   3つ目は、韓国でもこの報道に対する反応が鈍く、後追いをしたのは中央日報くらいのものだったこと。10月19日付の「自民党『韓国内の日本資産が現金化されればサムスン日本支社差し押さえ』指示」という記事で、「朝鮮日報が東京発記事で伝えた」とそのまま引用する形で短く報道した。

   むしろ、韓国メディアの関心は、10月18日に訪韓した日韓議連の河村建夫幹事長の動静と、堰を切ったように靖国神社を2度も参拝して「退任後、右翼性向を露わにした安倍前首相」(ハンギョレ新聞)のニュースに集まった。

韓国側、または日本側が流したフェイクニュース?

   こうしたことから、ネット上ではこんな「観測」が流れている。

「サムスンの資産差し押さえって...日本のマスコミさえ全然報じていないのに、いったいどこから湧いてきた話なの? なぜ韓国紙に? ガセだろうね。韓国大使館の差し押さえだって法治国家の日本では無理だもの。どこかの国のように国民感情で法を歪めるなどあり得ません。そんなことより、ビザの発給停止や金融制裁のほうが現実的だし効果があるのでは」
「報復措置を事前に相手に知らせるバカはいない。この記事が事実なら自民党も相当おめでたい。国会議員ともあろう人がこんなこと言う? これじゃあ、かの国と変わらないよ。日本が感情的になってどうするの」
「自民党はホントにそんなぬるいこと言っているのか? いくらサムスンが韓国GDPの2割近くを占めるといっても、日本支社の資産などたかがしれている。1企業がちょっぴり被害をこうむるだけで、対韓国政府にはほとんどインパクトがない。どうせやるなら、国際条約違反の制裁としての金融制裁と、在韓日本企業を徹底的に撤収できるよう、タップリ財政予算を組んでほしい」
「これ、はっきり言って朝鮮日報のフェイクニュースでしょう。かの国の政府は報道機関を使って、世論の怒りを煽り立てるのが常套手段。それだけ行き詰っている証左でもあるが...」
「いやあ、逆に日本政府か自民党がリークしたのでは。こういうわかりやすくて派手なお仕置きをちらつかせて、『そんなことできっこない!』と相手を安心させておいて、後からじわじわと効いてくる、気づいたときには顔面蒼白になる効き目のあるお仕置きを用意していると思うよ」

(福田和郎)


韓国が日本との軍事協定の破棄発表~日本の国益を見直すいい機会

2020-11-07 16:56:57 | 日記

韓国が日本との軍事協定の破棄発表~日本の国益を見直すいい機会

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月23日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。日韓関係の悪化について、アメリカの視点も踏まえて解説した。

 

外務省で取材に応じる河野太郎外相=2019年8月22日、東京都千代田区 写真提供:産経新聞社

 

韓国が日本との軍事協定破棄を発表

韓国大統領府は22日、日本と結んでいる軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄することを決めたと発表した。

GSOMIAは主に北朝鮮などの脅威に対応することを想定して、日韓双方が機密情報をやり取りする際のルールを定めたもので、朴槿恵前政権下の2016年11月に締結して以来、日韓両政府による安全保障上の連携の象徴とされて来た。

飯田)24日までに日本に通告、協定は11月22日を最後に終了となります。

メールやツイッターでもご意見をいただいています。“かずだるま”さんから、「GSOMIA破棄、この問題は話題になると思いますが、これについて左や右などの意見ではなく、中立公平的な観点からお話が聞きたいです。

日本にとってのメリット・デメリット、第3者の立場からの意見が聞きたいです。通勤時に聞いています」といただきました。

宮家)私が適当な人間かどうかはわからないけれども。GSOMIA破棄について、きょう(23日)のニューヨークタイムズに何が書いてあるかと思って、早速見たのですよ。朝刊の紙面だったのですが、どこにも載っていないのですよね。インターネットバージョンでは、5時間くらい前に出ていましたが。日韓では大騒ぎだけれど、ニューヨークタイムズの紙面には一言も載っていなかったのです。

飯田)22日の夕方に一報が入りましたよね。

宮家)1つくらい記事があってもいいではないですか。ニューヨークタイムズだけが新聞ではないけれどね。

日韓について関心のないアメリカ

宮家)私が申し上げたいのは、要するにアメリカはあまり関心がないように見えるということです。

もちろん関心を持つ人はいますけれども。できるだけ中立的に言えば、日韓は大騒ぎで、北朝鮮や中国も関心を示しているけれど、アメリカのほとんどの人は知らず、アジア関係の学者、研究者が言っているだけという状況なのです。

 

我々は渦中にいるから大嵐に見えるけれども、実はコップのなかの嵐のように見られているということが、今回分かったことですね。

 

それが何を意味するかと言うと、実はアメリカ人の多くはこの問題に関心がないということです。日韓関係がおかしくなったのは、特に韓国に問題があることは事実なのだけれども、それが前提でもう少し中立的に言えば、アメリカも何をしてくれているのかと言いたいのですよね。いまごろ「失望」を表明したりしていますが、一体何を言っているのかと思います。

 

2018年米朝首脳会談-Wikipediaより

 

北朝鮮に会うと決めたのはトランプ大統領

宮家)このGSOMIAの問題は、1965年の基本条約に韓国の最高裁が手を付けたときから、必ず問題になることはわかっていました。アメリカを批判するつもりはありませんが、大きな流れのなかで言えば、トランプさんが去年(2018年)3月、急に金正恩さんに会うと言い始めた。6月12日、シンガポールで実際に会いましたよね。そのシナリオは、文在寅さんが金正恩さんと話をしてやったものだと思います。トランプさんにそのような意図があったかどうかは別として、文在寅さんからすると、「アメリカは韓国のやり方を支持してくれているのだ」と思う。北朝鮮に会う必要もないのに会ってしまう、文在寅さんをその気にさせてしまう、でも、それを仕向けたのはトランプさんではないですか。彼に深い外交戦略があってやっているのならばいいけれども、要するにパフォーマンスでやっているだけではないのか。文在寅さんからすると、アメリカの支持を得られれば日本との連携なんて関係ない、我々はアメリカや北朝鮮と直接話すのだといって、どんどん日本との関係をないがしろにすることになります。

 

日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」の式典で演説する文在寅大統領(韓国・天安)=2019年8月15日 写真提供:時事通信

 

韓米日の同盟関係が離れつつある

宮家)もう1つ大事なことは、いつも私が言っていることですが、韓米日の冷戦時代の同盟関係から、韓国が明らかに離れつつあることですよね。東アジア地域の国際環境が変わったことが関係しているのだろうけれど、もう少し早くからアメリカがもっと強く言うべきだったと私は思います。

GSOMIA問題を放置して、いまごろ失望したと言われても困る。安易に北朝鮮と会わないで、むしろ既存の同盟関係を重視するべきだったのですよ。それを重視しない方向にどんどん進んで行けば、文在寅さんだって「だったら日本との関係改善はやらない」という方向に進んで行くに決まっています。来るところまで来てしまったし、今後も行くところまで行くと思うけれども、決して日本や韓国、アメリカにとってもいいことはないですよ。笑っているのは北朝鮮と中国なのですから。そして、遠目でそれを笑っているのはプーチンさんです。何でこうなってしまったのか、全体が緩んで来ているなというのが、できるだけ客観的に見た見方ですよね。

 

会談を前に記念撮影する(左から)韓国の康京和外相、中国の王毅外相、河野外相=2019年8月21日、北京郊外(代表撮影・共同) 写真提供:共同通信社

 

日本の将来を考える機会になる

飯田)文在寅さんの個人的な資質がまったくないわけではないけれども、全体の流れとして、例えば韓国の大統領がこれから変わったとしても、状況は変わらないということですか?

宮家)そうですね。悪い意味ではなく、これは一種のポピュリズムだと思います。韓国はどちらかと言うと、左派のポピュリズムですよね。

アメリカは右派のポピュリズムです。そういうものを見ていると、日本も気を付けなくてはと思いますよね。いまは冷静にものを見て、日本の国益は何かということを見直すいい機会だと思います。韓国はどうしようもないので、この敵でも友好国でもない状態を維持するのが精一杯だと思いますけれども。将来大きく東アジア安全保障情勢が変わって行くときに、日本はどのようにして生き延びるのかということを考える、いい機会になればと思います。

飯田)安全保障の専門家が指摘するのは、かつてアチソンラインというものがありましたが、対馬海峡が最前線になるかという。

宮家)1950年1月ですね。

飯田)でも、同じようなことになるのでしょうか。

宮家)韓国のずるいところと言ったら申し訳ないですが、中国や北朝鮮と関係改善をしたい一方で、米韓同盟もいまのまま維持したいという部分がある。日本は切り捨ててもいいけれど、アメリカは必ずついて来ると思っているのかもしれません。あれだけの基地を提供して米軍プレゼンスがあるのだから、まさかアメリカは撤退なんてしないだろうと、どこかで高を括っているところがあると思うのですよ。

でもアメリカの反応を見ていると、本当に韓国は同盟国として大丈夫なのかということになれば結局、韓国の大統領は自国の首を絞めることになります。本当にそれでいいのかと言いたいですね。

飯田浩司のOK! Cozy up!
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