北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

陸上防衛作戦部隊論(第三四回):装甲機動旅団編制案の概要 施設科部隊の概要

2015-10-21 22:58:30 | 防衛・安全保障
■装甲機動旅団施設部隊
装甲機動旅団、広域師団の軽量部隊である航空機動旅団に対し機動打撃力を集約した装甲機動旅団の施設部隊はどうあるべきなのでしょうか。

施設大隊は、 大隊本部、第1施設中隊、第2施設中隊、第3施設中隊、として大隊編制を採るべきです。架橋器材等は旅団段列の前進用に大隊本部付装備とすべきですが、攻撃衝力が重要な装甲機動旅団にあって、地形障害や地雷などの障害除去は寸秒を争うものといえ、中隊規模で攻撃前進に参加すべきです、また、予算面では厳しいものですが装備品の装甲化は真剣に検討されねばなりません。

中隊数3個について、機械化大隊と特科大隊に軽装甲機動車中隊と重火器中隊という編成には過大に見えますが、選択肢としては二つのものが考えられました、そのもう一方の案は大隊編制を2個中隊とし、1個中隊を戦闘工兵任務小隊ごとに連隊戦闘団へ配属し、もう1個中隊を建設工兵器材と共に陣地構築など防御戦闘を主体とした旅団直轄任務へ充てるというもの。

しかし、戦闘工兵装備の1個小隊では、障害除去における地雷原処理車と、施設作業車乃至装甲ドーザ等第一線の工兵戦闘に資する装備を配備しただけで、その他の任務へ対応できなくなります、連隊戦闘団編成時には普通科連隊本部管理中隊に施設作業小隊があり、この支援を受ける事も前提ではありますが、増加配備が小隊では過小でしょう。

実際問題、自衛隊が既に編成している旅団では当初施設中隊編成を採ってきましたが、この能力では作業量と部隊運用に際し小隊数が不足し、方面隊施設部隊の支援を受ける事となっています、そこで方面隊隷下の施設団は本来建設工兵任務で当たる部隊だったのですが、旅団支援へその能力を増強配備する事となりました、これでは何のための方面施設部隊なのか、とも。

従って、大隊を2個中隊基幹とする場合には、中隊に近い増強小隊を編成し、普通科連隊の施設作業小隊も増強する事で施設作業小隊には戦闘工兵用の装備は保有されていますが、車両用地雷除去装置や装甲ドーザ等は配備されませんので能力が劣る混成編成となる前提で、総合し連隊戦闘団編成時に実質的な施設中隊に当たる部隊を編成できる体制とするか、代案はこれだけ。

ただ、自衛隊の施設部隊は、大きな問題に直面しているのも事実です、それは国際平和活動の増大という部分です。施設科部隊は戦闘職種よりも国際平和協力活動へ、特に我が国が後方支援分野に特化し部隊を派遣してきましたので優遇された、という部分の光と影です、人員充足面ではある程度優遇、との声もなくは無いのですが戦闘工兵装備が、国際平和協力活動に不可欠の装備では無い為、優先度が低められた実態があるのです。

北大路機関:はるな くらま
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航空防衛作戦部隊論(第十九回):航空防衛力、飛行場防衛に関する指針

2015-10-20 23:05:24 | 防衛・安全保障
■飛行場を防衛する
F-15の分散運用、について。

これは中距離弾道弾脅威や巡航ミサイル脅威から主要基地に依拠する単線的な防空体制は比較的短期間の航空優勢喪失により破綻しかねない、そして基地機能回復までの間隙を縫って航空優勢を敵側の攻勢の下で喪失したまま推移すれば全般航空作戦体系基盤をも早期に喪失しかねない、この危惧への解決策として非常に少ない現実的選択肢の一つ。

その為には、南西諸島の空港、那覇空港、粟国空港、伊江島空港、久米島空港、慶良間空港、北大東空港、南大東空港、宮古空港、下地島空港、多良間空港、新石垣空港、波照間空港、与那国空港、種子島空港、屋久島空港、奄美空港、喜界空港、徳之島空港、沖永良部空港、与論空港、薩摩硫黄島飛行場、を如何に機能維持し防護するかが重要な位置を占めてくることは言うまでもありません。

可能であれば、これら島嶼部に陸上自衛隊の駐屯地を置き、警備隊を、対馬警備隊方式の離島警備部隊を配置、本部管理中隊と普通科中隊を基幹とし軽装甲機動車や中距離多目的誘導弾に91式携帯地対空誘導弾を装備する警備部隊による防護網を構築する事が理想ですが、下手にこれを行ってしまうと沖縄本島の第15旅団隷下に40個中隊を増設しなければなりません、旅団普通科連隊換算で10個、これは現実的とは言えないでしょう。

ここで南西有事の際に威力を発揮するのは陸上自衛隊改編構想において繰り返し提示している広域師団航空機動旅団の統合機動防衛力です。広域師団は全国の陸上自衛隊師団を総合近代化師団の機械化師団と機甲師団、即応近代化師団、総合近代化旅団、即応近代化旅団の自動車化旅団と空中機動旅団まで、二つの機動旅団へ改編、装甲機動旅団と航空機動旅団へ改編するという案を提示しました。

装甲機動旅団と航空機動旅団は、装甲機動旅団が装甲装備を集約し戦車集中配備による戦車大隊を維持した上で普通科部隊を装甲化、方面隊隷下の方面特科部隊より全般支援火力を、方面施設部隊より戦闘工兵装備を集約し機動打撃部隊とする。航空機動旅団は方面航空部隊の多用途ヘリコプターと対戦車ヘリコプターを全て管理替えし、一部輸送ヘリコプターを飛行班単位で集約、軽装甲乃至自動車化部隊と組み合わせ機動力を強化するもの。

広域師団は装甲機動旅団と航空機動旅団を各1個の基幹により師団を編成するものですが、南西有事の際には航空機動旅団を編成される統合任務部隊司令部隷下に集約し、機動運用することが考えられます、旅団普通科連隊換算で10個が必要と記しましたが、航空機動旅団は各方面隊を併せ5個編成し、各旅団が3個普通科連隊を基幹としますので、15個普通科連隊が機動力と共に展開部隊の戦闘序列に含まれます。

北大路機関:はるな くらま
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航空防衛作戦部隊論(第十八回):航空防衛力、島嶼部等暫定分屯基地展開

2015-10-19 22:11:33 | 防衛・安全保障
■島嶼部等暫定分屯基地展開
航空防衛力に関して、防衛力の集中と分散配置をここまで提示してきました。

全国の要撃に当たる航空団を一旦航空隊に縮小し、その航空隊数個を以て少数の大型航空団を創設する、という試案、航空団は78機の戦闘機を3個航空隊へ配置します。この案を進めますと、北部航空方面隊と中部航空方面隊に西部航空方面隊及び南西方面航空混成団へ配置した場合、所要の戦闘機数は312機、となります。航空自衛隊の戦闘機数が330機となりますので、なんとかなりそう、と錯覚するところですが、在場予備機と技術実験所要の航空機が必要となりますので、実際は330機のもとでは不可能ではあります。

ただ、那覇基地の第83航空隊を第9航空団に改編する際、当面現在の一個飛行隊20機の定数を二個飛行隊基幹とした場合、編制完結に関して必要となる戦闘機は274機、一個飛行隊定数を26機の2個航空隊基幹とした場合では3個航空団と併せ所要は286機となります。現在の防衛大綱における戦闘機定数は280機ですので、274機か286機ならば、一応約280機、として対応出来るやもしれません。

防空の維持と制空戦勝利の要素は如何に早く空港を応急基地化出来るかにかかっています、南西諸島の空港としては那覇空港、粟国空港、伊江島空港、久米島空港、慶良間空港、北大東空港、南大東空港、宮古空港、下地島空港、多良間空港、新石垣空港、波照間空港、与那国空港、種子島空港、屋久島空港、奄美空港、喜界空港、徳之島空港、沖永良部空港、与論空港、薩摩硫黄島飛行場、21か所に上る。基地として確保する事は同時に相手が占領し敵の基地として使用させないという意味でも重要性があり、またこれら空港は非戦闘員疎開の交通拠点でもあり、防御する必要があります。

地方空港への緊急展開に際しては、まず初動に必要な、具体的には着陸した戦闘機を再整備させ数回分の戦闘空中哨戒に必要な燃料コンテナと最低1回分の再武装に必要な弾薬、航空管制を早期警戒管制機などに依存し最小限の陸上通信機材、可搬式通信装置、空港事務所や近隣自治体との連絡用小型車両、初動警備用の最小限の機関銃と要員、C-130H輸送機3機に搭載可能とし、その後、増強する方式を採れば迅速に展開可能です。

一方、整備車両や通信車両に起重機や施設機材と牽引機材等車両は、従来の飛行場において運用するものとは別に、航空団規模で空輸に適した軽量な車両を開発し配備する事も重要で、緊急展開するのだ、という認識を、整備機材まで含めて大規模な部隊を遠隔地に展開させる支援装備体系へ昇華させ、併せて航空団に緊急展開用人員の部隊を配置する必要があります。

もちろん、輸送任務は統合任務部隊として陸海く協同で行う他、武力攻撃事態法による指定協力企業の貨物輸送機や民間フェリーによる展開、可能であれば南西諸島を念頭とする場合、本州と北海道の部隊を沖縄本島の米軍基地まで、米軍による輸送支援を要請する、という選択肢も考えなければなりません。

靭強な防空戦闘を展開するには、まず基点となる航空基地を一つでも多く確保し、一カ所に集まる事の弊害、滑走路破壊による基地機能麻痺の損失を防ぐと共に、南西諸島を舞台とする場合には各飛行場に攻撃側が飽和攻撃を試みる場合でも、逆に飛行場適地を多数配置する事で相手に充分な攻撃を行わせない、という抑止機能を発揮させることが可能で、この他、ペトリオットミサイル部隊の展開による防空拠点、海将自衛隊哨戒機部隊、これは固定翼とヘリコプターともにですが臨時着陸と給油の拠点として、活用できるでしょう。

他方、一時退避先の飛行場として即座に発着する飛行場施設、数回の理発着を想定する臨時分屯基地としての飛行場、分屯基地として主要基地が機能を回復するまでの間に運用する飛行場施設とを明確に分けなければなりません、何故ならば、即座に完全な分屯基地機能を発揮させることは理想的であったとしても現実的には不可能なので、まず段階的に必要な要素を追加してゆく柔軟性が重要な位置を占めるでしょう。

これは同時に、地方空港として21か所の飛行場と滑走路、この中で那覇空港は自衛隊設備がありますが、これ以外の飛行場は絶対に敵空挺部隊及び水陸両用特殊戦部隊による破壊と占領から防護しなければなりません、これら飛行場は我が国防衛の重要な資産であると共に侵攻側としても遠隔地での制空戦には空中給油機等の支援が絶対必要であり、それよりも我が国の飛行場を奪取する選択肢は当然考えられます。

そして利用できないならば破壊、という相手の選択肢も封じなければなりません。この為には空挺部隊か空中機動部隊による陣地展開と空港防護体制が必要となります、小隊規模であっても軽装甲機動車等を予め展開しておくことである程度までは抑止できるでしょう、しかし航空自衛隊へ空挺連隊を編成し那覇ヘリコプター空輸隊等により空輸する、という選択肢は現実的では無い為、那覇の第15旅団の空中機動能力と普通科部隊強化により達成する事が現実的です。

北大路機関:はるな くらま
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航空防衛作戦部隊論(第十七回):航空防衛力、暫定分屯基地への展開規模

2015-10-18 00:11:35 | 防衛・安全保障
■戦闘機暫定分屯基地
戦闘機を分散展開させるという試案ですが、支援部隊の暫定分屯基地への展開規模はどの程度とするかについて。

航空団を各航空方面隊へ各1個航空団とし、航空団は3個航空隊を基本編成とする。航空団は航空団司令部、各航空隊、機動整備補給群、を基幹とする。各航空隊は、飛行隊と整備補給群に基地業務群を隷下に置く。3個航空隊は2基地に展開し、必要に応じ1個航空隊が機動運用される、その際に機動整備補給群が空輸展開される。飛行隊は8機の飛行中隊3個を基幹とし、最大で三箇所の飛行場へ分散展開可能とする。

F-15飛行中隊、整備分遣隊、基地防空分遣隊、警備小隊分遣隊、機動施設小隊分遣隊、航空管制分遣隊、航空通信分遣隊、補給小隊分遣隊、展開する部隊規模はこの程度でしょうか。基地防空分遣隊は、20mm高射機関砲VADSではなく、スティンガー小隊のみを配置し、警備小隊は軽装甲機動車4両を派遣し、無人監視器材等を活用すれば、小隊規模の警備小隊でも防護が可能でしょう。もちろん、有事となれば統合任務部隊が編成されますので、防空や要員支援に海上自衛隊の護衛艦を離島近傍に展開させ補完する選択肢もありえる。

ただ、一回で一挙に輸送して急速に基地機能を展開するのではなく、最初の24時間に必要な航空機整備機材と最初の48時間に孤立して対処し得る飛行場自衛機材を第一段階、続く72時間を航空作戦を維持できる支援機材を送るか基地を占拠されないよう防備要員を残し戦闘機は転地するかという二類型の第二段階、中長期的に拠点航空基地を補完する補助機能を維持する機材を展開させる第三段階、と分ける必要があります。重要なのは、どの離島を基地として展開するかは統合任務部隊司令部が適宜判断し柔軟に対応できる基盤が必要、ということ。

移動式管制塔 J/TSC-701、航空自衛隊の装備として数は多くありませんが基地機能を輸送可能な装備があり管制シェルターと通信シェルターより構成、UHF/VHF対空無線機を装備し航空管制を可能としているほか、飛行場内の通信基幹を構成でき、構成装備を輸送機及び輸送ヘリコプターにより空輸可能という装備があります。他方、自衛隊統合無線基盤を利用し、艦艇からの航空管制支援を行う、その前提とした統合航空作戦支援調整所を陸海空統合で準備しておくことで、実際に展開しなければならない器材を局限化する事も可能です。

F-15戦闘機8機、最初の段階の24時間の防空作戦を念頭に置く場合ですが、万一の際は他の基地に航空機を転地させ、一種の飛行場疎開に近い扱いであると割りきれば、要員は野外自活車を空輸展開させ、空港施設近くに駐車する、ただ指揮通信車両は長距離通信が必要となりますので通常のマイクロは開戦では対応できない可能性があり、衛星通信機能を有する車両を展開、可能であれば衛星通信装置として航空自衛隊の野外通信搬送装置よりも小型だる陸上自衛隊の衛星単一通信可搬局装置 JMRC-C4のような軽量且つ単体での運用可能な装備が望ましい。

飛行場防護ですが、最初の24時間であれば、スティンガー発射機2基とMINIMIの機銃陣地を2カ所程度要所に展開させれば可能でしょう、そしてもう少し長い期間の分屯基地化が確定した場合には、スティンガー小隊と軽装甲機動車を増派するとともに滑走路周辺に指向性散弾地雷を敷設すれば、小隊規模の警備能力でも空挺攻撃などへ対処可能です。参考までに陸上自衛隊が装備するスウェーデン製FFV 013指向性散弾地雷は元々飛行場防衛用のもので、滑走路沿いに配置する事で着陸する敵ヘリボーン部隊等をヘリコプターごと破砕する能力があります。

航空掩体、可能であれば必要です、これを設置できれば弾道ミサイル攻撃へ対抗する事が可能ですが、平時から多数を建設し維持保守を行う事は現実的ではありません、コルゲートメタル方式の簡易式のものを採用し、C-2輸送機等により緊急展開し適宜建築する他ないでしょう、防御力はありませんが、分散配置することで代用します。

ただし、南西諸島では台風の、北方では積雪の問題が残ります。降車には滑走路維持の問題が残り、前者は突風で航空機破損の危険が生じますから、例えば土砂災害時に用いる防災用サンドバック等を現地で組み立て、無論手で一回一回掬って砂を詰めると一個完成するまでに終戦ですので機材が必要ですが、応急的に側面部分などを防護し、構築する能力等が整備されるならばそちらの方が望ましいところです。

北大路機関:はるな くらま
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自衛隊観艦式FLEET WEEK 2015 護衛艦くらま、以下予行参加艦艇横須賀入港

2015-10-17 00:44:00 | 海上自衛隊 催事
■ヴェルニー公園FLEET WEEK
 本日土曜日一般公開されます観艦式参加艦艇、一般公開概要は2015-10-10日付記事を観ていただくとして観艦式艦艇入港について、日曜日の観艦式本番を陸上から入港を見られる方へ参考となれば、という情報を。

 イージス艦きりしま、横須賀入港、これは月曜日の1523時に横須賀のヴェルニー公園から撮影した観艦式参加艦艇の様子です。自衛隊記念日行事観艦式は海上自衛隊と同盟国友好国5か国の艦艇が参加する世界的にも規模の大きな観艦式で、一般公募乗艦券抽選は大変な倍率だったようです、しかし乗艦するだけが観艦式ではありません、そこで月曜日に行われました予行から大まかな横須賀の艦艇入港時間を特集してみました。

 ヘリコプター搭載護衛艦くらま、横須賀入港1554時、海上自衛隊の旗艦的存在の護衛艦で1981年就役と2017年には新護衛艦かが、と交代し除籍予定ですが内閣総理大臣乗艦の観閲艦です、月曜日の一般公開は外国艦艇が参加しませんでしたので、この時間はあくまで参考です、ご注意ください。

 掃海母艦うらが、1557時横須賀入港、うらが、は自衛艦隊司令部が置かれる船越地区に入港します、田浦駅が最寄り駅の船越地区ですが、あのあたりからはヴェルニー公園の手前にある船越地区への入港艦艇は観る事が出来ませんので、入港撮影はヴェルニー公園がお勧めです、写真では間近に入港しているように見えますが、カメラレンズはEF28-300mmISズームレンズを使用していまして、望遠レンズの用意が望ましいです。

 護衛艦むらさめ、1559時横須賀入港、海上自衛隊の汎用護衛艦として最初に大きくステルス設計を反映させた護衛艦です、撮影の時間帯が1600時前後ですので、夕日が眩しく入港する様子が見えます、出港ですと時間が逆光の時間帯となってしまいますので、霞がかかったような情景となってしまいます、出港dすとやや斜め後ろからの撮影になりますが、入港は向かってくる様子を撮影できるのもうれしい。

 練習艦しらゆき、横須賀船越地区入港1619時、はつゆき型護衛艦の2番艦です、はつゆき型護衛艦は12隻が建造され護衛艦隊の中核を担いましたが、順次除籍が進んでいます、しかし、尖閣諸島奪取を中国側が宣言した事に端を発する日中関係の緊迫化に伴い、後期建造艦は順次延命改修を受け、もう少し活躍するようです、しらゆき、は二番艦、頑張っている。

 ミサイル護衛艦あたご、1628時に横須賀入港です。海上自衛隊の護衛艦として初めて満載排水量が10000tを越えました、現在最大の護衛艦は横須賀が母港で今回は横浜に入港する護衛艦いずも、27000tです、護衛艦もほんとうに大きくなったものだ。吉倉桟橋へ向かてくる様子を捉えていますが、気付くことは接岸位置によっては同じ入港する艦艇でも向きが全く異なっているところですね。

 訓練支援艦てんりゅう、1634時横須賀船越地区入港、船越地区は掃海艇が入港します、吉倉桟橋にはミサイル艇が入港しまして、ミサイル艇は快速を活かし早い時間帯に戻ってきます、1459時には戻ってきていました、護衛艦などの入港は曳船、つまりタグボートが動き始めたらばそろそろ、という兆しですが、ミサイル艇はさっさと自力で入ってゆくので撮影を希望される方は是非見落とさないように。

 護衛艦おおなみ、1640時入港です。観艦式を相模湾で観るには多少の運とご縁が必要ですが、ヴェルニー公園、JR横須賀駅と京急汐入駅の前ではこのように入港の様子を見る事が出来ます。きりしま入港から一時間半、入港した艦艇は接岸へおおきく向きを変え転回しますので、艦艇をじっくりと観る事が出来ます、我が国の海上防衛における主力、日曜日の観艦式にお時間のある方は横須賀のヴェルニー公園へ足を運ばれてみてはどうでしょうか。

北大路機関:はるな くらま
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平成二十七年度十月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2015.10.17-18)

2015-10-16 21:01:17 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 今週末の自衛隊関連行事について、幸い台風もそれる見通しの今日この頃です。

 自衛隊観艦式、自衛隊記念日行事として行われます相模湾の観艦式、乗艦券抽選倍率が物凄いことになったようですが、観艦式付帯行事などでにぎわいました横須賀と横浜の一週間も今秋日曜日の観艦式本番が最高潮を迎えます。ヴェルニー公園からの出入港だけでもなかなかの迫力、是非どうぞ。

 今週末の陸上自衛隊行事としてもっとも大きなものは那覇駐屯地祭、第15旅団記念行事でしょう、沖縄県を防衛警備管区とする第15旅団は島嶼部防衛へ中距離多目的誘導弾や11式地対空誘導弾システム、そしてUH-60JA多用途ヘリコプターとCH-47J/JA輸送ヘリコプター等約20機を装備するヘリコプター隊を隷下にもつ旅団です。

 明野航空祭、陸上自衛隊航空学校明野本校が置かれます明野駐屯地にて駐屯地祭が執り行われます、OH-6DをTH-480へ練習ヘリコプターを更新し久しいこの頃ですが、明野に駐屯します第5対戦車ヘリコプター隊や第10飛行隊と共に展開する大編隊は日本の航空祭でも有数の規模の編隊となっており、お勧めの一つ。

 姫路駐屯地祭、白鷺城と謳われた姫路城城下町をやや高台に進む所に置かれた姫路駐屯地は第3特科隊と第3高射特科大隊の駐屯地で火砲20門のコンパクトな特科部隊ながらFH-70榴弾砲の一斉射撃など迫力の展示が有名、そしてレンジャー展示もコミカルな動作を加え真剣に展示する名物行事として知られています。

 出雲駐屯地創設62周年記念行事、支柱パレードが土曜日に行われます。第13偵察隊の駐屯地として知られる出雲駐屯地ですが、土曜日のパレードがメイン行事となっていまして訓練展示などは夏祭りの時期に行っています、出雲市駅前からくにびき通りにかけ実施され、市役所前にて装備品展示を行う、とのこと。

 三軒屋駐屯地祭、岡山県岡山市の駐屯地で関西補給処三軒屋弾薬支処が置かれている駐屯地です、このほか方面直轄の第305施設隊も駐屯しています、訓練展示も行われるとの事で日本原駐屯地から74式戦車が参加します、規模の小さな行事程装備品との距離が近く、独特の愉しみ方もある模様ですね。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭
・10月18日:航空学校明野本校創設記念明野航空祭…www.mod.go.jp/gsdf/akeno/
・10月18日:姫路駐屯地祭…www.mod.go.jp/gsdf/mae/3d/himeji/home.htm
・10月18日:三軒屋駐屯地祭…www.mod.go.jp/gsdf/mae/13b/sangenya/
・10月17日:出雲駐屯地創設62周年記念行事…www.mod.go.jp/gsdf/mae/13b/izumo/topp/
・10月18日:第15旅団記念行事那覇駐屯地祭…www.mod.go.jp/gsdf/wae/15b/15b/kouhou/menu.htm

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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陸上防衛作戦部隊論(第三三回):装甲機動旅団編制案の概要 特殊武器防護部隊

2015-10-15 22:46:49 | 防衛・安全保障
■特殊武器防護部隊編成案
装甲機動旅団編制案の概要、今回は部隊を核兵器化学兵器生物兵器から防護し地域除染と国民保護を担う特殊武器防護部隊について。

特殊武器防護隊は特殊武器防護中隊と特殊武器衛生隊を基幹とするべきです、ただ、旅団配置によっては化学防護隊とする判断も必要でしょう。陸上自衛隊は師団や旅団の編成に関わりなく、大都市近郊に師団乃至旅団司令部を置く基幹部隊へ特殊武器防護隊を隷下に編成し置いています。警備管区による、ということですね。

もちろん、福島第一原子力発電所事故という世界で最も過酷な原子力事故を経験した我が国は、中央の部隊として陸海空共同の旅団規模の原子力災害、これは原発への大規模攻撃による破壊活動や核攻撃と核汚染物質散布も想定した部隊として編成する必要はあるでしょう、が、広域師団隷下の装甲機動旅団のNBC戦能力について。

化学防護隊に対し特殊武器防護隊は、化学防護隊が糜爛剤や神経剤等化学攻撃へ対処する装備に限定しているのに対し、特殊武器としてほかに含まれます生物兵器や核兵器、そして放射線物質による汚染等に対処する装備を有しており、化学防護車に加えて生物偵察車を、もしくは双方の任務に対応するNBC偵察車が装備に加えられています。

近年は化学剤監視装置として、遠隔地域へ散布された化学剤等を検知する技術が装備へ反映されました、これは遠隔地域へレーザーを照射し、その反射特性の分析から化学剤汚染を感知するもので、それ以前は検知器に直接化学剤が接触しない限り感知できず、操作要員は感知即防護という鉄則がありましたが、ここが発展、装備の近代化は続き今に至る。

化学防護任務は第一に散布範囲を偵察し汚染範囲を確定し、第二に除染作業を行う除染部隊を配置しています、検知装置と除染装置だけでしたら普通科連隊等の本部管理中隊にも装備されており、自隊防護を応急的に実施する事だけは可能です。化学防護隊や特殊武器防護隊に配備されており広範囲を除染する除染車3型に対し、普通科部隊等に装備されるのは94式除染装置ですが。

この中で、特殊武器においてもっとも使用される蓋然性が高いのは化学剤です、即効性がありますし攻撃用には殺傷力が大きな神経剤、地域汚染用には持続性が高い糜爛剤、等が使用されます、対して生物剤は遅効性で軍事用途には、特に第一線で戦術的に用いるには、合理的ではありません、発症まで時間がかかりますので、ね。

特殊武器にあって核兵器は戦術核兵器が第一線において野戦部隊に投射される可能性は、冷戦初期の原子砲、大口径カノン砲から核砲弾を射撃するものですが、配備された当時は僅少ながらあったものの、今日的には非常に少なくなりました、核抑止均衡によるものです、もっとも核防護の準備はどの国も怠りませんが。

こうしたなか、特殊武器防護隊が大都市近郊の部隊に配置されているのは、市街地への特殊武器攻撃が、例えば攪乱を主体とするもの、例えばテロリズムの用途として、用いられる可能性は残っています、核物質を散布し核爆発を伴わずとも地域汚染するダーティボム、また生物兵器散布による民心動揺など、考えられるでしょう。

このため、特殊武器防護部隊は大都市近郊の部隊には不可欠です、他方、原子力災害という危険は東日本大震災により現実化しており、特殊武器防護部隊、また被爆者除染を迅速に行う必要から、対特殊武器衛生隊を広範に、現在は中央即応集団隷下に対特殊武器衛生隊として2個対特殊武器治療隊が置かれているのみですが、全国配置の必要性はあります。

ただ、中央特殊武器防護隊を増強改編し、中央特殊武器防護旅団として新編し、全国に特殊武器防護群を配置するという選択肢はあるやもしれません、特に原子力事故という油児をどの程度想定するかによりその必要性は変わってきます、この場合、旅団隷下の特殊武器防護隊は化学防護隊へ再編し、部隊防護を第一任務とするべきでしょう。

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航空防衛作戦部隊論(第十六回):航空防衛力、分散運用と戦闘継続の諸問題

2015-10-14 21:52:17 | 防衛・安全保障
■戦闘継続の諸問題
一撃で無力化されないよう分散運用を対処法に提案しましたが戦闘継続の諸問題があります。

飛行隊は8機から成る飛行中隊を3個有する体制へ拡大改編する、との案を示しましたが、F-15戦闘機8機、これだけでも決して相手には無視できる部隊規模ではありません、8機ならば緊急発進への待機が可能となりますし、航空隊全体でローテーションを確立させ戦闘空中哨戒も可能でしょう。航空隊本部展開基地はF-15戦闘機10機とUH-60JA救難ヘリコプター2機を分遣隊とする。

南西諸島、多くの飛行場がありますが特に先島諸島は中国本土からの短距離弾道弾射程圏内にあるため、宮古空港、下地島空港、多良間空港、新石垣空港以上の四箇所については短距離弾道弾の攻撃により早晩に機能を喪失する可能性があります。この為、ここを平時から那覇基地のような戦闘機部隊の展開する自衛隊基地とすることは現実的ではありません。目標となる航空基地が明確であれば有事の際に第一撃をうけるためです。

短距離弾道弾が何故脅威か、といいますと、その保有数の多さにあります。中国は台湾侵攻を念頭に大量の短距離弾道弾を保有していますが、沖縄本島や九州などを射程に収める中距離弾道弾の総数は、一桁少なく、日本が永らく整備してきました弾道ミサイル防衛システムが機能する、とはいっても飽和状態となる可能性も高いのですが現実的な範疇ともなっています。

しかし、尖閣諸島に程近い先島諸島は、短距離弾道弾の射程に収まっており、従って、先島諸島に飛行隊を基幹とする部隊を常駐させようとした場合、最初の一撃で滑走路を破壊され、離陸できない状況となる懸念があるのです。滑走路復旧は早くとも数時間を要し、その間に第二波第三波の攻撃や航空攻撃の危惧がある。その間に航空優勢維持と要撃戦闘を展開しない限り、その後の航空作戦全般への悪影響は避けられないでしょう。

もちろん、滑走路が破壊されたとしてもハリアー攻撃機のように垂直離着陸可能な航空機であれば離着陸は可能で、同様の状況が想定された東西冷戦下の欧州ではハリアーは前線航空機としてこの種の運用を想定していましたし、スウェーデンでは高速道路の滑走路転用が行われ、J-37等短距離離着陸能力の高い戦闘機が配備されていました。しかし、日本の場合高速道路は作戦部隊移動に不可欠ですし、何より住民疎開にも必要です。

滑走路破壊に備え西ドイツではロケット補助推進装置JATOをF-104に搭載しカタパルトから直接打ち出すゼロ距離発進研究も進められたほどで、アメリカもF-100戦闘機をカタパルトに設置しJATOのロケット燃焼によりそのまま打ち出すように発進する研究が行われていますが、F-15やF-2のような自衛隊の航空機では適していません。それならば、一カ所の基地に部隊を集約する事を避けるしか、実際のところ選択肢は無い。

短距離弾道弾の射程内への基地は、このほか、基地機能を維持するための必要な物資空輸を継続しなければならず、兵站線の長さが大きな負担となります。そして滑走路補修機材と部隊の維持など、兵站線の太さへの要求は更に大きくなるため、消耗戦となる可能性が高く、先島諸島へ部隊配置を行う事は、特に戦闘機部隊配置は慎重にすべきです。ただ、中隊規模の戦闘機の臨時配置ならば、最悪一撃で麻痺も念頭に検討の余地はあるのです。

北大路機関:はるな くらま
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再論:普天間移設問題、沖縄県知事の名護市辺野古沖埋め立て承認取消し正式表明を受けて

2015-10-13 22:44:32 | 国際・政治
■普天間那覇統合案/九州交代案
 普天間飛行場、アメリカ海兵隊航空部隊の展開する沖縄県唯一の海兵隊飛行場です。

 本日、移設先となる辺野古沖埋め立て工事の許可を沖縄県知事が埋め立て承認取消し正式表明し、移設計画は延期する事となりました。この普天間飛行場ですが、沖縄県の軍用飛行場としては比較的近い場所に住宅街があり、過去には墜落事故も発生しており、ブッシュ政権時代のラムズフェルド国防長官が在沖米軍施設を視察した際、世界一危険な飛行場だ、と発言したことでもともと模索されていました移設の機運が一気に高まりました。

 危険な飛行場、と言われますと一瞬身構えますが、実際に普天間へ足を運んでみますと別に誘導路と滑走路の間に集落がある訳でもなく、滑走路が生活道路になっている訳でもありません、実際、本州では平均的な立地で、京阪神でも中部方面隊のヘリ部隊総元締めである中部方面航空隊の八尾駐屯地は2km圏内に小中高等学校が20以上ありますし、伊丹の大阪国際空港などは文字通り住宅街と市街地に浮かぶ空港、岐阜基地と小牧基地も市街地と住宅街まで普天間以上に隣接しています。

 さてその普天間は移設するという事で政治問題化します、1990年代に移設の話は出ていたのですが海上へリポートとなる方針が定められ、2000年代に入り漸く名護市辺野古のキャンプシュワブ沖を埋め立て建設する方針が画定します。海上飛行場ならば万一墜落事故が発生した場合でも住宅街へ被害は及びません、沿岸部埋立については、沖縄本島は観光事業により多くが埋めたてられ、米軍基地周辺部は数少ない未開発地域で自然が残る地域であったため、メガフロート方式など海上構造物方式が模索されましたが、脆弱性の問題などから現実性が低く、名護市との長年の交渉の結果、妥協を得たかたち。

 この名護市辺野古沖移転が一転したのは、民主党への政権交代時、あまり考えず列挙した政権公約の一つに辺野古沖移転取り消しを盛り込み、民主党政権がこの施策を明示した事で、仕方なく妥協したという構図であった名護市は、移設拒否の姿勢へ一転し、市長選において移設反対派が勝利します、他方、海兵隊航空部隊の移設先問題は、他に移設する場所を考えようにも難しい状況がありました。海兵隊は水陸機動部隊です、海兵隊航空部隊は水陸両用作戦の先鋒を担う空中機動の骨幹となる航空部隊ですので、海兵隊航空部隊は陸上部隊とその訓練地域近くに駐留しなければなりません。

 嘉手納基地統合はどうか?、最初の模索はそもそも嘉手納基地は朝鮮半島と台湾有事等環太平洋地域での有事に戦闘機等350機以上を集約し沖縄周辺の航空優勢を包括する戦略拠点ですので海兵航空部隊を有事に受け入れる余裕はありません、その状況では海兵航空部隊も300機の航空機を集約する訳ですから嘉手納に合計650機を集約しようとすれば嘉手納拡張が必要でしょう。九州移転はどうか?、海兵航空部隊と海兵隊に訓練場はセットです、九州の自衛隊演習場は不足気味で水陸両用訓練を行える場所がありません。グアム海外移転はどうか、緊急展開するにはグアムから朝鮮半島と台湾海峡は遠すぎますしグアムは狭すぎます、結局民主党は代替地を考えていなかったことが裏目に出て鳩山内閣は崩壊しました。

 辺野古沖しか選択肢なし、これが民主党の結論でした。県外移転として鹿児島県奄美大島、せめて本当の外にと中国の短距離弾道弾射程内にある下地島、模索されましたが、辺野古として沖縄県と再交渉します、が、今度は譲りません。自民党へ政権復帰の後、安倍総理と当時の沖縄県仲井間知事が二者会談を行い、沖縄振興策とともに沖縄が安全である為には移転が不可欠であるとし、仲井間知事は移転を容認する歴史的決断をしました、が。当時の那覇市長であった翁長知事が選挙で選ばれると移設反対を表明、仲井間知事の辺野古沖埋め立て許可を、本日、正式に取り消し、移設工事を沖縄県が一転中断させる、これは本日までの流れ。

 私案として、普天間の那覇移転は考えられないか、当方は長らく提唱しています。現在発着枠が限界となり海上埋め立て工事を進める那覇空港を、日米防衛専用空港とし、那覇空港を辺野古沖に移設してしまうのです。県民要望は新基地建設反対ですので、那覇基地は陸海空自衛隊の共用施設、もともと海軍小禄飛行場で、海兵隊を移駐した場合でも統合ですので新基地建設ではありません。また、手狭となっている事は事実ですので、名護市辺野古に新空港を建設すれば、充分な規模の飛行場を整備できます。那覇市から名護市までは、大阪市から関西国際空港の距離がありますので、沖縄都市モノレール延長等の施策が必要になるでしょうが、併せて沖縄本島北部振興策という県民もう一つの悲願へも寄与する新空港案です。

 那覇基地統合案、これならば、那覇港が近く那覇軍港から那覇空港を通すことで米軍施設への必要な物資搬送を海上と航空基地の連絡も立地上可能です。また、有事の際の立地ですが、第15旅団、南西方面航空混成団、第5航空群、と陸海空自衛隊の中枢があり、更に貨物ターミナル地区を流用すれば、キャンプシュワブそのものを那覇空港地区に移転し名護市周辺の米軍施設の返還も実施、米軍施設跡地をそのまま名護市の仮称沖縄空港に集約し、物流拠点とすることも可能です。滑走路拡張工事が進んでいますので、岩国基地の様に、第二滑走路を米軍専用、第一滑走路を自衛隊が運用する、という区分も可能でしょう。

 一方で、陸上自衛隊へ水陸機動団が創設されますが、沖縄の第31海兵遠征隊を水陸機動団創設予定の相浦駐屯地へ移転し、目達原駐屯地等陸上自衛隊航空部隊、特に水陸機動団支援用航空部隊の駐屯予定駐屯地を米軍へ移管し、沖縄に水陸機動団を駐屯させ、海兵隊が対応する任務の一部を自衛隊が担う、という、安全保障関連法案制定前では非現実的であった方策は検討されるべきかもしれません。もちろん、自衛隊が台湾海峡有事に介入するというものではありませんしあってはなりません、しかし、台湾海峡有事に際し邦人救出へ海兵隊に代わり名護へ駐屯する陸上自衛隊水陸機動団が新しく導入される自衛隊のMV-22により台北へ展開する体制を構築し、邦人救出と共に大陸からの軍事行動への一定の抑制効果を期待することは、皆無では、少なくとも法整備によっては、ない。

 もちろん、第3海兵師団をそのまま全て九州に移転するには限界がありますので、沖縄へ訓練展開する飛行場が必要となりますし、沖縄北部訓練場を運用する関係上、沖縄と米海兵隊は断ち切る事は出来ません、しかし、相浦駐屯地は米海軍両用戦艦部隊が前方展開する佐世保基地にも近く、沖縄に4000名規模の水陸機動団を展開させ第15旅団と併せ師団規模の自衛隊部隊を海兵隊と交代する、佐世保を海兵隊拠点として沖縄にローテーション展開する、海兵隊の抑止力の一部、特に台湾海峡へ向けられているもののごく一部を邦人救出に限ってポテンシャルを発揮する体制を構築する、非常に負担が大きい私案ではありますが、沖縄の基地負担という命題と真摯に向き合うならば、検討の余地はあると、思います。

北大路機関:はるな くらま
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航空防衛作戦部隊論(第十五回):航空防衛力、本土防空と戦域絶対航空優勢維持

2015-10-12 00:41:03 | 防衛・安全保障
■本土防空との両立
航空部隊の緊急展開による有事の際の第一線航空優勢維持について。

航空部隊ですが、北部航空方面隊に第2航空団司令部を置き隷下に千歳基地の第2航空隊、新編第4航空隊、三沢基地に第3航空隊を置く。中部航空方面隊は第1航空団(仮称)司令部と第6航空隊と新編第1航空隊を小松基地に置き百里基地に第7航空隊を、西部航空方面隊は第3航空団(仮称)司令部と第8航空隊を築城基地に置き第5航空隊と新編第10航空隊を新田原基地へ、那覇基地は第4航空団(仮称)と第9航空隊及び新編部隊、を置く。

航空隊は1個飛行隊を基幹と、飛行隊は8機から成る飛行中隊を3個有する体制へ拡大改編し、飛行隊全体で指揮官機を含め26機定数とする、航空団は4個航空団体制となりますが、南西諸島の航空団は縮小編制として、残る3個航空団は3個航空隊基幹の大型航空団となり、航空団が複数の基地へ航空隊を派遣し運用する、航空隊は飛行隊と整備補給群と共に機動運用を前提とした体制を採る、こうして現在の規模でも部隊集中が容易となる。

有事の際には千歳基地の第4航空隊、小松基地の第1航空隊、新田原基地の第10航空隊、那覇基地の新編部隊、を第一線部隊の支援に第一次派遣として展開させる。第二次派遣として三沢基地の第3航空隊、百里基地の第7航空隊、新田原基地の第5航空隊、飛行教導群を第二次派遣部隊として派遣する、事態発生時の最前衛航空隊を加え約200機の戦闘機を集中させることになります。すると大きな問題に気付かされるでしょう。

対領空侵犯任務措置では、残る部隊が少なくなりすぎるのです。北部は千歳基地の第2航空隊のみで三沢は戦闘機が皆無となります、中部は小松基地の第6航空隊のみとなり首都圏の百里基地から戦闘機が全て転出します、西部航空方面隊は第8航空隊が築城基地に残るのみで新田原基地から全てが、南西方面も第9航空隊の那覇基地のみとなり、戦力不均衡が生じるのです、この空隙を周辺国に介入の糸口と利用されないようせねばならない。

そこで、航空隊隷下の飛行隊に配備される24機の戦闘機を分散運用する事として対応します、アメリカ海軍の空母航空団戦闘飛行隊定数が12機ですので24機の飛行隊であっても、稼働率を最高度に高め、併せて予備自衛官の招集による整備補給能力の強化、航空教育集団からの予備要員戦闘加入により、一定期間ならば非常に少ない航空機となった場合でも対処できるでしょう、もちろん平時の作戦機稼働率の高さに依りますが。

第2航空隊は千歳基地と三沢基地に各8機を配置させ、八戸航空基地か松島基地等周辺の基地何れかに8機を展開させる、小松基地の第6航空隊は速やかに8機を首都圏の百里基地へ展開させ首都防空を維持する、第8航空隊は築城基地から8機を速やかに新田原基地へ派遣すると共に更に8機を芦屋基地か鹿屋航空基地等へ派遣し、航空隊が一カ所に集中し基地機能喪失での運用能力壊滅を防ぐと共に防空体制を再構築することができます。

北大路機関:はるな くらま
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