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陸上防衛作戦部隊論(第三四回):装甲機動旅団編制案の概要 施設科部隊の概要

2015-10-21 22:58:30 | 防衛・安全保障
■装甲機動旅団施設部隊
装甲機動旅団、広域師団の軽量部隊である航空機動旅団に対し機動打撃力を集約した装甲機動旅団の施設部隊はどうあるべきなのでしょうか。

施設大隊は、 大隊本部、第1施設中隊、第2施設中隊、第3施設中隊、として大隊編制を採るべきです。架橋器材等は旅団段列の前進用に大隊本部付装備とすべきですが、攻撃衝力が重要な装甲機動旅団にあって、地形障害や地雷などの障害除去は寸秒を争うものといえ、中隊規模で攻撃前進に参加すべきです、また、予算面では厳しいものですが装備品の装甲化は真剣に検討されねばなりません。

中隊数3個について、機械化大隊と特科大隊に軽装甲機動車中隊と重火器中隊という編成には過大に見えますが、選択肢としては二つのものが考えられました、そのもう一方の案は大隊編制を2個中隊とし、1個中隊を戦闘工兵任務小隊ごとに連隊戦闘団へ配属し、もう1個中隊を建設工兵器材と共に陣地構築など防御戦闘を主体とした旅団直轄任務へ充てるというもの。

しかし、戦闘工兵装備の1個小隊では、障害除去における地雷原処理車と、施設作業車乃至装甲ドーザ等第一線の工兵戦闘に資する装備を配備しただけで、その他の任務へ対応できなくなります、連隊戦闘団編成時には普通科連隊本部管理中隊に施設作業小隊があり、この支援を受ける事も前提ではありますが、増加配備が小隊では過小でしょう。

実際問題、自衛隊が既に編成している旅団では当初施設中隊編成を採ってきましたが、この能力では作業量と部隊運用に際し小隊数が不足し、方面隊施設部隊の支援を受ける事となっています、そこで方面隊隷下の施設団は本来建設工兵任務で当たる部隊だったのですが、旅団支援へその能力を増強配備する事となりました、これでは何のための方面施設部隊なのか、とも。

従って、大隊を2個中隊基幹とする場合には、中隊に近い増強小隊を編成し、普通科連隊の施設作業小隊も増強する事で施設作業小隊には戦闘工兵用の装備は保有されていますが、車両用地雷除去装置や装甲ドーザ等は配備されませんので能力が劣る混成編成となる前提で、総合し連隊戦闘団編成時に実質的な施設中隊に当たる部隊を編成できる体制とするか、代案はこれだけ。

ただ、自衛隊の施設部隊は、大きな問題に直面しているのも事実です、それは国際平和活動の増大という部分です。施設科部隊は戦闘職種よりも国際平和協力活動へ、特に我が国が後方支援分野に特化し部隊を派遣してきましたので優遇された、という部分の光と影です、人員充足面ではある程度優遇、との声もなくは無いのですが戦闘工兵装備が、国際平和協力活動に不可欠の装備では無い為、優先度が低められた実態があるのです。

北大路機関:はるな くらま
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