北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

航空防衛作戦部隊論(第十九回):航空防衛力、飛行場防衛に関する指針

2015-10-20 23:05:24 | 防衛・安全保障
■飛行場を防衛する
F-15の分散運用、について。

これは中距離弾道弾脅威や巡航ミサイル脅威から主要基地に依拠する単線的な防空体制は比較的短期間の航空優勢喪失により破綻しかねない、そして基地機能回復までの間隙を縫って航空優勢を敵側の攻勢の下で喪失したまま推移すれば全般航空作戦体系基盤をも早期に喪失しかねない、この危惧への解決策として非常に少ない現実的選択肢の一つ。

その為には、南西諸島の空港、那覇空港、粟国空港、伊江島空港、久米島空港、慶良間空港、北大東空港、南大東空港、宮古空港、下地島空港、多良間空港、新石垣空港、波照間空港、与那国空港、種子島空港、屋久島空港、奄美空港、喜界空港、徳之島空港、沖永良部空港、与論空港、薩摩硫黄島飛行場、を如何に機能維持し防護するかが重要な位置を占めてくることは言うまでもありません。

可能であれば、これら島嶼部に陸上自衛隊の駐屯地を置き、警備隊を、対馬警備隊方式の離島警備部隊を配置、本部管理中隊と普通科中隊を基幹とし軽装甲機動車や中距離多目的誘導弾に91式携帯地対空誘導弾を装備する警備部隊による防護網を構築する事が理想ですが、下手にこれを行ってしまうと沖縄本島の第15旅団隷下に40個中隊を増設しなければなりません、旅団普通科連隊換算で10個、これは現実的とは言えないでしょう。

ここで南西有事の際に威力を発揮するのは陸上自衛隊改編構想において繰り返し提示している広域師団航空機動旅団の統合機動防衛力です。広域師団は全国の陸上自衛隊師団を総合近代化師団の機械化師団と機甲師団、即応近代化師団、総合近代化旅団、即応近代化旅団の自動車化旅団と空中機動旅団まで、二つの機動旅団へ改編、装甲機動旅団と航空機動旅団へ改編するという案を提示しました。

装甲機動旅団と航空機動旅団は、装甲機動旅団が装甲装備を集約し戦車集中配備による戦車大隊を維持した上で普通科部隊を装甲化、方面隊隷下の方面特科部隊より全般支援火力を、方面施設部隊より戦闘工兵装備を集約し機動打撃部隊とする。航空機動旅団は方面航空部隊の多用途ヘリコプターと対戦車ヘリコプターを全て管理替えし、一部輸送ヘリコプターを飛行班単位で集約、軽装甲乃至自動車化部隊と組み合わせ機動力を強化するもの。

広域師団は装甲機動旅団と航空機動旅団を各1個の基幹により師団を編成するものですが、南西有事の際には航空機動旅団を編成される統合任務部隊司令部隷下に集約し、機動運用することが考えられます、旅団普通科連隊換算で10個が必要と記しましたが、航空機動旅団は各方面隊を併せ5個編成し、各旅団が3個普通科連隊を基幹としますので、15個普通科連隊が機動力と共に展開部隊の戦闘序列に含まれます。

北大路機関:はるな くらま
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1 コメント

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Unknown (ドナルド)
2015-10-23 01:33:16
はるな様

20個警備隊なら40個中隊=350人×20 = 7000人。特科や施設、兵站を考えると、21000人の部隊が必要になるとのご意見、おっしゃる通りと思います。

あとは、

・21空港のうち、常時展開する空港を(那覇、与那国に加えて)9個にする。(残る11個は、「九州に近い or 東方沖の4空港は配備せず」「1500mに満たない7空港も配備せず」)ことで、追加で必要な部隊を9個(下地含む)にする --> 前回の私の提案

・警備隊を増強1個中隊200人規模に --> 必要兵力の半減

であれば、追加は9個中隊でよくなります。1800人、後方込みで5400人かと。これならば、本州の師団を2個ばかり旅団化すれば十分拠出できます。


この固定部隊と、本土から展開する9個中隊で対応するのではどうでしょう?(展開時は各部隊が2個中隊規模となる)


固定部隊は、空港警備を主任務とすれば、掩体、火力拠点や監視塔、監視カメラなどを整備でき、効率的な警備が可能になるし、必要物資の事前配備も可能になります。また、災害有事には、本土から展開するよりもはるかに早く対応できる。

地元とのつながりを確保し、衣食住を地元に依存することで、島民と良好な関係を築き、「おらが島の陸自さん」になる。こうすることで、実質的な防衛力は大きく向上するかと(島民との関係が良好で情報の流通が頻繁だと、敵工作兵や特殊部隊の事前展開が非常にやりにくくなる)。

その意味で、ある程度の固定部隊はあった方が良いかなと思いますが、いかがでしょう?ただし、他の戦域へ移動できない「典型的な遊兵」になるので、原則最低限にし、戦局に応じて、機動部隊で増強する、と。
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