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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

南スーダンPKO自衛隊派遣の活動期間六ヶ月延長を閣議決定

2015-02-18 23:23:32 | 国際・政治
◆UNMISS自衛隊派遣
 政府は現在南スーダンにおいて展開されているUNMISS南スーダンPKOへの自衛隊派遣期間を六か月間延長する旨発表しました。

 UNMISS国連南スーダンミッションは、2011年7月8日の安保理決議1996号に基づき、スーダンより独立を果たした南スーダンの国家創造支援を行う目的で開始されたもので、我が国は当時も民主党政権時代における一川防衛大臣により9月22日、自衛隊施設部隊の派遣が決定したもの。

 非常に遠い南スーダンへの補給線や情勢が不安定であり隣国スーダンとの戦闘の懸念がある中、任務は11月15日の閣議決定により派遣準備命令が発令され、南スーダン国際平和協力業務の実施に関する自衛隊行動命令が12月20日に発令されました。本格的な派遣は2012年1月7日にUNMISS日本隊旗授与式が行われ本格的に部隊派遣が開始されました。

 自衛隊の任務は330名の施設部隊を派遣しての道路建設など新しいインフラ整備、国連や南スーダン政府との調整機関としての支援調整所要員40名、更に派遣規模として航空自衛隊の輸送支援部隊へ170名と海上自衛隊の輸送艦要員など170名が派遣されるという規模で、南スーダン首都ジュバ周辺地域の任務が想定されていましたが、派遣期間の長期化とともにUNMISS派遣国のバングラディッシュが撤収するのを受け西エクアトリア州と東エクアトリア州へ活動範囲は拡大しています。

 ただ、派遣任務は非常に厳しいものとなりました。2012年に南スーダン軍がスーダン領内の油田へ越境攻撃を仕掛けたことで南スーダンスーダン国境紛争が勃発、南スーダン軍のスーダン領内油田制圧へスーダン軍が反撃を開始し、スーダン国内への侵攻が宣言されるなど、情勢は悪化を続けました。

 占拠から二週間で南スーダン軍は撤収しましたが、スーダン軍が空軍機により追撃を行い、南スーダン軍は国連機をスーダン軍機と誤認し撃墜する事件が発生、緊張が続き、紛争はエチオピア首都アジスアベバでの和平成立により終結するまでの間、実に9か月間継続しています。

 2013年末には大統領派と副大統領派の出身部族の対立を背景として南スーダン国内でクーデターが発生し、北部スーダンにおいて戦闘が拡大、自衛隊の活動地域周辺でも戦闘が展開され、この時には自衛隊も支援活動を停止させ、自衛隊も最大限の警戒態勢となりました。

 この際に避難民を収容したインド隊が襲撃され戦死者が出たほか、韓国隊が武装勢力に包囲される形で孤立し緊急の要請があったため自衛隊が保有する小銃弾10000発を緊急供与する非常措置を講じ国連ヘリコプターにより緊急空輸、自衛隊創設史上初めて緊急時の外国軍隊に対する弾薬提供という緊迫した状態となっています。

 南スーダンクーデター、この際に、不測の事態へ備え2014年に入りUNMISS部隊派遣国が装甲車や重火器などの増強派遣を決定し、自衛隊輸送機による武器弾薬の輸送支援を求めましたが、憲法上集団的自衛権行使となる可能性があるとして、実施できなかったこともありました。

 こうした情勢下、2014年10月21日に政府は10月末にて終了予定の自衛隊UNMISS派遣を四ヶ月延長し、2月末までに自衛隊の派遣は完了する計画ではありました。しかし、2月10日の閣議決定により、更に六か月間延長され、八月までの継続が決定したわけです。

北大路機関:はるな
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東北太平洋で連続地震、太平洋岸で津波観測と自衛隊機緊急発進

2015-02-17 23:12:44 | 防災・災害派遣
◆東北、二つの地震
 本日2月17日0806時と1346時に東北太平洋沖と東北地方にて強い地震が発生しました、被害の情報はありません。

 0806時の地震は太平洋沖が震源でマグニチュードは6.9、震度4の揺れを、岩手県の盛岡市、宮古市、花巻市、八幡平市、奥州市、滝沢市、矢巾町、普代村、青森県の五戸町、南部町、宮城県の登米市、石巻市、栗原市、涌谷町、美里町、秋田市、それに秋田県大仙市でそれぞれ観測しており、気象庁は津波注意報を岩手県沿岸に発令、岩手県の久慈港で0907時に20cmの、宮古港で0847時に10cm、釜石港では0838時に若干の津波を観測しています。

 1346時に岩手県沖を震源とする地震がありマグニチュードは5.7、震源が0806時の地震よりも沿岸部に近かったこともあり、観測された最大深度は青森県階上町で震度5強と震度5弱の揺れを岩手県普代村にて観測しています。揺れは北海道から関東信越四方まで広く分布しましたが、震源の位置と深さから津波の可能性は無しと気象庁は発表しています。

 揺れが大きかった1346時の地震では八戸航空基地第2航空群のP-3C哨戒機1機と松島基地松島救難隊のU-125救難機1機が地震発生地域上空を飛行訓練中であり防衛省は1350時に設置した対策本部命令により1356時より情報収集を開始しました。続いて1357時には三沢基地へ緊急発進命令が発令され、F-2支援戦闘機2機が災害初動に当たるFAST- Forceとして離陸しました。

 1358時には大湊航空基地より第25航空隊所属のSH-60哨戒ヘリコプターが、霞目駐屯地より東北方面航空隊のOH-1観測ヘリコプターと八戸駐屯地の第9飛行隊所属尾OH-6観測ヘリコプターが、1402時に、FAST- Forceとして指定されている機体が離陸し情報収集に当たっています。

 その後、三沢ヘリコプター空輸隊のCH-47Jと第9飛行隊のUH-1,更に東北方面航空隊のAH-1対戦車ヘリコプターが情報収集へ離陸し、第9師団の連絡幹部が災害情報の共有と練宅へ青森駐屯地より青森県庁へ派遣されましたが、幸い情報として自衛隊災害派遣が必要なものは無く、また上空からの観測などの情報収集を経たのちも大きな被害は無いため、情報収集を終了しました。

 2011年の東日本大震災から間もなく四年、今回発生した地震は気象庁によれば東日本大新s内を引き起こした東北地方太平洋沖地震の余震と考えられています。余震はいつまで続くかですが、1891年10月28日に岐阜県で発生した我が国観測史上内陸地震としては最大とされる濃尾地震は未だに余震を引き起こしているとされ、東北地方太平洋沖地震も今後100年単位で余震が続く、という視点は必要でしょう。

北大路機関:はるな
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イエメン情勢緊迫!、武装勢力首都制圧で日本大使館閉鎖とサウジアラビア有志連合軍事介入を主張

2015-02-16 23:05:15 | 国際・政治
◆イエメン危機に安保理決議
 イエメン情勢が緊迫しています。反政府武装勢力が首都サヌア市内を掌握しました。

 現在、我が国ではイエメンでの情勢変化に対して邦人救出などの具体任務は発動されていませんが、反体制派のイスラム教シーア派の武装勢力が首都サヌアを掌握して政権を崩壊させ治安維持が困難な状況となったことを受け、外務省は15日に日本大使館の一時閉鎖を決定、大使を含む職員5人を国外に退避させ、カタールの首都ドーハに置かれた日本大使館に機能を一時移転させました。

 外務省は既にイエメン全土に最高度の危険情報にあたる退避勧告を出していますが、イスラム系武装勢力の攻勢により治安機構が政権と共に武装勢力により崩壊させられている状況から、外国人を目標とした襲撃事件や誘拐事件が発生しており、非常に危険な状況となっています。

 イエメンの事実上の内戦状態はイエメン北部を拠点にするイスラム教シーア派の武装勢力が展開しているもので、旧政府側の残存機構は、まだシーア派武装勢力の攻撃が及んでいないイエメン南部に拠点を移したうえで、首都を占拠するシーア派武装勢力を批判し、首都の占拠状態を解除し降伏武装解除を求めると共に、国際社会への介入などの協力を要請しました。

 この動きに対し、サウジアラビアを筆頭とする中東諸国のGCC湾岸協力会議は14日に緊急外相会議を開き、必要であれば軍事介入を行う準備を進める決議を出しています。これをうけ、15日、国連安全保障理事会にて緊急開合が開かれイエメン情勢の安定を求める決議が全会一致で採択、シーア派武装勢力へ、首都の部隊を撤退、国連仲介のもとでの和平交渉に応じる要求を出しましたが、首都を占拠するシーア派武装勢力はいかなる脅しにも屈しないとして徹底抗戦の構え。

 サウジアラビアを筆頭にペルシャ湾岸諸国は軍事介入の必要性を示唆しており、有志連合を組み介入の選択肢が採られる可能性は充分あるでしょう。イエメンでは首都制圧のシーア派武装勢力への抗議デモが既にイエメン各地で展開しており、一部ではシーア派武装勢力と民兵部隊との間での戦闘も起きるなど事態は国家崩壊という状況に陥っています。

 中東ではISILのシリアイラクでの攻勢に加えてリビア国内でのエジプト国民虐殺事件に端を発するエジプト空軍のリビア空爆により戦端が開かれ、ISILに影響した可能性が指摘されている若者による北欧デンマークでの表現自由賛同集会への襲撃とユダヤ教施設への銃乱射事件等所謂過激主義が広がりつつあり、こうした中でイエメンにて新しい火種が大火となりつつある危機が進展中のようです。

 現時点で我が国は静観の構えではありますが、東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故以後原子力発電が政策により停滞する状況下にて我が国は中東湾岸地域等を筆頭に石油資源及び天然ガス資源確保を重視しており、当該地域及び周辺地域での活動も活性化していることから、巻き込まれる可能性は少なくなく、重大な関心と万一の際の邦人救出を念頭に見てゆく必要があるでしょう。

北大路機関:はるな
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榛名防衛備忘録:装甲車は何故必要なのか?:第八回・・・軽歩兵部隊への装甲車配備

2015-02-15 18:02:12 | 防衛・安全保障
◆軽歩兵の任務は不変だが
 これまでに掲載しました点から、装甲車は陣地の発展形、野戦築城として人類が経験した戦争史の延長線上に位置するものと言えることが分かるでしょう。

 一方で装甲車そのものだけで陸上戦闘が展開できるようになったわけではありません。陣地防御の装甲車の位置づけ、築城は攻撃ではなく防御の要素であることから、防御に特化した用途での装甲車の位置づけ、ということが見て取れ、攻撃の面ではまた別の用途を見出す事が出来ます。

 それでは戦車はどういう位置づけなのか、という部分についてこれは別の機械に触れるべき点ですが、戦車は勿論防御戦闘における撃破や遅滞行動における持久は無論のこと、装甲車と共に攻撃の運用において大きな威力を発揮するため、防御戦闘を押しとどめたのちには戦果拡張へ攻撃前進に転換しなければなりません。

 ここで直接照準火器により対戦車戦闘の展開は、装甲車に乗車する歩兵が運用する対戦車ミサイルなどよりも射程や地形制約が少なく瞬発交戦能力があります。更に戦車の位置づけは装甲車が歩兵に割いている部分を機動力と防御力及び火力に振り分けられるため、完全に自己完結した装備とはなり得ず、一方を整備しただけで十分な能力を保持できない、とは留意すべき点でしょう。

 一方、軽歩兵へ転換が始まります、軽歩兵の中で如何に機械化が進んだとしてもその位置は不変であり特殊歩兵という形で残るであろう空中機動歩兵や空挺部隊ですが、ここへも装甲車両を導入する動きはあり、装甲車両が無い場合、そして装甲車両を随伴できない制約下に運用される部隊は工兵部隊の支援を受けにくい環境にある事から、陣地構築へ機械化力を利用しにくく、露出し損耗を重ねるよりは軽量な装甲車両を、という動きとなったわけです。

 自衛隊の空挺団でも軽装甲機動車を有していますし、ロシア軍のBMD-1やBMD-2にBMD-3といった空挺装甲戦闘車、ドイツ連邦軍のウィーゼル空挺装甲車やムンゴ空挺装甲車、フランス軍はERC-90戦車駆逐車とともに空挺旅団にてVBL軽装甲車やVAB軽装甲車を運用しており、空挺部隊への装甲化はすすめられている、と言えるところ。

 しかしそれ以上に大きな転換は、近年の対テロ戦争における警備任務の拡大と待ち伏せ攻撃などによる被害の拡大で、これは本稿がこれまでに示しました防御戦闘とは少々異なる部分ではありますが、警備任務における待ち伏せ攻撃による被害が看過できない水準となり、この種の国際平和維持活動へ派遣される諸国では軽歩兵部隊への軽装甲車両配備を進めています。

 この種の耐爆車両は不整地突破能力等の面で限界があるのですが、それに続く後継車両が取得されるのならば、少なくとも軽歩兵部隊にも装甲車両が配備され得る点を示したもので、程度の差はあれ、装甲車両というものが今後軽歩兵部隊に対しても普及し得る事を示唆している、といえるのかもしれないところです。

北大路機関:はるな
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ウクライナ東部紛争、15日の停戦合意とG7諸国の対ロシア制裁措置強化準備

2015-02-14 20:15:00 | 国際・政治
◆親ロ派武装勢力停戦履行成るか?
 昨年初頭より続くウクライナ危機は東部ウクライナでの内戦状態へ発展し間もなく一年が経ちます。

 ウクライナ、東欧とロシアに隣接する独立国ですが、ソビエト連邦時代にはその一部であり、一方で第二次世界大戦中には親ドイツ住民が反共産軍を編成するなどソ連の一部でありながら欧州との関係を重視するなど、現在のウクライナ危機とウクライナ東部紛争に続く、親欧州と親ロシアに国論が二分されることは多々続いてきました。

 この中で、ウクライナでは大統領選挙のたびにこの摩擦が表面化する事例があり、2010年の選挙では親ロシア派の支持を受けヴィクトルヤヌコーヴィチ大統領が就任していますが、大統領はEUとの政治貿易共同協定を調印直前にロシアからの外交圧力により反故とし、これを契機として首都キエフにおいて大規模な暴動が発生、暴動は武装闘争へ展開したため、大統領はウクライナからロシアへ脱出することとなりました。

 ロシア政府はウクライナとの関係強化を非常に重視しています、特に欧州へお過度な接近を警戒しており、この背景にはウクライナ領内にあったクリミア半島にロシア黒海艦隊基地があり、黒海艦隊は欧州の地中海へ結ぶ戦略上の要衝となっているため、この拠点を維持できるかが、ロシアの対外的な能力、中東や地中海とアフリカ地域への影響力の行使を左右するためです。ウクライナ暴動が激化し、ヴィクトルヤヌコーヴィチ大統領がロシアへ出国しますと、ロシア軍は海軍歩兵部隊等を動員し、クリミア半島を武力制圧、元々クリミア半島にはソ連時代よりロシア系住民が多く、ロシア系住民居住地域を中心に実施した住民投票を以てロシア領域内へ併合を一方的に宣言します。

 ロシアの行動に欧州連合は、我が国やアメリカとともに強い非難声明を出すと共に経済制裁を開始しました。こうした経済措置や非難声明に対しロシア軍は東欧のNATO加盟国周辺での大規模演習を行いNATOを牽制すると共に、ロシア系住民の多い東部ウクライナに対し住民を煽動もしくは民兵の訓練と派遣、一説には特殊部隊の越境派遣を行ったとされます。事態が大きく動いたのは2014年4月7日で親ロシア派の武装勢力がウクライナのドネツィク州議会議事堂を占拠し一方的にドネツク人民共和国の建国を宣言し、ウクライナからの分離独立とロシアからの軍事支援を要求、ウクライナ東部において大規模な紛争が勃発しました。加えて親ロシア派武装勢力ドンバス人民義勇軍など、武装勢力の数は増大、紛争は一挙に激化します。

 7月17日にはマレーシア航空17便がウクライナ東部上空で撃墜される事件が発生、ロシア製9K37中距離地対空ミサイルが使用され、ドネツク人民共和国民兵によるウクライナ軍装備品を奪取し使用した疑念やロシア軍正規部隊の介入による撃墜及びロシア側の主張としてウクライナ軍による誤射等が指摘され、9K37は陸上自衛隊の改良ホークに匹敵する装備であるため、簡単に使用できる装備とは異なる事から世界を驚かせました。ロシア領内からのウクライナ軍への砲兵射撃などが加えられているとの指摘があり、今年にはいり、東部ウクライナ国内での民兵部隊の攻勢が激化し、住民へ昨年からの戦闘を含め夥しい被害が出ています。

 今回の停戦合意は、昨年2月17日にEUを中心に停戦交渉が行われたものの、今回の事案へクリミア半島併合以来大きく関与しているロシアのプーチン大統領が調印を拒否したため反故となった停戦交渉の焼き直しで、現地時間15日0000時での双方の戦闘停止が記されています。元々の原因は、欧州に接近するウクライナの姿勢の転換というウクライナでの国内問題に端を発した暴動により大統領がロシアへ退避したことで危機となりました。一方でウクライナに対する欧州連合の立ち位置が明確とならず、NATOも危機に際し必要な抑止力をロシアへ行使しなかったことで拡大、しかし一定以上のロシアの拡大を後になり阻止しようとしたことで問題が激化しました。放置すれば1968年のプラハの春と並ぶ危機が発生した可能性があり、現状は折衷した状況ともいえるのですが、今回の停戦合意、何処まで履行されるのか、強い関心を以て見守りたいところです。

北大路機関:はるな
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平成二十六年度二月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2015.02.14・15)

2015-02-13 23:16:03 | 北大路機関 広報
◆自衛隊関連行事
 寒波が豪雪を齎しサンダーバードが遅れる今日この頃、皆様如何お過ごしでしょうか。

 今週末、自衛隊行事の予定は出ていません。ただ、いよいよ自衛艦旗返納の時が迫っているとされるヘリコプター搭載護衛艦しらね、を見に舞鶴k地へ足を運ばれては同でy草加、既に52番砲の砲身が取り外されたようですが、土曜日日曜日と天候に問題が無ければ舞鶴基地北吸桟橋の一般公開が行われます。

 佐世保基地、毎週日曜日に行われています倉島桟橋の護衛艦一般公開ですが今週につきましては”艦艇の都合により、一時中止させて頂いております。ご理解いただきますようお願いいたします。”、とのこと。残念ではあるのですけれども、艦艇の都合という事でしたらば仕方がないですね。

 呉基地日曜日の一般公開は、訓練支援艦くろべ一般公開が予定されています、土曜日には一般公開は行われませんし、見学時間などに規定がありますので足を運ばれる方は呉基地HP等でご確認の上展開されるのがよいでしょう。この他、何かお気づきの行事情報などがありましたらば、コメント欄などでお教えいただけると幸いです。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

・ 今週末自衛隊行事予定は無し

◆注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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オバマ大統領、イラクシリアISIL掃討へ地上部隊限定派遣決議案議会提出

2015-02-12 23:55:05 | 防衛・安全保障
◆共和党は大規模介入を主張
 アメリカのオバマ大統領は10日、イラクシリアのイスラム国ISILに対し地上軍の限定派遣を含む決議案を議会へ提出しました。

 イラクシリア領内において一定地域を占領し周辺国へ脅威を高めているISILに対し現在、米軍は有志連合とともに鉱区攻撃を行い、ISILと戦うイラク正規軍やクルド人民兵部隊及びシリア反政府武装勢力などの支援を行っています。今回の決議案はこの行動をさらに拡大する、というもの。

 イスラム国掃討へは、米軍地上部隊の派遣が必要と考えられています。こういうのも武装勢力は航空攻撃により移動や攻撃などの積極的行動は封じられていますが、航空機は一定の時間を経過すれば燃料の関係上その空域を去らなければなりません、無人偵察機などが継続的に地域を監視しているもののそれにも限界があります。

 従って、望ましいのはISILの武装勢力を順次地上部隊により撃破し、航空支援の下で占領地域をISILの占領下から解放することが必要でして、2013年にフランス軍はマリでのいるラム系武装営力に対し大量の地上部隊を有志連合とともに急速派遣し一気呵成に1000km以上を進撃し、短期間で制圧した事例もありました。
 
 今回オバマ大統領は航空攻撃を引き続き強化すると共に、特殊部隊による捕虜奪還体制を確立し墜落航空機搭乗員救出の体制を固めると共にISIL指導者に対する特殊作戦部隊による制圧捕縛任務等を想定し、限定的な地上部隊の派遣を盛り込んだ決議を議会へ提出しているのですが、共和党は懐疑的で、軍事行動に過度な制限を設ければ長期化し成果が得られない点を強調しています。

 オバマ大統領が地上軍の大規模派遣に消極的な点、ISILは戦車などを殆ど有さず掠奪した装備が故障するまで動かしている程度、航空戦力についても皆無です。したがって、ストライカー旅団数個と空中機動師団の派遣により充分対応できる程度のものと言えるのですが、米軍はイラク治安作戦により長年、多くの犠牲者を出したという苦い教訓を忘れられません。

 そして、イラクとアフガニスタンからの撤退を公約として大統領選に勝利したオバマ大統領は、イラク領内から米軍を早期に撤退したことでISILがイラク港九合において勢力を伸ばす契機となっており、加えてシリアへの空爆などの開始の時期を遅らせたことがISILが現在の規模となってしまった失策を、地上軍の大規模派遣は認め、ほとんど唯一の成果というべきイラク撤退を撤回することになる事から踏み切れないのでしょう。

 一方で共和党は大規模介入を主張する背景にはオバマ政権の失策を認めさせるとともに、共和党政権時代に最も警戒したイラクの破綻国家化とテロの温床となり、テロリズムの策源地としてアメリカ本土へ脅威が及ぶという懸念が既に現実のものとなっているためです。ISILは放置すればイベリア半島のスペインポルトガルやバルカン半島と小アジア半島に黒海沿岸のロシア領内へ侵攻を宣言していますから、放置すれば世界大戦に繋がりかねません。

 しかし、オバマ政権は自らの早すぎるイラク撤退が要因となるイラク領内でのISILの肥大化を前に、地上軍を派遣するならば少なからず戦死者を想定しなければならず、もちろん放置すれば解決するために必要な人的犠牲と戦費は増大するのですが、これが政権に更なる打撃になりかねないため、別の道が無いのか、ISILの自滅を模索していますが、そう思う通りのことは起きないでしょう。

 他方で、有志連合にアメリカが主体となる事へは懸念があります、戦費が嵩みますし、元はアメリカが早期に撤退したことが要因とはいえ、認めたくはないところでしょう。このため地上部隊の派遣は最小限とし、主にイラク正規軍とクルド人民兵が前面に出て戦うよう設定するという、アメリカには損失は少ないものの長期化する懸念のある手法がオバマ大統領の提示した案で、この施策が如何に進むのか、関心を以て見守りたいところです。

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運輸安全委員会、輸送艦おおすみ遊漁船とびうお衝突事案(2014.01.15)検証結果公表

2015-02-11 23:36:28 | 防衛・安全保障
◆輸送艦おおすみ遊漁船とびうお衝突事案
 運輸安全委員会は9日に輸送艦おおすみ遊漁船とびうお衝突事案に関する検証結果を公表しました。

 本事案は、2014年1月15日に発生しました広島県大竹市阿多田島付近での海上自衛隊輸送艦おおすみ、と広島市を母港とする遊漁船とびうお、が同日0800時頃衝突した事案に関する運輸安全員会の調査結果です。海上自衛隊輸送艦は船舶自動識別装置AISを作動させていましたが、釣り船側にこの種の装備が無かったため、検証に時間を要しましたが、9日に発表となったかたち。

 輸送艦おおすみ、は阿多田島付近を定期整備へ航行中、航路に沿って南進中、遊漁船が南南西進中で、遊漁船は左舷前方から右に転針して輸送艦前方を横切る航路を採ったため、汽笛を鳴らし警告を行いつつ回避しようとして減速及び右転したところ更に接近し衝突した、というもので、回避義務は遊漁船側にあるというもの。

 この事故では、遊漁船側の船長が事故により死亡しているため、正確な情報を得る事は出来ず、GPS情報なども防水不十分で有ったため遊漁船情報は喪失、遊漁船の乗客証言は海上保安庁により否定された別のタンカーの存在や航路をよこぎった別の貨物船等の存在に輸送艦に近づいたという証言など二転三転しています。

 運輸安全委員会の発表は海上自衛隊側の航路と航行に非は無く、遊漁船側に回避義務があったという内容でした。ただ、海上自衛隊の艦艇に体験乗艦すれば、多数の見張員が艦橋につき、レーダーと併せ接近船舶はもちろん、接近しない船舶の転舵に関する見張りや漁船の場合は漁具曳航の有無を確認し、習慣化させています。漁船には専門の見張り員同乗は難しいでしょうが、注意に関する度合は異なっており、もう少しこの種の活動について報道があってもいいのかな、と思った次第です。

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防衛省クラスター弾の廃棄作業が完了、オスロ条約に基づく決定に基づく

2015-02-10 23:51:33 | 国際・政治
◆クラスター弾廃棄完了
 防衛省はクラスター弾の廃棄完了を発表しました。

 これは2010年に締結されたオスロ条約に基づくクラスター弾廃棄の完了です。クラスター弾は、多数の子弾を単一爆弾から広域に散布し一発で広範囲を制圧する爆弾を示しますが、不発弾が残りやすく、これが戦闘終了後に非戦闘員へ大きな影響を及ぼすため、人道王の問題があるというもの。

 条約ではその定義を“それぞれが20キログラムを超えない爆発性子弾を散布または放出するよう設計された通常弾で、それらの爆発性子弾が含まれるもの”とし、例外は“10個未満の爆発性子弾しか含まない・それぞれの爆発性子弾の重量が4キロ以上である・単一の目標を察知して攻撃できるよう設計されている・電気式の自己破壊装置を備えている・電気式の自己不活性機能を備えている”をすべて満たす必要があります。

 各国ではクラスター弾は航空機投射爆弾がこれに含まれましたが、我が国では航空自衛隊へCBU-87爆弾が装備され、これが該当したのですけれども、併せて陸上自衛隊が装備する99両のMLRSより発射されるM-26ロケット弾や155mm榴弾砲用の03式多目的弾等がこれに該当しました。これらは専守防衛の我が国において一発で広範囲を制圧可能な装備とし、重要性は高いものでした。そして我が国は防衛用出た国内での使用を含まない場合での使用を例外とすべき旨の主張を行い、我が国の主張は中立国の主張と重なり、しかも他国での使用を行わない説得力があったため、大きな議論となりました。

 最終的に我が国はこの討議の結果を受け入れています。現在、M-26は射程30kmから射程70kmの単弾頭型GPS精密誘導ロケット弾M-31へ換装を完了し、メーカーでは不発弾は発生しないが広範囲を一発で制圧可能となるサーモバリック弾頭型等を開発中で、航空自衛隊へは広範囲の同時制圧から精密誘導へ、GPS誘導爆弾レーザー誘導型併用へ置き換えが成っています。後継装備が装備されたものの、廃棄はいよいよ9日に完了したということです。

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榛名防衛備忘録:装甲車は何故必要なのか?:第七回・・・装甲車両に影響を与える遠隔銃塔RWS

2015-02-09 21:56:17 | 防衛・安全保障
◆RWS追加による装甲車強化
 近年の装甲車の新動向として、装甲車と装甲戦闘車の中間を担う区分が誕生します。

 具体的には遠隔操作銃塔RWSの開発です。装甲車と装甲戦闘車の大きな区分は、火力と機動力に防御力が発展した部分で、装甲戦闘車と装甲車の火力の面での最大の相違は機関銃と機関砲の責任交戦距離の相違で、続いて機動力の差異が火力を運用面と投射面双方で補う構図となります。

 装甲車は、部分的にオーストラリアのM-113FSVやオランダのYPR-765に代表されるように砲塔を追加搭載するものが開発されていますが、装甲戦闘車の定義を乗車戦闘の可否として、車内から射撃できるかどうかを分水嶺としていた頃には、例えば車内から射撃可能な73式装甲車をその範疇に部分的に入る、とした論調もありました。

 一方で機動力は装甲戦闘車の比較的重要な要素であり、戦車に随伴する装甲戦闘車には戦車並の不整地とパ能力が求められ、駆動系やエンジン出力に一定以上の余裕があります。逆に装甲車に砲塔を搭載した装甲車で装甲戦闘車の代用と使用と企図したものの出力が戦車に充分随伴できず、後日に装甲戦闘車を導入したという事例が、スペインやオランダであります。

 乗車戦闘に装甲戦闘車の定義を見出そうとする場合、上記の通り不整地突破能力の差異が戦車に協同できるのかという攻撃要素や機動防御などの運用面で、つまり戦車についていけるか行けないのかという部分で出てくるのですけれども、併せて搭載火器が命中するのか、という問題はでてきます。

 車載機銃を車内から投射できたとしても、もちろん中口径機関砲を搭載したものでも、射撃し目標に命中させる機構が無ければ意味がありません。この部分について、砲塔の後日搭載や砲塔のみの増備という選択肢があった訳なのですが、より容易な改修としてRWSを追加搭載するものが出てきている。これは治安作戦等で火力支援に威力を発揮していることがアフガニスタンやイラク等で指摘されていますが、防御作戦においても一定の位置を占めます。

 RWSは、ストライカー装甲車に搭載され我が国でも一定の知名度を有していますが、暗視装置と弾道コンピュータを搭載したものであり、機関砲では無く機関銃を搭載して着るものが基本ではありますが、重機関銃、具体的にはM-2/12.7mm重機関銃の有効射程2000mをかなりの精度により投射することが可能となるもの。

 これによって軽装甲車や従来型の装甲兵員輸送車であっても、責任交戦距離は大きくなり、火器管制装置が新しい分、初期の装甲戦闘車と同程度の能力を、夜間に限れば凌駕するといえるかもしれません。もっとも、装甲戦闘車は初期のマルダー等で重装甲のものがありますので、重機関銃では歯が立ちませんが。

 更に、監視能力が強化されたという事だけを理解し、いち早く敵を発見しようと車体を遮蔽から出す事で、相手に近代的な監視能力があった場合、逆に捕捉され強力な一撃を受ける場合がありますので、防御力などは装甲戦闘車とは違いがあり、指揮官は此処を認識しなければなりませんし、但し書きが多いのですけれども。

 この通り、重機関銃であっても貫徹力には限界がありますので、投射できるとしても威力が対歩兵用と対装甲用では大きく異なりますので責任交戦距離は必ずしも射程に応じたものではありませんが、RWSが普及はじめた2000年代に入ると、目標情報をデジタル戦域情報管理において共有化するC4I技術が発達し、目標情報そのものの意義が大きくなりました。

 極端な表現ですが、一世代前の戦車などを相手に夜間などの条件が有利な状況い限り、目標をRWSの監視能力の高さにより先制し情報優位を得て、共同交戦能力により対処することも出来るわけです。情報を収集し打撃を与える手段の増大ということで、装甲車と装甲車の中間に新しい区分が出来た、といえるやもしれあせん。

北大路機関:はるな
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コメント (2)
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