北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

防衛省クラスター弾の廃棄作業が完了、オスロ条約に基づく決定に基づく

2015-02-10 23:51:33 | 国際・政治
◆クラスター弾廃棄完了
 防衛省はクラスター弾の廃棄完了を発表しました。

 これは2010年に締結されたオスロ条約に基づくクラスター弾廃棄の完了です。クラスター弾は、多数の子弾を単一爆弾から広域に散布し一発で広範囲を制圧する爆弾を示しますが、不発弾が残りやすく、これが戦闘終了後に非戦闘員へ大きな影響を及ぼすため、人道王の問題があるというもの。

 条約ではその定義を“それぞれが20キログラムを超えない爆発性子弾を散布または放出するよう設計された通常弾で、それらの爆発性子弾が含まれるもの”とし、例外は“10個未満の爆発性子弾しか含まない・それぞれの爆発性子弾の重量が4キロ以上である・単一の目標を察知して攻撃できるよう設計されている・電気式の自己破壊装置を備えている・電気式の自己不活性機能を備えている”をすべて満たす必要があります。

 各国ではクラスター弾は航空機投射爆弾がこれに含まれましたが、我が国では航空自衛隊へCBU-87爆弾が装備され、これが該当したのですけれども、併せて陸上自衛隊が装備する99両のMLRSより発射されるM-26ロケット弾や155mm榴弾砲用の03式多目的弾等がこれに該当しました。これらは専守防衛の我が国において一発で広範囲を制圧可能な装備とし、重要性は高いものでした。そして我が国は防衛用出た国内での使用を含まない場合での使用を例外とすべき旨の主張を行い、我が国の主張は中立国の主張と重なり、しかも他国での使用を行わない説得力があったため、大きな議論となりました。

 最終的に我が国はこの討議の結果を受け入れています。現在、M-26は射程30kmから射程70kmの単弾頭型GPS精密誘導ロケット弾M-31へ換装を完了し、メーカーでは不発弾は発生しないが広範囲を一発で制圧可能となるサーモバリック弾頭型等を開発中で、航空自衛隊へは広範囲の同時制圧から精密誘導へ、GPS誘導爆弾レーザー誘導型併用へ置き換えが成っています。後継装備が装備されたものの、廃棄はいよいよ9日に完了したということです。

北大路機関:はるな
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