北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

BMD特別訓練、2月24日より27日まで横須賀基地・佐世保基地にて実施

2015-02-23 23:26:37 | 防衛・安全保障
◆BMDの日米連携強化期し
 海上自衛隊は明日24日より27日までBMD特別訓練を実施するとのこと。

 BMD特別訓練とは弾道ミサイル攻撃を念頭とした即応態勢と情報連携などの円滑な推進を期し弾道ミサイル対処に関する戦術技量の向上及び日米のミサイル防衛部隊及び司令部等部隊間における連携要領をシミュレーションにより演練するもので、今回は第五回目の訓練となります。

 訓練統裁官は日本側が自衛艦隊司令官鮒田英一海将、アメリカ側が第七艦隊司令官ロバートLトーマス海軍中将で、参加部隊は自衛艦隊司令部とミサイル護衛艦ちょうかい、みょうこう、米海軍からも第七艦隊所属艦艇が参加し、横須賀基地と佐世保基地へ停泊したままデータリンクにより結び訓練を行います。

 弾道ミサイル防衛は、弾道ミサイルを衛星などの情報により発射を感知しますと、まずイージス艦が強力なSPY-1レーダーにより飛翔体位置情報を索敵しミサイルを捕捉、即座に射程1000km以上のSM-3迎撃ミサイルを発射しなければなりません、SM-3は宇宙空間においてミサイル弾道上に滞空しミサイルがSM-3弾頭に衝突することで運動エネルギーが弾頭を破壊します。

 イージス艦のSM-3が撃ち漏らした目標は、我が国土へ降下を開始しますが、最後の盾となるのが陸上に配置されるペトリオットPAC-3ミサイルで、射程は15km程度と非常に限られ、人口密集地や重要設備のみを防空する事しかできませんが、弾頭に直撃し機能不能とすることで、落下するには変わりませんが命中して爆発し被害を出す事だけは回避する、というもの。

 特に我が国へ発射される弾道ミサイルは成層圏への弾道ミサイル上昇を早期警戒衛星などが感知してから我が国土へ落着するまでの時間的余裕は十数分しかありません、これが亜音速の巡航ミサイルであれば同程度の射程であっても一時間以上時間的猶予があるのですが、弾道ミサイルはこの時間がありません。

 この時間的に限られる状況下で確実に情報を連携し、ミサイルが飛行する区域に遊弋するイージス艦が即座に迎撃態勢を採れるよう、速度を向上させることがイージス艦が参加するBMD特別訓練の意義に他なりません。特に弾道ミサイルは、核兵器の運搬手段として重要視されているため、核兵器を保有しない我が国が核武装以外の選択肢として持ち得るのが、核兵器を発射されたとしても迎撃できる能力の整備でした。

 この整備には非常な予算を要し、維持も多くの予算を要しています。この能力を最大限維持し、万一の際に国土が弾道ミサイルによる破壊から回避できるよう日米の連携を期することがこのBMD特別訓練の意義です。停泊しシュミュレーションにより実施されることから、艦隊行動や射撃の迫力はありませんが、それ以上に重要な訓練といえるでしょう。

北大路機関:はるな
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