北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

第126次対潜特別訓練、海上自衛隊米海軍参加で四国九州南方洋上にて開始

2015-02-08 22:19:34 | 防衛・安全保障
◆護衛艦3隻が日米潜水艦5隻へ対応
 海上自衛隊は本日より第126次対潜特別訓練を開始しました。

 第126次対潜特別訓練は本日2月8日より2月16日に掛け、四国沖から九州南方に至る海域にて開始されました、参加部隊の規模は防衛省発表に拠りますと海上自衛隊の護衛艦3隻と潜水艦4隻および航空機数機が参加し、米海軍からは原子力潜水艦1隻が参加するとのこと。

 対潜特別訓練は1957年より定期的に実施されている日米訓練であり、その名の通り訓練では対潜戦闘に重点を置いて実施され、訓練統制官には海上自衛隊より潜水艦隊司令官の鍜治雅和海将があたり、米海軍からは第7潜水艦群司令スチュアートBマンチ海軍少将が当たります。

 護衛艦は対潜掃討や船団護衛などを想定し、潜航する潜水艦を捜索しますが、潜水艦も反撃を試み、発見が遅れれば護衛艦が撃破される状況も有り得ます。そして非常に静粛性の高い通常動力潜水艦と長大な航続距離と速度を持続可能な原子力潜水艦が参加し、会場の海中の駆け引きが行われる。

 低気圧の位置から、洋上は荒天となる可能性があり、この場合は対潜ヘリコプターを飛行させるのに支障がある状況、強風下では運用出来ない事もあり、護衛艦は搭載するソナーを駆使して捜索を行いますが、潜水艦はその状況を見越して索敵が行いにくい状況での襲撃、もしくは回避運動を行う事でしょう。

 海上自衛隊は対潜自衛隊と呼ばれるほど対潜水艦戦闘を重視し、続いて機雷戦対処を重視しています。これは第二次大戦中に潜水艦により海上交通路を封鎖され、機雷により港湾を閉塞され飢餓状態に陥った飢えの苦い経験に起因するものですが、そのために徹底した訓練を組んでおり、数的にも質的にも世界最高水準といって差し支えありません。

 対して、環太平洋地域の特に西太平洋地域では、軍事力による占有を以て海洋の自由という国際公序への挑戦を行う新興海軍国が急速に潜水艦戦力を含む海軍力を近代化し、戦力を増強しています。今回の対潜特別訓練はアメリカ側にも世界最高水準の対潜掃討部隊を相手とする戦術行動訓練にもなり、日米双方の海軍力と環太平洋地域全体の海洋自由受益諸国へ資することとなるでしょう。

北大路機関:はるな
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする