北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

尖閣ビデオ公開事案 第五管区海上保安部(神戸)の保安官を事情聴取

2010-11-10 12:24:05 | 国際・政治

■厳秘文書漏洩の仙石長官も国家公務員法違反

 NHK正午のニュースで神戸にある第五管区海上保安部に所属する保安官が上司に対して自分がYOUTUBEに上げた旨を報告しているとのことで、警視庁は国家公務員法の守秘義務違反の疑いで事情を聴くこととしたようです。

 今回の事案はデータを不正に持ち出して公開したことで、データを記録媒体ごと持ち出した場合は窃盗に、データを海上保安庁のコンピュータから引き出した場合は不正アクセス禁止法に、それぞれ当たる可能性がある、といわれていたのですが、今回の映像はもともと参考映像として庁内で定時されていたもの、とされています。部内で参考資料として配布されていたものを私的にコピーした場合、そのデータが秘密指定されていなかった場合には果たして秘密ではない資料が国家公務員法の守秘義務により守られるものにあたるのか、配布されたものを持つことが不正アクセスや窃盗にあたるのか、ちょっと今回の事案は無理があります。

 しかし、明確な守秘義務違反は、一つあります。明確ですので今日明日中に逮捕するか警視庁から事情聴取を受ける必要があります、当然現在の役職は辞任するべきでしょう、それは仙石官房長官。昨日、議事堂内で尖閣諸島事案に関するビデオ公開の是非を記した”厳秘文書”を傍聴席から見える位置に晒していました。共同通信の記者がこれを撮影しスクープとなったのですが、公に公開される位置に”厳秘資料”を出したのですから、明確にだめです。もっとも、国会会期中は不逮捕特権があるので、事情聴取を受けるだけなのでしょうが。

 そういいますのも、国家公務員法第二条第三項に特別職国家公務員として国会議員が明示されていまして、国家公務員法の守秘義務は守らなければならないのです。共同通信記者は、まあ、予備自衛官とかなら別なのですが国家公務員でも特別職国家公務員でもないので問題ないのですが、国会議員は守秘義務があります。尖閣諸島の衝突ビデオは道つ指定されているのではなく、公判資料なので非公開、と国会答弁で何度も明言していますので国家公務員法に引っ掛かるかは不明瞭なのですが、”厳秘”となりますと、いくら官房長官でもダメでしょう。犯罪者を野放しにはできない、と仰った官房長官です、有言実行、やるといったことは守る民主党を期待したいですね!

コメント (18)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

尖閣問題を受け、領海侵犯に対処する新法制定構想を官房長官が提示

2010-11-09 22:58:20 | 国際・政治

◆領海侵犯へ対処する法案、提出なるか?

 民主党政権が領海警備に関する新法を提示するようです、以下は日経新聞からの引用です。

Img_8482  領海侵犯対策巡り新法も視野 官房長官、尖閣問題受け ・・・2010/11/8 23:06 仙谷由人官房長官は8日の衆院予算委員会で外国船舶の領海侵犯などを取り締まる領域警備の強化を急ぐ考えを表明した。新法制定も視野に検討する。尖閣諸島沖での中国漁船の衝突事件を受け、迅速に対応できる体制づくりを急ぐ。 現行の海上保安庁法では、領海侵犯した民間船舶に状況に応じて武器を使用できるが、外国政府の船は対象外だ。相手が海保の能力を超える強力な武器を携行していても、海上自衛隊は海上警備行動が発令されないと武器を使えず、迅速な対応は難しい。

Img_3716  仙谷長官は同日の記者会見でも「海上の警察権行使のあり方、守備範囲の法整備はほとんどなされず、空白という認識を持っている」と指摘。新法制定に踏み切る場合、自衛隊の任務に領域警備活動を加え、武器使用も認めるのかが焦点になる。 菅直人首相は8日の衆院予算委で衝突事件のビデオ映像流出に関し「政府としては管理不行き届きだった。おわび申し上げたい」と陳謝したhttp://www.nikkei.com/news/headline/related-article/g=96958A9C93819481E2EAE2E1988DE2EAE3E3E0E2E3E29F9FEAE2E2E2;bm=96958A9C93819695E2EAE2E09D8DE2EAE3E3E0E2E3E29F9FEAE2E2E2

Img_5135  第一次の対処として海上保安庁が対処に、海上保安庁の警備能力を超える状況に際しては海上保安庁が対処している期間に海上警備行動命令を発して海上自衛隊の対処に転換する、という方法が領海警備には求めらてていたのですが、昨今まで実現せずようやく実現端緒に就くようです。日本政府としては、これまで領海侵犯について取り締まる具体的な法体系が欠如していたという事実に驚きは禁じえないのですが、今回の事案を契機として領海侵犯に対する具体的な対処方針の制定、というのは歓迎すべき事例と言えるでしょう。先日もロシア海軍太平洋艦艦隊旗艦ワリヤーグが対馬海峡方面に出現するなど、尖閣諸島問題に端を発する一連の日中緊張関係は日中間の問題に留まらず広い方面に影響を及ぼしているようです。

Img_5593  こうした中で現在の政府は尖閣諸島事案に関するビデオ流出を受けて、そもそも秘密指定が為されていないにもかかわらず国家公務員法の守秘義務違反を掲げ、そもそも社会性の高い情報の開示については違法性阻却事由となり得るにもかかわらず証拠ビデオの開示の違法性を一方的に決めつけ、民主党政権は情報開示事件のほうに全力を傾注しているように見えました。一方で、もしかしたらば現政権は日本の国益を蔑にして国民の生命財産および基本的人権を危険にさらすのではないか、と危惧されている中の今回の提示となりました。

Img_3709  今回の提案が具体的にどのような法律として成立するのかは余談を許しませんが、自民党についてはこの法案については柔軟な対応を示す可能性があり、一種の与野党協調の手段となる可能性もあります。他方で、内容が領海警備に必要な条件を満たしていなければ自民党を始めとした野党からの対案提示も考えられ、国家の最も基本的な領土保全という行為がどのように実現するかは現時点で未知数なのですが、注意深く見守りたいです。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

インド洋対テロ海上阻止行動給油支援再開特別措置法を自由民主党が参議院へ提出

2010-11-08 23:06:20 | 国際・政治

◆野党がインド洋給油支援再開特別措置法を提出

 自民党が参議院へインド洋対テロ海上阻止行動給油支援に関する再開の特別措置法を提出しました、朝雲新聞からの引用です。

Img_19848 11/4日付ニュース トップ :給油活動再開特措法を提出 自民が参院へ・・・ 自民党は10月26日、今年1月に終了したインド洋でテロ対策海上阻止活動に従事する外国艦船への補給支援活動を再開するため、新たに「テロ対策海上阻止活動及び海賊行為等対処活動に対する補給支援活動特別措置法案」を参院に提出した。 同法案は、テロ対策海上阻止活動・海賊行為等対処活動を行う諸外国の軍隊等に対し補給支援活動を実施し、わが国を含む国際社会の平和と安全の確保に資することが目的。

Img_16260  基本原則として、補給支援活動の地域は、いわゆる非戦闘地域のインド洋の公海などとすると規定。対象とする活動の定義では、テロ対策海上阻止活動を行う諸外国の軍隊等のほか、ソマリア沖での海賊行為等対処活動も対象にしており、自衛隊に属する物品及び役務の提供(艦船等の燃料油の給油又は給水を内容とするものに限る)に係わる活動――としている。 物品貸付、譲与については無償で行うことができるとしているほか、実施計画の決定・変更内容、支援活動が終了したときの結果を遅滞なく国会に報告することも定めている。 武器使用基準は、自己保存型に限定し、法律の期限は当初2年、延長は2年以内としている

Img_17941  民主党は国際協力に関する恒久法を制定するとして特別措置法による自衛隊派遣を野党時代に批判していましたが、恒久法、覚えているのでしょうか。現在のように尖閣諸島における事案を契機として日中関係が緊張を強いられ、一方で日米関係が普天間問題の日本側による一方的な変更と遅延の申し入れにより緊張状態が生じている中にあって、日米間の協力関係を象徴づける何かしらの事例というものが必要です。特にアフガニスタン情勢が再度激化の様相を見せ始めている中で議会中間選挙において勝利したアメリカの野党共和党はオバマ大統領が進める撤退計画に反対し、アフガニスタン情勢が安定化するまでの期間、米軍の駐留を継続できるよう提唱しており、この時期にアフガニスタンにおける米軍の任務を補完できるインド洋対テロ海上阻止行動給油支援の位置づけは、民主党が野党時代に提案していたアフガニスタンへの陸上自衛隊派遣ほどではありませんが、かなり大きなものです。

Img_18323  海上自衛隊の艦艇運用を考えれば、現在もソマリア沖海賊対処任務に護衛艦を派遣している点に加えて、旧式化する、とわだ型補給艦の代艦さえ建造できない状況下、護衛艦数も延命している状況にある訳で、そのローテーションは決して楽なものではないのですけれども、前向きに検討されるべきでしょう。民主党は野党時代にインド洋給油支援をアフガニスタン政府が評価していない、という点ばかりを強調していたのですが、内陸国に海上阻止行動の評価を聞いた故の評価であり、対テロ国際協調の面、参加する艦艇を派遣する各国の評価は高いものでした。

Img_17664  民主党は、外交に対する確たる方針を持たず、闇雲な徒手空拳の状態で全方位外交を個々に行っています。こうしたなかで決定したのが野党時代、そして総選挙に臨む際にも掲げていたインド洋対テロ海上阻止行動給油支援の中断でした。しかし、領土問題における外国への譲歩では歴代内閣でも類を見ない与党ですが、政権公約の内容には譲歩を許さないという姿勢を貫いており、ここで国益の観点から方針転換を行い得るか、政策ごとの与野党間協力が可能なのか、ということが注目されます。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

姫路駐屯地創設59周年記念行事・姫路駐屯地祭2010 速報

2010-11-07 23:09:55 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

■本日は速報記事

 本日、陸上自衛隊姫路駐屯地創設59周年記念行事が執り行われ、見学をしてまいりましたので速報にて紹介します。

Img_6890  姫路城を望見する姫路駐屯地にはFH-70榴弾砲20門を運用し第三師団の火力戦闘を担当する第3特科隊と、師団の対空警戒および防空戦闘を担う第3高射特科大隊、そして特科直接支援中隊などの支援部隊が駐屯しています。行事では式典、観閲行進、訓練展示に加え装備品展示とレンジャー訓練展示が行われました。

Img_7469  訓練展示はFH-70りゅう弾砲を前面に押し出した展示が行われまして特科隊四個中隊より五門の火砲が参加して次々と射撃展示を行いました。このほか高射特科部隊の陣地展開なども展示されたのですが、メインはFH-70の砲焔、実に13カットも撮影に成功しました、このあたりもまた後日。

Img_8032_2  姫路駐屯地祭ではレンジャー展示が訓練展示とは別に実施されまして、午後から空包こそ使用されませんが、ロープを駆使した展示や近接戦闘訓練展示をユーモアを交え実施しています。なかなか凝った内容でして、間近に見学することができる一種の体験型展示ともなっていました。まだ写真は未整理ですが、本日は取り急ぎ紹介いたしました。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

次期救難ヘリコプターに三菱重工案のUH-60J改を選定 防衛省発表

2010-11-06 20:59:10 | 先端軍事テクノロジー

◆川重KE101,ユーロコプターEC725を退けUH-60J

 防衛省は航空自衛隊が現在運用しているUH-60J救難ヘリコプター後継機の選定作業を続けてきましたが、この程決定した旨、11月5日に報道発表されました。

Img_17932 報道資料 > お知らせ > 航空自衛隊の次期救難救助機の機種決定について・・・航空自衛隊の次期救難救助機の機種決定について:平成22年11月5日防衛省:平成23年度概算要求に計上している航空自衛隊の次期救難救助機として、本日、以下のとおり機種を決定したので、お知らせします。

Img_18321 1 提案会社及び機種三菱重工業提案のUH―60J(近代化)※ UH-60J(近代化)は、次期救難救助機に関する防衛省の要求を満たすよう現有のUH-60Jをベースに三菱重工業が改良する能力向上型

2 選定理由UH―60J(近代化)は、航空自衛隊の次期救難救助機として必要な要求事項を全て満足しており、また、経費についても妥当性を有するものであった。※ 経費(機体取得経費(約40機分)及び20年間の維持経費等):約1,900億円

Img_12213_1 (参考)○ 機種選定作業の経緯:平成22年 7月 5日 提案希望会社に対して提案要求書手交  8月31日 提案会社から提案書を受領   11月 5日 防衛省において機種決定 。川崎重工業(株) KE101 (英)アグスタウエストランド社 ライセンス国産 ●三菱重工業(株) UH-60J(近代化) (米)シコルスキー社 ライセンス国産 ●ユーロコプタージャパン(株) EC725 (仏)ユーロコプター社 輸入及びノックダウンhttp://www.mod.go.jp/j/press/news/2010/11/05e.html

Img_18126  航空自衛隊は現行のUH-60J救難ヘリコプターを能力向上し、事実上の継続調達を行う事とするようです。既存機種の改良型を運用するという事は必然的に新型機種を導入する場合と比べて教育訓練や初度調達装備数を縮小できる事となり、結果的に運用コストや取得コストの低減につながります。

Img_14277  またUH-60を基本とした哨戒ヘリコプターSH-60Jが海上自衛隊には100機近く納入されており、現在はこの改良型であるSH-60Kへ順次置き換えを実施中で既に約40機が納入されています。生産は三菱重工小牧南工場で行われており、予備部品や整備効率の面でもUH-60Jの改良型を導入する事は理にかなっているともいえましょう。

Img_11050  陸上自衛隊でも中央即応集団や東部方面航空隊、西部方面隊、第12ヘリコプター隊、第15飛行隊等に配備されまして部隊は変化している可能性もありますが、現在は30機程度を運用中です。本来は200機近くを導入して旧式化したUH-1多用途ヘリコプターを置き換える構想でしたが、取得費用が大きく、多数を揃える事は出来なかったのです。

Img_18057  UH-1JとともにUH-60も細々と調達を続けてきたのですが、航空自衛隊向けのUH-60Jが生産終了するとともに量産効果の低下によって取得費用は更に増大し、一方で航続距離が1000km以上あるUH-60JAは島嶼部防衛等に必要という板挟みにあってきました。航空自衛隊にUH-60J改が配備されるのであれば、陸上自衛隊の継続調達も希望が出てきますし、全天候型の救難型を特殊戦用として導入すれば、やや費用低減につながるやもしれません。

Img_12626_1  ただ、機体の大きさを考えますとKE-101救難ヘリコプターというのも選択肢としてもう少し評価されても良かったのかな、と少し考えてしまいます。海上自衛隊ではMCH-101掃海輸送ヘリコプター、CH-101輸送ヘリコプターとして既に運用実績がありますし、ね。他方でユーロコプターが提示していたEC-725は直輸入と日本で部品の身組み立てるノックダウン生産を提示していましたから採用は難しかったでしょう。

Img_10268  海上自衛隊は館山航空基地の第73航空隊や大村航空基地の第72航空隊において救難ヘリコプターを運用していますが現在の機種はUH-60J、この後継機がUH-60系統となるのか、MCH-101の系統になるのか、そしてSH-60Kの後継機もどうなるのか、ということにはかなりの興味が涌いてきます。

Img_11113  航空自衛隊の救難ヘリコプターは洋上や山間部での航空機事故に即応体制を構える事で航空自衛隊の実戦に匹敵する訓練を担保するとともに消防や警察、防災ヘリコプターで対応が困難な遭難事案等への災害派遣、はたまた離島の急患輸送から珍しいものでは荒天期の離島からの受験生輸送まで活躍しています。今後とも万一への備えとして、期待したいですね。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (16)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

尖閣海保記録映像のYOUTUBE流出事案について 国家公務員倫理法の観点

2010-11-05 21:23:36 | 国際・政治

◆過程に問題あるが公務員内部告発の可能性も 

 国家公務員倫理法第一条  この法律は、国家公務員が国民全体の奉仕者であってその職務は国民から負託された公務であることにかんがみ、国家公務員の職務に係る倫理の保持に資するため必要な措置を講ずることにより、職務の執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為の防止を図り、もって公務に対する国民の信頼を確保することを目的とする

 尖閣諸島での日中間の緊張は、領海侵犯していた中国側漁船が拿捕された経緯が中国側の主張では一方的に漁船に対して日本側の巡視船が体当たりを行い拿捕したものだ、という主張に対して日本側の漁船が我が日本の巡視船に対し意図的に衝突を繰り返した、という主張と大きく食い違ったため、果たしてどちらが正しいのか、という事で日本側が記録しているビデオの存在に注目が集まりました。

 本日未明、尖閣諸島の中国漁船による海上保安庁巡視船への衝突事案について、わが国領海内での不法操業や海上衝突防止法違反の映像44分が画像投稿サイトYOUTUBEへ流出しました。流出した映像は巡視船二隻への衝突を記録した映像について六分割して配信したもので、海上保安官が臨検を行うまでの様子は記録されていません。民主党政権はわが国の世論を刺激して中国側に不快感を持たれたくないとの中国第一という配慮から尖閣諸島事案に関するビデオの一般公開を控えてきまして、一部国会議員へ6分と大幅に編集した動画を今月一日に限定的に公開したのみでした。今回流出した44分は議員へ限定公開された内容よりも長い事となります。

 果たして流出させたのは海上保安庁か検察関係者なのか、もしくは政治家なのか。今回の流出は、先日発生した警視庁の公安部内部資料がPCのデータ共有ソフトと連動する不具合により流出した事案とは異なり、意図的にYOUTUBEに掲載されたものです。政府としては公開を控えたいとしてきた映像について、これが意図的に掲載された、という事は一つの問題ではありますが、一種の内部告発ともいえるものです。もちろん、厳重に保管されている情報が流出したという事案は、仮に流出させたのが公務員であるのならば国家公務員倫理法にも抵触するともいえ、これが励行される訳ではないのですけれども、国家公務員は中国人民に奉仕するものではなく日本国民に奉仕する立場にあるのですから、公開の手法は非難されるべきでしょうが、公開した事は国家公務員倫理という点から、全て非難する事も出来ないように思います。

 民主党は野党時代、内部告発者保護制度の制定に積極的でした。現在の公益通報者保護法は労働基準法に関連するものですからこの法律の範疇ではないのですが、公務員による内部告発を目指した“ハトミミドットコム”を開始したのは民主党です。国益と公益のための今回の行動、自らが責任を負う、非難される立場になれば倒閣運動だ、と叫ぶのはナンセンスですが、情報公開、公益情報者、という観点から今回の事案は見てみる必要もあるのではないでしょうか。

HARUNA

コメント (20)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

平成二十二年度十一月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報2

2010-11-04 21:56:30 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 十一月、紅葉前線が北上している中いかがお過ごしでしょうか。今週末は自衛隊関連行事が冬の足音とともにいよいよ少なくなってきました。

Img_9790_1  ヘリコプター護衛艦ひえい、ミサイル護衛艦はたかぜ、が7日と8日に鹿児島谷山港一区8号岸壁にて一般公開の予定でしたが、急遽入港が取りやめとなり、一般公開は中止となりました。先週は川内港と宮崎港、油津港での公開が中止となっており台風の関係かと思ったのですが、台風の無い今週も中止、奄美大島災害派遣の関係か、それとも南西諸島で何か緊張状態があったのでしょうか。

Img_14686  今週末の駐屯地祭ですが、姫路駐屯地祭が行われます。第3特科隊と第3高射特科大隊の駐屯する駐屯地でFH-70榴弾砲による訓練展示が行われるほか、他の駐屯地では珍しいのですが午後からレンジャー展示が行われます。空包を使わずに浸透した敵勢力をレンジャー隊員が一人ずつ制圧するという展示で、空包が使われないとあって普段は安全管理上近寄れない訓練展示は息遣いが感じられる距離まで近寄って見学することが出来るとの話。

Img_10607  輸送艦くにさき、が愛媛県の三島川之江港で土曜日に一般公開されます。おおすみ型の三番艦で、日曜日に行われる四国中央市防災訓練へ参加するべく入港した関係で一般公開となりました。一般公開は土曜日なので防災訓練に参加する日曜日では艦内の見学できないということで、見学に行かれる方はおきをつけください。写真は二番艦しもきた。

Img_12584  このほか、名古屋港弥富埠頭に米海軍のミサイル駆逐艦シャウプが親善訪問しています。本日入港したそうで、出航は7日を予定しているとのこと。埠頭は交通に不便な弥富埠頭で一般公開は予定されていないとのことですが、乗員が名古屋市での親善行事に参加予定、とのことです。シャウプは艦番号86で写真は横須賀の同型艦。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

F-X候補機のF-35 開発難航で実用化は更に数年遅れるとの報道

2010-11-03 22:16:56 | 防衛・安全保障

◆ファントム導入40周年は間もなく

 航空自衛隊はF-4ファントムの後継機選定を継続しているのですが、この中で有力候補とされるF-35が、例によって開発難航で実用化は数年遅れる、という報道がありました。

Img_0400  航空自衛隊は、次期戦闘機にF-35を掃討真剣に考えているのでしょうか、開発中止が続いているのですし、思い切って別の機体を模索した方がいいのでは、と。そもそもF-2の生産縮小の背景にはF-22導入を期して複数機種同時取得を避けるというものが一部あったようですし、防衛大綱の戦闘機定数縮減を航空自衛隊が受け入れた背景にはF-22導入を前提としたもの、と伝えられています。こうしたことでギクシャクするよりは年末の防衛大綱改訂に戦闘機定数を増強する内容を盛り込み、その分現実的に取得可能な機体を選定して数を揃えては、と幾度かこのWeblog北大路機関に掲載しました。

Img_0490 F35さらに1~3年遅れも 日本の機種選定に難題:2010.11.2 10:30 ・・・  ロイター通信は1日、米国防総省当局者が次世代戦闘機F35の開発計画が現行から1~3年遅れるとの見通しを示したと報じた。開発段階の費用も総額約5千億ドル(約40兆3千億円)から約50億ドル増える見積もりという。 米空軍は今年3月に空軍仕様のF35Aの運用開始時期を2013年から16年に遅らせたばかり。日本が導入を検討するF35Aはさらに1年遅れるとされる。開発計画の遅れが運用開始時期にどこまで影響するか不明だが、事実なら日本政府の機種選定に難題となるのは間違いない。

Img_0459   報道によると、ソフトウエアの不具合などが原因となり、F35Aと海軍仕様のF35Cが1年遅れ、垂直離着陸能力を持つ海兵隊仕様のF35Bは2、3年遅れる。 F35は米国を中心に計9カ国が共同開発。多用途に運用できることやレーダーに感知されないステルス機能が特徴。(共同)http://sankei.jp.msn.com/world/america/101102/amr1011021031004-n1.htm

Img_0441  航空自衛隊は現在、F-4EJ改、F-15J,F-2の三機種を要撃機として運用しているのですが、F-4EJについては、日本での導入開始が1971年ですから、来年で導入40周年を迎える機体です。F-15も導入開始は確か1981年でしたか、導入30周年は目前の機体です。F-2支援戦闘機は90年代の機体ですから、まだまだ使える機体なのですが将来戦闘機構想として遠い将来に後継機を開発する構想はあるようです、また遠からずF-15についても現在は近代化改修プログラムを進めているのですが、後継機を検討しなければならないやもしれません。

Img_0275  しかし、その前に考えなければならないのがこのF-4戦闘機。もともと航空自衛隊は米空軍の主力戦闘機を要撃機として採用してきた歴史がありますから、自動的に米空軍が冷戦末期に最強の戦闘機を目指して開発したF-22を導入する、と考えられていたのですけれども、ステルス機であり高性能レーダーに最高水準の火器管制システムを盛り込み、運動性を付与したF-22は悲しいかな機密性が高すぎ、アメリカ以外に供給する事を想定していなかった機体であった事もあって、日本も粘り強く交渉したのですが導入には至りませんでした。

Img_0278  そこで航空自衛隊は、欧州共同開発で世界第二位の空戦能力と戦力投射能力を持つユーロファイタータイフーン、米空軍の戦闘爆撃機であるF-15E、米海軍の主力空母艦載機であるF/A-18Eなんかを候補に選定を進めていたのですが、航空自衛隊としては二位じゃ駄目なんです、ということもないだろうけれども欧州機でステルス性能も限られているタイフーンには難色を示し、F-15Eは戦闘爆撃機としては優れているのだけれども基本設計は古いし自衛隊が欲しいのは航空優勢確保に当たる戦闘機なので難色を示し、F/A-18Eは空母艦載機なのだからそもそも何か違っている、ということでやはり難色。

Img_0284  航空自衛隊が注目したのは、F-22の導入可能性がある頃にはエンジン一基の廉価版ステルスといわれていたF-35,ステルス性が盛り込まれた機体で、もともとデータ中継や情報収集等、航空戦闘や戦力投射以外の任務にも充分な能力を発揮できる航空機だし、ということで急速に注目したのだけれども、悲しいかな、記事の通り開発計画は遅延に遅延を重ねています。防衛省が興味を示しているという記事以外は日本で報じられるF-35の記事は計画遅延、というのがかなりを占めていたりします。

Img_0294  F-35開発遅延の要因は単純で、国際共同開発というかたちをとったからです。開発に多くの国が参加する事で各国が使用や要求水準に主張を行い、意見集約の途上で関係者が異動したりで隔靴掻痒の様相を呈して、そしてどこまで技術を共有するか、どこまで技術を提供するかで合意に時間が掛かるからです。当初は、祭新世代戦闘機の開発にかかる膨大な開発費を多くの国で分担できるので、という利点が強調されていたのですが、開発遅延で開発費も高騰、結局アメリカが単独開発していた方が良かったんじゃないのかな、という状況です。こうした機体に防衛省が現時点で興味を示すのは、少々投機的な部分があるようにも思います。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (14)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

平成19年度潜水艦(8119号艦) 11月15日に川崎重工神戸工場にて進水式

2010-11-02 23:20:22 | 海上自衛隊 催事

◆そうりゅう型四番艦

 11月15日1120時より川崎重工神戸工場において平成19年度潜水艦は命名式、進水式を迎えます。

Img_5709  平成19年度潜水艦は8119号艦、SS-504で、AIP方式潜水艦である、そうりゅう型の四番艦にあたります。進水式には執行者として呉地方総監泉三省海将があたり、命名式につづき進水式が行われます。基準排水量2950㌧、水中排水量は4200㌧で通常動力潜水艦としてはかなりの大型艦、長大な行動半径を有しています。そうりゅう型潜水艦は、一番艦そうりゅう、二番艦うんりゅう、が既に就役しており、三番艦はくりゅう、が現在建造中となっています。AIP方式とは、従来の通常動力潜水艦がシュノーケルにより空気を取り入れてディーゼル発電機により電池に蓄電、その電力を元に行動していたのに対して、液体酸素の燃焼によりヘリウムガスを膨張させ動力を得るスターリング機関を搭載、大気に依存せず行動することが可能となりました。

Img_8372  そうりゅう型潜水艦は、AIP機関のほかにX字舵の採用やジョイスティック式操舵装置、非貫通式潜望鏡の採用などでこれまでの海上自衛隊潜水艦と比較し先進的な部分があります。X字舵の採用は潜水艦の水中運動性を大きく向上させ、コンピュータ制御と連動したジョイスティック式操舵装置との連動により繊細な操作に即応して応える運動性とこれまでの海上自衛隊潜水艦では考えられなかった小回りを実現しました。また、非貫通式潜望鏡1型としてタレスUK社製CM010を三菱電機がライセンス生産したものが搭載されています。電動機には永久磁石型のものが採用されるなど、AIP方式の採用以外に細部を見ても潜水艦としての性能はこれまでの、おやしお型や、はるしお型と比べ強化されていると言える訳です。

Img_6921  現在の海上自衛隊潜水艦隊には、おやしお型潜水艦11隻と、はるしお型潜水艦3隻、そうりゅう型潜水艦2隻が配備されています。東西冷戦時代には、海上自衛隊潜水艦はその秘匿性の高さからソ連太平洋艦隊に対する大きな脅威として認識されていました。ロシア側が発表した潜水艦静粛性一覧表などをみますと、もっとも騒音の大きな部類に、海上自衛隊の、うずしお型潜水艦が分類されており、一部では海上自衛隊の潜水艦の静粛性は低いものと考えられているようですが、確かに、うずしお型は、当時ガタピシ音が問題となっていました。その後改善されたとのことですが、うずしお型は1971年から就役が始まり、最終艦の特務艦やえしお、も1996年に除籍されています。言い換えれば1970年代の潜水艦と90年代の潜水艦を比較していた訳で、その後の、ゆうしお型、はるしお型の騒音が問題となっていない事に留意するべきでしょう。

Img_6957  8119号艦は、進水式ののちに建造が進み、順調に行けば来年夏ごろに公試を開始、2012年3月に就役することとなります。防衛省では、毎年一隻の潜水艦を建造しており、防衛大綱に明記された潜水艦定数が16隻であることから毎年就役する潜水艦に対して代替され16年で練習潜水艦に種別変更し、更に2年で除籍されてきました。これではまだ使える潜水艦を除籍させている、という事になっていました。昨今の報道では増大する中国海軍の脅威に対処するべく潜水艦の運用期間を延長、建造ペースを増大させず潜水艦勢力を22隻に拡大する計画を新防衛大綱に盛り込む計画です。中国海軍では、1971年から就役した明級潜水艦も現役ですので、能力的には90年代以降の潜水艦で構成される現在の潜水艦隊は充分対処できるといえますので、将来にわたる抑止力、日本と世界の平和と安全への貢献に期待したいです。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

本日11月1日は自衛隊記念日 日本の防衛に必要な防衛力を考える

2010-11-01 23:37:51 | 北大路機関特別企画

◆勝手に防衛力を考えた雑想備忘録

本日は自衛隊記念日ですので、自衛隊の必要な防衛力について考えてみましょう。

Img_5680  もっとも、普段からWeblog北大路機関で欠いている事を単純に一か所でまとめただけ、というものなのですが。加えて、如何に自衛隊がしっかりとしていても、政治がアレでしかも、気力も知識も努力も無いという状況を改める必要があるのでしょうが、それは皆さん、次の総選挙を期待しましょう。

Img_7403_1  日本の防衛力ですが、防衛対象とする任務と想定される脅威及び任務について念頭に置く必要があります。おおまかな脅威としては、近年両用戦力を大幅に増強し、渡洋作戦能力を高めている中国により、南西諸島や九州島への師団規模の着上陸が想定される事となりました。一方でロシア太平洋艦隊の再建は本格化しており、キーロフ級原子力ミサイル巡洋艦の復旧改修とフランスからの強襲揚陸艦導入等の点を踏まえれば北方の防衛体制を維持する必要もあります。

Img_2963  第一波の着上陸を24時間以内に排除出来なければ、海岸堡を拠点に輸送艦が接岸可能な港湾部への進出や内陸への浸透へと移行しますので、24時間以内に着上陸地点を包囲できるよう編成する必要があります。師団規模の侵攻は北方と南西・西方、中部東部には複数中隊規模のコマンドーによる侵攻が想定される、というところでしょうか。

Img_1000  陸上自衛隊ですが、北方の機甲師団は別として、師団や旅団では機甲部隊を重視した編成とするのか、自動車化と空中機動による普通科部隊を重視した編成とするのか、まず議論とするべきです。機甲部隊、これは装甲機動部隊の略が語源ですから、戦車部隊、というだけではなく装甲化された普通科部隊や特科部隊も含む概念になります。

Img_5902  まず、第7師団の戦車連隊戦闘団と、第2師団の連隊戦闘団の訓練では攻撃前進の速度が根本的に違う、と言われます。理由は、戦車か降車した普通科部隊か、どちらに速度を合わせるのか、という点に起因します、当然戦車の方が速い、第七師団と他の機械化が進んでいるという北部方面隊の師団でも全く違うとのこと。

Img_9011  専守防衛を採るわが国では、開戦即ち本土決戦、国富と国民が集まる国土が戦場ですので、速い状況展開を行う機甲部隊を主幹とした任務運用か、一点一戦線を長期にわたり戦闘継続し、粘り強く対処する自動車化部隊や空中機動部隊による軽歩兵による戦闘を行うのか、国土国民への戦時の負担は人命財産を含め後者の方が大きいですが、前者は平時の整備に多くの予算を必要とします、議論が必要でしょう。

Img_0483  機甲部隊を主力とした編成であれば、師団を装甲化された普通科部隊や戦車隊とともに旅団を編成して、三個旅団基幹の師団五個程度で沖縄県以外の日本を防衛することが出来るでしょう。師団は、装甲化されることで、経空脅威状況下での機動展開がある程度可能となりますから、機動運用、つまり張り付けの警備管区を超えて迅速に展開可能です。

Img_2784  他方で、現状の自動車化に重点を置く編成の場合、旅団の配置されている地域は着上陸へ大きな脆弱性を抱えていますので、脅威の減退を理由に師団を旅団に縮小した以上、旅団は脅威が増大しているのですから師団に戻す必要があります。この点、人員増よりは大型師団と装備密度の向上は検討する意義が大きいと思うのですが。

Img_2899  もっとも、大型師団を軸に編成した場合、米軍が機械化歩兵師団を編成した場合200両以上の戦車を運用しているのですが、戦車定数は1200程度必要となり、装甲戦闘車も連隊規模で必要になって、維持費は大きくなりますが、13万名程度で平時の防衛警備が可能となるかもしれません。

Img_0704  現在、陸上自衛隊定数を増強する計画を構想していますが、人件費という批判もさることながら、機甲部隊の充実と併せた少数精鋭、という選択肢もあり得るかもしれません、現段階で少数精鋭と言うほかない程国土面積に比較して人員は少ないのですけれども、ね。有事の際の国民への負担は、機甲部隊の方が低い、と思うのですがね。

Img_9826 空中機動部隊ですが、警備管区に縛られない運用を念頭に、方面航空隊を軸に空中機動混成団を編成するべきでしょう。方面航空隊には、対戦車ヘリコプター隊を合わせれば40~50機のヘリコプターが配備されていまして、たとえば西部方面隊では直轄として西部方面普通科連隊を編成しています。

Img_0297  二個飛行隊基幹のヘリコプター隊と縮小編成の普通科連隊、対戦車中隊と重迫撃砲中隊を混成団として完結させれば、方面隊の数と同じ五個の空中機動混成団が編成可能です。五個師団、一個機甲師団、五個空中機動混成団、中央即応集団を基幹部隊とする提案。

Img_2802 方面隊ですが、この場合、方面隊の位置づけが、例えば教育訓練と管区内での後方支援に重点を置き、師団・旅団の後方支援に徹する、海上自衛隊でいえば自衛艦隊と地方隊のような方式で五個方面隊体制を維持する事が一つの選択肢となるでしょう、実戦部隊と軍管区の切り離しはフランス軍なんかでも例があります。

Img_0115  教育訓練には予備自衛官の教育も含まれますので、予備自衛官による駐屯地警備隊や弾薬整備中隊は方面直轄となりますし、これらの部隊と新隊員教育を行う方面混成団も直轄になってきます管区の交通統制等も方面隊の任務ですので保安中隊も直轄です、こうやって数えれば方面施設部隊もあり、けっこう多いのですね。

Img_2471  他方、方面特科部隊のMLRSや地対艦ミサイル連隊ですが、持っている方面隊と持っていない方面隊がありますので、北部の第一特科団のように、第二特科団、第三特科団を集約して編成、方面隊の枠を超えた機動運用を考えるべきやもしれません。こうした部隊の運用についてその延長上に陸上総隊のような中央の司令部、ということも検討されてしかるべきです。

Img_0406 海上自衛隊ですが、任務は南シナ海、東シナ海を含めたシーレーン防衛により交易を支える海上交通を維持し、海洋の一国による私物化を阻止する事が第一。第二にわが国への着上陸を図る脅威に対しての対処でしょう。中国海軍の外洋での行動が増大するにつれて、好むと好まざるとに関わらず、海上自衛隊の護衛艦隊についてその上空掩護を考える必要が出てきます。

Img_7005 イージス艦の増勢による艦隊防空は、結局のところ洋上の策源地に対する主体的な行動、早い話が射程が増大する爆撃機からの対艦ミサイル攻撃への対処や航空母艦を相手とした場合への継続的な攻撃に対処できないという点から限界があります、イージス艦は盾で、盾だけでは限界があるという事です。

Img_6353  海上自衛隊が行動する範囲内、フィリピンとタイかヴェトナムに航空自衛隊の航空団を展開させる恒久的な航空基地を建設するという方法も無いとは言いませんが、イラク戦争における米軍の外国基地使用への制約を考えた場合、同盟国でもない国に対してこうした事は期待できません。

Img_7056 八八艦隊。ヘリコプター搭載護衛艦8隻と、イージス艦8隻。この編成は、何度か北大路機関で提案しているのですが、結局のところDDHにAV-8かF-35Bを搭載するというのが、艦隊防空を含め海上自衛隊の能力を最大限発揮するために望ましい選択肢として強く推したいです。

Img_1359 これは、現在、護衛艦隊を構成する四個護衛隊群が二個護衛隊から編成されており、DDHとDDGにDD,DDの四隻から成るDDHグループ、DDGとDDとDDとDDから成るDDGグループに分けられている現状を、全てDDHグループに統一しては、という一見単純な案です。

Img_5762  DDHグループにも弾道ミサイル防衛に対応するイージス艦を配備し、同一編成の護衛隊八個を基幹として護衛艦隊を編成するという提案。護衛艦隊にはDDHが8隻、DDGが8隻、DDが16隻必要となります。DDHが4隻増勢の必要が出てきますが、DDは、むらさめ型9隻、たかなみ型5隻、あきづき型4隻で18隻となりますから、数に余裕が出てきます。

Img_1795  DDH,固定翼機を搭載するべきです。例え5機でも、固定翼機を運用できるというのは大きな長所ですし、軽空母として運用するのですから相手は無視できず、ポテンシャルは相応にあります。F/A-18は無理でしょうが、F-35BやAV-8.それにAEW型のEH-101を搭載すれば能力は大きく広がります。

Img_2090  日本には航空母艦の運用は不可能、という論調はあるのですがこれは米海軍のニミッツ級を想定しているものが多く、ひゅうが型や22DDHであれば、8隻の保有は必ずしも非現実的とは言い切れません。むしろ、従来型の洋上戦闘を想定する以上、損耗により修理が必要となる事も想定すれば大型艦を2~3隻持つよりも、もっと多くの艦が必要となり、DDHこそが必要な艦、といえましょう。

Img_6247  ひゅうが型に搭載できる航空機数は限られている、といわれるのですが、これは現在の搭載ヘリコプターに関してはその搭載を格納庫に航空機を全て収容する場合に限ったもので、アメリカ海軍でさえ、空母に厖大な艦載機の全てを収容することは不可能、艦上係留が行われているのです。

Img_2128  ひゅうが型は最大で約10機の各種ヘリコプターを搭載できる、と世界の艦船などでは記されていますので、AV-8かF-35を5機、そしてSH-60Kを3機、AEWH-101を2機搭載することは、ひゅうが型満載排水量19000㌧にも充分可能と考えます。もちろん、災害派遣や機雷掃海任務ではMCH-101や陸自ヘリ搭載によりこの数は変化しましょうが。

Img_6988 航空集団は、P-1哨戒機60機、SH-60K哨戒ヘリコプター70機、AV-8/F-35B艦上哨戒機60機。固定翼哨戒機は80機、哨戒ヘリコプターは概ね90機という規模が維持されているのですが、今回提案するような艦載機を導入する場合、機数を削り、艦上哨戒機に調達費と維持費を充てる必要が出てきます。

Img_4339 これにより、海上自衛隊の対潜哨戒能力は低下してしまいますが、それでも総数としてはかなり大きなものです。加えて経空脅威への対処能力が向上しますから、航空自衛隊の要撃機によるエアカバーの外への展開が可能となりますし、米海軍との協調行動に際しても日本のポテンシャルは増大します。

Img_9091 また、日本周辺海域や南シナ海での米海軍航空母艦に対して、海上自衛隊のDDHが常時直衛に就く事が出来れば、日米の一体的協力を大きく強調出来ます。これは軍事的以外にも政治的にも意義がありますし、対潜哨戒能力も一個護衛隊あたりで計算すればかなり大きなものがあります。

Img_6723_1 潜水艦ですが、増勢は現在報じられているような内容で真剣に検討するべきでしょう。また、輸送艦と補給艦ですが、海上自衛隊の任務範囲は大きく拡大しているのですから、最低でも輸送隊二個、海上補給隊二個の各6隻は必要と考えます。また潜水艦救難艦もそうですが、潜水艦が増勢されるということは、潜水艦への補給というものも増勢は検討されなくてはなりません。

Img_0834 地方隊ですが、全ての護衛隊を護衛艦隊に編入されているのですけれども、これら二桁護衛隊は今後どうなるのでしょうか。他方で、災害派遣を含めた有事の際に初動となる多目的艦が必要なのではないか、と考えます。デンマーク海軍のアプサロン級や、はるな型のようなものを幾度か提案しているのですが、病院用にも航空機収容にも、車両搭載にも使用できる多目的格納庫を有し、掃海艇等に対する限定的な補給能力、そして、はるな型で可変深度ソナーを将来搭載する位置のようなかたちで機雷敷設能力を有する多目的艦を旗艦として2隻、必要だろうと考えます。

Img_7582 対空レーダーやソナーは必要でしょうが、SAMはRAMで、SSMは不要、代えて5インチ砲2門を打撃力とする艦、そういうのを想定。地方隊には基地機能の維持と教育訓練が挙げられますが、警備管区があるのですから、災害派遣を想定し、小型輸送艦による輸送隊は必要です。

Img_3534  大型護衛艦を運用する護衛艦隊など自衛艦隊での艦隊勤務に耐える高度な人員を錬成するためには、ミサイル艇隊二個、掃海隊が必要でしょう。また、特殊部隊の脅威があるのですから基地警備や港湾警備に当たる輸送能力のある哨戒艇隊も検討されてしかるべきで、合計15隻の艦艇が必要と考えます。

Img_2631 航空自衛隊ですが、現状の航空団の配置、航空団は基本的に二個飛行隊を基幹としていて、第五航空団のみ一個飛行隊ですが、北部航空方面隊に二個航空団、中部航空某面隊に二個航空団、西部航空方面隊に二個航空団という配置は最低限必要です。現在は沖縄にも一個航空隊が展開。

Img_9048  加えて沖縄の南西方面航空混成団の一個飛行隊基幹の航空隊を二個飛行隊基幹の航空団へ増強する必要は幾度か掲載しました。実のところ、南西諸島には沖縄本島以外にも基地が必要なのですが大陸から近すぎ、弾道ミサイル攻撃などの危険性を考えれば救難隊や緊急着陸地以外は難しそうなので、これは検討課題でしょう。

Img_88_32 加えて、中国海軍が航空母艦を保有した場合、日本は冷戦時代に想定しなかった太平洋側からの経空脅威に曝される事となるため、小牧基地か浜松基地に一個飛行隊を基幹とする航空隊を、同じく防衛の空白地帯となっている小笠原諸島に対しても硫黄島か父島に一個飛行隊を基幹とする航空隊を置く必要を考えねばなりません。

Img_875_3  加えて、航空自衛隊には予備飛行隊がなく、飛行教導隊や第4航空団が考えられる程度なのですけれども、可能ならば総隊司令部飛行隊に要撃任務には当たらず、有事の際の支援に機動運用可能な一個飛行隊を置く事が出来れば望ましいです、もっとも、難しいでしょうから優先度は低いのですが。都合三個飛行隊の増強が必要、というのが作戦機に関する論点です。

Img_6110  こうした点を背景に次期戦闘機F-X選定ですが、機数の増勢を想定し、現実的に取得する、つまりコストを意識した機種選定が必要となります。F-22やF-35を想定して先延ばしを続けてきましたが、F-35はF-15後継機の際に改めて検討するとして、まずは現用機という条件さえ満たせば、数を揃えることが第一です。

Img_005_9  E767をはじめ、個々の機体の能力ではなく、部隊として連携して航空作戦を展開すれば、共同交戦能力を最大限発揮する事で性能は底上げ出来ます。米空軍のF-16がその例で、部隊として行動することにより、MiG-29等の脅威に対して確実に勝利を重ねてきました。この点を認識することが重要でしょう。

Img_99_02_1  なお、F-4後継機ばかりが話題となっていますが、T-4練習機やE-2C早期警戒機の選定をそろそろ考えなくてはならない時期になっており、あまり先延ばししますと一度に多種多数の機体を更新する必要に直面してしまうため、あまりうかうかしているのは得策ではありません。特にAPY-2レーダーの生産が終了する前にE-2CはE-767に置き換える決断が必要と考えます。1:1で置き換えずとも、2:1で6機程度のE-767により置き換えられるのではないでしょうか。

Img_0329  空輸能力ですが、現在の国際貢献任務の頻度を考えますと、輸送機は現在、45機程度ですが、輸送航空隊を更に一個増強し、60~80機程度の輸送機を保有してもいいのではないでしょうか。空挺部隊の降下訓練などに当たる支援輸送一つとっても輸送機は不足しています。

Img_6693  民主党は政権交代の際に国連PKO重視を掲げていましたが、平時においては白塗りとして国連の輸送支援に充ててもいいですし、日本有事の際には緊急に引くという運用はあり得ます。XC-2は搭載量もさることながら、巡航速度が大きく国際航空路線での運用が可能です。必要な時に不足しないよう、こうした柔軟な運用は検討されなければなりません。

Img_06819  このほかに、空中給油輸送機は8機程度は最低必要ではないか、戦闘機を改修した電子戦訓練支援機は不要なのか、偵察機は今後有人機と無人機をどう組み合わせるのか、政府専用機は今後補助の767を導入する必要があるのでは、等など議論は尽きませんし、基地警備等も話したいのですが、これはいずれ。

Img_0045_1  ここまでは有人機の話を中心に考えてきましたが、航空自衛隊はこれから、無人機の導入についてもっと積極的になる必要があります。例えば策源地攻撃一つとっても、有人機では難しい状況への対処が考えられますし、MQ-9のような無人機であれば、戦闘空中哨戒の補完などに寄与するでしょう。

Img_7279  無人機だけの飛行隊、というのは米空軍では創設が始まっているのですが、日本の場合は戦闘任務というよりは例えばながい滞空時間を活かし航空救難団のU-125支援、空対空射撃訓練の標的曳航や標的機の運用、空輸任務におけるSAM監視等の用途で少しづつ導入することが考えられます。

Img_0338   無人機ですが、ここまでに記載した事以上に、現在の日本の航空法との関係があり、これを早い時期に運用可能な法体系とする事が急務です。また、有人機に出来ない運用が可能な機体なのですが、その為には予備機を含め損耗を前提とした装備体系としなければ、運用に自主制約が掛かってしまい、結局最大限運用できず、ということもありえます。今までない装備ですので、それだけ研究と理解の努力が必要と言えましょう。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (14)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする