北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

那覇基地のF-15を二個飛行隊化 中国睨み本土より飛行隊抽出を新防衛大綱で検討

2010-11-20 22:50:30 | 防衛・安全保障

◆戦闘機不足の抜本的解決は先送り

 南西諸島に中国より軍事的圧力が高まる中、防衛省では那覇基地の第83航空隊を増強する計画を検討しているようです、共同通信より引用。

Img_1739  那覇の戦闘機30機に増強へ 中国視野、新大綱で防衛省・・・ 防衛省が10年以内をめどに、航空自衛隊那覇基地の戦闘機を現行の約20機から約30機に増強し、1飛行隊から2飛行隊体制に改編する方向で検討していることが19日、複数の同省幹部の話で分かった。南西諸島の警戒監視機能も強化する。 中国海軍の空母建造の動きなども視野に、対領空侵犯措置の緊急発進(スクランブル)能力を向上させ、緊迫時に周辺空域で航空優勢を確保するのが目的で、中国側の強い反発も予想される。

Img_1141  年内に策定する新たな「防衛計画の大綱」に、「戦闘機部隊の充実」や「監視機能の強化」などと書き込む方向で、記述内容を調整している。 那覇基地では2009年3月、F4戦闘機から高性能なF15戦闘機への切り替えが完了し、飛行隊には現在、約20機のF15が所属。防衛省はこの飛行隊の戦闘機を減らした上で、F15かF2戦闘機の飛行隊を新設する方針。時期によっては、次期主力戦闘機(FX)で編成する可能性もあるという。 空自全体の12飛行隊、戦闘機約260機の体制は維持する方針で、那覇基地の増強と引き換えに、他の基地の飛行隊を2から1に減らすことを想定している。2010/11/20 02:02   【共同通信】http://www.47news.jp/CN/201011/CN2010111901000940.html◆◆

Img_4626  那覇の第83航空隊も二個飛行隊化で遂に第9航空団へ格上げとなるのですね。しかし次期戦闘機の選定も進まない中でどこから10機捻出するのか、下手をすればF-4戦闘機40機二個飛行隊分が純減になる可能性も出てきた状況下で、何処から引き抜くというのか少し疑問です。防衛省がF-35を念頭に検討しているのは、昨今現実的なF-15EやF/A-18Eの導入に関する報道も無いことからある程度の信憑性アあると考えられます。しかし、記事にあるように今後十年間で那覇基地の戦闘機を増強する、とありますがF-35は十年後の2020年であっても防衛省が取得できるかが非常に不透明な航空機です。

Img_4981 F-35間に合わず、その場合、F-4戦闘機は、首都防空に当たる百里基地第七航空団を構成する二個飛行隊のうちの一個飛行隊、九州新田原基地お第五航空団を構成する一個飛行隊に配備されていて、これが非常に危機的な状況に陥ることが考えられています。既に現段階では飛行回数を縮減して機体に残るわずかな構造寿命を延長する運用に移行しているとも伝えられ、実質的に飛行隊の練度は最盛期と比べれば後退、緩慢な第二線への移行という状況にありますが、これがそのまま消える可能性も出てきている訳です。

Img_4653  日本中探しても一個飛行隊引きぬける航空団というのは、中々思いつきません。日本の要撃飛行隊は千歳基地、三沢基地、百里基地、小松基地、築城基地、新田原基地、那覇基地に展開しています。千歳の二個飛行隊はロシア空軍の圧力を一手に引き受ける航空団で昨今増加しているロシア空軍からの圧力に対応している航空団、三沢基地に二個飛行隊は支援戦闘機が配備されておりロシア海軍の動静が活発化している情報が統合幕僚監部ロシア海軍艦艇動向情報により報じられている状況下では引き抜けません。

Img_8208  百里基地の二個飛行隊ですが首都防空を手薄にするというのは非常に不安もあるだけでなく中国海軍の空母が出現する可能性が記事でも触れられているように太平洋上から首都圏に及ぶ脅威が現出する中で引き抜くことは不可能です。小松基地の二個飛行隊は日本海不審船事案における戦闘空中哨戒で知られたように北朝鮮を対岸睨む唯一の基地でして北朝鮮が韓国と統合されたのならば話は違ってくるのですが現段階ではその見通しはなく日本海の防空を担う飛行隊を引きぬけないばかりか最近はロシア沿海州から日本海方面に進出する航空機へも対処しなくてはなりません。築城基地の支援戦闘機と戦闘機の二個飛行隊ですがこちらは対馬海峡という重要海峡を睨むとともに朝鮮半島有事における緊張を最大限に受ける基地ですからこちらも削減は現実的ではありません。

Img_8721  考えられるのは新田原基地のF-4飛行隊と第五航空団なのですが使っているのがF-4でして十年後には日本がF-4を導入してより四十年を間近にしての配備となります、四十年型落ちの戦闘機を配備するというのは変なたとえですが90年代に緊張の増えた地域に防衛力を強化するためにF-86を配備するというようなものです。また、記事にあるように飛行隊を二から一に減らすという事ですので一個飛行隊で一個航空団を構成する第五航空団はこれ以上引き抜けません。飛行教導隊としてF-15一個飛行隊が配備されているのですけれども、こちらは戦略予備となっていますので、平時に引き抜くのはあまりに愚策です。

Img_8226  すると首都防空を手薄にして第七航空団から一個引きぬく事でしょうか。百里基地には偵察航空隊が配備されていて、現在は旧式化したRF-4偵察機を運用していますが、将来は、これも開発が難航しているので楽観視は出来ないのですけれどもRF-15として近代化改修に対応していない初期型のF-15Jを改修して偵察機に充てる構想です。これを暫定的に要撃にもあてるよう無理を重ねれば、いや無理でしょうけれども、昨今は偵察専用機から多用途化が趨勢、可能性は皆無とは言えないでしょうね。

Img_8206  三沢基地、危惧するのはここから一個飛行隊引き抜く、という可能性です。今の政府は、日ロ間が非常に友好な状況にあるかのように北海道の防衛を蔑にする北部方面隊縮小計画を進めています。大本営が日ソ不可侵条約を過信して引き抜かれ戦力が空洞化した満州の関東軍が終戦直前にソ連軍の侵攻を受け、苦戦を重ねた戦訓がありますし、厳に日本周辺に出現する国籍不明機の大半はロシア空軍、中国海軍は、はつゆき型前後の大きさの艦船ばかり日本に送ってきますが、ロシア海軍は、あたご型よりも大きな巡洋艦を日本周辺に遊弋させています、この状況下で、あたかもいまは90年代のようにロシアからの圧力が無くなったかのように北方から飛行隊を引きぬくのは、あってはなりません。

Img_6928  現状に鑑みるに、中国の空母出現という可能性に気付いているのならば、南西諸島の防空体制充実は急務なのですけれども、同時に小笠原諸島に対してもその圧力が及ぶ事は考えなければなりません。ロシア海軍も強襲揚陸艦三隻を太平洋艦隊に配備するのですし、太平洋正面や北方への圧力は冷戦時代に匹敵、多方面からの脅威を受けるという意味を踏まえれば将来の日本が受ける脅威の方が大きくなります。いっそ、いま円高なのだからF-16を100機くらい、とか、こういう時局にあるからこそ補正予算で毎年10機のF-2を六年間程度生産してF-35完成するまでの繋ぎとするとともに、南西諸島、小笠原諸島、太平洋岸の防空体制を強化しては、と考える次第。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (30)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

平成二十二年度十一月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報4

2010-11-19 19:52:46 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 横須賀は小原台、将来の自衛隊幹部候補生を錬成する防衛大学校で明日と明後日、防衛大学校創立記念行事が行われます。

Img_8906  防衛大学校創設記念行事では土曜日と日曜日の二日間に分けて様々な行事が行われ、富士学校祭や航空学校祭とは違った、大学校祭という催しが行われるとのことです。まず、明日土曜日には1245時から1315時まで訓練展示が行われ、1350時から1500時まで空挺降下、1430時から1630時までの棒倒しも見所です。1530時よりブルーインパルスの予行が実施されます。防大弁論部による弁論大会、合気道演武、記念講堂では優秀演劇の展示が行われ音楽演奏も行われるとのこと。軽音部の演奏もライブが0900時から1315時と1430時から1700時までライブが行われます。

Img_0277  日曜日には1030時より観閲式が行われ、1125時よりブルーインパルス飛行展示、1330時から1400時まで儀仗隊展示が行われるほか、大隊行事として学生舎前では土曜日日曜日とステージや模擬店が展開されます。軽音部のライブは日曜日にも行われ、茶道部も展示されるとのこと。二日間にわたる防衛大学校の記念行事へ足を運ぶには京浜急行が最適、防衛大学校へは、京浜急行の馬堀海岸駅を下車して系旧バスの防衛大学校行きを利用すれば6分、タクシー利用で5分、徒歩ですと25分とのことです。JR横須賀線の横須賀駅からは系旧バス防衛大学校行きで所要時間30分。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新防衛大綱 民主党案:戦車・火砲大幅減少と旧軍呼称復活を提案

2010-11-18 22:47:02 | 防衛・安全保障

◆普通科連隊⇒歩兵大隊、特科連隊⇒砲兵大隊

 民主党は新防衛大綱の確定に向けた党内案を近く提示するようです。内容では、基盤的防衛力を含め大幅に削減するとともに代替案を盛り込まず防衛力を低下させる一方で、旧軍呼称を復興させ精神的高揚を目指す内容となりそうです。つまり普通科を歩兵に戻すので、連隊を大隊に下げろ、というような内容でしょうか。

Img_8390  陸上自衛隊を日本陸軍、と改めるのかと思いきや、そういう訳ではなさそうで、しかし旧軍呼称としてやる気を高めたい、という意図があるのでしょうか。それならば防衛大綱に示さずとも、防衛計画には影響はないでしょうに・・・、また実際のところどうなんですかね、自衛官という呼称を軍人に改めてもらえれば、今よりも境遇が悪くなっても何とかやっていける、と隊員は思うのでしょうか、あまり身の回りにそういう方がいらっしゃらないので。ただ、対外的に考えれば陸上自衛隊(JAPAN Ground Self Defense Forces)を昔の日本陸軍(JAPAN IMPERIAL ARMY)に改めたらば、対外的に物凄い抑止力になりそうではありますけれども、ね。

Img_8021 ◆「歩兵」など旧軍用語復活 新防衛大綱で民主案・・・ 政府が年末に策定する新たな防衛計画大綱に連動し、民主党の外交・安全保障調査会(中川正春会長)が取りまとめた提言案で、専守防衛を趣旨とする憲法に照らして陸上自衛隊が用いている「普通科」の言葉を「歩兵」に変更するなど旧日本軍の用語を復活させるよう求めていることが17日、分かった。同時に、陸海空各自衛隊のトップである幕僚長や統合幕僚長を天皇の認証官ポストにするよう提唱している。 いずれも自衛隊サイドで長年にわたり願望が強いとされる。旧日本軍を想起させる復古的な動きに対して世論の批判は避けられない。政府側でも否定的に受け止められる公算が大きく、新防衛大綱に盛り込まれる見通しは立っていない。

Img_7297  提言案によると、自衛隊内部の呼称のうち、例示として陸自の普通科を「歩兵」、1佐を「大佐」、2佐を「中佐」とそれぞれ変更するなど他国軍と同様に軍隊の用語に統一するよう促している。これに沿えば、現在の陸自の将官は「大将」「中将」などとなり、統合幕僚監部は「統合参謀本部」、運用は「作戦」、自衛隊の警察に相当する警務官は「憲兵」との呼称に変わってしまう。 ただ自衛隊はこれまでいわゆる戦力不保持や交戦権否認を規定する憲法9条との整合性を保つためとして、通常の軍隊で使用されている言葉をあえて避けてきた経緯がある。2010/11/18 02:02   【共同通信】http://www.47news.jp/CN/201011/CN2010111701000921.html

Img_0849  冒頭に記載しましたが、何故こういう提案となるのか、理解に苦しみます、そもそも防衛計画の大綱は防衛計画を示すものですから、階級呼称や職種故障、名称を改めることは基本的に含めていません、何故ならば普通科を歩兵と改めても防衛計画には影響が無いからです、名前が変わってやる気が出て徒歩でも車両並に移動出来たり、旧軍の呼称で気合が入ったので小銃でも戦車に対抗できたりするわけではありませんからね。こういう精神主義は余所でやってください、というよりは防衛大綱の外で行うものです、防衛庁が防衛省に格上げとなったのも防衛庁設置法を改正したのであって防衛大綱に明記されたものではないのですし、ね。

Img_3228  旧軍呼称、現在検討中の陸上総隊は総軍ですか。名称、しかし、考えてみるとこれを替えるのもかなり大変です、何と慣れ定着していますからね。ます職種、これもまあ兵科と改めるのですが兵科呼称は、普通科⇒歩兵科、機甲科⇒戦車科・騎兵科、野戦特科⇒砲兵、高射特科⇒防空砲兵、航空科⇒航空兵科/飛行兵科、施設科⇒工兵科、通信科⇒通信兵科、武器科⇒武器科、需品科⇒輜重兵科、輸送科⇒輜重兵科、化学科⇒化学兵科、警務科⇒憲兵、会計科⇒会計兵科、衛生科⇒軍医・衛生兵科、音楽科⇒音楽兵科、とこなります。

Img_4686  機甲科はそのままでもよさそうですが、装甲機動部隊の略が機甲科なので戦車科とするべきでしょう、騎兵は偵察部隊。会計科は海軍方式の主計科という呼称も考えられますが、難しいですね。方面隊は、陸上自衛隊では軍団ではなく軍、と呼称しているので北部方面隊や東北方面隊、東部方面隊、中部方面隊、西部方面隊といった呼称は北部軍、東北軍、東部軍、中部軍、西部軍と急に強くなったように感じます。方面特科は軍砲兵、1佐は大佐、2佐は中佐、3佐は少佐で、幹部自衛官は将校に、幹部候補生は士官候補生、三曹は伍長になって陸上幕僚監部は陸軍参謀本部に、防衛記念章は勲章に、言葉としては強そうに思えてきますが、今更こういう風に変えなくとも、と。

Img_5044  海上自衛隊は、海上幕僚監部は海軍軍令部、海上幕僚長は海軍軍令部総長、自衛艦隊は連合艦隊、自衛艦隊司令官は連合艦隊司令長官、護衛艦隊は第二艦隊か海上護衛総司令部で航空集団は航空艦隊、インド洋派遣や海賊対処部隊は旧海軍だと支那方面艦隊、護衛隊群は水雷戦隊で護衛隊は駆逐隊、横須賀地方総監部は横須賀鎮守府、護衛艦は艦長が海軍中佐か海軍大佐かで駆逐艦や巡洋艦に分けられ、阪神基地隊や新潟基地等の地方隊隷下の基地は神戸要港部や新潟要港部、地方隊の警備隊は海軍陸戦隊、開発指導隊群なんかは海軍艦政本部、術科学校は海軍機関学校、海軍経理学校とか、幹部候補生学校は久々に建物ごと海軍兵学校。

Img_5277  海上自衛隊については響きが素晴らしい響きなので明日にも実現してほしいですね。とはいうものの、先に記したように今回は呼称を一部旧軍に戻す、という程度なので、海上自衛隊を日本海軍に戻す訳ではありませんし、一部用語を替えるだけ。まさかとはおもうのですが、現在の与党議員が自衛隊の事をまったく勉強しておらず、普通科が歩兵、護衛艦が水上戦闘艦という意味だという事を知らなかったので、防衛の素人議員でも分かるように、用語を替えてやる、という訳ではないのかな、と思ったりもしました。そもそも、やるのならば、まず自衛隊と言う呼称を考えるべきだったのでは、と。

Img_8981  航空自衛隊は、旧軍ではなかった組織なので、どうなるのでしょうか。航空総隊が米軍みたいに戦闘機軍団、という扱いになるのでしょうね、その流れで行きますと航空方面隊は北部空軍、中部空軍、西部空軍、南西空軍。航空支援集団は空軍資材軍団、航空教育集団は空軍教育訓練軍団、・・・、完全に言葉遊びになってしまいましたが、今回の改正案では自衛隊の呼称は旧軍に戻さないようなので、何やら中途半端になってしまう印象。民主党が何を考えているのか、理解するのは難しいのですが、本当に何を考えているのでしょうか。選挙対策、離間工作、いろいろまともではない事が思いつくのですが、・・・。

Img_0953  それならば、衆議院で多数を担っている民主党が思い切って自民党と大連立を行い、憲法九条を改正して正式に自衛隊を防衛軍か帝国軍に格上げしては、と。そういいますのも、普通の公務員と自衛官の最大の違いは職務に危険を伴うだけではなく“死んでこい”という命令が含まれる事、死ぬ気で頑張る、死ぬ覚悟で、ではなく明らかに危険な状況に危険を顧みず職務の遂行を求めるのが他の公務員とは異なるところで、この覚悟を認めてほしい、というのが聞こえてくる声です。例えば自衛隊では堅固な陣地攻略に伴う普通科隊員の損耗率を確か10~12%と見積もっているようですが、防衛出動の際にこの数字だけの犠牲を払う、これが他の公務員とは異なる点です。

Img_7024  南西海域防衛、陸自・潜水艦の増強案 民主、中国念頭に2010年11月18日15時9分 ・・・民主党は、近年の中国海軍の活発化を念頭に、南西海域の防衛を重視し、九州・沖縄の陸上自衛隊や潜水艦戦力を増強する考えをまとめた。菅政権が年末に策定する「防衛計画の大綱」に対する提言案に盛り込まれた。党内論議をへて近く政権側に示す。  同党の外交・安全保障調査会(会長・中川正春衆院議員)の提言案では、中国艦隊の10隻が今春、沖縄近海で大規模な訓練をしたことなどを例に挙げ、「中国海軍の動きは活発化してきた」と強調。陸自部隊が沖縄本島より西に配備されていないことや、警戒監視レーダーが宮古島より西に存在していないことを挙げ、「沖縄を含む南西方面の我が国の防衛力は依然として手薄」と分析している。

Img_0371  一方で「冷戦型ともいうべき重装備部隊がいまだに北海道に多数残存している」として、特定地域に大規模な部隊を配備する従来型の「静的抑止力」の考え方とは「明確に決別」すべきだ、との考えを提示。中国の動きをにらみ、自衛隊のパトロールや統合実動演習などによる牽制(けんせい)、危機の際の即応・機動力に重点を置く「動的抑止力」の充実を求めている。  具体的には、旧式装備の象徴ともいうべき戦車や火砲は大幅に削減する▽九州・沖縄の陸自部隊の第一線部隊を増強し、他の地域の陸自部隊は効率化する▽潜水艦戦力の増強などによる海空自衛隊の抑止力や警戒監視能力を強化する――ことなどを提言。日米共同訓練の拡充や、九州・沖縄の米軍基地の共同使用の拡大も求めた。(河口健太郎http://www.asahi.com/politics/update/1118/TKY201011180215.html

Img_8394  北海道の戦車は必要です。冷戦後、ヨーロッパでは欧州通常戦力削減条約が結ばれ、ウラル山脈よりも西方のロシア軍重装備が厳しく削減対象となりました。しかし、ウラル山脈よりも東方に移動させてロシア軍はその規模の存続を図りました。日本周辺では、確かにロシア軍は冷戦時代のソ連極東軍45個師団と比べれば削減されたのですが、中ロ国境や朝鮮半島問題もあって、一定の能力を有していますし、フランスから20000㌧クラスの強襲揚陸艦三隻を導入し太平洋艦隊へ配備する計画もあります。空挺軍と海軍歩兵が共同すれば、ロシア軍は一個師団規模の部隊を同時着上陸させる能力を今なお維持しているのです、一個師団着上陸され、港湾施設を確保されれば後続の師団が輸送船で次々と上陸します。冷戦型の重装備部隊が北海道に残っているのは、極東には冷戦型の重装備が日本へ向けられているからだという事を忘れてはなりません。

Img_2578  今年行われた玄武2010演習をみても、自衛隊における戦車の重要性は改めて語るまでもありません、玄武2010演習では第二師団が普通科連隊戦闘団により構成した防御線に対して機甲師団である第七師団が超越攻撃を行い、機動打撃で制圧しました。この防御線を構築する時間の間に後続の敵師団が上陸してきますし、何よりも人口密集地がやたら多い日本の国土では普通科部隊を主体とした防御戦闘は余りにも民生被害が大きすぎます、長時間市街地で戦闘を繰り広げた場合の悲惨さは幾らでも報道されているでしょう、しかし普通科部隊と異なり、戦車部隊の早い戦闘進捗度ならばこれを抑止できる、自国民への被害を局限化できるのです。従って、第二師団が充分な機甲部隊、来年には半減する第二戦車連隊を維持し、恵庭の第一戦車群による支援を受ければ、第七師団の到着以前に戦闘を決着させることが可能で、第七師団は道南や道東地区への警戒にも戦略予備として当たれる訳です、そうすれば戦線が拡大せずに済み、国民も千科に曝される危険からのがれることが可能です。

Img_2669  第一、菅首相のあまりに酷い外交手腕により先日報じられたように1956年の日ソ共同宣言が一部撤回されてしまいました、北方領土問題は現在も日ロ間の問題として残っていますが、これを民主党政権の時代に入ってから領土問題への譲歩と蒸し返しにより再燃させてしまい、日ロ間の関係は良好ではありません、こうしたなかでロシア軍が再興しており、揚陸艦の増強などが行われている中で、その圧力を一番における北海道の戦車部隊を旧式装備と決めつけて削減する、理解できません、着上陸があった場合にどうやって対処するのでしょうか。

Img_2803  また、火力が時代遅れと言いますが、陸上自衛隊は火砲が600、戦車600、もともと削れるだけの機甲部隊も特科火砲も残っていません、旧陸軍がどれだけ戦車の不足や火力不足に苦しめられたのか、歴史を紐解くまでもありません。もちろん、米軍のように無人機を大量導入し、火力の効率的行使や戦域情報優勢獲得、戦力投射能力の強化、人員不足を無人兵器で補い、陸上戦闘隊形の抜本改革を行う、というのならば、陸上自衛隊の戦車や火砲を時代遅れ、というのも分からないではありません。イラク戦争、アフガニスタン治安作戦では戦車部隊の価値が再認識されているのですが、ある程度無人機などの新世代装備により代替し得るかもしれません、しかしながらこれについて、防衛大綱に明記されるという話は出てきません、米軍は今後近い将来までに2000機程度の各種無人機を増勢する計画のようですが、日本側ではまだ第一歩を歩んだばかり、まだ従来型の火力を置き換える、とは考えられない段階と言えます。

Img_6113  西方と南西諸島の防衛を固める必要性については否定しません。場合によっては西部方面隊に戦車群を新編する必要もあるのでは、と考えるほどです。しかしながら、日本に島は6800あり、まんべんなく配置する、というのは不可能です、第一線への配備よりは、ヘリコプター部隊を抜本的に充実させ、各方面隊から迅速に支援展開が可能な規模を整備するとともに、運用体系を構築することの方が先決でしょう。太平洋戦争では個々の島々に展開した部隊は各個撃破されています、まんべんなく配置するという発想、戦車や火砲の能力を低く見積もる考え方こそが旧式の象徴であり、これは打破しなくてはなりません。

Img_0438  西方や南西諸島を防衛警備するには空中機動力です。だた、空中機動力の確保、とは言ってもAH-64D戦闘ヘリコプターは70億円、一個小隊や車両を空輸可能なCH-47JA輸送ヘリコプターは50億円、機動性と生存性に優れたUH-60JA多用途ヘリコプターは35億円と量産したとして、数十機や百機単位で揃えるにはかなりの予算を必要とします、緊縮財政下では厳しいでしょう。ですが、日本列島という長大な面積を有する国土を国民から負託された政府は何とか捻出しなければなりません、なに、出来なければ総辞職すればいいだけの事です。

Img_7481  南西諸島ですが、中国海軍は現在6~7隻の航空母艦を整備する計画を進めています、既にロシア製Su-33のコピーが飛行を開始していますし、違法コピーに端を発してエンジン関係でロシアとの間に問題が生じていますが、遠からず何らかの手段で洋上に航空母艦を展開させてくるでしょう。ロシアからの中古艦は整備が進められ、中国国産の空母も建造が開始されました。これに対して、海上自衛隊の能力をどう維持させるか、空母は外交手段として使えますので、撃沈する以外に対処が出来ない潜水艦では純粋に軍事的な対応しか行う事は出来ません、海上自衛隊としては、ひゅうが型を始めとしたヘリコプター搭載護衛艦により対処する事とするのでしょうが、この具体策や護衛艦定数について、防衛大綱では同記載されるのでしょうか。F-35の導入、とは期待しませんが護衛艦定数を再度2000年代初頭の水準に戻すくらいの事は、任務が増大し今やアフリカ沖でも行動する海上自衛隊には必要と考えます。

Img_9487  そして戦闘機定数。F-4後継機問題は完全に暗礁に乗りかかり、F-2支援戦闘機の生産終了により日本国内の防衛産業とともに部品を航空自衛隊に供給していた運用基盤も順次消滅します。これは稼働率に跳ね返るのですが、中国空軍の次世代戦闘機の開発は進められており、先日も珠海国際航空宇宙展でMiG-21クラスの旧式機を置き換える新型機“梟竜”が発表されたばかりです。数の上でも質の上でも脅威が増大する中、一方で北方からはロシア空軍機が日本周辺に出現しています。現在の戦闘機定数で充分なのか、飛行隊を増強する必要はないのか、この緊迫した状況をどのように防衛大綱に反映されているのか、関心を持って待ちたいと思います。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (34)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

民主党政権、自衛隊に民間人の言論封殺を命令! 第二次大戦後では初

2010-11-17 12:32:39 | 国際・政治

◆憲法に反し野党議員の出席拒否にも繋がる

 時事通信によれば自衛隊行事における政権批判は自衛隊行事では自民党代議士の祝辞を含めてかなりあるのですが、民主党の防衛次官がこれを封殺するよう命令を発したとのことです。事実であれば前代未聞。

Img_11562_2  来賓者は政権批判自粛を=防衛次官が通達、政務三役指示・・・ 防衛省が自衛隊関連施設で開催する行事について、来賓者に政権に対する批判など政治的発言を控えるよう要請する内容の中江公人事務次官の通達を全国の自衛隊に出していたことが16日、明らかになった。通達は同省政務三役の指示で作成されており、波紋を呼びそうだ。 

Img_16597  関係者によると、今月3日に航空自衛隊入間基地(埼玉県狭山市など)で行われた航空祭に、自衛隊協力団体の代表が来賓として出席。同代表はあいさつで、尖閣諸島沖での中国漁船の衝突事件を念頭に菅政権を批判した。これを受けて同省は10日、事務次官名の通達を発出した。 通達では、政治的発言の自粛要請が受け入れられない場合、来賓の参加を見合わせることも求めている。 (2010/11/16-23:53)http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010111601049

Img_13939_2 自衛隊の駐屯地創立記念行事において野党議員からの祝辞や自衛隊関係団体の関係者出席が今後認められなくなるかもしれません。防衛次官の通達を実行すれば、認められなくなります。祝辞や訓示では自衛官が公務員の立場からは話せない内容を代弁する野党議員の方が多い事は、行事に足を運べばよく耳にします。

Img_15659  自衛隊関連行事では相次ぐ政府による自衛隊任務の拡大と自衛隊の規模縮小、防衛予算を限界以上に縮減を求めるとともに稼働率低下や能力低下を失策の結果とは決して認めずに自衛隊に押し付ける、権限を与えずに責任だけを突き付ける方式、無理の限界を通り越した上に人員を削減し、装備を削減し、様々な無理を通そうとする現在の政府には、憤りを感じている見学者も多いのでしょうか、野党議員への祝辞へ見学者からの拍手は凄いです。野党議員へのここまでの拍手は、自民党が与党であった時代には考えられませんでした。

Img_18451_2  しかし、耳が痛いという事は理解できなくも無いのですが、わが国の防衛に当たる軍事機構たる自衛隊に対して、私人たる民間人への表現を封殺するような命令、国民の代表たる国会議員への発言を圧封する命令、これはいくらなんでも憲法にも反するのではないでしょうか。これは中国や北朝鮮、ミャンマーの話ではなく第二次大戦中の日本や旧ソ連の話ではなく21世紀の日本における事象です。

Img_18140  自民党が与党時代であれば、こうした発言を与党の防衛次官が発言すれば当然辞任、防衛大臣も引責辞任へ発展するほど、大きな失言であり失策です。どうしてもこうした政策を民主党政権が求めるのならば、衆議院を解散して総選挙を行い国民に信を問うか、憲法を改正して私人の思想良心の自由や用言の自由に制限を加えるよう明記し、与党以外の国会議員の政治活動や発言に制約を加える新法を制定されてはいかがでしょうか。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (14)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ミサイル巡洋艦ワリャーグ、連続して対馬近海を遊弋 海上自衛隊が監視

2010-11-16 22:52:44 | 防衛・安全保障

◆日ソ共同宣言の一部撤回とロシア軍の動向

 ミサイル巡洋艦ワリャーグが対馬海峡を南下したのち北上、Tu-95爆撃機が列島周回飛行に加え、1956年に出された日ソ共同宣言の北方領土に関する部分がロシア側により撤回を突き付けられました。

Img_5747  まず最初に訂正、昨日の記事で潜水艦けんりゅう進水式が川崎造船で行われた、と記載しましたが、川崎造船は川崎重工の完全子会社から今年、川崎重工に統合されました。潜水艦けんりゅう、は川崎重工神戸工場で進水式を迎えた、と訂正します。写真は観艦式における潜水艦そうりゅう。

Img_17955 ロシア海軍の動向について防衛省統合幕僚監部からの発表で、巡洋艦は艦番号から太平洋艦隊のワリャーグのようです。 11月7日(日)午前1時頃、海上自衛隊第1航空群所属「P-3C」(鹿屋)が、上対馬の東約50kmの海域を南西進するロシア海軍のスラバ級ミサイル巡洋艦1隻を確認した。当該艦艇が、対馬海峡を南下したことを確認したhttp://www.mod.go.jp/jso/press2010/press_pdf/p20101108.pdf

Img_9021  かつてソ連海軍は1979年の東京サミットに照準を合わせて空母ミンスクを対馬海峡へ派遣し、わが国を始め西側諸国に圧力を掛けた事例がありました。ちょうど韓国ではG20サミットが11月11日から、そして横浜でのAPEC首脳会談も近い時期でしたのでロシアのプレゼンスを示すのか、日常訓練の一環なのか、と考えていました。

Img_2638  Tu-95爆撃機二機が日本海から対馬海峡から沖縄本島南方を飛行し、南西諸島から本土太平洋岸に沿って伊豆諸島、そして東北と北海道沿岸を飛行して歯舞諸島上空から国後島と択捉島の間を飛行し宗谷海峡を経由してロシア本土に飛び去る事案があり、航空自衛隊が緊急発進して対処しました、ちょうどG20サミットと同じ時期で、ロシア機による領空接近は珍しくないのですが日本列島を一周という飛行経路は稀有といえます。

Img_9151  防衛省統合幕僚監部HPよりの引用です。ロシア機の沖縄方面への飛行について。件名について、下記のとおりお知らせします。記:1 期日・・・平成22年11月12(金)。2 国籍等・・・ロシアTU-95型2機。3 行動概要・・・別紙のとおり。4 自衛隊の対応・・・戦闘機等を緊急発進させ対応したhttp://www.mod.go.jp/jso/press2010/press_pdf/p20101112.pdf

Img_9655 そして同じく防衛省統合幕僚監部が発表しました。 11月15日(月)午前2時頃、海上自衛隊第5護衛隊所属「すずなみ」(舞鶴)が、下対馬の南約40kmの海域を北東進するロシア海軍のスラバ級ミサイル巡洋艦1隻を確認した。当該艦艇が、対馬海峡を北上したことを確認したhttp://www.mod.go.jp/jso/press2010/press_pdf/p20101115.pdf

Img_6049  今回対馬海峡周辺で発見されたスラヴァ級ミサイル巡洋艦も前回確認された艦と同じミサイル巡洋艦ワリャーグです。満載排水量では、ひゅうが型ヘリコプター搭載護衛艦と、あたご型ミサイル護衛艦の中間で、アメリカの航空母艦を標的とする長射程の大型対艦ミサイルを多数搭載しています。しかし、南下したスラヴァ級が再度北上したのですが、Tu-95の飛行と併せて考えると、最近の日ロ関係との関係も考えられないでもありません。

Img_7470  ロシア太平洋艦隊は、ソ連時代には海上自衛隊を圧倒する規模があり、ミサイル巡洋艦と爆撃機との協同で第七艦隊へ対抗する事を目指していました。冷戦終結とソ連崩壊後のロシア海軍の没落の一方、海上自衛隊はその近代化を継続させ、護衛艦数こそ最盛期よりも大きく縮減されましたが、その艦隊編成は充実しました。

Img_2069  現在は海上自衛隊の規模は大型水上戦闘艦の数ではアメリカ海軍に次ぐ規模で、哨戒機数でも米海軍に次ぐ規模にあります。しかしながら現在、中国海軍の増勢により小型艦を中心にわが国に迫るものとなっている一方、冷戦終結後の軍縮機運がいまだ大勢を占めるわが国では自衛隊の縮小が実施され、除籍艦を代替することが充分に出来ない状況にあります。

Img_3136  他方で近年、ロシア海軍の本格的な復興が始まり、一時は皆無に近かった大型水上戦闘艦や潜水艦の行動が確認されるようになっています。同時に前述した通りの中国海軍の動静活性化がありまして、警戒監視活動に当たる護衛艦の数はその必要性が高まっている状況です。他方で日本側から緊張を醸成している、という状況もあるようなのですが、ね。

Img_7503  ロ、2島返還方針も撤回と報道 56年宣言で日本と交渉せず・・・ 【モスクワ共同】15日付のロシア有力紙コメルサントは、13日の日ロ首脳会談に関する記事で、北方領土問題についてロシアは1956年の日ソ共同宣言に基づき、平和条約締結後の歯舞、色丹の2島引き渡しに応じるつもりだったが、今後は方針を変更し、同宣言に基づいて日本と交渉することはないと報じた。

Img_6434  ロシア側の消息筋が明らかにしたという。同筋は、まず2島引き渡しを実現し、残る島も最終的に返還させるとの「アニメ的」な幻想を日本側が抱いていると批判した上で「これらの島はロシア領であり、この問題を協議することはないというのが今のわれわれの立場だ」と強調したという。

Img_9368   またロシア政府系企業ガスプロムのミレル社長が訪日を中止し、極東ウラジオストク近郊で計画している液化天然ガス(LNG)プラント関連の契約文書が日本側との間で調印されなかったことにも触れ、ガスプロムは日本でなく、韓国を契約相手に選ぶ可能性があると指摘した。 一方15日付のロシア経済紙ベドモスチは論説記事で、ロシアは極東の開発で隣国の協力を必要としており、経済的理由や外交バランス上、中国より日本をパートナーに選ぶ方が望ましいと解説。まず日本に2島を返還し、領土問題の解決を図るべきだと論じた。2010/11/15 22:04   【共同通信】http://www.47news.jp/CN/201011/CN2010111501000842.html

Img_7382  さすがは菅直人首相、1956年の日ソ共同宣言、鳩山一郎総理の業績を一発で消し飛ばしました。さて、領土問題に妥協の余地はないのですが、一方で日米間の普天間問題に起因する不振が抑止力と協同関係に発展する余地から尖閣諸島での日中問題を誘発させ、上記に対する安易な二枚舌外交と領土問題への譲歩余地を見せた事がそのまま日ロ関係の北方領土問題に発展してしまいました。

Img_13561  ロシアからすれば日本側が北方領土に対して意識を持っている事、そしてロシア軍の主力が展開する沿海州から千島列島への艦隊展開の難しさにより日本側が領土的要求を外交以外の手段に訴えた場合への警戒措置をとる必要もあり、今回の行動はその一環と見る事も出来ます。

Img_6529 そうなのですが日本からの視点では、日本から以下に侵攻の予定が無いと強調したとしても、国際社会はその能力の有無で判断しますのでロシアが警戒することになり、ロシアが一方的に日本へ侵攻する意図が無い、としながらもその能力から結局日本周辺や北海道に対する圧力にもなり、日本としても防衛体制を構築する必要がでています。

Img_17818  外交関係は安易に崩壊しやすいという事を端的に示してしまった形なのですが、一方で抑止力の均衡が崩れれば、外交上の失敗と複合作用した際には取り返しのつかない結果にも繋がります。いよいよ新防衛大綱の概要が発表されるまで間近となってきましたが、この点に留意して、防衛力の近代化と規模の確保には重点を置いてほしい、と考える次第です。

HARUNA

(本ブログに掲載した本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新潜水艦けんりゅう進水 神戸の川崎造船で本日進水式・命名式挙行!

2010-11-15 22:23:48 | 海上自衛隊 催事

◆そうりゅう型潜水艦

 本日、川崎造船神戸工場において、そうりゅう型潜水艦四番艦けんりゅう、が進水式を迎えました。建造中の様子は神戸のポートアイランド周辺からやや遠いですが見る事が出来ます。

Img_9963  そうりゅう型については、先日掲載しましたので、本日はその造船所について。写真は護衛艦ひえい、三月に練習艦隊の旗艦として神戸港に入港した時の様子です。実は造船所は、このすぐ近くにありまして、練習艦隊神戸寄港のこの日には、おやしお型潜水艦が定期整備の為に入港していました。

Img_9807_1  練習艦隊が入港したのは神戸ポートターミナル。10万㌧クラスの大型客船も同時に2~3隻が接岸できるという巨大な客船埠頭で、三宮から2km、神戸新交通のポートターミナル駅と隣接しています。潜水艦が建造されているのはこの写真の左側にある造船所のなかで進んでいます。

Img_9927_1  神戸大橋とポートピア大橋。全長319㍍の鋼橋で、神戸大橋が神戸港新港第四突堤とポートアイランドを結ぶ自動車橋、ポートピア大橋が神戸新交通のポートライナー用鉄道橋となっています。写真ではちょうど橋を渡る自動車とともにポートライナー2000系が進んでいるところが写っていますね。

Img_9928_1  神戸大橋からズームしますと、川崎造船神戸工場がみえます。ここでは、そうりゅう型潜水艦の、うんりゅう、が建造されました。かつて公試中の潜水艦もちしお、を大阪湾展示訓練で撮影することが出来ましたが、おやしお型の、もちしお、もここで建造されました。よく見ると写真右端にも潜水艦。

Img_9786_1  ポートターミナル駅からの撮影。神戸ベイクルーズに乗船しますと、より間近から見る事が出来るとのことです。神戸ベイクルーズは神戸港中突堤から運賃1000円で1045~1645時の毎時15分と45分に運行されていて、臨時便が朝の1015時や1700時台に運行されることもあるそうです。

Img_0770  ポートライナーは神戸空港へポートアイランドへとJRと阪急、阪神が揃う三宮からかなりの本数が運行されていまして、みなと異人館等、観光名所とも結んでいます。本日の記事は、そうりゅう型の写真を一枚も使わず作成しましたが、興味が御有りの方は神戸に行かれた際、少し足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

APEC首脳会議出席で来日のロシア国家元首メドメージェフ大統領専用機を撮影

2010-11-14 22:34:05 | 世界の艦艇

◆Il-76戦術輸送機

 ロシアのメドページェフ大統領がAPEC首脳会議出席のため来日中ですが、その専用機を撮影することが出来たので掲載します。

Img_8338  大統領専用機にはイリューシンIl-76輸送機が任務に当たっています。Il-76はAn-12輸送機の後継として1960年より開発が開始され、1970年に初飛行した四発大型輸送機で、全幅50.5㍍、全長46.59㍍、最大離陸重量は190㌧で最大ペイロードは50㌧。航続距離は7300kmあり、乗員は6名、人員140名か空挺隊員125名を輸送することが可能です。量産は1975年より開始され、約1000機が生産、ソ連空軍やロシア空軍の主力輸送機として運用されています。ロシア空軍には150㌧を搭載可能なアントノフAn-124輸送機約40機が導入されましたが、数の上ではIl-76が主力です。

Img_8368  今回意外だったのは、メドページェフ大統領の専用機ということで足を運ぶ際、アエロフロートが誇る四発大型旅客機のIl-96旅客機がチャーター機として使われるのか、ロシア空軍でも輸送機として運用されているTu-154旅客機で来日するものだと思っていたのですが、まさか軍用の戦術輸送機で来日するとは、驚きました。ちなみに後部に自衛用の23㍉連装機関砲を搭載できるのですが、これは取り外していたようです。しかし、大統領が戦術輸送機、プーチン首相なら、ツポレフTu-160,これは超音速爆撃機ですが、こういう個性的な機体で来日するのでしょうか(違)。

Img_8378  今回の写真は中部国際空港に駐機中のところを撮影しました、メドページェフ大統領は羽田空港にて礼砲とともに迎えられましたが、羽田空港は空港面積の関係から駐機する機数に上限があり、アメリカのように在日米軍の横田基地に置く訳にも行きません、そういう関係から愛知県の中部国際空港が選ばれたようで、貨物ターミナルの奥の方に駐機されていました。やや機体後部の塗装が剥がれていたのが少々気になったのですが、ロシアの大統領が外遊する時にも、こうした機体が普通に使われるのでしょうかね、不整地離着陸能力は高い機体なのですが、日本の空港ではこの性能は決して必要ではないのでしょうし、不思議に思いました。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オバマ大統領・菅首相 日米首脳会談 中国牽制と日米同盟の深化で一致

2010-11-13 23:28:17 | 国際・政治

◆アフガン派遣発表と普天間問題進展なし

 本日午前中に菅首相は横浜市内でAPEC出席の為に来日中のオバマ大統領と日米首脳会談を行いました。

Img_16864  報道によれば、日米首脳会談は尖閣諸島問題を契機とした中国による日本の我が国領域への進出を中国海軍の太平洋進出と西太平洋の私物化に対処する観点からの中国牽制を含めた日米同盟深化により合意となり、中国によるレアアース輸出中断問題についても日米による掘削などの技術開発についても合意に至りました。

Img_11985  来月には日米共同訓練として九州沖縄方面において島嶼部防衛に重点を置いた実動訓練が実施、4万5000名と艦船航空機多数が参加する事となっていますので、今回の日米首脳会談の内容とその実行という意味での来月の訓練は今回の首脳会談の一つの大きな外交的メッセージとなるでしょう。

Img_14310  陸上自衛隊のアフガニスタン派遣を菅首相が検討している旨を説明し、2011年にも陸上自衛隊のアフガニスタン派遣が行われるとしました。陸上自衛隊のアフガニスタン派遣は現在米軍撤退が迫っている中急激に治安が悪化しており、ISAF部隊への攻勢が強まる中、医官と看護官を派遣するとのことです。

Img_17460  現在の情勢に鑑みるに下手に後方支援部隊を派遣する場合、余程の護衛をつけるなどしなくては自衛隊の海外派遣史上初めての状況に接する可能性もあり、慎重に慎重を期するべきと考えるのですが、どうなのでしょうか。NATOのISAF派遣部隊司令官などは、アフガニスタンに後方という概念はない、と明言しているのですし。

Img_11863  普天間飛行場移設問題ですが、11月の日米首脳会談までに具体的方向性、と2009年年内妥結を伸ばしに延ばしてここまで伸ばしたのですが、結局先送りとなるようで名護市移設を基本として今月末の沖縄知事選後に最大限の努力を行う、と言うにとどめました。日本の一方的な方針変更により移設計画は伸びまして、その分の無駄な予算支出も増えています。全く現与党は予算無駄遣いに無頓着なようです。

Img_15093  冒頭の日米同盟深化で一致したのに対して、同時に南西諸島における中国からの圧力を受けている状況を認識しつつも、その主体となるべき在沖米軍の移設を具体化できないというのは、現政権は景気刺激の公共事業として日中沖縄戦を誘致でもしているのか、と疑いたくなるほどで、とにかく具体的な施策を望みたい次第。

Img_18985  在日米軍駐留経費一部負担の思いやり予算問題では協議の加速を合意するとともに、このほか、安全保障関連では核セキュリティー作業グループの設置や北朝鮮の核武装解除に関する問題、イランのウラン濃縮に対する日米の共同歩調等で合意に至ったとのことで、会談の後、握手を交わしました。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

平成二十二年度十一月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報3

2010-11-12 21:40:39 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 寒くなってきまして、革ジャンを取り出しました。九州始め西日本では黄砂があったのですが、皆様如何お過ごしでしょうか、こうしたなかでいよいよ九州が航空祭のシーズンを迎えます。

Img_17858  築城基地航空祭2010は14日の日曜日に行われます。オープニングフライト、陸自機動飛行、第5航空団機動飛行、第8航空団機動飛行、第8航空団対地攻撃展示、緊急発進展示、救難展示、第12飛行教育団展示、第8航空団航過飛行、ブルーインパルス、と予定されていまして、最大でF-2×4機とF-15×5機の9機編隊飛行も実施されます。ラジオ中継があるとのことだからラジオを持って行ってもいいでしょう。

Img_18926  春日基地開庁51周年記念行事が土曜日に行われます、西部航空方面隊が展開する司令部基地で、祈念式典、祝賀飛行、ペトリオットミサイルの機動展示やファンシードリル等が行われるとのことです。部隊整列等、航空自衛隊の航空祭では見れない内容ですので、九州は同じ福岡県の行事ということで、明日の春日基地と日曜日の築城基地、とハシゴしてみるのも面白いかもしれませんね。

Img_11715  第13旅団創設11周年記念行事が広島の海田市駐屯地で行われます。海田市行った事が無いので写真は守山。海田市駐屯地は今年で60年の歴史を誇る駐屯地ですが、第13旅団は山陽山陰中国地方と中部方面隊で最大の警備管区の広さを有する旅団となっています。旅団行事ですので、米子駐屯地、出雲駐屯地、日本原駐屯地、三軒屋駐屯地、山口駐屯地と防府分屯地からの隷下部隊が参加することになるでしょう。

Img_15820  呉地方隊の艦艇候補の予定では愛媛県松山にて、海上自衛隊の艦船による艦艇広報が予定されている、とあるのですが愛媛地方協力本部によれば月末に行われる事となったようです。公開予定の艦は掃海母艦ぶんご、です。このほか、艦艇入港の情報は手元にないのですが、お気づきの点がありましたらばご一報いただけると幸い。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

防衛省、F-2生産終了とF-35導入内定方針 脅威高まる中で果たしてこれは妥当か? 

2010-11-11 23:41:31 | 防衛・安全保障

◆F-2は安定性能、F-35は価格納期性能が未定

 防衛省は次期戦闘機としてF-35の導入を方針として内定させ、F-2の調達を終了するようです。将来発展性と運用基盤のあるF-2を諦めて、まだ未完成の機体に全てを賭けるとのことになります。

Img_7839  十一月八日と、少々記事が古いのですが、次期戦闘機のF-35への取得方針の表明とF-2の調達終了について以下は共同通信からの記事の引用です。 F35軸に12年度予算化へ 次期戦闘機で防衛省・・・ 防衛省は航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)について、次世代戦闘機F35を軸に2012年度予算の概算要求で調達経費を計上する方針を固めた。年明けに機種選定委員会を開いて調整を本格化させる。これに伴い、選定までの穴埋めとして検討していた現有戦闘機F2の追加調達を断念した。複数の防衛省、自衛隊関係者が7日、明らかにした。

Img_0231  FX選定で防衛省は当初、F35開発の遅れや価格の高騰を受け、暫定措置としてF2の追加調達や現有の主力戦闘機F15の改修継続で対処する方向だった。だが軍事的にも台頭する中国に対して航空優勢を確保するため、レーダーに捕捉されにくいステルス性と超音速巡航能力を特徴とするF35など第5世代機導入の早急な決定が必要との判断に傾いた。40機弱の導入を想定している。 中国はF15に匹敵する「殲11」など第4世代戦闘機を量産し、第5世代戦闘機の開発も目指している。このため、性能が比較的劣るF2の追加調達は抑止力や経費面で得策ではないとの分析も第5世代機経費計上の方針を後押しした。2010/11/08 02:02   【共同通信】http://www.47news.jp/CN/201011/CN2010110701000412.html

Img_5227  F-2支援戦闘機もいよいよこれまでのようです。来年度予算の概算要求にF-2の新規調達が盛り込まれていなかった時点ですでに終了なのですが、政府はF-35,よりにもよってF-35の方に方針を転換するようです。しかし、F-2で対応できない脅威、というのは中々少ないのではないでしょうかね、ステルス機等はレーダー反射面積を局限化するためにかなり無理をしていますので有視界戦闘ではF-35とF-2ではF-2の方が利がありますし、F-2の搭載しているレーダーは国産品でまだまだ発展要素があります。F-35のレーダーの将来性も凄いですが、技術が全て日本に開示される訳ではありません。

Img_5576  例えばF-2ではなくF-4のような古い機体を見た上で中国空軍の第四世代戦闘機は性能を単体で見た場合は確かに脅威ではあるのですが、データリンクや空対空ミサイルの性能、戦闘機の基幹部分と言うべきエンジンを近年に関係が悪化しているロシアから導入している点やもともと高稼働率ではなく劣悪な状況下での最低限の運用体制を維持するというロシア機の設計思想を受け継いだ事での整備性の問題からの戦闘機稼働率の低さ等を踏まえれば、必ずしも日本の防空体制が第四世代戦闘機で維持できない、というわけではありません。

Img_5543 第一に日本は専守防衛を国是としていますから、上海や北京上空の制空権をとりに侵攻する訳ではありません、逆に向こうから来るのを迎撃するのですから航空戦では高機動により燃費が急激に悪化するのですけれども、基地に近い日本の場合は圧倒的に有利ですし、地上のレーダーサイトや航空自衛隊の空中管制を行う早期警戒機の支援を受けられます。むしろ、同じ取得費用で高額となることが必至な開発中のF-35を導入するよりも機数として多くのF-2を揃えた方が圧倒的に有利ですし、予備部品などはかなり多くのものを備蓄する必要が出てきまして、これが予算的に圧迫してしまいます。

Img_7862  こういうのも、今までは戦闘機のライセンス生産を行う事で予備部品を必要な時に必要なだけ補充する、在庫を持たない、つまり日本が世界に誇るトヨティズム方式が成り立っていたのですが、ライセンス生産が出来なければ予備部品も輸入しなければなりません、つまり多くの在庫を抱えますし、その取得と管理に費用が掛かるという構図が生まれます。日本でF-35がライセンス生産を認められる可能性は、F-35が多くの国が開発に参加し、多くの国が設計関係のパテントを分散して保有する一点からも絶望的ですので、これはどうにもならないでしょう。また、F-2の生産終了で日本における戦闘機生産は終了しますので、航空自衛隊の戦闘機稼働率を支えてきた部品メーカーが防衛産業から撤退する事となります。撤退は始まっているのですが、完全に撤退してしまえば現行の自衛隊機の予備部品も外国から特注で調達するか、国内で特注するか、結局割高になります。

Img_6601  F-35はF-2に比べて稼働率も下がります、国内に運用基盤が出来ないのですし、NATOのように協同運用基盤制定を行う事は憲法の集団的自衛権の観点から難しいのですからね。すると例えば100機あったとして、これまで稼働率を90%に維持出来た場合、18個飛行隊に換算して5個飛行隊が全国の基地で要撃任務に当たる事が出来るのですが、NATO推奨の最低稼働率水準とされる(十年ほど前の江畑先生の著書に旧東独のMiG-29がこの稼働率を割った、として出ていた数字です、うろ覚えでのすので間違っていた場合はご指摘いただけると有難いです)50%前後で推移した場合、三個飛行隊が稼働、となる訳です。中国空軍が一方向からしか来ないのであれば、三個飛行隊あれば充分対処できるのでしょうけれども、多方向から来た場合を想定すれば、しかも、目標が同時多目標であった場合では三個飛行隊よりも五個飛行隊の方が望ましいでしょう。

Img_6609  しかも、このF-35は現在開発難航で納期未定、友人でアメリカで仕事の際に立ち寄った航空祭でF-35のモックアップを撮ってくれた、というのはあるのですが、当方はこのF-35,実物は見た事がありません。F-35が日本に導入されて岐阜基地の飛行開発実験団で試験を終了して問題なし、となった後で航空自衛隊の航空団に配備されるのは何年先か、先日も更に数年延びる、という記事を紹介しましたけれども、下手をすれば2020年よりも後、という可能性もありまして、それまで中国空軍が絶対に圧力を掛けてこないという保証はどこにあるのか、非常に心配です。

Img_2840  時事通信:在韓米軍など海外駐留削減=次世代機F35開発もカット-超党派委草案・・・ 【ワシントン時事】オバマ米大統領が設置した超党派の財政赤字削減委員会は10日に発表した共同委員長草案に、欧州とアジアの駐留米軍の規模を3分の1削減することや、開発中の次世代戦闘機F35の調達機数を大幅に減らすことなどを盛り込んだ。 草案によると、2015会計年度までに国防費1000億ドル(約8兆2000億円)以上を削減する。欧州、アジアに駐留する米兵約15万人を5万人削減し、15年度までに85億ドルを節約できるとした。内訳は欧州で3万3000人、在韓米軍で1万7000人減らす。在日米軍については言及しなかった。

Img_2600  また、空・海軍と海兵隊はF35を計2443機調達する計画だが、草案は機体の構造が複雑で技術的問題が指摘されている海兵隊仕様のF35の開発中止を提言。また、空軍、海軍向けも、調達機数を計画の半分にとどめ、残りはF35(単価約1億3300万ドル)より大幅に安いF16やF18スーパーホーネットを充てるべきだとしている。これにより15年度までに95億ドルの支出を抑える。 また、沖縄に配備予定の垂直離着陸輸送機MV22オスプレーの調達を計画の約3分の2に当たる288機にとどめ、15年度までに11億ドルの支出を削減するとしている。  同委員会は委員18人で構成され、最終報告の承認には14人の賛成が必要。委員会は12月1日までに最終報告をまとめる。国防装備費の大幅カットは、雇用対策にも影響するだけに軍需関連企業を地元に抱える議員の反発を招くのは必至で、草案は修正される可能性もある。(2010/11/11-19:09)http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010111100840

Img_2861  航空自衛隊が導入しようというF-35ですが、これは国際共同開発の航空機でして、生産数に応じて機体の値段に開発費が上乗せされますし、開発費が増大する場合にはその増大分も支払わなければなりません、お客様は神様、という言葉がありますがF-35は国際共同開発なので日本は顧客ではなくリスクのステイクホルダー、事業パートナーという形になる訳です。神様としてメーカーに指図出来ない訳ですね。納期が未定であるだけではなく、開発費用がどれだけ大きくなるかも未定、その開発費が余りにも大きくなりすぎて、アメリカが負担軽減を求めているという状況です。そこで日本が求められるのはお金、資金の拠出です。そこでアメリカは写真のホーネットやファルコンを充てるべき、という声が出ている次第。アメリカがファルコン、つまりF-16を充てるべき、というのならば日本もF-2を、考えてもいいのではないかな、とこのブログで繰り返しています。日米共同生産なのでF-2は日本の一存で生産が継続できないのですが、完成すればF35を調達します、と条件付きで首脳交渉すれば、動くのではないかな、と考えます次第。

Img_2705  F-35,幾らになるか分かりません、いつ完成するかも分かりません、どのくらいの性能が発揮できるかは現在開発中ですから未知数です、ステルス性以外の性能でF-2よりも上か下かも未知数。アメリカはこういう状況で、日本からちょうど円高で日本円が強いのですから、開発費にポーンと100億ドルくらい出してほしい、と考えているのでしょうね。開発費が無くて困っている、パートナーもそんなF-35のプロジェクトから抜け出したい、イギリスやイタリア、オランダは配備数の下方修正を検討中とも伝えられます、こんな中に日本は飛びこむのですよね。完成すれば良い戦闘機になると思います。しかし、完成するまで日本はまってもいいのではないでしょうか。

Img_6188  排他的経済水域に中国調査船=中止求め、3時間後域外へ-鹿児島・奄美・・・ 9日午後4時40分ごろ、パトロール中の海上保安庁の航空機が、鹿児島県奄美大島の西方約390キロに位置する日本の排他的経済水域(EEZ)で中国海洋調査船を確認した。同機は無線で調査中止を要求。同船は同8時ごろに同水域外に出た。 第10管区海上保安本部(鹿児島市)によると、確認された海洋調査船は「濱海512」(1964トン)。船尾からケーブルのようなものを5本引いて航行していた。 航空機から無線を通じて英語で呼び掛けると、同船は「きのうから調査をしている」と応答。同機が「事前同意のない(EEZ内での)調査活動は認められない」と中止を要求したところ、同船からは「ここは中国の海だ」と応答があったという。 (2010/11/10-00:27)http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010111000014

Img_9734  奄美大島と言えば九州の離島です。今度は沖縄県のみならず九州の鹿児島県が中国領だ、中国の海だ、と強く出てきました。ううむ、尖閣諸島を中国が領有宣言している、というのは聞いたことがあるのですが、九州も中国領だ、と主張してきたのですから、放置しておくと本州の中国地方も領有宣言してくるかもしれませんし、第二次大戦中のカイロ会談で四国を中華民国が管理する案が出ていたようですので、あの時中華人民共和国は影も形も無かったのですが、四国の領有宣言をしてくるかもしれません。日本はこういう非常識な国から軍事的圧力と領土割譲の圧力を受けているのでして、こうした状況下で自衛隊の防衛力を再度冷戦時代の規模にまで戻して、加えて西方南方の防衛警備を強化しなければならない、という時期なのですけれども、こういう時期に日本の航空防衛産業を危機に曝してまで、いつ完成するか、どういう性能か、どのくらいの費用か分からない機体を修得しよう、というのはちょっと理解に苦しみます。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (24)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする