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第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報④ 第11後方支援隊

2012-07-19 21:13:33 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
◆第11旅団第11後方支援隊の観閲行進
 観閲行進特集、今回は第11後方支援隊を扱います。戦闘部隊が任務を遂行し、維持するためには後方支援が何よりも重要です。
Mimg_1513 補給と戦闘支援こそが現代戦を支えるといって過言ではないでしょう。そして第11旅団には後方支援隊が置かれています。今回の記事では第11後方支援隊の写真と共に、その編成と任務を列挙してゆきます。多分に当方の誤解と誤字が含まれていることでしょうが、後方支援隊の任務と編成のご理解へ一助となれば幸い。
Mimg_1518 第11後方支援隊長平木重臣1佐。第11後方支援隊は真駒内駐屯地へ駐屯、隊員500名を以て第11旅団の後方支援を行う部隊で第11師団時代の第11後方支援連隊から縮小改編を受け創設された部隊です。武器科と需品科に輸送科と衛生科の隊員を以て編成され、第1整備中隊、第2整備中隊、補給中隊、輸送隊、衛生隊という編成となっています。
Mimg_1532 第1整備中隊の車両、主に重点整備を行う部隊から編制されており、第一線での整備以上の整備を行うことが任務です。より正確には火器車両整備小隊、通信電子整備小隊、施設整備小隊、工作回収小隊から編成されており、写真の高機動車は後部に搭載するコンテナがそのまま電装品整備に行われるシェルターとなっているのでしょう。
Mimg_1546 第1整備中隊本部の重レッカ。三菱ふそうトラックバス社製の装備で、74式特大型トラック原型として10tまでの吊上能力を有するため、戦車の整備や火砲の砲塔整備などにも用いられる装備、この車両の手におえない装備品の整備や回収は重装輪回収車が当たります。第一線での回収作業を想定した場合、キャビン部分への防弾鋼板装備など措置が欲しいところですね。
Mimg_1548 第2整備中隊。第一線部隊の整備支援を行います。第1普通科直接支援小隊、第2普通科直接支援小隊、第3普通科直接支援小隊、特科直接支援小隊、高射直接支援小隊、戦車直接支援小隊、偵察直接支援小隊を以て編成されており、第一線部隊へ随伴し、整備支援を行います。特に車両部隊が増加しているため部隊整備能力には限界があり、この支援を行うというもの。
Mimg_1554 各直接支援小隊は真駒内駐屯地へ駐屯していますが、第11旅団は真駒内駐屯地以外にも駐屯しているため、第1普通科直接支援小隊は滝川駐屯地へ常時展開し第10普通科連隊の直接支援任務に当たり、第3普通科直接支援小隊は函館駐屯地へ駐屯し第28普通科連隊の整備支援任務に当たっています。第2普通科直接支援小隊は真駒内で第18普通科連隊の支援、というかたち。
Mimg_1556 第11後方支援隊補給中隊の観閲行進。見ての通り補給部隊ですが、給水や燃料輸送などを行う部隊です。野外浄水器具により河川や湖沼の水を浄水し給水する任務も担う部隊です。北海道では給水の際にエキノコックス菌の危険があるため滅菌剤を入れなければならない、ということですが車両を見ますと気づくところがありました。
Mimg_1564 写真の車両ですが3t半、73式大型トラックですがキャビン部分へ防弾鋼板が取り付けられ、フロントガラスも内部に防弾ガラスが取り付けとなっていて一定の爆発物や軽火器による攻撃へ対応する構造となっているのがみえるでしょうか。給水車や浄水装備は重要ですが、そこまで優先目標となるようには見えません。
Mimg_1568 防弾浄水車。これは推測ですが、給水と浄水は自衛隊の国際貢献任務として派遣される事例が多く、この為の防護仕様とかんがえられます。ところで、密閉なのですが、ただでさえ熱くなる部分に加えて海外派遣はより高温多湿で厳しい場所に行くことも多く、この場合、冷房とかどうなっているのでしょうか、後付とかは無いのでしょうか、ね。
Mimg_1569 燃料輸送車。3t半/73式大型トラックの派生型ですね。機械化と装甲車両は普及するとともに当然燃料需要も大きくなり、重要です。他方で、73式大型トラックを基本とした一定の不整地での運用を想定した車両が基本なのですが、方面隊には兵站拠点へ集約するための、もう少し大型のタンクローリ型の燃料輸送車、航空自衛隊が運用しているような大型のものは必要ないのでしょうか。
Mimg_1570 第11後方支援隊輸送隊。第11旅団の大型車両の輸送支援を行う部隊です。さて、ここまで第11後方支援隊の編成を見てきましたが、第11師団時代の第11後方支援連隊の編成を簡単に見てみましょう。これは、連隊本部、本部付隊、武器大隊、補給隊、衛生隊、輸送隊となっています。第一線部隊への支援という観点からはかなり前進したように見えますね。
Mimg_1577 73式特大型セミトレーラ最大積載量40tの輸送車両で74式戦車を輸送可能な装備、50tの90式戦車の輸送はそのままでは不可能ですが、75式自走榴弾砲などの装備品は輸送可能です。一般に装軌式車両、所謂キャタピラ式ですがこれら車両は長距離を自走することはできません。このために輸送車がひつようになる、ということ。
Mimg_1582 輸送車が必要という部分で一般に、と言ったのは2003年のイラク戦争でクウェート国境からバクダッドまで600kmを機動できたため、適切な整備支援を行えば可能、ということを示したのですが攻撃前進以外は故障回避と整備負担軽減の観点から自走以外の手段が望ましいということです。今回は第11特科隊の73式装甲車を搭載していました。
Mimg_1589 第11後方支援隊衛生隊。衛生隊は医官と歯科医官に看護官と薬剤官で編成、有事の際には野戦病院を構成し、第一線からの負傷者を野戦病院において治療します。病院設置は厚生労働省の許可が必要という問題がありましたが、東日本大震災に際しては初めて野戦病院を実際にせっちし、被災者の治療に当たりました。これは自衛隊の野戦病院最初の実例ということを聞き、何やら感慨深いものでしたね。
Mimg_1590 行進する衛生隊の1t半救急車と野外手術システム。自衛隊の任務は野戦救急と救命ということで、感染症予防などはどうしているのか気になっていたのですが、これは後方の病院へ搬送していては絶命してしまう状況に際して、究極の応急措置として手術を行うというもので、一命を取り留めた後に改めて入院する、ということでした。感染症にり患しても治療を行えば命を落とすことはありませんが、重傷者をそのまま搬送していては助からないこともある、この言葉は重いもの。
Mimg_1593 1t半救急車、救急車中隊に装備されています。中隊定数は不明ですが、まあ、中隊ということですから小隊が下にいるとして、12両程度、でしょうか。ちなみに、名古屋市消防局の救急者数は35台程度、というので12両で当ても少なすぎることはありません。重傷者用担架四床か軽傷者用座席8名の後方野戦病院への搬送が可能です。しかし、最前線での運用を考えると、軽装甲車派生型の軽装甲救急車が欲しい。
Mimg_1594 野外手術システム。大型トラック四両に治療シェルターを搭載し、手術車と手術準備車と滅菌車に衛生補給車を以て構成され、水トレーラと発電機二基を支援に当てます。電動手術台、X線装置、X線フィルム現像装置、臨床検査装備、手術用機材滅菌洗浄機材、血液分析装置と各種医薬品や機材をもって編成されているもの。開頭開胸開腹全ての手術を90分程度で実施でき、24時間で10~15名の手術が可能とのことでした。以上で第11後方支援隊の観閲行進は完了、まだまだ観閲行進は続きます。
北大路機関:はるな

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