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【京都幕間旅情】建仁寺,日本最初の禅寺に勇躍そうりゅう-うんりゅう躍動の正月東山散策記

2019-01-09 20:08:47 | 写真
■京都そうりゅう-うんりゅう
 東山は銀閣寺に清水寺と八坂神社に賑わいが溢れていますものの、静寂といいますかあたかも美術館のような静かさを湛える寺院もある。

 建仁寺、けんねんさんとしても知られるお寺は京都五山の第三位に順じ、東山は大和大路四条に在る臨済宗建仁寺派大本山の寺院です。建仁年間の1202年に開山したという建仁寺は茶の湯を再興した明菴栄西が源頼家と開いた我が国最古の禅寺として慕われています。

 正月三が日は、そうりゅう、うんりゅう、観に行ってきました、というと、なあんだ呉基地と横須賀基地へ行脚したのか、と思われてしまいました。実はこの正月、それほど体調思わしくなく、ゆっくりしていたので年末八坂神社へ無病息災祈願へも行けませんでした。

 風神雷神図で有名な建仁寺を拝観したらば、勿論少し外の空気も吸って、という事も含めまして多少は年始を快く過ごせるだろうと思い、八坂の方へと歩みを進めたのですが。なにしろ正月三が日、八坂神社は初詣の参拝者が多く、しかし建仁寺界隈はそれ程でもない。

 日本画家小泉淳作、法堂の双龍を描きました、渾身の描写と云い2002年のものです。小泉淳作は、つい最近まで御存命との事ですが、映画サザエさんやモスラはじめ東宝特撮映画で有名な俳優小泉博氏の実兄、といますとぐっと親近感がわく、というところでしょうか。

 法堂は明和年間の1765年建立といい、ここに2002年に双龍が描かれたという訳です。実は日本最古の禅寺は大陸文化の影響が濃い博多聖福寺に在るとの事なのですが、建仁寺に日本最古禅寺、方丈に大書されています。これは開山の栄西大師が先に建立した為という。

 双龍と雲龍、海上自衛隊の潜水艦でも無ければ旧海軍の航空母艦でもありません、海軍の方は双龍ではなく蒼龍ですが。龍は我が国仏教における威光と信仰の守り手の象徴、法堂の天井に双龍が一杯に広がり、襖絵として静かに目を光らせる雲龍が拝観者を迎えます。

 鎌倉幕府2代将軍源頼家が造営した建仁寺、その伽藍は応仁の乱はじめおおくの災厄と共に創建の時代を伝えるものは僅かながら、応仁の乱直後から全国の臨済宗寺院より伽藍の移築を進め、三門や勅使門に方丈も広島や静岡から早いものでは16世紀に移築したという。

 八坂に清水と高台寺、東山文化と云いますが車山文化という程に渋滞が続きそれ以上の行列が寺院へと続く中、何故かここは観光客が少なく比較的静かな一角という不思議な寺院です。寺社仏閣を拝観するに静かな方が良いのですが、昔から建仁寺境内は静かな印象だ。

 双龍と雲龍、法堂に画かれています。建仁寺と共に楢府京都五山には有名な睨み龍の天井画で知られる大伽藍がありますが、なかなかにカメラの持ち込みを許されず、仏教美術専門書やテレビ番組に特別に撮影される様子で面影を思い出すものも多いのですが、ここは。

 京都五山第三位に列せられる建仁寺は、双龍と雲龍はじめ重要文化財の襖絵等も拝観するに留まらず、その様子を写真として持ちかえる事を許す、なんというか寛大な寺院です。もっとも商用写真はお断りという事で、この線引きが明白というのはなんというか嬉しい。

 八坂の塔として有名な法観寺五重塔は、夕日に佇む塔や町屋と並ぶ様子、京都を紹介する際の定番の風景として用いられる情景の代表例ですが、考えてみればあの寺院も建仁寺の塔頭寺院の一つ、そして臨済宗の高台寺も、この建仁寺の末寺という関係にあるのですね。

 建仁寺の襖絵と天井絵に庭園は全て考えさせられるものがあるのですが、有難いことに座る事が出来る場所も多く、物事を考える思慮の機会を得られる庭園というものは心に豊かさを与えてくれる。華美さ派手さに物量を競う寺社仏閣拝観に飽きた方にお勧めでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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