◆ポスト“冷戦終結後”、という新しい時代
陸上自衛隊の与那国島配備について北澤防衛大臣が2015年度末までに実現する、という発言がありました。
自衛隊は冷戦後、北方からの脅威が大幅に減退した、という指摘によりその部隊規模と人員規模、装備定数を大きく縮減してきました。しかし、南方での脅威が冷戦時代の水準に伍する程度、将来的にはそれ以上の水準まで想定される以上、やはり装備定数と人員規模、部隊規模は見直されるべきです。
与那国島分屯地、となるのでしょうか、この分屯地に駐屯する事となるのは数十人規模の沿岸監視隊で、沿岸監視隊という部隊は北海道北部の冷戦時代ソ連側の部隊集中や艦船情報を収集し警戒する部隊として配置されていました。自衛隊の駐留は政治的な意味が大きく、特に駐屯している以上近隣諸国が実力で侵攻した場合、確実に戦闘を強いられることになり、この事実自体が抑止力となります。
しかしながら、冷戦時代にソ連側の脅威を正面から受けていた北海道に対する四個師団の配置と基地防空の重視と掩体運用を実施した千歳基地・支援戦闘機部隊の拠点としての三沢基地・ソ連戦闘機行動圏外にある後方の松島基地という配置の防衛体制に比べると、どうしても近年の南西諸島周辺の脅威の高まっている状況に対し、政府は沖縄の防衛を最大限自衛隊による抑止力により対応し、有事の際には独力で排除する、という気構えが見えてこない事が気になるのです。
現実問題として沖縄近海への中国軍の動向は連続して増加していまして、中国海軍艦船に対する海上自衛隊の警戒監視は統幕HP等でよく報じられているところ、つい先日も中国の漁業監視船が尖閣諸島の日本領海内へ領海侵犯し退去させられています。軍事的脅威となるのはまだまだ先の事ですが中国海軍は航空母艦の運用に着手しており、この認識が現在の政府には薄いように思えてなりません。
沖縄に駐屯している陸上自衛隊は第15旅団。第一混成団より拡大改編された部隊で旅団編成は一個普通科連隊と一個高射特科群、施設中隊と偵察隊、通信隊と後方支援隊、そして飛行隊。高射特科群は白川、勝連、知念、南与座に改良ホークミサイルの高射中隊を置いていますがもともと方面隊が運用すべき装備で、強力ではあるのですが野戦防空を担う短距離・近距離の防空装備を旅団は有していません。
普通科連隊は元々二個普通科中隊と重迫撃砲中隊から成る第一混成群を増強する形で創設され、軽装甲機動車や対戦車ミサイル等を装備する事はするのですが、しかし沖縄全県という広大な離島を防衛するには本部管理中隊と三個の普通科中隊から成る一個普通科連隊では絶対的に不足です。唯一の装甲打撃力として偵察隊に87式偵察警戒車が配備されましたが、これを海上輸送する手段は沖縄の自衛隊には無いのが実情です。
飛行隊には、沖縄の離島地域における民間救急ヘリコプターの航続圏外における災害派遣を想定し、CH-47輸送ヘリコプターやUH-60JA多用途ヘリコプター等といった輸送能力と航続距離の大きな航空機が配備されており、急患輸送という災害派遣を想定していたことから十年ほど前までは沖縄塗装と呼ばれた救難機塗装が行われていましたが現代は迷彩塗装となり、その輸送能力は高いものがあります。しかし、機数が双方合わせ数機程度であり圧倒的に機数が不足しています。
東日本大震災における災害派遣を見た場合、ヘリコプターの数量不足はヘリコプター部隊の増強に対して機数全体が後継機の高性能化に伴う取得価格上昇により減少傾向にあり、結局部隊あたりの機数が削減されているという本末転倒無状況となっています。個人的には戦車を削減した分、陸上自衛隊のヘリコプター数を抜本的に向上させる、いわば最低数量の防衛大綱明示を行う必要もあると考えているのですが、たとえ新しく駐屯する沿岸監視隊が脅威兆候を把握したとしても部隊が展開できない、という実情です。
すると、やはり沖縄県の防衛を考えた場合、主力を本州の中央即応集団を空輸し九州や北海道から海上自衛隊の輸送艦で増強する、という運用を行ったとしても、どうしてもこれら部隊が到達するまで即応し対処する部隊というものを考えなければなりません、つまり第15旅団の増強無くしては沿岸監視隊の抑止力は全般的に微増でしかない、と考えるのです。
基本的には、三個普通科連隊基幹とし、一個普通科連隊を先島諸島に配置するほか、飛行隊をヘリコプター隊に拡充するとともに一部飛行隊を先島諸島に配置、周辺部離島に対する緊急展開能力を付与させる、という方式が必要になるでしょう。漂流という偽装手段などで、自衛隊の駐屯していない地域に展開し既成事実を構築しようとする可能性はありますから、それを阻止するためには緊急展開のみ、ということになります。
連隊の規模ですが、島嶼部防衛ですので、一個普通科中隊を基幹として例えば中距離多目的誘導弾や高機動車牽引の重迫撃砲、93式近距離地対空誘導弾や自衛隊の装備には現在ありませんが機関砲を搭載した高機動車により点目標対処が可能な装備を、例えば各1~2両づつでも少数配備し、中隊戦闘団、として島々に分散配置可能な小回りのきく運用が望ましいでしょう。
まあ、現実問題としてはそんな混成運用をどの職種の幹部が中隊長に当たるのかという問題、レーダー等と有機的複合的に運用される師団対空戦闘システムから外れた93式近SAMの能力は限られていますし、必要ならばもう少し規模を集め島嶼部毎に対空レーダーなどの装備が必要、これを欠いてはどうにもなりません。無理にに行おうとすると先島諸島だけで独立した混成団が必要になってしまいます。
重迫撃砲も少数運用では例えば海兵隊などでは火力支援用に単砲単位での海兵中隊との連携も行われているのですが施設作業能力等の面から難しく、それならば航空支援などを当てにできる海兵隊のような体制の方が妥当、妥協案としては91式携帯地対空誘導弾の小隊規模での分散配置や中隊の迫撃砲小隊が運用する81mm迫撃砲への依存、それに可能ならば火力支援用に大口径の対物狙撃銃があれば、という程度が実質的な限界になるのでしょうけれども。すると対馬警備隊のような普通科中隊一個を基幹とした警備隊を配置した方が良いのやも。
他方で、これは運用が必ずしも陸上自衛隊ではなくともよいのですが、無人航空機による情報優位の体制を構築できるようにせねばなりません。また、これと連動し、88式地対艦誘導弾のような着上陸に対して決定的な障害となるような装備を、方面隊直轄としてでも配置するべきと考えます。他には、やはり着上陸阻止を補完する意味で運用の柔軟性があり火力投射能力は極めて大きい戦闘ヘリコプターも沖縄に配備する必要も高いでしょう。
沿岸監視隊については、尖閣諸島、南大東島への配備が最終的に必要となるでしょう。実のところ数十人規模の駐留でも、例えばフォークランド紛争における分隊規模のサウスジョージア島守備隊が一定の抑止力となっていた事が挙げられるのですが、意味合いは大きいのです。同時にこれは、中国海軍の活動が活発化している小笠原諸島においても例えば沖ノ鳥島等に対しても、既に南鳥島で実施しているような部隊駐留を行う必要があるのではないでしょうか。
沖縄県は海上自衛隊の部隊運用から考えた場合も、佐世保基地から距離が大きく、例えばミサイル艇部隊や輸送艇部隊を沖縄の勝連基地に配備するか、佐世保地方隊の防衛管区を奄美大島を含めた鹿児島県島嶼部までとして、新しく沖縄地方隊を創設する必要があるのでは、と考えます。
昨年末に発表された防衛計画の大綱では潜水艦六隻と護衛艦一隻増強以外、対処措置は盛り込まれておらず、南西諸島に限っては沿岸監視隊の創設のみ明記されていました。この程度では次の中期防衛力整備計画が完了した時点でも抑止力を維持できるか、という不安が払しょくされているようには見えません、陸上自衛隊の人員と重装備はさらに削減され、他方機動力などの増強施策は一切講じられていないのですからね、このあたりが、逆に抑止力の均衡を破綻させ、この国に外患を誘致してしまうのではないかと不安なのです。
北大路機関:はるな
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
沖縄県民は、よく『米軍基地が沖縄に75%も集中していて不公平だ』と言い、各地で基地撤去の抗議行動を起こしているが、
本当に基地が無くなったら、平和でのんびりとした沖縄が待ってるって思ってるのか?。
いいや、とんでもない話だね。
知ってるか? 沖縄はね、その不公平と引き換えに、「沖縄だけ」が以下のような多くの高率補助金を受けているんだ。
まず沖縄県は、自主財源が25%しかない全国一の弱体経済県だろ。つまり、国の補助金と借金で県経済はかろうじて生計を立ててるってわけ。
いいか、例えば道路保全に沖縄は国から95%の補助を受けられるだろ?、これが他府県は70%以下なんだよ。
他にも、学校建設整備では85%対50%、漁港整備は90%対66%、公営住宅建設75%対50%、水道施設整備75%対33%、空港整備95%対66%と続き、ほとんど全産業分野に及んでいるんだよ。
また沖縄は本土より、ガソリン税がリッターあたり7円安く、沖縄自動車道の通行料金は本土より約4割引。航空機燃料税は那覇-羽田間は他路線より半額だよね。
さらに、那覇文化てんぶす、沖縄こどもの国(こども未来館)、北谷ニライセンター、嘉手納水釜町営住宅、嘉手納町マルチメディアセンター、
沖縄市コザミュージックタウンなど、これらは基地関連の国庫予算で建設されているって知ってた?。
それに加え、「各自治体にも」「多額の軍関連の交付金」が支給されている。
県民の中には「自分は軍用地料などもらっていないし、自分には基地は何らメリットはない。」と考えている人も多く居るでしょうがね。
しかしだ、例えば、台風で道路が不通になったら、国から95%の補助金があるため、修理できるのです。もし、他府県並みの70%以下になったら、
財政難にあえぐ自治体は修理することにも困るはずだよ。
「基地関連収入」と「観光収入」の根本的な違いって何か分かるか?
基地経済を論じるときに重要な視点は、軍関係の中味とその本質だ。
県民総所得の中で基地関連収入と観光収入が同じように並べられているが、実は、観光収入は「売上額」なのに対して、基地関連収入は「利益額」にあたるわけさ。
観光収入の「利益額」は10%~30%と試算してもその中味の違いは大きなものだよ。
しかも、「軍用地料」は不況に強いという特徴があってだね。軍用地料が「市場相場」ではなく「政治相場」で借料が決定されるんだ。
過去、軍用地料は、1991年には前年比で110%、1992年には前年比107%と上昇しているわけ。
沖縄での基地返還要求が強まると、軍用地料が必要以上に引き上げられる傾向にあるんだな。
そのため、復帰後は軍用地との再契約を拒否する「反対地主」が減少して、契約に応じる「軍用地主」の増加につながっているわけだ。
沖縄の道路舗装率や上下水道普及率は全国のトップレベルですわ。
基地が無ければ北部の自治体などに軍用地料が入らず、このような普及率や本土以上に立派な校舎など、絶対に無理なはずだよ。
また、あなたが軍用地料を貰っていなくても、そのお金が、沖縄の最大の民間資本として、例えば地域のレストランの開業資金などになって、
沖縄の雇用の維持や食材料店の売上に役立っているわけ。そして県民全てに、大きな恩恵を与えているのさ。
この経済波及効果が大きいがゆえに、人口を2倍にも増やす力となったわけだね。
もし、基地が縮小・撤去されたら、この高率補助金も他府県並みに減らされ、また軍用地料も減り、県民全体に大きな損失をもたらすことでしょうよ。
そして更に今回、「補助金3000億円ありがとう。でも米軍基地は県外で」ってか?・・・・恐ろしいわ。
自衛隊関連では、もし与那国に自衛隊が移駐し、島で急患が出れば相当な時間短縮で那覇まで輸送できる。
陸自の第15飛行隊の急患輸送は、県知事からの災害派遣要請により実施され、年間約250回出動し、365日24時間体制になっている。
「ドクターヘリ」があるからいいサー」って人がいるが、ドクターへりがどれだけの性能か分かってるの? 残念だがドクターヘリは与那国までは来れないよ。
航続距離がなく、夜間飛行設備も十分でなく、おまけに維持費がない。ドクターヘリは実質、本島周辺のみの活動だろ。
与那国自衛隊移駐は色んな面で+があると確信した、ほぼ全ての島民の願いである。
というわけで分かっただろ、米軍基地を完全に無くすのは非常に難しいわけだよ。
事件事故?、民間人も同じくらい起こしてるって。
御指摘の点ですが、しかし、政治参加の機会を無視して、無関心という態度を取った層にも責任があるのかな、とも。
東ん本大新s内を契機に、部分的にも関心が自衛隊に向いていますので、防衛安全保障にも目を向け、責任ある議論というものの在り方を考げなければならないと思います。
師団、にしましても陸続きではないので身動きが取れないのではないでしょうか。この点、普通科連隊の二個編成化と空中機動力強化、ということは考えるのですが、師団にしたとしても離島間の後方支援連隊、そして師団対空戦闘システムの運用、特科火砲支援、というのは少々難しい気も。
また、那覇空港ですが、例えば辺野古沖に沖縄空港、というようなものを創設して那覇基地から民間旅客機を移転させない限り、空港規模は手狭ですから、これを忘れてはならない事です。
下地島ですが、ちょっと中国大陸に近すぎるのではないでしょうか、冷戦時代、千歳以北に航空自衛隊は基地を創らなかった訳ですので、この点留意する必要があるようにも。
それよりも、航空自衛隊の戦闘機部隊は全て要撃任務に当たっていて、予備の航空機が無い状態になっていますので、それよりは航空優勢を喪失しそうな状況に際して迅速に展開する事が出来る、飛行隊を三個か四個を基幹とする大型の航空団を後方の、例えば浜松のような基地に創設して有事の際に休息増強できる体制を構築する方が現実的なのかな、と。
輸送艇もそうですが、ミサイル艇や哨戒艇といった支援する艦艇とともに装備体系全体を充実する事も忘れてはならないのでしょうね。
機動的に増強、と行っても何処からどう運ぶのか、中枢部隊と機動手段の確保が絶対必要です。
輸送機ですが、こちらの場合、陸海空自衛隊全体で防衛出動と邦人輸送、後方支援基盤維持に必要な輸送能力を明確化して装備数を考えるべきでしょう。
UH-1系統ですが、これも充分ではないのではないか、という印象です。ヘリコプターの調達数が少ないのですから除籍数を遥かに下回っているという実情。
単年度調達ですが、しかし複数年度一括調達を行う場合は、一カ年で数年分を生産してそれで生産ライン閉鎖になると、その次の調達が出来なくなってしまいます。
個人的には、防衛計画の大綱に師団編成や旅団編成のあるべき編成を明示し、十年単位で何機のヘリコプターが必要か、という事を明確にしたうえで、これを政治決定として了承し、単年度契約に依拠した中期防衛力整備計画を立てるべきなのだろう、と。
上陸用演習地やパラシュート降下演習地、爆撃用の島の使用も当然共用。
辺野古飛行場を強引にでも早くこしらえて、海兵隊と共同使用させ、ヘリコプターを25機以上配備させましょう。
対戦車ヘリ、輸送ヘリ、中型ヘリV-22も必要ですね。
那覇空港は滑走路2本化計画がありますので、
ついでに、空自2飛行隊50機、全シェルター化させ、E2Cを常時配備させましょう。
ホワイトビーチを増強して、護衛艦なり、潜水艦基地なり、輸送艦配備なりミサイル艇配備なりさせましょう。
宮古港か石垣港もミサイル艇配備・護衛艦支援施設が必要ですね。
対空ミサイルは中SAM・短SAM配備させましょう。
本島以外にも下地島もね
与那国島や石垣は短SAMですね。
宮古島や石垣には地上部隊の他にも小型輸送艦ですね。石垣か宮古にもヘリが必要ですね。
石垣にも地上部隊。
下地島は航空基地。全機シェルター化
尖閣諸島には陸自の常駐。
本土には輸送艦を多数配備・高速輸送艦や病院船も配備しバックアップさせましょう。
もちろん空母もね。
ただ現実的には輸送艦の数が絶対的に不足ですし、海自の輸送機更新で高速・大量輸送可能なC-2を候補から外しているのは理解に苦しむ所ですが、領土防衛の意思を内外に明確にするためにも防衛費の短期集中配分が必要ではないでしょうか。
CH-47もやっと数が揃ってきましたがUH-60JAなんて驚くほど少ないです。
AH-1Sや90式戦車のように正面装備はしっかり数が揃っているのですが(それでも調達ペースはかなり遅いですが)他を見ると自衛隊は装備の更新が極端に遅いですよね。89式小銃しかり
少ない予算なら予算なりに思い切ってUH-1系統のロー部分を切って輸送ヘリはUH-60JAだけを調達してもいいと思うんですが、ちょうどUH-1Jも配備が一段落したところですし陸自の輸送ヘリはUH-60JAとCH-47JA二機種の調達にすればコストは高くてもある程度は毎年調達できると思うんですが・・・
やはり単年度調達に問題があるんでしょうね・・・