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アジア安全保障会議(シャングリラ会議)岸田総理大臣基調講演,五本柱の“平和のための岸田ビジョン”提唱

2022-06-11 07:00:32 | 国際・政治
■臨時情報-アジア安保会議
 10日より開幕となりましたアジア安全保障会議へ岸田総理は安倍総理以来となる日本の首相として出席しました。

 岸田総理は10日、シンガポールでのアジア安全保障会議、通称シャングリラ会議において基調講演、ここで“自由で開かれたインド太平洋”構想への日本の視点として五本柱より成る“平和のための岸田ビジョン”を提示しました。この施策は本年末にも記される我が国における国家安全保障戦略改訂の指針、その外郭を示すものであると考えられます。

 平和のための岸田ビジョンは、巡視船供与等を通じての海上法執行能力基盤の強化、サイバーセキュリティの強化、デジタル分野での安全保障強化、グリーン分野での安全保障強化、経済安全保障、以上の五項目を挙げています。意味が分り難いのですが、グリーン分野は化石燃料使用の脱却への協力か環境保護を通じての圧政国家影響拡大阻止を示すのか。

 海上法執行能力強化はこちらも分り難く、巡視船では対応できない分野での脅威については棚上げするという認識か。サイバーセキュリティ強化とデジタル安全保障は、概念として重複しないか、若しくはサイバー攻撃とフェイクニュース対策というものを分けた概念であるのか、日本の安全保障分野の貢献は、これまで通り掴み難い事を改めて示しました。

 平和のための岸田ビジョンとして示された五本の政策は判り難いものでしたが、具体策として日本が安全保障貢献として示したものは以下の通り。6月13日よりヘリコプター搭載護衛艦いずも以下の護衛艦部隊をインド太平洋方面へ派遣し各国と巡回訓練を行う2010年代の安倍政権時代から続いていますプレゼンスオペレーションを今年も行うとのこと。

 プレゼンスオペレーションのほか、今後三年間で少なくとも20億ドルの巡視船供与や海上輸送インフラ建設支援及び海上保安設備の供与を行うとのこと。巡視船供与については、我が国では巡視船くにがみ型の量産により安価な建造が実現しており、これまでにヴェトナムやフィリピンとインドネシアなどへの巡視船供与が継続的に行われているとことです。

 しかし、平和のための岸田ビジョンには、日米首脳会談におけるバイデン大統領への対外公約となった防衛費のGDP比2%への増額へも言及はありませんでした。更に記者団との質問に日中関係を問うものがありましたが、岸田総理は中国に対し国防費の透明化を求めるという発言に留め、具体的な言及を避けており、曖昧発言に終始したといえるものです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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