北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

韓国政府-北朝鮮無人機浸透事案受け4億4000万ドルの緊急対策,日本の無人機対策はどうか?海渡る無人機脅威

2022-12-29 07:01:20 | 先端軍事テクノロジー
■臨時情報-朝鮮半島情勢
 この脅威は来年度以降と云わず緊急補正予算を必要とする水準なのでしょう、日本も例外ではありません。

 韓国政府は北朝鮮からの無人航空機浸透事案を受け、大統領府が急遽4億4000万ドル規模の無人機対策予算を緊急計上しました。これは26日に発生した北朝鮮のものと思われる複数の無人機を確認、韓国軍は100発程度の対空戦闘を実施しましたが撃墜には至らなかったというもので、無人機は鳥類の誤認という可能性もあるようですが確認できていない。

 無人機に対する有効な対策手段が無い、韓国国防省は異例の謝罪会見を行いました。韓国陸軍にはK-31飛虎自走高射機関砲などが装備されていますが、基本的に対航空機用であり、危険性は認識されていたものの予算措置が取られなかった事が要因であるとし、これをうけ韓国政府は迅速に緊急の予算措置を執った事となります。さて、これは対岸の火事か。

 日本海を渡る無人機の能力はある、こう懸念する一方、我が国でも10年以内に無人機への対抗手段を構築する政府は先日発表の防衛力整備計画に明示しました、しかし、10年も余裕はあるのか、10カ月以内に有効な対策を講じなければならないのではないか、という実情です、こういうのも、数万ドル程度の無人機で2000km以上飛行する機種があるため。

 シャヘド136無人機、イランがイエメンに供与し、イエメン武装勢力フーシ派がサウジアラビアの油田施設攻撃に用いたものです。重量は200kg程度、乗用車のセダン程度の費用で生産でき、航続距離は1500kmから2500km、北朝鮮にイランと同程度の技術が有れば、つまりこの機種程度のものを開発するならば朝鮮半島から日本海沿岸、いや東京まで届く。

 L-90/35mm機関砲とAHEAD弾薬があれば、その迎撃は難しくはありません、その根拠は高射機関砲の標的機がこの大きさなのです。しかし問題は最盛期210門が装備されていたL-90高射機関砲を自衛隊は2009年までに全廃、後継として150両の87式自走高射機関砲が配備される計画でしたが、配備予算を削られた為48両は北海道の一部に配備されたのみ。

 無人機対抗手段として電子妨害装置や電子妨害砲等が開発されていますが、今のところ同様の無人機攻撃を受けているウクライナで活躍しているのはスイス製やドイツ製高射機関砲です。もちろん早期警戒機等を飛行させ低空進入を警戒する必要はあるのですが、例えばこの種の無人機が日本海側の原発や石油貯蔵施設近くに進出する前に、対策は必要です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【京都幕間旅情】東本願寺,平... | トップ | 北大路機関『自衛隊最新装備2... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

先端軍事テクノロジー」カテゴリの最新記事