北大路機関

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【総火演2021特集-第一回】富士総合火力演習-陸上自衛隊最大の公開実弾演習が本日実施

2021-05-23 20:13:21 | 防衛・安全保障
■総火演2021実況配信を考察
 富士総合火力演習が本日執り行われました、コロナ対策により実況配信が在ったのみですが総火演2021実況映像を再現しつつ考察をしてみましょう。

 富士総合火力演習、二年連続のライブ配信となりましたコロナ禍下の総火演です。富士総合火力演習は毎年八月に一般公開される我が国最大の公開実弾演習、昨年と今年は夏季に東京五輪開催と自衛隊の支援などのの日程が組まれている為、五月の実施となりました。

 今回から、富士総合火力演習ライブ中継中に北大路機関部内用に作成しました概況実況の文章をもとに、しかし過去に北大路機関が撮影しました不意総合火力演習などの写真とともにその様子を紹介しましょう。なにしろ緊急事態宣言発令中、ステイホームで紹介です。

 COVID-19感染拡大により今年度も一般公開は無し、しかし見学の隊員も昨年は絵に描いたような社会的距離とともに2m以上離隔を置いて部内要員の見学は今年度は"密です"に回帰しまして、少しづつですが日常の回復を印象させるのは幸いというところでしょうか。

 即応機動連隊と機動師団による反撃の要領、今年度の総火演は即応機動連隊に続いて機動師団の展示という内容でした。前段演習では各種装備の展示、後段演習ではシナリオによる想定という部分は例年通り。悪天候が気になるところですが、富士の天気は気まぐれだ。

 今年度は9mm拳銃の射撃が展示されまして、これは過去なかったようにおもえるのですが、薬莢拾いが大変そうにみえたのはご愛敬というところか。20式5.56mm小銃、こちらは今回初登場になるように思ったのですが、まだ展示できる水準まで部隊単位で訓練中なのか。

 東富士演習場の気温は14.5度、しかし全体に霞がかかっていまして富士山は見えません、例年ですとああ今年もF-2は展開できないか、と嘆息する状況です。さて60mm迫撃砲が参加しましたが、これは水陸機動団に配備されるとともに偵察戦闘大隊へも配備されると。

 60mm迫撃砲の偵察戦闘大隊への配備が会場にて発表されまして、全国の師団旅団行事でもまもなく見えるようになる装備となった。射程はそれほど大きくはないのですが60mm迫撃砲は軽装甲機動車より展開していましたので、第一線運用能力を高めた点が興味深い。

 対戦車ミサイルの射撃展示では例年通り多数過ぎる装備が登場しまして、しかし今年度は無人航空機との連接が強調されていまして、中域用UAVとしてスキャンイーグルが、狭域用UAVというスカイレンジャーはこの名称で登場しました。豪州製とカナダ製のものです。

 対戦車火力については毎年思うのですが87式対戦車誘導弾の射程は2km、01式軽対戦車誘導弾の射程は1.5kmですので、そろそろ統合してはどうかとも思います、イスラエルのスパイクミサイルのように01式を射程延伸型として改良型を開発してもいいとも考える。

 また89式装甲戦闘車に搭載する79式対舟艇対戦車誘導弾が今年も頑張りましたが、こちらも全国の対戦車隊廃止に見舞われていますので、細々と維持するよりは、なにしろ89式装甲戦闘車は数が少なく、79式対舟艇対戦車誘導弾は一種専用装備となりつつあるとも。

 89式装甲戦闘車は、後継装備も開発はされているものの広範な装備を見込む話はありませんので、思い切って数十程度ならばイスラエル製のスパイクERミサイルを搭載するなど、配慮は必要にも思う。ただ、数限られる戦車を掩護するには装甲戦闘車も数は必要ですが。

 砲迫射撃には19式装輪自走榴弾砲が参加、今年度も射撃は実施しませんでしたが今年度後半から部隊配備が開始されると説明されました。52口径火砲、悪い装備ではない共考えるのですが、しかし今後この19式装輪自走榴弾砲は運用を考えると設計時と状況は違うのですからね。

 19式装輪自走榴弾砲、もともと師団特科等に配備される前庭でしたが、開発中に防衛大綱が書き換えられ、師団特科や旅団特科が廃止され方面特科へ集約されるのですし、思い切って99式自走榴弾砲に統合してはどうかとも。方面隊ならば充分活用できる装備です。

 19式装輪自走榴弾砲はMAN社製トラックが採用され三菱製重装輪回収車とのファミリー化が断念されていますが、これは三菱製車体では道路運送車両法の車両限界よりも駐鋤の部分で超過してしまうためといい、現時点の大きさで実際は目一杯の装備なのですよね。

 言い換えれば19式装輪自走榴弾砲はこれ以上の伸び白がありません、しかし世界の砲兵はアメリカの将来火砲が示すように58口径砲へ延伸して行きますので、要するに19式は現時点でこれ以上砲身を法律上のばせないこととなっているのですよね、すると考えるのは。

 99式自走榴弾砲の長砲身型へ集約したほうが、なにしろ58口径砲の射程は100kmに達するのですし、射程が求められる島嶼部防衛には必要と考えるのです。99式自走榴弾砲は確かに重量があり地域師団には取回しは大変ですが、方面隊単位ならば対応できると考える。

 改修については、そして車体はまだ余裕はありますので仮に砲身を58口径と換装するならば射程は100km、40kmの火砲を島嶼部防衛に充てるならば相当数が必要となりますが、100kmの射程ならば南西諸島には数カ所に配備するだけで、他島の守備部隊を支援可能に。

 沖縄本島と石垣島に奄美大島と馬毛島、離れた東大島に特科中隊をそれぞれ配置するだけで、全域を防衛できます、これが射程40kmとなれば特科団規模の火砲が必要となる。野砲はミサイルと異なり警告射撃が可能、グレーゾーン事態にはミサイルより適しているといえるでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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