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ロシアのショイグ国防相がダーティボム(放射性汚染爆弾)に言及,ウクライナ使用準備を主張-偽旗作戦を懸念

2022-10-25 07:00:51 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 日本のロシアとの外交と共に防衛安全保障の対象としてのロシアは、やはり難しい隣国だという認識を今月だけでも何度改めたことか、と。

 ダーティボムとは。核廃棄物などの放射性物質などを爆弾の周囲に充填し意図的に散布する兵器です。ロシアのショイグ国防相は23日、NATO各国の国防相へ電話階段を申し込み、ウクライナ側がダーティボムを使用しようとしていると一方的に主張した。これに対してウクライナのゼレンスキー大統領はロシアのいつもの捏造情報だとして強く反発している。

 ロシア軍がダーティボムを使おうとしている一種の偽旗作戦ではないか。懸念されるのはこちらのほうの懸念です。ダーティボムは核廃棄物を散布し、高レベル放射性汚染地域を意図的に作り出す用途で用いられるのですが、これから自国領土を奪還しようとしているウクライナ軍が、これを散布した場合、移動を制限されることになり意味がないのですね。

 ウクライナ軍に対してロシア軍が使用する場合は、例えばイラン製無人航空機に搭載し散布するなど、運搬手段がありますが、広範囲を核汚染した場合、部隊の集結や移動に大きな制約が加わるとともに、特に農耕など一次産業に対しては破滅的な破壊力を持つ攻撃となります。それでいてこの攻撃、核攻撃ほど国際的非難やNATOの反撃などはありません。

 IAEA国際原子力機関などは重責が有る。ウクライナは核不拡散条約批准国であり、例えばウクライナ国内の核燃料蓄積については十分な情報開示を受けているため、ロシア軍によるこうした偽旗作戦が懸念される状況ではIAEAによる確認宣言などが大きな意味を持つこととなり、逆にロシアのダーティボム使用を抑止し得る重要な責務をもう事となります。

 戦術核兵器使用を示唆していたロシア軍ですが、戦術核兵器使用ならばアメリカ軍が介入するとのバイデン大統領の発言、ホワイトハウス報道官は即座に火消し二当たりましたが、加えてNATOのストルテンベルク事務総長もNATO介入をせざるを得なくなるとの発言など、ロシア側にとりその使用での欧米の軍事介入リスクを高めただけに終わりました。

 しかし、ロシアの現状は厳しい、ウクライナ軍は南部ヘルソン奪還に向けての兵力集中を行っていると伝えられ、これも前回のハリコフ州奪還攻勢と同じ陽動の可能性もあるのですが、仕方なく第一次大戦式の塹壕を掘るほかないという装備不足のロシア軍にとり、大量破壊兵器以外で決定打となる装備の模索に忙殺されているという、状況なのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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