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中国空母山東-日本周辺海域で連続330回の艦載機発着,小笠原諸島と太平洋正面の防衛空白地帯対応が急務

2023-04-18 07:01:01 | 防衛・安全保障
■臨時情報-中国空母動向
 ヘリコプター搭載護衛艦を増強し中国空母の常時遊弋に対応できるプレゼンスを確立させる必要性を感じる状況です。

 防衛省によれば日本周辺海域を航行する中国海軍航空母艦山東は4月7日に監視を開始していら10日間で330回の艦載機発着を確認したとのことです。これは一日平均で33機となりますが、アメリカ海軍のニミッツ級航空母艦の発着回数を考えればはるかに少ないものの山東の艦載機数を考えれば、ほぼ一日で全戦闘機数に匹敵する数が発着している。

 山東は中国海軍が初めて導入した中古空母遼寧に続く第二の航空母艦で、遼寧を参考に002型航空母艦として独自建造したもの。中国は現在、これを遥かに大型化させた003型航空母艦福建を建造中で来年にも竣工するものと考えられています。これにより001型航空母艦遼寧と3隻体制となり、常時1隻を遊弋させるローテーションが完成することでしょう。

 沖ノ鳥島など日本がこれまで想定してこなかった正面での航行を行っている。今回注目すべき点は山東が太平洋に進出しており8日から10日にかけ台湾周辺海域での軍事演習に参加、10日から13日にかけては沖縄県先島諸島と宮古島近海を遊弋、続いて14日から16日にかけては東京都小笠原の沖ノ鳥島近海を航行し、艦載機の発着訓練をおこないました。

 ニミッツ、アメリカ海軍は空母を展開させ海上自衛隊と共に警戒監視にあたっていますが、問題は上記の中国海軍航空母艦がローテーション運用が可能となる点で、今回はアメリカ海軍が中国海軍を上回る海軍プレゼンスを行使出来た構図ですが、常時中国が同様の行動を実施可能となる2024年以降、アメリカも常時空母を張り付けられるのかは課題となる。

 小笠原諸島の防衛空白という点も不安要素です。従来日本の防衛空白地帯は先島諸島であり、石垣駐屯地や宮古駐屯地と与那国駐屯地、警備隊と地対艦ミサイル部隊や高射特科部隊の混成部隊駐屯により漸くその空白を埋める事が出来ましたが、今回中国空母が航行した小笠原諸島は、海上自衛隊の分遣隊が有る程度で戦闘部隊の無い防衛上の空白地帯です。

 日本の防衛は長らく冷戦時代の、北海道と日本海側からのソ連軍上陸や三陸沖からのソ連爆撃機南下を想定、近年は九州沖縄での中国軍活動増大に備える南西シフトとして防衛力を転換したばかりですが、太平洋正面からの脅威は全く想定せず、中部方面隊と東部方面隊に地対艦ミサイルは無く、太平洋に面する四国にも戦闘機部隊さえありません。今後は南西シフトに続く太平洋シフトも必要となるよう考えます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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