■戦闘工兵装備は減る一方
戦闘工兵は陸自の弱点、昨今自衛隊の装備には足りないものが目立っていますが中でも戦車が削減される中で限られた機械化装備を十全に機能させる戦闘工兵装備の不足が懸念する水準です。
施設科部隊には16式機動戦闘車派生の工兵戦闘車両が必要ではないか。これは近年、陸上自衛隊の戦闘工兵装備の不足とともに施設科部隊が全陸上自衛隊の前進を制約する要素となるのではないか、という危惧に依拠します。特に75式装甲ドーザ装置の退役が進み、これを補填するだけの施設作業車が製造されていません、地雷原処理車も然り生産が無い。
自衛隊は有事の際に機械化部隊が10式戦車の能力を最大限発揮できる機動力を発揮した場合、24時間の内に幾つの地雷原を突破しどれだけの地隙を踏破しなければならないのだろうか、10式戦車の機動力を初めて富士学校祭で目にした際にその高速船が海面を滑るような速力に驚かされたものですが、機械化部隊は戦車以外も含め部隊を構成するのが原則だ。
施設科部隊は、特に戦闘工兵任務を考える場合、まず、第一挙げるのは、敵地雷原の処理を軸とした障害処理、第二に河川や地皺の克服というものが考えられます。補給路の維持など建設工兵任務も重要ですが、なにより重要な命題は前進速度です、すると上記の戦車を含む機械化部隊の前進を阻む障害を克服する際に速度を落とさないようせねばならない。
専守防衛なのだから地雷原は仕掛ける側である、こうした認識が多少あるのかもしれませんが、自衛隊が83式地雷原敷設装置などで地雷を迅速に敷設する展示を行う一方、そもそもソ連軍などはMi-2ヘリコプターによる地雷敷設を1950年代から実施しています、いやBM-21ロケット弾による地雷散布も行うため、専守防衛でも地雷の脅威は、あるのですね。
専守防衛ですが、ウクライナ戦争でのロシア軍運用をみますと相当数のクラスノポール誘導砲弾が使われています、自衛隊もカパーヘッド弾やエクスカリバー誘導砲弾を導入する必要がある、と強調しつつ、橋梁などがこうした精密誘導砲弾で破壊される懸念も相応にありますので、渡河などは施設科部隊の支援が必要な状況は当然あります。装備が必要だ。
中型ドーザや小型ショベルなど、自衛隊はこうした装備を国産の優れた建設機械により充分な数をそろえていますが、しかしどれもトラックにより機動しなければ自走速度で10式戦車に随伴できるものは一つもありません、そして75式装甲ドーザ装置など戦車に随伴する装備も開発はされていますが、想定している速度は第二世代戦車という範疇でしかない。
戦車は早い、京都から大阪まで、10式戦車ならば道路状況次第で数十分で突破します、名寄から音威子府も同様ですが、ここに施設車両が随伴できるかといえば、トラックに乗せた建設機械で随伴しようとするならば、敵砲兵の攪乱射撃、その餌食になることは明白だ。すると、速度と防御力、この二つをある程度考えた装備が、なければ何にもできない。
即応機動連隊が全国の方面隊へ順次改編創設されている現実をみれば、陸上自衛隊は機動戦を視野に改編を進めていることは事実であり、機械化部隊はその機動力によって攻撃力の一端を担う、だからこそ地隙や地雷原などで時間をかけて後方から施設科部隊をよび障害処理や地雷処理に架橋作業などをやっている時間はありません。時間が勝敗を左右する。
排土板を装着するとドーザ装置として用途があるかもしれません、もっとも装輪車両ですのでドーザ用途に用いたところで限度はあるのかもしれませんが、ダンパーとともに排土板を装着すると障害除去に多少用途があるのかもしれません、そして、ここが重要なのですが、多少の防弾性能の足しにもなるのでしょう、ドーザ装置は、あるとないでは違う。
ドーザ装置、実は昔、ストライカー工兵車両の訓練をみる機会があったのですが、期待高まる瞬間も障害に向け少し前進したところで、岩の飛び出た地形に叩くような音とともに、しかしそれ以上動かなくなりまして、その隣にいました中型ドーザが障害除去にあたることに。餅は餅屋と痛感しましたが、しかし機動力の高さには納得したという背景がある。
L9破壊砲、ロシア軍がウクライナの占領地にドラゴンの歯やダマスカスの胸壁などといった防御施設を構築しているのは報道されているとおりですが、こうしたところへ梱包爆薬や破壊筒を押し込むには時間がかかりすぎます、するとイギリスが開発した工兵用のL9が必要だ、これは30kg近い粘着榴弾を2400m先まで送る一種の梱包爆薬投射機といえます。
L9というのは、74式戦車が搭載しているL7戦車砲を設計したロイヤルオーディナンス社製で、口径は165mm、砲身は非常に短いのが外見上特色、HEP粘着榴弾は弾速が遅いものですから対戦車戦闘に用いられるようなものではないのですが、しかし74式戦車も命中精度の面で評判は悪かったものですが、制式化当初は戦車もHEP弾を運用していました。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
戦闘工兵は陸自の弱点、昨今自衛隊の装備には足りないものが目立っていますが中でも戦車が削減される中で限られた機械化装備を十全に機能させる戦闘工兵装備の不足が懸念する水準です。
施設科部隊には16式機動戦闘車派生の工兵戦闘車両が必要ではないか。これは近年、陸上自衛隊の戦闘工兵装備の不足とともに施設科部隊が全陸上自衛隊の前進を制約する要素となるのではないか、という危惧に依拠します。特に75式装甲ドーザ装置の退役が進み、これを補填するだけの施設作業車が製造されていません、地雷原処理車も然り生産が無い。
自衛隊は有事の際に機械化部隊が10式戦車の能力を最大限発揮できる機動力を発揮した場合、24時間の内に幾つの地雷原を突破しどれだけの地隙を踏破しなければならないのだろうか、10式戦車の機動力を初めて富士学校祭で目にした際にその高速船が海面を滑るような速力に驚かされたものですが、機械化部隊は戦車以外も含め部隊を構成するのが原則だ。
施設科部隊は、特に戦闘工兵任務を考える場合、まず、第一挙げるのは、敵地雷原の処理を軸とした障害処理、第二に河川や地皺の克服というものが考えられます。補給路の維持など建設工兵任務も重要ですが、なにより重要な命題は前進速度です、すると上記の戦車を含む機械化部隊の前進を阻む障害を克服する際に速度を落とさないようせねばならない。
専守防衛なのだから地雷原は仕掛ける側である、こうした認識が多少あるのかもしれませんが、自衛隊が83式地雷原敷設装置などで地雷を迅速に敷設する展示を行う一方、そもそもソ連軍などはMi-2ヘリコプターによる地雷敷設を1950年代から実施しています、いやBM-21ロケット弾による地雷散布も行うため、専守防衛でも地雷の脅威は、あるのですね。
専守防衛ですが、ウクライナ戦争でのロシア軍運用をみますと相当数のクラスノポール誘導砲弾が使われています、自衛隊もカパーヘッド弾やエクスカリバー誘導砲弾を導入する必要がある、と強調しつつ、橋梁などがこうした精密誘導砲弾で破壊される懸念も相応にありますので、渡河などは施設科部隊の支援が必要な状況は当然あります。装備が必要だ。
中型ドーザや小型ショベルなど、自衛隊はこうした装備を国産の優れた建設機械により充分な数をそろえていますが、しかしどれもトラックにより機動しなければ自走速度で10式戦車に随伴できるものは一つもありません、そして75式装甲ドーザ装置など戦車に随伴する装備も開発はされていますが、想定している速度は第二世代戦車という範疇でしかない。
戦車は早い、京都から大阪まで、10式戦車ならば道路状況次第で数十分で突破します、名寄から音威子府も同様ですが、ここに施設車両が随伴できるかといえば、トラックに乗せた建設機械で随伴しようとするならば、敵砲兵の攪乱射撃、その餌食になることは明白だ。すると、速度と防御力、この二つをある程度考えた装備が、なければ何にもできない。
即応機動連隊が全国の方面隊へ順次改編創設されている現実をみれば、陸上自衛隊は機動戦を視野に改編を進めていることは事実であり、機械化部隊はその機動力によって攻撃力の一端を担う、だからこそ地隙や地雷原などで時間をかけて後方から施設科部隊をよび障害処理や地雷処理に架橋作業などをやっている時間はありません。時間が勝敗を左右する。
排土板を装着するとドーザ装置として用途があるかもしれません、もっとも装輪車両ですのでドーザ用途に用いたところで限度はあるのかもしれませんが、ダンパーとともに排土板を装着すると障害除去に多少用途があるのかもしれません、そして、ここが重要なのですが、多少の防弾性能の足しにもなるのでしょう、ドーザ装置は、あるとないでは違う。
ドーザ装置、実は昔、ストライカー工兵車両の訓練をみる機会があったのですが、期待高まる瞬間も障害に向け少し前進したところで、岩の飛び出た地形に叩くような音とともに、しかしそれ以上動かなくなりまして、その隣にいました中型ドーザが障害除去にあたることに。餅は餅屋と痛感しましたが、しかし機動力の高さには納得したという背景がある。
L9破壊砲、ロシア軍がウクライナの占領地にドラゴンの歯やダマスカスの胸壁などといった防御施設を構築しているのは報道されているとおりですが、こうしたところへ梱包爆薬や破壊筒を押し込むには時間がかかりすぎます、するとイギリスが開発した工兵用のL9が必要だ、これは30kg近い粘着榴弾を2400m先まで送る一種の梱包爆薬投射機といえます。
L9というのは、74式戦車が搭載しているL7戦車砲を設計したロイヤルオーディナンス社製で、口径は165mm、砲身は非常に短いのが外見上特色、HEP粘着榴弾は弾速が遅いものですから対戦車戦闘に用いられるようなものではないのですが、しかし74式戦車も命中精度の面で評判は悪かったものですが、制式化当初は戦車もHEP弾を運用していました。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
来年度の予算で購入するようですよ。
ドーザ(装甲付き)(5両:27億円)
敵砲迫等の脅威が高い場面においても機動路整備等の施設支援
を実施して、近接戦闘部隊の戦闘に寄与するドーザ(装甲付き)
を取得
装軌よりも装輪型の同じような工兵支援車両が
必要でしょうね。