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【日曜特集】第14旅団創設6周年-善通寺駐屯地祭【6】戦車隊と航空部隊(2012-04-29)

2019-06-16 20:08:33 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■老兵74式戦車の迫力
 観閲行進はいよいよ最終段階、第14戦車中隊の74式戦車と第14飛行隊のUH-1J多用途ヘリコプター等が立体的に行進を行います。

 第15即応機動連隊は、第14旅団の即応機動旅団改編と共に第15普通科連隊から改編されました。実は改編が決定した翌年には第14戦車中隊の本部車両として配備されていました96式装輪装甲車へ第15即応機動連隊と明記、行事の訓練展示へ参加した事例もあった。

 96式装輪装甲車は改編が決定した時点で三個中隊が配備される、という話だったのですが、正直なところ自衛隊が保有する96式装輪装甲車は400両程度、その中で四国にそれほど多くを掻き集められるのかなと思ったりもしたのですが、編制完結できたのは御存じの通り。

 96式装輪装甲車もそうですが16式機動戦闘車も配備され、特に96式装輪装甲車は冬タイヤへの交換やチェーン装着も大変である、と昔に北海道真駒内駐屯地の第11旅団で聞いたことがありましたので、実は見た目以上に苦労があるのかな、と思ったりもしましたが。

 しかし、第15普通科連隊は虎の子部隊、その気合いと気迫は様々なところで聞きます。第15普通科連隊は第13師団時代から四国の普通科連隊として伝統がありますし、そして第15歩兵連隊という群馬県高崎連隊の名前を受け継ぐ普通科連隊、当方も応援しています。

 さて善通寺駐屯地と云えば第14旅団、その通りなのですが、第2混成団から受け継がれた歴史があります。そして第2混成団が新編される前までは第2教育団が置かれていました。現在は大津駐屯地に移駐しまして中部方面混成団となりました昔の第2混成団、ですね。

 第110教育大隊は第2教育団と現示の中部方面混成団隷下部隊ですが、大隊本部と共通教育中隊が此処善通寺駐屯地に置かれています。第2教育団の教育大隊は第109教育大隊と第110教育大隊の二つですので、この一つが置かれている、中部方面隊教育一つの拠点だ。

 自衛官候補生、と昨今は名称が改編されましたが、ちょっと自衛官候補生という名称よりも新隊員課程という方がしっくりきますね。新隊員教育というものを担うのが教育大隊の任務、隷下に共通教育中隊が三個置かれていまして、自衛隊員としての基礎教育を担う。

 前期教育という三か月の教育課程がありまして、小銃の執銃や整備と射撃、行進と戦闘動作の基本の基礎、体力練成や服務規則等を中心とした座学、体力練成や営内生活への順応、こうしたものを行います。ただ、勿論この三か月間だけでは基礎の基礎しか教えられない。

 敬礼動作一つとってもボーイスカウトや演劇部でもなければ中々なじめない動作、しかも欠礼などがあっては大変です。小銃の分解結合等は当たり前ですが自衛官でなければ馴染まない。前期教育はみっちり三か月間で班長さんに懇切丁寧に腕立て伏せと共に学びます。

 後期教育という課程が更に三か月、こちらは第一線部隊で実施され、自衛官教育は基礎だけで半年間を要します。普通科や機甲科に特科や施設科と武器科に通信科と会計科と自衛隊は多くの職種がありますが、OJT,即ちオン-ザ-ジョブ-トレーニング方式で学ぶのですね。

 自衛官としての使命の自覚、宣誓式にて宣誓しますが、特別職国家公務員という憲法上の位置づけと共に国家公務員としての立場と、諸外国や社会制度としては軍人としての素養を身につけねばなりません。そして新隊員は一任期二年間の任期に入るという構図です。

 二年間の任期の内に半年間を教育に充てる。実は日本社会において忘れられているのは即戦力重視や現代的な会社機構でも徒弟制度のようないきなりの実務を経て現場で覚えさせるという方式、結果的に教育軽視となっている事が国際競争力に如実に現れているのでは。

 教育重視といいますか、即戦力で雇用しても教育を行わなければ労働需要の変容と共にその能力は短期間で摩耗若しくは陳腐化してしまいます、自衛隊の場合は新隊員教育に加えてMOS資格教育等素養の練成にかなり尽力しており、この点は学ぶべき点と云えましょう。

 第110教育大隊、その上で大変だなあ、と考えるのは善通寺駐屯地祭が挙行されるのは四月下旬、これをゴールデンウィーク前だ、と思われるかもしれませんが任官が春ですのでいきなりの第14旅団と共にならんでの式典参加となります。第14旅団は精鋭部隊の一つ。

 中部方面混成団隷下の第110教育大隊、大変だなあと思うのは、五月初旬に大津駐屯地祭があるのですね、この為第110教育大隊は善通寺駐屯地から式典参加へと大津駐屯地へ行かなければならない。ゴールデンウィークがあって無い様なもの、といえるかもしれない。

 第47普通科連隊第1中隊も善通寺駐屯地に駐屯しています。第47普通科連隊といえば、海田市駐屯地に連隊本部を置く普通科連隊であり、善通寺駐屯地では無かったのではないか、と思われるかもしれません。しかし、第1中隊はここ善通寺に駐屯しているのですね。

 第47普通科連隊は即応予備自衛官主体の普通科連隊です。元々は第13旅団隷下にありましたが、陸上自衛隊改編により、同じく即応予備自衛官基幹で第10師団隷下の豊川駐屯地第49普通科連隊共々、第2教育団より改編された中部方面混成団へ移管されたのですね。

 即応予備自衛官制度とは年間30日間の教育訓練を行う予備自衛官制度です。予備自衛官制度では年間訓練日数が5日間しかありませんので、新装備の教育訓練は勿論、年間五日間でできる教育訓練は限られたものしかありません。これが30日間となると自由度が増える。

 30日間の訓練は予備自衛官のような分割訓練も認められておらず、即応予備自衛官訓練召集日程が明確に定められています。訓練時間が限られますので、外出時間は現役隊員と比較して明確に少なく、短期集中で戦術訓練等を着実に実施しているという制度がこれです。

 訓練召集を考えますと、西日本地域全域の即応予備自衛官を毎回訓練の為に連隊本部の置かれた海田市駐屯地へ集合させるのは、それこそ四国全域と山陽山陰地方からの隊員召集は距離的にも簡単なものではありません、ここに第47普通科連隊第1中隊の駐屯がある。

 要するに第1中隊は善通寺駐屯地近傍に居住する即応予備自衛官の教育を担っているのですね。制度としては、例えば第14旅団が全力で管区外へ派遣される事態となった際に、善通寺に第47普通科連隊第1中隊を臨時招集する事で後詰や留守部隊、ともできるでしょう。

 考えられた制度ですが、しかし聞きますと年間30日間に確実に訓練召集されるという制度は、会社員での兼業は難しく、第一次産業でも簡単ではないといいます。それでも企業協力金がありますので、家庭内産業の様な小規模な事業者では頑張って任官してくれるとも。

 即応予備自衛官制度は、自衛官の満期除隊と共に志願し登録する制度です。ただ、自衛官経験者でなくとも予備自衛官に任官できる予備自衛官補制度というものがありまして、将来的にこれを拡充し予備自衛官補から即応予備自衛官となる道も、というのですが、ね。

 第47普通科連隊第1中隊、第47普通科連隊は予備自衛官部隊とは言っても装備品については、他の第一線普通科連隊と同等の物を装備しており中隊編成も基本的に同じです、精鋭部隊として最近では2018年西日本豪雨災害にも召集され災害派遣へと活躍しました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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